
フリーターの年収は正社員に比べると概ね低めです。多くのフリーターが収入の範囲でギリギリの生活を送っています。
そんなフリーターでも一人暮らしできるのか、様々な角度から検証してみましょう。
この記事の目次
フリーターの年収はどれぐらい?年齢別の時給・月収例

まずはフリーターが実際にどれくらい稼いでいるのかを時給別、年齢別に紹介します。
時給別に確認
フリーターの労働契約に多い1日7時間、月22日間勤務の場合、月給と年収は以下のとおりです。
手取り収入は社会保険料や税金などで20%控除され、ボーナスは無いものと想定します。
なお平成29年度の最低賃金は沖縄県などの時給737円です(※1)。そこで740円、800円、900円、1,000円の4つで計算します。
時給 | 月給(手取り額) | 年収(手取り額) |
---|---|---|
740円 | 113,960円(91,168円) | 1,367,520円(1,094,016円) |
800円 | 123,200円(98,560円) | 1,478,400円(1,182,720円) |
900円 | 138,600円(110,880円) | 1,663,200円(1,330,560円) |
1,000円 | 154,000円(123,200円) | 1,848,000円(1,478,400円) |
このように最低賃金では手取りの年収が、かろうじて100万円を超える程度です。時給812円でようやく手取りの月収が10万円になります。
時給1,000円でも控除されると手取り年収で150万円に達するのは難しそうです。
※1:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
平均月収は?
続いて厚生労働省による「平成29年賃金構造基本統計調査」の雇用形態別賃金を元に、フリーターの年齢別平均月収を割り出しました(※2)。
平均年収を12で割り、千円未満を四捨五入しています。手取り収入は先ほどと同じく20%控除後の金額です。
年齢 | 平均年収(手取り収入) | 平均月収(手取り収入) |
---|---|---|
20~24歳 | 1,837,000円(1,469,600円) | 153,000円(122,400円) |
25~29歳 | 1,996,000円(1,596,800円) | 166,000円(132,800円) |
30~34歳 | 2,106,000円(1,684,800円) | 176,000円(140,800円) |
35~39歳 | 2,105,000円(1,684,000円) | 175,000円(140,000円) |
40~44歳 | 2,096,000円(1,676,800円) | 174,000円(139,000円) |
この結果から、20~24歳はほぼ1,000円に近い時給で働いていることが分かります。
一方、30歳以降は月収がほとんど変わっておらず、時給に換算すると1,100~1,150円がフリーターの平均的な上限のようです。年収は200万円を少し超えたあたりがピークになります。
正社員の年収と比較
今度は同じ調査結果から正社員の年収を割り出してみましょう。月収の計算方法は先ほどと同じです。
年齢 | 平均年収(手取り収入) | 平均月収(手取り収入) |
---|---|---|
20~24歳 | 2,098,000円(1,678,400円) | 173,000円(138,400円) |
25~29歳 | 2,443,000円(1,954,400円) | 204,000円(163,200円) |
30~34歳 | 2,810,000円(2,248,000円) | 234,000円(187,200円) |
35~39歳 | 3,130,000円(2,504,000円) | 261,000円(208,800円) |
40~44歳 | 3,431,000円(2,744,800円) | 286,000円(228,800円) |
フリーターに比べると20~24歳までは若干高い程度ですが、30歳以降は差が開き始めます。40代になると月10万円以上の差です。
年収は30代後半で300万円を超え、ピークの50代前半には400万円に迫るほどになります。
年収を重視するなら、25歳までにフリーターを卒業して正社員に転向したほうが良いですし、一人暮らしも無理なくできるでしょう。
フリーターで稼げる年収で一人暮らしは問題なくできる?

先述のとおり、フリーターで稼げる年収の限界は200万円を少し超えた程度です。手取り収入では約168万円になります。
つまり1ヶ月14万円でやりくりしなければいけません。一人暮らしができないわけではありませんが、贅沢は不可能で、むしろ我慢を強いられるでしょう。
フリーターは働いた分がそのまま給料になり、休みが多いと収入が減ってしまいます。若いうちならともかく、高齢になるほど体調を崩して働けない機会が多くなりがちです。
ギリギリの一人暮らしでは、すぐに生活費が足りなくなってしまいます。
収入を増やすのであれば残業や休日出勤をしたり、ダブルワークをしたりする方法がありますが、その分だけ自由に使える時間は少なくなります。
これではフリーターをしている意味がありません。
一人暮らしに必要な費用からシミュレーション
もしフリーターが一人暮らしをするなら、節約して支出を抑えるか、先述のとおり収入を増やすしかありません。
では前者を選択した場合、実際にどれくらい節約できるのか、総務省統計局による2017年の「家計調査」を元にシミュレーションしてみましょう(※3)。
34歳までの単身世帯における、住居費を除いた平均支出は以下のとおりとなります。
- 食費・・・39,510円
- 光熱費・・・6,959円
- 家具・家事用品費・・・3,339円
- 被服・履物代・・・7,712円
- 保険医療費・・・3,627円
- 交通・通信費・・・22,848円
- 教育娯楽費・・・17,155円
- その他雑費(交際費を含む)・・・24,847円
- 支出総額・・・125,997円
住居費=家賃になりますので、こちらは同じ総務省統計局の「平成20年住宅・土地統計調査」を参考にしましょう。
5年ごとに行われる調査で、最新は平成25年(2013年)になりますが、都道府県別の家賃平均は公表していません。いささか古いですが、1つ前にあたる平成20年(2008年)のデータを参考にします(※4)。
これによると家賃の全国平均は54,527円です(家賃50円未満の借家を除く)。最も低い宮崎県は37,409円、逆に最も高い東京都が77,627円と都道府県間で大きな開きがあります。
フリーターの賃金では一人暮らしも難しい
仮に東京都で一人暮らしをするとしたら、必要な生活費は203,624円となり、フリーターの手取り収入では到底生活できません。
そもそも宮崎県の家賃でも不可能です。もし時給を上げるとしたら東京で1,653円以上、宮崎県でも1,327円以上の仕事を探さなければいけません。
節約したら一人暮らしも可能
もっとも先述の住居費を除いた平均支出は、かなりゆとりを持たせた暮らしぶりになっています。食費は自炊を多くすれば2万円くらいまで減らせるでしょう。
交通・通信費も車を持たなかったり、格安スマホに変えたりすれば半分くらいに抑えられるはずです。家具・家事用品費や被服・履物代は毎月発生するものではありません。
さらに教育娯楽費やその他雑費を切り詰めれば、家賃を除く支出は7~8万円まで減らせるでしょう。これなら5万円の家賃を含めても12~13万円です。時給1,100円で一人暮らしができます。
ただしギリギリであることには変わりないので、体調を崩して仕事を休んでしまうと簡単に行き詰ってしまいます。
貯金もできないか少額ずつしかできませんから、急な出費に対応できませんし、高齢になってからも不安です。
※3:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031673521&fileKind=0
※4:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000008640395&fileKind=0
高時給のバイトで働けば問題ない?

フリーターが時給1,100円で一人暮らしするのは厳しいですが、高い時給のアルバイトをすれば、贅沢や貯金ができるようになるでしょう。
例えば時給1,500円なら月収は231,000円(月154時間勤務の場合)で、年収は2,772,000円になります。
手取り収入はそれぞれ184,800円と2,217,600円です。東京の家賃で生活費が8万円でも、まだ3万円ほど余裕があります。
では、どのような職種が高時給なのでしょうか。
高時給の傾向にある職種
多くの求人サイトでは、以下の職種が1,500円以上の職種として紹介されています。
しかし、いわゆる水商売の職種も多く、抵抗を感じる方も多いかもしれません。
- データ入力
- コールセンター
- 家電、携帯電話の販売スタッフ
- 飲食店スタッフ
- 編集
- プログラマー、Webサイト制作
女性限定では以下の職種があります。
- キャンペーンガール
- コンパニオン
- ガールズバー
- キャバクラ
- 秘書
男性限定だと以下の職種です。
- スカウト
- キャバクラのホールスタッフ
- キャバクラのドライバー
- 大型車のドライバー
意外にも高収入のイメージがある警備員や工場勤務、パチンコ店のスタッフは入っていません。
ただし、これらの職種が時給1,500円以上になるのは都心部の場合であり、地方になると下がってしまいます。最も家賃が低かった宮崎県では1,200円が限界です。
店や会社の規模によっても違いがあります。都心部や規模の大きいところは営業時間が長く、仕事量も豊富ですから高時給でフリーターを雇いたいのです。
高時給のアルバイトの特徴
高時給のアルバイトを見ると、いくつかの傾向があります。例えば女性限定、あるいは女性が優先して採用される職種が多いところです。
それに比べると男性は体力や根性を求められるのが多く、体育会系のノリについていけないと長続きできないでしょう。
ノルマを課せられる職種が多いのも目立ちます。データ入力を除けば人と接するのが苦手なフリーターには大変です。
またキャンペーンガールやコンパニオンは単発の勤務が多く、高時給でも安定して稼げるとは言い難いかもしれません。
何よりも若年層でないと働けない職種ばかりです。厚生労働省の定めにより募集時の年齢制限はできませんが、実際は若年層が採用されます。
つまり、ある程度の年齢に達すると辞めざるを得なくなりますから、そのときにある程度の貯金が無いと生活に行き詰ってしまうでしょう。一人暮らしをしているならなおさらです。
よくよく考えれば正社員の方が効率的?

フリーターで高収入を目指すのであれば、正社員と同じくらい働かなければいけません。それでも年収では正社員に追いつけないのが実状です。
年収に重点を置くのであれば、フリーターよりも正社員になったほうが効率的でしょう。
正社員の年収は増え続ける
先述のとおり、フリーターの年収は30代前半でピークを迎えますが、正社員であれば50代前半まで増え続けます。20代のうちに正社員になれば一人暮らしも簡単です。
正社員の給料がフリーターよりも高いのは、昇給制度やボーナスがあるからです。資格や役職によって手当も支給されます。
月給制ですから毎月の給料が一定で、休みの日数には左右されません。フリーターと違って社会保険料や税金などは必ず控除されますが、社会保険料は「労使折半」といって会社側が半分ほど負担してくれます。
年収以外にも福利厚生が充実
他にも正社員は福利厚生が充実しています。長期休暇を取っても会社が定めた範囲なら給料には影響しません。
会社によっては病気やケガで休業したときも、社会保険の休業補償以外に見舞金が支給されます。さらに一定の年数を勤務すれば退職金が出るので、老後も安心です。
また正社員は「無期契約」であり、雇用に期間が定められていません。自ら退職しない限り、定年まで働けます。
一方、フリーターは6ヶ月や1年など期間を定めて契約する「有期契約」が基本です。会社側の都合により更新されないリスクがあります。
正社員にもリストラはありますが、フリーターに比べると確率は低いでしょう。
20代の内に正社員になっておく
正社員になるなら20代のうちが理想です。それだけ昇給の機会にも恵まれますし、会社側も20代の人材を必要としています。
逆に30歳を過ぎてから正社員になるのは難しく、職種も限られてしまうでしょう。
一人で正社員を目指そうとすると、就職活動のノウハウが無いために失敗しがちです。次第に追い詰められて、誰でも採用してくれる会社に飛びついてしまうでしょう。
そのようなところは社員の入れ替わりが激しく、結局は長続きしません。
就職支援サービスで賢く就職活動を進める
そこで就職支援サービスを利用すれば、専任のアドバイザーが履歴書の書き方から面接対策、条件の交渉、入社後までサポートしてくれます。報酬は会社側からもらうので本人の負担はありません。
私たちジェイックでも、20代のフリーターを対象にした就職支援を行っております。
すべてが正社員の求人であり、書類選考無しで幹部クラスと面接できるのが強みです。もちろん採用に至るまでは専任のアドバイザーがフルサポート致します。
就職成功率は80%以上であり、厚生労働省委託事業から『職業紹介優良事業者』の認定を受けております。安心してご利用いただけるでしょう。
フリーターの年収は生活できるギリギリ

フリーターの年収は30代前半でピークを迎え、最大でも200万円をかろうじて超える程度です。控除されると一人暮らしにはギリギリの生活費しかありません。
万が一、病気で働けなくなってしまうと、生活が行き詰ってしまいます。雇用も保証されているわけではありません。
年収を増やしたいのであれば、正社員のほうが効率的です。20代のうちなら採用してくれる会社が数多くありますし、昇給のメリットを最大限に受けられるでしょう。余裕のある一人暮らしができるようになります。