エントリーシートの書き方は意外と正しくは知らない方が多いものです。
就職・転職活動を行う際は多くの場合、まず突破しなければならない関門として書類選考が設けられています。書類選考では自分が直接採用担当官と話す事が出来ないので、履歴書やエントリーシートのクオリティが合否のカギを握っていると言えるでしょう。
今回は就活に慣れていない人やエントリーシートを書いた事がない人に向けて、エントリーの各項目の内容・意味、書き方についての基礎的な知識をご紹介します。
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エントリーシートの書き方の対策を紹介
エントリーシートの項目には決められたものがなく、企業によって記入を求める内容は様々となっています。
しかし、一般的には「生年月日や住所などの個人情報」「学歴・職歴」「志望動機」「趣味・学生時代に頑張ったこと」「長所や短所などの自己紹介・自己PR関連」などの項目が設けられているケースが多いです。
記入が求められる事の多い項目に関しては書き方の注意点・ポイントを押さえておくようにしましょう。
また、エントリーシートのフォーマットについては罫線で枠が出来ているものが多いですが、場合によっては完全に白紙で書式自由になっている事もあります。
項目1:基本的な個人情報
エントリーシートは履歴書と併せて提出を求められる場合があります。
エントリーシートも履歴書も共に住所や氏名などの基本的な個人情報を記入しますが、双方の間で相違がないように正しく記入しているかよく確認しておきましょう。
顔写真を貼付する場合には証明写真の裏にフルネームを書いてから貼り付けると、万が一剥がれ落ちた際にも安心です。
氏名記入欄の上に「ふりがな」とある場合にはひらがなで、「フリガナ」とある場合にはカタカナで読み方を書きます。
年号を記入する際には和暦か西暦かどちらかに統一するようにしましょう。日付の記入欄には提出日かその前日の日付を書きます。
住所は省略せずに都道府県から記入し、マンション・建物名と部屋番号まで書ききるのが原則です。
電話番号は日中に連絡のとりやすいものを記入します。自宅に固定電話を設置していない場合には携帯電話の番号だけでも問題ありません。
メールアドレスにはアルファベットや数字が用いられていますが、「1」と「l(小文字のエル)」、「0」と「o(小文字のオー)」など形が似ているものは区別しやすいように記入しましょう。
項目2:学歴や職歴などの経歴
学校名や会社名は省略しないで正式名称を記入します。
例えば高校は「高等学校」と記入し、前職が株式会社の場合は「(株)」という書き方を使用しないようにしましょう。
職歴がある場合には部課・役職名まで記入します。ここでいう職歴とは「正社員として勤務した経歴」の事です。
アルバイトは職歴に含まないので職歴欄に書いてはいけません。アルバイト歴は専用の記入欄が設けられている場合にのみ記入するようにしましょう。
学歴は中学校入学以降を記入するのが一般的で、入学年月・卒業年月を別々の段落に記載します。
現役学生で就職活動している場合は、卒業予定の年月に「卒業見込」を書いておきましょう。
項目3:入社の志望理由や希望業務
企業への入社の志望理由は必ずといっていいほど聞かれます。
エントリーシートで聞かれなくても、面接など企業での選考が進むと必ず聞かれると思うので対策しておきましょう。
志望理由・動機が書けない就活生は以下の記事を参考にしてみてください
志望理由・希望業務を書く前に
エントリーシートに記入する志望理由や希望業務といった項目は、企業側が「応募者が入社後意欲的に働いて活躍してくれる人材かどうか」を判断する重要なポイントです。
採用担当官へしっかり自分をアピールするためには、この欄を書き出す前に「自己分析」と「企業研究」の2つを行っておく事が重要と言えるでしょう。
自己分析とは自分の経験を振り返って長所・短所を洗いだす事、企業研究は応募先企業の理念や事業内容について詳しく調べる事を指します。
この2つの結果を加味して志望理由を書くと、説得力が高く納得のいくものが出来上がるのです。
記入の際のポイント
志望理由・希望業務は漠然とした文章で書くと説得力に欠け、採用担当官へ熱意を伝える事が出来ません。
記入する際には具体的なエピソードや実績を織り交ぜて、仕事に対する熱意や目標に結びつける事が重要です。
自分が応募先企業の業務・職種に興味を持ったきっかけから今までの取り組みを整理しておきましょう。
仕事への熱意だけではなく「希望する業務への適性」をアピールする事を忘れてはいけません。
自分のスキルがどのようにして仕事に活きるのか、具体的な例を挙げて伝えましょう。
また、同業他社が存在する中で何故自分が応募先企業を選んだのかという点では、前述の企業研究が特に活きてきます。
自分がその企業のどこに魅力を感じているのか、慎重に考えて説得力のある内容を記入しましょう。
項目4:趣味や得意学科など自己紹介に関すること
趣味・得意学科など自己紹介に繋がる項目では、自己分析で得た情報が役に立ちます。
逆に言えば、自己分析がしっかり出来ていないと自分をアピールするための項目を魅力的に仕上げる事は出来ません。
エントリーシート作成の準備として、入念な自己分析は欠かす事の出来ないステップであると認識しておきましょう。
自分だけの強みやリーダーシップを発揮した経験談を具体的なエピソードとして盛り込むのが効果的です。
また、長所だけでなく短所も、成功談だけでなく失敗談も自分の経験から洗いだして自己紹介に繋がるポイントがないか探しておきましょう。
短所は克服するために工夫している事、失敗談はそこから学んだ事を併せて記入する事で自分の「問題解決能力」をアピールする事が可能です。
「学生時代に力を入れていた事」は就活業界で「ガクチカ」などと呼ばれており、多くの企業が応募者の素質を見極めるために重要視しているポイントです。
そのため、趣味・得意学科とは別にガクチカだけのエピソードをまとめておく必要もあります。
企業によっては時事問題についての考察を求めてくる場合もあるので、就職・転職活動中は特に新聞やニュースに目を通しておきましょう。
ガクチカについて困っている就活生がいれば以下の記事を参考にしてみてください。
項目5:企業に対してのアプローチとなる自己PR
自己PRは企業に対して「自分」という商品をセールスするようなものであり、個性を主張して他の応募者との差別化を図る事の出来る重要ポイントです。
企業は自己PRを参照する事によって、応募者が自社にどのようなメリットをもたらしてくれる人材であるのかを見極めます。
したがって自己PRを書く上でも、自己分析で洗いだした情報と企業研究がカギを握るでしょう。
自己分析と企業研究の結果をすり合わせていけば、応募先企業に対してアピールすべきポイントが見えてくるハズです。
自己PRは応募者が自分の長所や持っているスキルをただアピールすれば良いという訳ではありません。
企業が求めている人材像に合わせて自分をアピールする事が採用面接においての自己PRになります。
なので、自己PRという項目は応募先の企業によって記入する内容が異なるという点に留意しておきましょう。
使い回しはせず、企業ごとに自分のセールスポイントを変えてアピールする事が重要です。
自己PRはエントリーシートの重要項目として対策を公開しているサイトや就職支援機関も多いです。
そのため数多くの例文を目にする事がありますが、こうしたテンプレートを少し改変しただけでは本番ですぐにボロが出てしまいます。
文章構成などは参考にして構いませんが、自分自身の言葉に書き換えて自分らしさが伝わる内容にするよう心がけましょう。
他者との差別化を図るための自己PRでは書きたい事も多く、うまく文章をまとめられずに悩んでしまう人も少なくありません。
そんな時には「PREP法」という文章構成方法を参考にしてみましょう。
PREP法とはPoint・Reason・Example・Pointの頭文字を取ったもので、日本語にすると「結論→理由→具体例→結論」という具合になります。
論理的に文章を構成して相手にアピールするためには、まず最初に一番伝えたい事を持ってくるのが定石です。
その後に理由と具体例で説得力を付けて、再度結論で伝えたい事を念押しするという構成になります。
文章が長くなりがちな自己PRでは特に有効な手法なので参考にしてみてください。
エントリーシートの書き方でのポイント
エントリーシートを書くときにポイントについて紹介します。
企業が見ると言っても、相手は人間です。
就活でもネットでのES提出が増えてはいますが、手書きの時もあると思うので参考にしてみてください。
エントリーシートを書くのに適した筆記用具
エントリーシートで可能な限り自分をアピールするためには、まず読みやすくてキレイな文字で書く事が重要です。
そのためには筆記用具にもこだわっておきましょう。エントリーシートの手書きには黒の油性ボールペンか万年筆がおすすめです。
太さはボールペンであれば0.5ミリ、万年筆ならM(中字)が太すぎず細すぎず記入に適しています。
水性ボールペンは企業側で禁止していない場合も多いですが、万が一水に濡れてしまった場合文字が滲んでしまうので使用は避けましょう。
手軽に文字を書き直せるフリクションを使いたい人も多いかもしれませんが、フリクションのインクは熱に弱く直射日光やコピー機の熱で文字が消えてしまう可能性があります。
公的な書類に使う筆記用具としては不適切なので使用は避けましょう。
エントリーシートの書き方
エントリーシートを読みやすく仕上げるには、道具だけでなく書き方にも注意を払う必要があります。
まずは別の紙に下書きして、誤字脱字の校正や分かりにくい言い回しが無いかチェックしてからエントリーシートに清書するようにしましょう。
間違えてしまった場合は修正液や修正テープを使わず、最初から書き直します。
文字の1つ1つは心を込めて丁寧に、大きさに気をつけながら行間を詰めすぎない事が重要です。
全体のサイズ感にも気を配り、枠から文字がはみ出さないようにしましょう。
接続詞や修飾語の多用は不自然で分かりにくい文章になってしまうので注意が必要です。
※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合
エントリーシートを書く前に~入手方法~
履歴書が市販されているのを見かける事はあっても、エントリーシートをコンビニや大学生協で見たことのある人は居ないでしょう。
それもそのはずで、エントリーシートは市販されているものではなく自分で入手・用意するものなのです。
基本的にエントリーシートは就職活動が始まってから入手するものなので、前もってストックを作っておく事が出来ないので注意しておきましょう。
企業に郵送する場合
エントリーシートには決められた様式がないので、企業ごとに形式が異なります。
所定の形式で提出しなければ書類不備として処理されてしまうので、応募先企業の募集要項をよく確認しておきましょう。
エントリーシートの郵送が求められる場合は、企業のサイトからエントリーシートをダウンロードして印刷するのが一般的です。
自身で直接企業のホームページへアクセスする他にも、就職・転職支援サービスを利用しているのであれば利用先のホームページ経由でダウンロード出来る場合もあります。
印刷時のポイント
手書きのエントリーシートを作成する場合には、印刷に使用する紙の質にもこだわっておきましょう。
提出するエントリー用紙の紙質について企業側から指定される事はありませんが、クオリティの高い用紙で印刷する事で他の応募者のエントリーシートと差別化が図れます。
エントリー用紙を印刷するには上質紙がおすすめです。上質紙は適度な厚みがあり表面の手触りも良く、インクが引っ掛からない滑らかな書き心地でキレイな文字を書きやすくなっています。
また、エントリーシートは原則として誤字・脱字などの書き直しはNGです。
書き損じた場合には最初から書き直す事になるので、予備として1~2枚多く印刷しておくと安心でしょう。
エントリーシートは面接時に採用担当官が参照する場合もあるので、完成したエントリーシートは提出前にコピーを印刷しておくと面接対策に役立ちます。
コンビニでも印刷可能
自前のパソコンは持っていても、プリンターがないという人も少なくないでしょう。
そんな場合はコンビニでのプリントアウトがおすすめです。
コンビニに設置されているマルチコピー機には、スマホの専用アプリやパソコンからインターネット上に登録された画像を印刷出来るサービスが備わっています。
印刷代は1枚20~60円程度なので手軽に利用可能です。
対応している拡張子はコピー機によって異なるので、データを持ち込む前に確認しておきましょう。
一般的にはPDFファイルが幅広いコピー機に対応しており、企業側で用意しているファイルもPDF形式である場合が多いです。
印刷以外の入手方法
エントリーシートの入手方法は企業ホームページからのダウンロードだけではありません。
例えば、企業へエントリーする際に入力した住所宛に後日郵送されるというケースもあります。
寮生活している場合、実家の住所を記載してしまうと手元にエントリーシートが届かないので注意しましょう。
目安としては遅くても1週間程度で郵送されるのが一般的です。また、企業説明会で参加者に直接エントリーシートを配布するという場合もあります。
これは説明会に足を運んでくれる応募者は入社希望度が高いという企業側の判断によるもので、応募総数をある程度絞りたいという場合によくみられるケースです。
エントリーシートを説明会で配布する事を事前に告知する企業もあればしない企業もあるので、希望度の高い企業の説明会には出来るだけ参加しておきましょう。
エントリーシートの注意点
エントリーシートだけでなく、提出する際に気を付けるべき書き方などを紹介します。
就活生はESを完成して、気を緩めてはいけません。
企業へ提出するまでは準備を最後までして自己アピールしていきましょう。
添え状とは?応募書類だけでは不十分?
エントリーシートや履歴書を企業に送付する際には、添え状(送り状・送付状とも言う)という用紙を同封するようにしましょう。
添え状とは内容物を明確に記したもので、ビジネスシーンでの郵送物ではマナーの一環として認知されています。
添え状に記入する内容は「日付」「宛先」「差出人(自分)」「挨拶文」という構成が一般的です。
パソコンで作成する場合でも、自分の氏名だけはキレイな字で直筆しておくと好印象になります。
宛先が企業・組織名の場合は「御中」を、応募先企業の個人名まで記載する場合には御中を付けず個人名の後に「様」を付けます。
挨拶分を記入する際には「拝啓・敬具」をそれぞれ頭語・結語として使用しましょう。
「前略・草々」という頭語・結語は親しい間柄の相手に使うものなので、採用試験の書類に用いるには不適切なので使用しません。
封筒の宛名の書き方ひとつで失礼になることも!
せっかくクオリティの高いエントリーシートが書けたとしても、送付用の封筒に記載する宛名の書き方ひとつで相手に悪い印象を与えてしまう事もあります。
最後まで気を抜かず、丁寧に仕上げる事を意識しましょう。企業側から指定が無い場合は、書類を折らずに送付出来る角2封筒を使用します。
3つ折りで送付する場合は長3封筒を使用しましょう。書類を折らない場合はクリアフォルダーに入れておく事も忘れないでください。
なお、茶色やカラー封筒ではなく白い封筒で中身が透けないものを使用するのがマナーです。
「住所」「会社名」「部署」「役名」など、相手方の情報を記入する際には配置や文字の大きさに十分注意しましょう。
それぞれの行の頭の位置を揃えて書くと整った印象になります。
封筒は縦書きが原則なので書き慣れない人も多いかも知れませんが、不安であれば下書きなのでキレイに書けるように練習しておきましょう。
企業・組織名なら「御中」、個人名まで書く場合は「様」など敬称の使い分けにも注意してください。
「殿」は採用試験で応募者が用いるものではないのでNGです。封筒表面の左下には赤字で「応募書類在中」と記しておきましょう。
返信用封筒を同封する場合は、自分の名前の後に「行」と書いておきます。
封筒を閉じる際には糊づけして丁寧に厳封しましょう。
セロテープは厳禁です。綴じ目の境には「封」「緘」などと書きます。
裏面には差出人である自分の住所と氏名を省略しないで記載します。
準備が整ったら重さを量って、送料に不足分がないように普通切手を貼って送付します。記念切手の使用はNGです。
読む相手の立場になって心を込めて1字ずつ丁寧に書こう!
今回は初心者の人達向けにエントリーシートの書き方や注意点をいくつかピックアップしてご紹介してきました。
どれも重要なポイントですが、再就職の転職希望者であれば知っておきたいマナーばかりと言えます。
これらは新卒の人でも、知らないと他の応募者と同じ土俵に立つ事すら出来ない知識です。
ビジネスマナーを踏まえた上で正しく記入し、応募先企業に自分をアピール出来る内容でエントリーシートを作成・送付しましょう。
※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合
⇓⇓25卒・26卒の方はコチラ⇓⇓
1.ESの書き方は企業の募集要項に沿った内容にしよう
2.ESで誤字・脱字など企業提出前に確認を必ずしよう
3.封筒の書き方など就活生のマナーを企業がみていることも意識しよう