
フリーターは理由を持っているのであれば、専門学校に入るのも良い将来の選択肢の1つと言えるでしょう。なんとなく専門学校に通ってしまうと、時間やお金が無駄になってしまいますので、後悔の残る選択をする必要があります。
この記事では、フリーターが専門学校に入ることによるメリットとデメリットについて解説します。
合わせて、フリーターが専門学校へ入るべきかの判断ポイントも分かりやすく解説しますので、将来のために専門学校に入ろうか悩んでいるフリーターの人は、記事の内容を参考にしてみてください。
この記事の目次
フリーターが専門学校に入るべきかは目的による
フリーターが専門学校に入るべきかどうかは、専門学校に入ろうと考えている目的によって変わってきます。
しっかりと目的を持っているのであれば、フリーターが専門学校に入るのは有効となるものの、そうでない場合は、専門学校に入らずフリーターを続けるか正社員に就職することがおすすめです。
まずは、フリーターが専門学校に入るべきと言える理由にはどんなものがあるのかについて解説します。
なりたい職業が明確なら入るべき
専門学校は、文字通り専門的な知識や技術を身に付けるのに適している施設となりますので、将来なりたい職業が明確であり、かつ、その職業で活躍するための知識が得られる専門学校であれば入るべきと言えるでしょう。
例えば、将来料理人になりたい場合、料理を学べるのは直接料亭やレストランで調理師見習いとして下積み時代を過ごすか、調理師免許の取れる専門学校に通うかの2択になります。
実務の現場でいきなり下積みを積んでみるのも良いですが、どうしても下積み期間が長くなってしまいますので、専門学校に入学して短期的に知識をインプットしておくのは良い選択と言えます。
このように、なりたい仕事が明確であり、かつその仕事のスキルが得られる専門学校であれば、フリーターから専門学校に入る事は後悔しない選択と言えるでしょう。
なんとなく入学したい場合は入るべきではない
フリーターが将来正社員になる上で、学歴を目的としていたり、なんとなく正社員になる前に専門学校でクッションを挟んでおきたいなどと考えている場合は、専門学校に入学すべきではないと言えます。
専門学校は一般的に2年間同じ学問を学び続けることになります。
もし興味が持てない学問であれば、勉強が続かずに卒業がままならなくなってしまうこともありますし、将来就職の際にアピールポイントに繋げるようなこともできなくなる可能性が考えられます。
なんとなく専門学校に入学した方が良さそうなどといった理由で、フリーターから専門学校に入学する事は避けるようにしてください。
フリーター期間が長引けば就職が難しくなる
フリーターから専門学校に入るにしろ入らないにしろ、あらかじめ知っておきたいのが「フリーター期間が長引けば就職が難しくなる」といった事実です。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「大都市の若者の就業行動と意識の変容」によれば、フリーター期間と正社員になれた割合は、以下のようにまとめられています。
フリーター期間 | 男性 | 女性 | 合計 |
---|---|---|---|
1年以内 | 74.7% | 64.6% | 68.8% |
1年〜2年 | 64.2% | 58.8% | 61.2% |
2年〜3年 | 68.9% | 47.5% | 56.6% |
3年〜4年 | 69.0% | 55.8% | 61.1% |
4年〜5年 | 51.4% | 28.8% | 37.9% |
5年以上 | 44.3% | 24.5% | 32.3% |
このように、フリーター期間が長引けば長引くほど就職率は下がっていきます。
専門学校に通うかダラダラと悩んでフリーター期間が長引くようなことがあると、後から正社員になりたいと考えたときに、書類選考や面接で不利になってしまいかねないため注意が必要です。
フリーターになったばかりという人であれば、少なくとも1年以内に専門学校に通うかどうかのジャッジをする意識を持っておくと良いでしょう。

フリーターが専門学校に入るメリット
フリーターが専門学校に入るメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- 専門知識や資格が手に入る
- 就職サポートを受けられる
- もう一度学生生活をやり直せる
これらの点にメリットを感じる場合は、一度専門学校に入ってから正社員を目指してみるのもおすすめです。
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
専門知識や資格が手に入る
専門学校は、それぞれの学校で用意されているコースやカリキュラムの通りに学習を進めていきます。
コースで定められている専門知識をインプットできるだけでなく、コースによっては国家資格の取得を目指すようなものもありますので、卒業した時点で就職や実務に有利になれるといったメリットがあります。
例えば歯科衛生士の専門学校であれば、歯科衛生士の資格取得を目指して座学を受けられるだけでなく、就職後にそのまま活かせるような実践的な実習を学ぶことができるため、歯科衛生士を目指す上では最も効率の良い方法とも言えます。
学びたい学問やなりたい職業が明確に定まっているような人であれば、専門知識や資格が手に入るといったメリットを最大限に受けられるでしょう。
就職サポートを受けられる
専門学校によっては、卒業後の就職率をアピールポイントにしているケースもあります。
特にIT系の専門学校や、資格取得が狙えるような技術系の専門学校については、就職実績を高めるために手厚い就職サポートが受けられることがあります。
4年制大学のように、キャンパス内にキャリアセンターのような就職支援課が用意されている専門学校もありますし、学校と提携している会社に紹介してもらい、そのまま就職できることを強みとしている専門学校もあります。
専門学校も学生数を増やすために様々なアピールポイントを準備しているため、専門学校で学ぶことだけでなく将来の就職も考えていきたい人は、専門学校のパンフレットやホームページで公表されている就職率もチェックしておくと良いでしょう。
もう一度学生生活をやり直せる
専門学校は同じ学びを志す学生たちが集まり、キャンパスに集まって勉強をするといった生活になります。
まるで高校や大学生に戻ったような感覚を感じられるため、もう一度学生生活をやり直せるというのも1つのメリットと言えます。
専門学校によっては、クラスに分けられ人間関係が広がるようなこともありますので、毎日フリーターとして刺激のない日々を送っていることに悩んでいるような人は、特に専門学校の楽しさを味わえるでしょう。
ただし、専門学校によっては社会人を対象にした夜間部などが設けられており、学ぶ場所に特化しているようなケースもありますので、学生生活を楽しみたい場合は日中にカリキュラムが集中しているような専門学校を選ぶことをおすすめします。
フリーターが専門学校に入るデメリット
フリーターが専門学校に入ることにはメリットだけでなく、以下のようなデメリットも考えられます。
- 短期的には就職時期が遠のく
- 逆に進路を狭める可能性もある
- 卒業時の年齢によって就活で不利になることも
上記のうち1つでもデメリットに感じるようなことがあれば、専門学校に入学したことを後悔してしまう可能性がありますので注意してください。
それぞれのデメリットについて詳しく解説します。
短期的には就職時期が遠のく
専門学校は、なりたい職業が明確に定まっている場合は、効率的に就職を実現できる手法ではあるものの、短期的な目線で見ると就職時期が遠のくといったデメリットが挙げられます。
専門学校はカリキュラムや学問によって、1年制から4年制まで分かれていますので、仮に2年制の専門学校に通うことで、少なくとも2年間は就職が遠のくことになります。
サラリーマンの平均年収を考えると、生涯年収にしておおよそ700万円から800万円が減ることになるため注意が必要です。
また、社会人デビューが遅れることによって同年代との差も生まれてしまいますので、人によっては自尊心を傷つけてしまう可能性も考えられます。
逆に進路を狭める可能性もある
専門学校に通うようになると、学んだ学問に関連した仕事に就職しようと考えるバイアスが働いてしまう傾向にあります。
したがって、フリーターが専門学校に通うと、逆に将来の進路を狭める可能性があるといったデメリットも挙げられます。
もちろん、将来的に絶対に特定の業界で働きたいという強い意思が固まっている人であれば問題ないかもしれませんが、将来様々な仕事に興味を持つ可能性があるような人だと、専門学校に通う事はリスクがあるとも言えますので注意が必要です。
卒業時の年齢によって就活で不利になることも
先ほど解説した通り、専門学校に通うと1年から4年間は専門学校生として学校に通うことになります。
もしフリーターが専門学校に入学した後に正社員になろうと考えている場合は、専門学校を卒業したときの年齢が高くなっていることもあります。
卒業時の年齢によっては、就活で不利になることがあるというデメリットが考えられます。
特に実務未経験者の場合は、30歳を超えてくると就職に不利になってくるという声もありますので、フリーターが専門学校に通うか検討する際は、卒業時の自分の年齢も加味しておく必要があります。
フリーターが専門学校に入るべきかの判断ポイント
フリーターが専門学校に入ることには、メリットとデメリットの両面から検討していく必要があります。
特にフリーターが専門学校に入るべきか迷った際は、以下のポイントで判断してみてください。
- なりたい職業は専門知識や資格が必須になるか
- 2年間の生活費と学費の工面はできているか
- 実際に就職活動をしてみたか
それぞれの判断ポイントについて詳しく解説します。
なりたい職業は専門知識や資格が必須になるか
フリーターが専門学校に通うか考える際は、将来なりたい職業から逆算することが大切です。このことから、なりたい職業は専門知識や資格が必須になるかといった観点で入学の判断をすると良いでしょう。
例えば将来事務職になりたいと考えている場合、事務職は専門的な知識がなくても、会社ごとに用意されているマニュアル通りに最初は働くような仕事となりますので、専門学校に入る必要はないと考えることができます。
一方、調理師や歯科衛生士など働く上で資格が必要になってくる場合は、専門学校に入学したほうが結果的に自分の将来のためになる選択と言えます。
このように、将来なりたい職業にどのような知識や資格が必要かという観点から専門学校へ入学するかを判断してみてください。
2年間の生活費と学費の工面はできているか
専門学校は基本的に2年間通うケースがほとんどです。
専門学校に通い始めると生活の中心が専門学校になってしまいますので、今までのようなバイトの入り方ができなくなる可能性が考えられます。
したがって、専門学校に通い続ける間の生活費と学費の工面ができそうかどうかといった観点も、専門学校に入学する上での重要な判断ポイントとなります。
もし専門学校に通っている間にお金が足りなくなるようなことがあれば、生活と学業がうまく両立できなくなり、どちらも中途半端な結果で終わってしまう可能性があります。
可能であれば、少なくとも専門学校を卒業するまでにかかる学費分を貯金しておくことをおすすめします。
実際に就職活動をしてみたか
フリーターとして生活している中で、正社員を目指すための就職活動をしてみたかどうかというのも、専門学校に入学する上での重要な判断ポイントになってきます。
実際に就職活動をしてみると、専門知識や特定の資格が要らない仕事に魅力を感じるようなこともあります。
現時点では専門的な知識に魅力を感じていても、実際に就職活動をする上でそれぞれの仕事の働き方や将来性などを調べていくと、自分に向いていないと感じるようなこともあるでしょう。
繰り返しになりますが、フリーターが専門学校に通う際は将来なりたい仕事の種別によって判断していくことが大切です。
専門学校に入るか迷っている場合は、一度正社員を目指して就職活動を先んじて行ってみるというのも1つの手です。
フリーターが専門学校に入学する方法・流れ
専門学校に魅力を感じてフリーターが入学を志す場合は、以下のような流れで専門学校への入学を目指していくことになります。
- 資料請求
- 願書提出
- 入試
- 入学手続き
それぞれの流れや方法について詳しく解説していきます。
1. 資料請求
まずは、どの専門学校に入学するかを見定めていくために情報収集を進めていきます。
専門学校の情報を集めるには、それぞれの学校が配布している資料を手元に集めるため、資料請求を行っていきます。
資料請求は専門学校のホームページから行うことが可能です。住所や氏名などの基本情報を入力することで学校の案内や募集要項が送られてきますので、必ず目を通していきましょう。
資料には学校の特徴だけでなく、学費や出願に必要な書類、試験の日程など入学を目指す上で知っておくべき情報が細かく書かれていますので、基本的に専門学校に入学する上では資料請求を必ず行うという意識を持っておいてください。
2. 願書提出
資料請求やオープンキャンパスなどを経て入学したい専門学校が決まったら、願書を提出します。
一般的に願書を提出する際には、受験をするためのお金として入学検定料の支払いが必要になってくることがありますので、前もってお金に余裕を持っておくようにしてください。
また、専門学校は高校を卒業している人を対象にしていますので、仮にフリーターの人であっても高校卒業証明書が必須になるケースが大半です。
あらかじめ入学願書の案内を確認しておき、余裕を持って卒業証明書を準備しておくと良いでしょう。
なお、高校卒業証明書は、自分が卒業した高校に電話で問い合わせをすることで郵送で受け取れることが大半となっています。
3. 入試
専門学校に入学する上で最も重要なのが入試です。
入試の種類は専門学校によって大きく変わってきますので、自分が興味のある専門学校の情報収集をしっかりと行っておきましょう。
なお、昨今の専門学校の試験内容としては、一般的に書類選考と面接がメインになってきます。
中には筆記試験を実施する専門学校もありますが、基本的には前年度の過去問や作文課題のテーマがホームページに公開されていることがほとんどのため、大学受験のような筆記試験をイメージする必要はありません。
もし入試が不安な場合は、資料請求をした際に専門学校に問い合わせてみたり、オープンキャンパスで入試について質問をしてみるのも良いでしょう。
4. 入学手続き
無事に合格ができると入学手続きに入ります。
専門学校の場合、入学手続きとしては基本的に入学金や学費の納入と必要書類の提出となりますので、期限内に必ずやるべきことを終わらせましょう。
無事に手続きが完了すると入学許可証が送られてきますので、入学日以降は専門学生としての人生を歩んでいくことになります。
フリーターが専門学校を卒業した後の進路
フリーターが専門学校の入学を考える場合は、専門学校を卒業した後のこともあらかじめ考えておくことが大切です。
フリーターが専門学校を卒業した後の進路としては、以下の3つが挙げられます。
- 正社員就職をする
- フリーターに戻る
- 学びの幅を広げる
それぞれの進路について詳しく解説します。
正社員就職をする
フリーターが専門学校を卒業した後の進路として、最も理想的なものが正社員就職です。
専門学校で習得できた知識や資格を使った仕事に正社員就職ができれば、専門学校に通ったことも意義のあるものになるでしょう。
確かに専門学校に通う期間、フリーターとして働いた方が収入は稼げるものの、フリーターと正社員ではそもそも平均年収が大きく変わってきますので、正社員就職をすることで長期的に見た収入は大幅に引き上げることが可能です。
また、フリーターから正社員になることで雇用が安定するだけでなく、やりがいのある仕事に向き合えるようになることから、人生を豊かにすることにも繋がります。
したがって、フリーターが専門学校に入学する場合は、卒業後に正社員になることを念頭に置いておくことをおすすめします。
フリーターに戻る
専門学校を卒業したものの、どうしても自分が希望する会社から内定をもらえなかった場合は、フリーターに戻るといった進路も考えられます。
この場合、専門学校に使った時間やお金が無駄になってしまうこともありますので、なるべくなら避けたい進路と言えるでしょう。
一般的にアルバイトの面接に合格する上では、学歴は大きく影響してきません。
高卒の人が専門学校卒の学歴になったとしても、働けるバイト先の幅が広がるわけではありませんので注意が必要です。
学びの幅を広げる
専門学校を卒業して新たに学びたいことが出てきた場合は、学びの幅を広げるといった進路も考えられます。
具体的には大学に進学したり海外へ留学するなどより、専門的な知識のインプットを目指す進路を選ぶ人も少なからず存在します。
自分が学びたいことを見つけて、それに向かって突き進むといった人生は望ましいものである一方、成人している人がいつまでも働かずに生きていけるような社会ではありませんので、自身の将来設計とお金の観点から、ある程度見切りをすることも重要です。
専門学校を卒業した後の進路をまとめると、基本的に正社員を目指すと考えておくことが良いと言えます。
専門学校入学を考えるフリーターによくある質問
最後に、専門学校への入学を考えるフリーターによくある質問を3つ取り上げて解説します。
専門卒のフリーターの割合は?
専門卒・短大卒のフリーターの割合は、男性で16.9%、女性で28.8%となっています。
学歴別で見てみると、特に男性については中卒に次いでフリーターの割合が少ないといった特徴がありますので、基本的に専門学校や短大を卒業した人は、フリーターではなく正社員になっていることが分かります。
最もフリーターの割合が高い学歴は、男性女性ともに高卒となっています。
これらのデータから、現在高卒でフリーターになっている場合、専門学校への入学を経て正社員になるという進路は理に適っていると言えるでしょう。
フリーターの割合について理解を深めたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。
専門学校は何歳まで入れますか?
専門学校によって異なる場合もありますが、一般的に専門学校は18歳以上であれば年齢の上限なく入学できることがほとんどです。
実際に専門学校も社会人に向けたコースを設けていることがあるため、年齢にかかわらず様々な年齢層の人が在籍しているといった特徴があります。
したがって、専門学校に興味があるフリーターは、現在の年齢にかかわらず入学を検討してみても良いでしょう。
ただし、専門学校を卒業した後に正社員になりたいと考えている場合は、卒業時の年齢と正社員就職をする年齢がイコールになりますので、あまりにも卒業式の年齢が高いと就活に苦戦してしまう可能性があることには注意が必要です。
専門学校卒業後の就職先の例は?
専門学校を卒業した後の就職先の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 医療系:看護師、理学療法士、歯科衛生士
- IT系:プログラマー、システムエンジニア、デザイナー
- 美容系:美容師、スタイリスト、メイクアップアーティスト
- 調理系:調理師、洋菓子職人
- 建築系:設計士、施工管理技士
- 教育系:保育士、教師
入学する専門学校によって、将来の就職先を大きく変えることができます。
特に就職したい職業があるような人は、自分の将来の希望にマッチした専門学校に入学すると良いでしょう。
まとめ
フリーターは専門学校に通うことで、将来の選択肢を大きく変えることができます。
自分が将来就職したい仕事に合わせて、入学する専門学校を検討していくことが大切です。
なんとなく学歴が良くなるからなどと言った理由で専門学校に通うと、結果的に時間やお金を無駄にすることに繋がりかねませんので注意してください。
また、フリーターは専門学校に通う前に就職活動をしてみるというのもおすすめです。
自己分析や業界研究を経て、専門学校に通わずとも自分にマッチしている仕事を探したい人は、フリーター向けの就職エージェントのアドバイザーに相談してみるのも良いでしょう。




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