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国民健康保険は無職だと全額免除になる?対処法や支払わないリスクを解説

国民健康保険は無職だと全額免除になる?対処法や支払わないリスクを解説

無職で収入がない場合であっても、国民健康保険料が自動的に全額免除になるような事はありません。

他の社会保険の加入者や被扶養者・生活保護・受給者などの特定の条件に該当しない限り、仕事の有無にかかわらず国民健康保険に加入する義務があります。

この記事では、無職でどうしても国民健康保険が払えないような場合に取れる対処法や、支払わなかったときのリスクについて分かりやすく解説します。

国民健康保険は無職でも全額免除にならない

国民健康保険は、他の健康保険組合に加入していない人が全員加入対象になるような国の保険制度のため、無職で収入がないからといって、自動的に全額免除になるような事はありません。

特に国民健康保険料は前年の所得額によって支払額が決まる仕組みですので、無職になったばかりの人は、高い可能性で国民健康保険の支払いが必須になってくると言えます。

また、国民健康保険料は個人の所得だけでなく、世帯単位の所得を合算して計算される仕組みでもあるため、家族と同居しているような無職だと、親の収入や年金金額によって所定の額の保険料の支払いが発生しますので覚えておきましょう。

国民健康保険料を全額免除にしたい時の対処法

国民健康保険料は、無職であっても通常全額免除されるような事はありませんが、生活保護を受給していれば全額免除になる自治体が一般的です。また、収入が極端に減っているようなケースや、意図せぬ失業をしてしまったようなケースだと、保険料の軽減措置が受けられる場合があります。

保険料が払えないからといって支払いを無視し続けていると、将来的に医療サービスが満足に受けられないようなリスクもありますので、ここから解説する対処法を試し、自分でできる範囲の納付を進めていくことをおすすめします。

生活保護を受給する

国民健康保険料を全額免除にできるケースとして、生活保護の受給が挙げられます。
生活保護は最低限の生活を保障するものであり、医療費も含めて自治体が負担する仕組みですので、医療費の自己負担分に関わる国民健康保険料の支払いが免除されるといった仕組みになっています。

ただし、無職だからといって生活保護も申請が通るというわけではありません。
生活保護を受給するためには、収入や資産だけでなく、物理的に働けない状況にあることや、扶養に入れる親族がいないなど厳しい条件が設けられています。

したがって、国民健康保険料を全額免除したいからという理由だけで生活保護を申請しても、自治体に承認を得られるケースはほとんどないと思っておくようにしてください。

徴収猶予制度を活用する

無職になったばかりで収入や貯金が全くなく、国民健康保険料の支払いが難しい場合は、徴収猶予制度が利用できることがあります。

この制度を活用できれば、保険料の納付を一時的に先延ばししてもらうことができるため、猶予期間中にアルバイトや正社員として働き、後から保険料を納付することが可能になります。

場合によっては、猶予期間中の延滞金が免除されることもありますし、延滞による財産の差し押さえといったリスクを回避することができますので、現在は無職でもすぐに社会復帰をしたいと考えている人にはおすすめの対処法といえます。

徴収猶予制度を利用する際は、自治体に審査し承認をしてもらう必要があるため、国民健康保険料の支払いが困難な場合はすぐに役所に相談することをおすすめします。

自治体ごとに設けられている減免制度を活用する

国民健康保険は各市区町村が管轄していることもあり、各自治体が独自に設定している減免制度が利用できることがあります。

自治体によって条件は異なりますが、例えば所得の減少や失業などの特別な事情を証明できれば、申請によって保険料の一部を減免してもらえる可能性があります。

申請をするために必要になる書類は、所得証明や離職票、医師の診断書等が基本となりますが、役所に相談する際はあらかじめ自分が住んでいる市区町村のホームページを確認しておきましょう。

なお、自治体によって設けられている減免制度の例としては以下のようなものが挙げられます。

  1. 非自発的失業者
  2. 大幅な収入減
  3. 子の出産

それぞれの制度について概要を解説します。

1.非自発的失業者

自分は働く意思があったものの、会社都合の失業や契約社員で契約が不当に後悔されなかったなどの理由で失業してしまった人は、国民健康保険の減免措置を受けられる可能性があります。

例えば、東京都杉並区の場合、社会保険に加入していた人で、解雇や倒産等の理由により失業した人は、前年の給与所得を30%として保険料を計算してもらえる制度があるため、申請をすることで保険料を大幅に減らすことができます。

この制度を利用するためには、離職の理由が倒産・解雇・雇い止めなどに該当する必要がありますので、申請時には離職票の写しや雇用保険受給、資格者証などの提出が求められることが一般的です。

いずれも失業時に会社から受け取れる書類となっていますので、前もって準備しておくことをおすすめします。

2.大幅な収入減

前年よりも著しく収入が減った場合は、自治体ごとに設けられていることのある国民健康保険料の減免制度が利用できることがあります。会社都合に限らず、失業した人や病気や事故にあって働けない状況にある無職の人が該当します。

例えば、東京都渋谷区の場合、世帯の前年の所得の合計額が一定の水準に満たない時には、保険料の均等割額を2割から最大7割まで減免してもらうことが可能です。

渋谷区の場合は世帯全員の収入や所得の状況を合算して審査されますが、自治体によっては条件が異なるためホームページでしっかりと確認しておきましょう。

3.子の出産

出産を理由とした国民健康保険料の減免制度を設けている自治体もあります。自治体によって減免期間は異なりますが、基本的には出産予定日や出産日が属する月を起点として2ヶ月から4ヶ月分の保険料が軽減されるケースが一般的です。

また、多胎児出産やひとり親世帯の場合は減免範囲が広がることもありますので、自治体のホームページを見てみましょう。

届け出は役所の窓口だけでなく、郵送で受け付けているケースもあるため、自分の状況に応じて役所の制度をフル活用する意識を持っておきましょう。

無職が知っておくべき国民健康保険料の仕組み

無職であっても国民健康保険の加入は義務付けられているため、免除や減免を受けられるかといった観点だけでなく、そもそもどういった仕組みで成り立っている制度なのかを理解しておくことが重要です。

国民健康保険は個人単位で加入し、保険料は前年の所得や世帯の構成によって計算されます。保険料は主に所得割・均等割・平等割・資産割の4つの項目によって設けられており、所得が増えれば増えるほど一般的に保険料の支払い金額が増える仕組みになっています。

ここからは、国民健康保険料そのものの仕組みについて詳しく解説していきます。

国民健康保険の加入対象

国民健康保険は、自営業やフリーランス、無職などが加入対象となります。言い換えれば、会社や公務員が加入する健康保険に加入しない人全てが加入対象となるため、健康保険制度そのものに加入しない日本国民はいないことになります。

運営主体は市区町村となっており、加入手続きや減免の相談は居住地の自治体で行う点が特徴です。また、自身が国民健康保険に加入していても家族は被扶養者となることがなく、1人ずつ国民健康保険に加入して保険料を支払わなければならないといった点には注意が必要です。

一世帯あたりの合計所得で支払額が決まる

国民健康保険料は、個人ではなく世帯を単位として、国民健康保険の加入者の人数と前年の所得金額をもとに支払い額が決まるようになっています。例えば親が働いていて自分自身が無職の場合、親の所得が一定水準以上であれば、世帯全体に保険料が課されることになります。

世帯の健康保険の加入状況や所得の水準によっては、自分が無職になったり会社勤めをしたりすることによって、家族が支払う保険料に影響を与える可能性があることを理解しておくことが重要です。

国民健康保険料の決定方法

国民健康保険料は「所得割」「均等割」「平等割」「資産割」の4つの項目によって構成されており、それらの金額の合算によって支払う保険料が決定します。これらを式に表すと、以下の通りとなります。

所得割+均等割+平等割+資産割=1年間の国民健康保険料

なお、国民健康保険料の計算においては、収入ではなく所得がベースとなります。例えば自営業者の場合は、すべての収入から経費と基礎控除額の43万円を差し引いた金額が保険料の算定における所得となります。

4つの項目については、所得によって金額が変動するものだけでなく、世帯の人数によって変動するもの、すべての人に同じ金額が課されるものなど計算式がいずれも異なりますので、詳しく解説していきます。

所得割

所得割は、前年の1月から12月までの1年間の所得額に応じて計算される国民保健健康保険料の一部です。所得割を計算する式としては以下の通りです。

所得割= (前年所得− 43万円) ×所得割率

この時計算の論拠になる所得は、額面収入ではなく経費や基礎控除などを差し引いた金額になる点に注意が必要です。また、所得割は所得額に基づいて計算されることから、所得が高ければ高いほど国民健康保険料は高くなると言えます。

なお、国民健康保険に加入するような人は、会社員と異なり自分で所得を申告する必要があるため、確定申告の金額が所得割の計算において重要になる点を合わせて認識しておきましょう。

均等割

均等割は、国民健康保険に加入する人数一人ひとりに対して均等に計算される保険料です。計算式としては以下の通りです。

均等割=均等割額×加入者数

計算式から分かる通り、所得にかかわらず加入者全員にかかるため、世帯人数が多ければ多いほど合計の保険料が高くなるといった特徴があります。

加えて、例えば無職で収入がなかったとしても加入者人数に含まれることから、国民健康保険の課税対象になる点に注意してください。

平等割

平等割は、世帯ごとに一律で課される基本的な保険料となります。計算式は以下の通りです。

平等割=市区町村ごとに定められる定額

世界の人数や所得に関係なく設定されるものではありますが、自治体によっては平等割を設けていないようなケースもあるため、そもそも平等割額が0円というケースも稀にあります。

資産割

資産割は、土地や建物などの固定資産の価値に応じて課される国民健康保険料の一部です。計算式としては以下の通りになります。

資産割=固定資産税×資産割率

所有している不動産資産が多いほど負担が増える仕組みとなっていますが、昨今では資産割を廃止している自治体が多く見られますので、自分が住んでいる自治体で資産割が適用されるかどうかは、あらかじめホームページで確認しておくと良いでしょう。

無職で国民健康保険料を支払わない時のリスク

無職で収入がないからといって、請求されている国民健康保険料を支払わないままでいると、延滞金が発生するだけでなく、医療費が全額自己負担になったり、自治体から督促状が自宅に届くなど様々なリスクが考えられます。

病気はいつどこで罹ってしまうか分からないため、いざという時に医療費が支払えず、適切な処置をしてもらえないことで命に関わるようなこともあるでしょう。

ここからは、無職で国民健康保険料を支払わないときのリスクについて詳しく解説します。

延滞金の支払いも必要になる

国民健康保険料の支払いを納付期限までに行わないと、原則として延滞金が発生します。延滞金は支払いが遅れた日数に応じて加算される計算方法のため、支払いが遅れるほど最終的な負担金額は大きくなっていきます。

延滞金自体は、支払いが遅れたことに対するペナルティーの役割を担うため、延滞金を支払ったからといって、受けられる医療サービスの質が変わる事はありません。純粋に家計を圧迫するだけとなりますので、出来る限り納付期限までに保険料を支払う意識が大切になってきます。

一時的に全額負担を求められることがある

保険料を滞納してしまうと、発行されている保険証が使えなくなってしまうこともあります。
保険証が使えなくなるということは、通常3割の自己負担で済む医療費が全額自己負担になってしまうため、軽い風邪や怪我でも診察に10,000円程度かかるようなことも出てきます。

後日申請により7割分が戻ってくるケースもありますが、無職で収入がない人にとって、医療費の自己負担は大きな家計影響をもたらしかねません。最悪の場合、適切な医療サービスを受けることができずに身体に大きな悪影響をもたらすといったリスクも考えられます。

命に関わるような事態にも繋がりかねませんので、国民健康保険料が払えないとなった場合は、出来る限り早く役所に相談することをおすすめします。

自治体から督促状が自宅に届く

国民健康保険料を滞納し続けていると、自治体から督促状が自宅に届き、家族と家庭内トラブルに発展してしまうリスクが考えられます。さらに、督促状も無視していると財産が差し押さえられるリスクにも発展するため、日々の生活が一気に困難になることもあるでしょう。

無職で保険料の支払いが困難であったとしても、放置することなく役所や家族に相談することで、保険料の支払いを乗り切れるよう意識してください。

よくある質問

最後に、国民健康保険料に関して無職によくある質問を2つ取り上げて解説します。

国民健康保険は無職でも全額負担ですか?

無職であっても、前年に一定の所得があった場合や、世帯の収入状況に応じて国民健康保険料の支払い義務が発生します。例えば無職になったばかりの人で、前年にアルバイトや一時的な収入があった場合は、所得金額次第で保険料の支払い義務が発生します。

生活保護の受給者や自治体の減免制度に該当する場合は全額負担にならないこともありますが、単に無職だからといって自動的に全額免除や軽減措置がされるというわけではないため、少しでも支払いに不安を感じたら自治体に相談することがおすすめです。

国民健康保険の3割負担は年収いくらからですか?

国民健康保険に加入している場合、現役世代は原則として年収にかかわらず自己負担額が3割に設定されています。ただし、後期高齢者医療制度の対象になる年齢になると、所得によって1割負担から3割負担までが適用されるようになります。

後期高齢者医療制度における具体的な負担割合は、自治体から交付される保険証を確認してチェックすることをおすすめします。

まとめ

無職であっても国民健康保険料が全額免除される事は基本的にありませんので、もし支払いが難しいと感じた場合は、納付期限が来る前にすぐに役所に相談しましょう。

もし保険料を支払わないままでいると、医療費が全額自己負担になって適切な医療サービスを受けられず、身体を壊し続けてしまう原因に繋がります。

また、国民健康保険料の支払いが難しいという課題を根本的に解決するためには、正社員就職を目指すことがおすすめです。無職から正社員になる自信がない場合は、無職の正社員就職支援に強いジェイックまでご相談ください。

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ABOUT US
池本 駿
株式会社ジェイックマーケティング開発部。2016年慶応義塾大学経済学部卒業。2018年慶應義塾大学大学院経済学研究科修了(修士課程)。2019年慶應義塾大学大学院理工学研究科修了(修士課程)。同大学経済学部附属経済研究所「こどもの機会均等研究センター」協力研究者。元・三菱経済研究所研究員。経済産業大臣登録 中小企業診断士。著書「教育経済学の実証分析: 小中学校の不登校・高校における中途退学の要因分析」