
フリーターだからといって社会保険を諦める必要はありません。フリーターでも正社員と同じ保険に加入することができるのです。フリーターとして働いていると損しやすいので、まずは現在の状況を見直してみましょう。フリーターと正規雇用の社会保険にはどのような違いがあるのか、フリーターが社会保険に加入するメリットは何かを解説していきます。
この記事の目次
フリーターと正社員!社会保険の違いとは?

一口に社会保険と言っても、健康保険や厚生年金など様々な種類があります。正社員とフリーターとでは、加入できる年金の種類や、もらえる年金の額が異なるので注意が必要です。
フリーターの社会保険
フリーターの場合、「国民年金」と「国民健康保険」に加入するケースが多くなります。国民年金は、フリーターなどの非正社員や学生などが加入する年金です。また、国民健康保険は誰でも加入できる保険で、主にフリーターなどの非正規雇用者や自営業者などが対象となります。
正社員の社会保険
一方、正社員の場合は「厚生年金」と「社会保険」に加入するケースが多くなります。
厚生年金は、国民年金に上乗せされる年金のことです。
社会保険は、将来のリスクに備えた公的な保険制度です。この社会保険には、医療保険・年金保険・介護保険・労災保険・雇用保険の5種類があります。
正社員として就職すれば、厚生年金や社会保険の他に、企業独自の福利厚生を受けられる可能性があります。
企業年金は民間の年金制度ですが、正社員であれば国民年金と厚生年金に加えて、この企業年金も受け取ることができるため、老後の保障がさらに手厚くなります。
福利厚生は企業によって様々なので、職場を選ぶときは給与だけでなく福利厚生も重視して選びましょう。
正社員は万が一のケガや病気があっても安心安全
正社員はフリーターに比べて将来の備えが手厚くなるため、安心して働き続けることができます。
元気なうちは社会保険を考えなくてもいいかもしれませんが、人生いつ何が起こるかはわかりません。
病気になったり、年をとった時に役立つのが社会保険です。万が一の場合に備えて、保障の手厚い社会保険に加入しておく必要があります。
まずは、自分の加入している社会保険を見直してみましょう。
フリーターが加入すべき社会保険とは?
フリーターでも、働き方や勤務先によって加入できる社会保険が異なります。
雇用保険
雇用保険は失業した際に給付金を受け取ることができる保険です。失業保険と呼ばれることもあります。
最長11ヶ月に渡って給付金を受け取ることができるため、次の仕事が決まるまでの生活費に当てることができます。
雇用保険に加入しておけば、突然クビになった場合でも慌てる必要がありません。
収入が安定しないフリーターにとって、失業時に給付金を受け取ることができるのは大きなメリットだといえます。
労災保険
労災保険は勤務中にケガなどを負った場合に給付金が支払われる保険です。人数に関係なく、従業員を雇用している企業であれば加入が義務付けされています。
保険料は全額会社が負担してくれるので、労働者は一切お金を払う必要がありません。
工事現場などケガしやすい場所で働いている人にとって、この労災保険は必要不可欠だといえるでしょう。
介護保険
国民は40歳になると介護保険への加入が義務付けられています。
将来、介護が必要になった場合、この介護保険によって支えてもらうことになるため、将来に備えて加入しなければなりません。
実はフリーターも厚生年金保険に加入できる!

一般的に、フリーターが加入するのは国民年金ですが、実はフリーターであっても一定の条件をクリアすれば、厚生年金保険に加入することができます。
厚生年金保険に加入するには、以下のいずれかの条件を満たしておく必要があります。
- 勤務時間と日数が正社員の4分の3以上
- 週20時間以上の勤務
- 年収106万以上
- 雇用期間の見込みが1年以上
- 従業員501名以上の会社に勤めている
- 学生でない
日雇い労働や短期アルバイトなどは厚生年金の加入条件に満たさないため、加入することができません。
現在は非正規の雇用が増えていますが、非正規だと職場によって待遇が異なるので、厚生年金に入れる職場と入れない職場があります。
厚生年金に加入するのとしないのとでは、将来もらえる年金の金額に大きな差が出てきてしまいます。
フリーターとして働き続けるのであれば、厚生年金に加入できる職場を選びましょう。
フリーターが厚生年金保険に加入するメリット

厚生年金保険に加入すると、支払う保険料が安くなるというメリットがあります。
国民年金だと保険料は全額自己負担となりますが、厚生年金保険なら会社が保険料を半分負担してくれるので、毎月支払う保険料の負担を軽減することができます。
さらに、将来受け取れる年金額も多くなるため、国民年金を続けるよりもメリットが大きいといえます。
厚生年金をもらうことが出来る
厚生年金の保険料には、国民年金の保険料が自動的に含まれているため、将来は国民年金と厚生年金の2つの保険料を受け取ることができます。
国民年金だけしか加入していないフリーターと、厚生年金に加入している正社員を比べた場合、将来もらえる年金の金額に2倍ほど差が出てきてしまいます。
国民年金と厚生年金保険のどちらに加入するかによって、将来の老後に大きな影響が出てきてしまうのです。
国民年金だけで老後を過ごすのは難しい
実際、国民年金だけで老後を暮らすのはかなり難しいので、早いうちに厚生年金保険に加入しておくのがベストです。
基本的に、国民年金よりも厚生年金の保険料のほうが支払い額が大きくなりますが、給料が低い場合は、厚生年金の保険料の支払い額は少額で済みます。
そのため、国民年金と同額くらいに保険料が下がる可能性もあります。
厚生年金は会社が半分負担してくれる
しかも、厚生年金であれば保険料の半分を会社が負担してくれるので、国民年金よりも支払う保険料が安くなる可能性があります。
厚生年金の場合、国民年金と厚生年金の両方の保険料を支払っていることになるため、安い保険料を支払いながら、将来は国民保険よりも多くの金額を受け取ることができます。
そのため、給料の安い職場で働いているのであれば、国民保険よりも厚生年金に加入したほうがメリットが大きいといえます。
長期間フリーターをするなら厚生年金に加入するべき
長期間にわたってフリーターとして働き続けることを考えているのであれば、厚生年金保険に加入することを考えましょう。
将来のことを考える暇はないかもしれませんが、給料が低ければ保険料も安くできるかもしれないので、厚生年金保険に加入するのはメリットが大きいといえます。
まずは現在の職場の福利厚生を見直してみて、満足のいく待遇を受けているのか考えてみましょう。もし待遇がよくないのであれば、転職なども視野に入れたほうがいいでしょう。
フリーターが厚生年金保険に加入するデメリット

フリーターが厚生年金保険に加入すると、手取り額が減る可能性があります。
自己負担額が増える可能性がある
これまで両親の扶養の範囲内で働いていた人が厚生年金保険に加入した場合、自己負担額が増えて損をする可能性があります。
1年間の収入が130万円未満の場合は、保険料を支払う必要がありませんが、130万円を越すと住民税などに合わせて保険料も新たに支払わなければならないので、結果的に手取り額が減ることになります。
職場や働き方を変えて損をしない方法も
収入額によってはデメリットが大きい場合もあるので、職場や働き方を変えることも検討する必要があるでしょう。
厚生年金はメリットばかりに目がいきがちですが、このようなデメリットもよく踏まえた上で、自分がどうすべきかよく考える必要があります。
社会保険に加入できたら扶養からは外れてしまう?

勤務先で社会保険に加入できたら、扶養からは外れる手続きをしなければなりません。
従業員501人以上の会社に勤めている場合、社会保険に加入できるのは年収が106万円以上からとなります。
年収が103万円以上になると、扶養控除から外れてしまうので、速やかに手続きを行いましょう。
ただ、年収が103万円から150万円以下なら配偶者特別控除が適用されるので、税金の負担を軽減することができます。
配偶者の年収が150万円以下の範囲なら税金を安くできるため、配偶者は思う存分に働くことができます。
収入が150万円を超えると、今度は収入額に応じて段階的に控除されます。控除が適用されるのは、年収201万円までとなります。
フリーターは入りたくても入れない場合がある?

フリーターの場合、厚生年金保険の加入条件をクリアしていても、加入できないケースがあります。その理由は、会社側の負担が増えるためです。
会社が保険料を払いたくないことも
社会保険料は会社と加入者の折半になるため、フリーターが社会保険に加入すると、当然ながら会社の負担も増加します。
会社としては、人件費を少しでも節約したいのが本音なので、社会保険に加入できるのは正社員のみとしている職場が多いのが現実です。
国民年金と違い、厚生年金は自身で手続きを行うことができません。手続きは事業所が行うため、加入したくても自分で手続きすることができません。
本来であればフリーターも加入できるはず
社会保険は、加入条件を満たしていれば職業問わず強制加入となるため、フリーターであっても本来は厚生年金に加入できるはずです。
条件をクリアしているにも関わらず、厚生年金に加入できない場合は、相談してみるのも一つの方法です。
ただ、相談しても加入できるケースは少ないので、転職なども検討したほうがいいでしょう。
手取りが減るから加入したくない場合の対処法

厚生年金は強制加入となるため、入りたくなくても入らなくてはなりません。
手取りが減るから厚生年金に加入したくない場合は、収入や労働時間を減らすことによって、対処することができます。
収入を減らして厚生年金への加入をキャンセル
厚生年金の加入条件は年収106万以上となっているので、年収額を106万円未満に減らすことによって、厚生年金に加入せずにすみます。
106万円以上の収入となると被扶養者からも外れてしまうので、一気に負担が多くなります。この106万円の壁を超えないように注意する必要があります。
労働時間を調整することも可能
また、週の労働時間が20時間以上になると、厚生年金の加入条件をクリアしてしまうので、1週間の労働時間は20時間未満におさえましょう。
職場を選ぶときは、労働時間や収入に注意する必要があります。厚生年金の加入条件をクリアしないように、働き方を見直してうまく調整しましょう。
フリーターで長期働くなら正社員を考えてみない?
フリーターで長期間働くのであれば、正社員になったほうがなにかとメリットが多くなります。
フリーターと正社員では、同じ労働時間でも社会保険などの待遇が大きく異なってきます。
正社員だと、社会保険の恩恵を多く受けられる
正社員になったほうが社会保険の恩恵を受けやすくなるため、フリーターとして長期間働いていると、損することになります。
フリーターの社会保険の問題は、正社員になることで改善できる場合がほとんどなので、日頃職場の待遇に不満を抱えている人は、就職や転職を考えてみるといいでしょう。
正社員になれば雇用や給与も安定するため、将来の不安もなくなります。正社員であれば年代が上がるごとに収入が間違いなく増えるため、プライベートを充実させやすくなります。
正社員であれば住宅ローンなども組みやすくなるため、社会的ステータスを向上させることも可能です。
仕事の内容や労働時間は同じでも、肩書きがフリーターというだけで損することが多いので、正社員になるチャンスがあれば積極的に狙ってみましょう。
フリーターにも、自由に働けるというメリットはある
もちろん、フリーターには自由に働けるメリットがあります。
ただ、そのメリットは長続きしない可能性が非常に高いといえます。若いときはフリーターのほうが楽かもしれませんが、年齢を重ねると雇ってくれる職場が少なくなります。
フリーターとして働き続けるのは体力的にも厳しいので、早めに転職や就職をしておくのがベストです。
結婚や出産をするとなると、収入が安定しないフリーターを続けるのは難しいといえます。年をとると就職や転職も難しくなるので、正社員になるチャンスも少なくなっていきます。
正社員を目指すのであれば、若いうちがチャンスです。本当にフリーターのままでいいのか、将来のことをよく考えて慎重に判断しましょう。
手取りが減ってもメリットが多い社会保険
手取り額を減らしたくない人にしてみれば、高い保険料を払ってまで社会保険に加入することは、デメリットに感じるかもしれません。
ただし、社会保険にはそのデメリットを覆すだけの大きなメリットがあります。社会保険に加入しておけば、失業したり病気になった時に、手厚い保障によって助けてもらうことができます。
「今が良ければいい」という考え方では、万が一の時に困ってしまいます。人生は何が起こるかわからないので、元気なうちに蓄えをしておく必要があります。
フリーターとして長期にわたって働き続けるのであれば、社会保険には早めに加入しておきましょう。
目の前の利益だけを見て行動するのではなく、長期的な視野を持って行動に移すことが大事です。