就職活動を進める際にとても重要になる作業が「企業研究」です。
早い段階から、第一志望以外の企業研究をきちんと行えている就活生はあまり多くないため、就活で差がつきやすいポイントとも言われています。
では、どんな方法で、どの程度、企業研究をしたらいいのかと悩んでいる人も多いでしょう。
そこでこの記事では、企業研究を効率的に進める方法や、効果的な企業研究の手順、企業研究をする際の注意点について紹介します。
※2022/12/12~2024/5/31の当社相談参加者へのアンケートで相談に満足された方の割合
この記事の目次
企業研究は、いつから始めるべき?
企業研究を始めるタイミングとしては、業界研究が一通り終わってから始めるのがおすすめです。
理由としては、ある程度自分の興味のある業界を絞ってからでないと、志望業界が変わった際に費やしていた企業研究の時間が丸々無意味なものになってしまうためです。
例えば、自動車業界を希望していた就活生が、就活を進めていくと本当に自分の興味のある業界が全く異なる金融業界だと気付いたとします。そうなってしまうと、元々希望していた業界の企業研究に費やしていた時間が無駄になってしまうこともあるのです。
そのため、自分の興味のある業界がある程度固まってから、企業研究を開始することで効率的に就活を進められます。
企業研究を効率的にするやり方5つ
情報を集める手段はたくさんあります。
やり方1:ネット・印刷物
企業のホームページや就職情報サイトなどのインターネット上の情報は気軽に入手しやすいでしょう。
企業が出しているパンフレットなどの印刷物からも多くの情報を集められます。
やり方2:説明会
会社説明会に参加するとその企業に関する多くの情報を得られますが、それ以上にそこで働いている人たちと触れ合えるというメリットがあります。
社屋内で開催される説明会では、企業のオフィスの雰囲気を感じ取ることもできます。
数字や美辞麗句とは違う、企業に漂う空気感を知る絶好のチャンスです。
多くの就活生を集めて開かれる合同説明会に参加すると、自分が今まで知らなかった企業について目を開かされることがあります。
目立たないけれども将来性がある企業や業種に気づいて、就活の方向が変わるかもしれません。また、ほかの就活生の熱心な様子を見て刺激を受けることもあるでしょう。
やり方3:インターンシップ
実際に働いてみると企業のありのままの姿を見ることができます。インターンシップができる企業なら積極的に参加しましょう。
能力が認められると、ほとんど就活しないまま内定を得るケースもあります。
やり方4:OB、OG訪問
会社説明会では、企業はどうしても都合の良い話ばかりをしてしまいます。
実際にはどうなのだろうと疑問に思う人もいるでしょう。
そのようなときは、OB、OG訪問を行うと、企業の実情について話を聞けます。
同じ大学を出てその企業に就職した人ですから、就活時の体験談を聞くことは参考になります。
やり方5:メディア
企業情報を集めた書籍や雑誌も発売されています。
新聞や経済ニュースなどに企業が取り上げられたときは、必ず目を通すようにしましょう。
企業研究の手順を紹介
就活生は企業研究のやり方を苦手にしていることが多いです。
なぜなら、そもそもやり方を誰も教えてくれないことや、どのやり方が正しいということがないためです。
ここでは、面接でも役に立つ研究のやり方を紹介します。
手順については以下の通りです。
- 自己分析と企業選び
- 企業の情報を調べる
- その企業の状況と将来の展望を調べる
- その業界ごとに比較する
- 企業の強みや特徴を研究する
それぞれ紹介していきます。
企業研究の手順1:自己分析と企業選び
企業研究は、まず、自己分析をすることから始めましょう。
自己分析ができていなければ、せっかくの企業研究の成果を就活に活かせず、研究の意味がなくなるからです。
自己分析でできること
自分の性格・価値観などを知り将来行うべき仕事を絞り込むことができます。
たとえば、人と話すことが好きか、細かなことが気になる性格か、世のため人のために役立つ仕事をしたいかなどの要素を総合して、このような仕事を行えば自分は幸福感を持てるだろうと予想できるのです。
自分の価値観を知ることで仕事に求めるものが明らかになり、企業を探す軸がはっきりとしてきます。そのため、エントリーすべき企業をピックアップする作業が効率的になります。
自己分析の手順
自分はどのような生育歴をもち、どのような学生時代を送ってきたのか書きだしてみましょう。
まず、紙に、中学・高校・大学・大学卒業後と書き込んで表を作り、それぞれの時期で経験したことを思い出しながら書き込みます。
これは、就活に役立てるのが目標ですから、マイナスのできごとをあえて書く必要はありません。
しかし、嫌なできごとでも「このような辛い経験を克服した」という意味を与えられるものであれば記入していきましょう。
書き込んだことのなかで、できるだけ現在に近い時期のできごとをいくつか選び、「具体的に何が起きたか」「このような状態でどう動いたか」「どのような困難があったか」「そこから得た学びは何か」と掘り下げていきます。
友人や家族に話を聞いてみるのもよいでしょう。
他者から自分はどう見えているのかという客観性があると、独りよがりでない分析ができます。さまざまな自己分析サービスの利用も有益です。
これらの一連の作業を進めていけば、最終的に自分の長所や短所、価値観を整理することができます。
また、就活生は自己分析ツールFuture Finderを使って客観的な自分を知るのも一つの手でしょう。
企業研究の手順2:企業の情報を調べる
次に、企業の情報を集めていきます。
基本情報
企業の正式名称、所在地、資本金など、企業のホームページを見れば簡単に手に入る情報からきちんと押さえていきましょう。
さらに、企業理念を確認します。標語のような印象的な文言で企業理念をまとめている企業もあれば、分量の多い文章で書き表している企業もあります。
企業理念は、企業の理想や姿勢が透けて見えるところですからきちんとチェックしておきたい部分です。企業が必要とする人物像もそこから読み取りましょう。
事業内容
事業内容は、できる限り詳細に調べましょう。
主たる事業は何で、売り上げに占める割合はどの程度か、また、そのほかの分野の事業を行っているのかなど、調べることはたくさんあります。
誰に向かってどのような商品やサービスを提供しているかということも大切なポイントです。
一般の消費者に対して事業を行っているBtoC企業の場合は比較的企業のイメージをつかみやすいのですが、企業間の取り引きを主軸としているBtoB企業の場合、その事業内容がつかみにくく実感の伴わない情報になりがちだということも理解しておきましょう。
どこに工場や事業所を置いているか、開発や販売の拠点はどこにあるのか、利益を生み出している主力商品は何かなどの情報から、その企業のビジネスモデルを把握することも大切です。
企業研究の手順3:その企業の状況と将来の展望を調べる
就活で内定をもらってもそこでゴールではありません。
実際に長く働く上で将来どのようにその企業が成長していくのかまで調べる必要があります。
企業の現在を調べる
企業研究の要となるのが、現在の業界内における立ち位置を調べることです。
競合している同業他社の情報も集めて比較すると、志望している企業の強みやウイークポイントが見えてきます。
ここが理解できていたら、面接時に志望動機を述べやすくなりますし、企業の事業について質問を受けたときも慌てずに答えられます。
将来の展望を調べる
企業の将来の展望に関しては、企業案内やホームページなどに記載があることが多いでしょう。
もちろん、外部へのアピールのためにいささか楽観的に「盛って」書いてあることも珍しくありません。
ですから、それを鵜呑みにすることはできませんが、企業が今後進もうとしている方向が大まかに見えてきます。
予測して結果と比較する
将来に関しての記述があいまいである場合や、まったく記載していない場合は、売上げや事業収益の年度ごとの推移を見て自分で予測してみましょう。
そして、時間が経過したのちに、自分の予測が現実とどの程度違っていたか、あるいは予測通りであったか、確認してみましょう。
「調べる・予測する・確認する」という作業を繰り返して、経済や企業の動向に敏感な嗅覚を養っておくことは、自分自身の将来のために有益です。
企業研究の手順4:その業界ごとに比較する
企業研究で忘れてならないのが各社を比較するというプロセスです。
自己分析で得た企業選びの軸によって複数の企業を選び出し、違いを探して比較してみましょう。
事業内容だけに止まらず、社風や労働環境なども比較のポイントとして構いません。
新聞や雑誌などのメディアに掲載されている記事やランキング情報も参考にできます。
信頼できる公的な機関が行った調査結果も見落とさないようにしましょう。このようなことを総合すると、企業の強みや改善すべき点などがわかるはずです。
1つの企業の情報だけならば1つの点に過ぎませんが、ほかの企業の情報を集めて点を増やし点と点を繋いでいけば線になります。
もっと多くの点を繋げば面になります。さらに、業種が異なる企業と比較してみると違った視点から眺めることができ、立体的に見ることができるでしょう。
就職したい企業がまだ固まっていない人や、そもそもどの業種がいいかというところで迷っている人は、この各社の比較という作業は特に重要です。
企業研究の手順5:企業の強みや特徴を研究する
企業研究もいよいよ大詰めです。個別の企業の強みや特徴を研究していきます。
他社との比較でわかった企業の強みや弱み、課題をあらためて出してみましょう。
企業が抱えている課題は解決できそうなものでしょうか。企業の将来性についても検討してみます。
企業の将来像は、現在の立ち位置の延長上にあるとは限りません。
技術革新のスピードはどんどん速くなっていきますから、予想もできない変化がおきる可能性も大いにあります。
ニュースで取り上げられていることとも関連づけながら、経済全体を見渡す広い視野を持ち続けることが重要です。
企業研究には、目を近づいてルーペで細かく見るような繊細さと同時に、少し離れて全体を眺めるような大胆さも必要です。
最終的には、企業研究は自分の特性やスキルと結びつけて考えましょう。
自分がこの企業で働くとしたらこのようにして強みを活かし弱みを克服できるかと考えることもよいでしょう。
この企業で自分はこのようなスキル身に付けてどのようなキャリアプランを描けるのかと想像すると自分自身の将来に楽しみを感じるはずです。これらをまとめてノートに書き、ことあるごとに見返すといいでしょう。
※2022/12/12~2024/5/31の当社相談参加者へのアンケートで相談に満足された方の割合
企業研究をする際の注意点
企業研究の際に注意すべきことは、企業研究ばかりに時間を費やして他のことが疎かにならないようにすることが重要です。
就活において、企業研究をすることは非常に重要なのですが、時間を費やすあまり企業情報にやたら詳しいノウハウコレクターになってしまい、目的がずれてしまう就活生は多いです。
企業研究は大切ですが、他の活動と並行して行いバランスよく就職活動を進めていきましょう。
また、企業研究では、企業の良い点ばかりに目がいきがちですが、長所だけでなく短所にも目を向けましょう。どんな企業にも、良いところもあれば自分の価値観とは合わない部分も必ず存在しています。どこが自分には合わないのかという観点も意識して企業研究を行ってみてください。
企業研究を就活生がすべき理由とメリット
企業研究を行う就活生はそこまで多くないと思います。
手順がわからず、そのまま面接に行ってしまうと、後で後悔することになるかもしれません。
ここでは、企業研究のするべき理由と行うことによるメリットを紹介します。
企業研究が就活生が必要な理由
企業研究とは、簡単にいうと企業に関する情報を集めて研究することです。
就活をしている人の多くは、企業の事業内容から始まり、従業員数や売上高、本社や支社の所在地に至るまで詳細に調べるでしょう。
社長や役員、関連企業に関する情報を集める人もいるはずです。
さらに、離職率や福利厚生、年間休日数なども調べ上げて、企業を研究した気になるのではないでしょうか。しかし、実は、これは単なる「情報収集」であって「研究」といえるものではないのです。
本当に必要な企業研究とは
表面的な情報を得るだけでなく、企業の経営理念や事業内容を知り、さらに深く掘り下げて考えることが大切です。
また、業界全体の現状や将来の予測までに広げて調べることも重要です。
つまり、企業についての基礎的な知識を核として、そこから深く広く発展させることが真の企業研究だといえます。
企業研究を就活に役立てる
就活生は、企業研究で得た成果を自分の就活に活かさなければ研究した意味がありません。
経済を研究する学者ではないのですから、常に、自分の就活を意識しつつ企業研究を進めていきましょう。
そのためには、「企業が求める人材とはどのような人物か」「だから、自分はどうすればいいか」と考えていくことが必要です。
企業が求める人材を知れば、自分のスキルをその方向で磨いていけばいいと判断できます。
たとえば、海外事業を発展させようとしているのであれば、外国語の知識や海外体験などがあれば有利だろうと予想できるでしょう。
企業研究をすることで面接対策にもなる
企業研究を行うと、就活においてさまざまなメリットがあります。
自分にあった企業を探しやすくなる
世の中にたくさん存在する企業のなかから自分に合った企業を探し出すために、企業研究は大きな効果を発揮します。
企業理念に共鳴できて、企業が求めている人物像と自分が重なる部分が多い企業を見つければ、そこが自分に合った企業といえるからです。
また、志望動機を書く際にも、企業理念などをからめることでより真実性と具体性が出てきます。
自己アピールしやすくなる
企業が求めている人物像への理解が深まりますから、面接で話す内容も自ずと定まってくるでしょう。
自己アピールも企業の望む人材を意識して話せば的を外さずに済み、面接官に自分の印象を強く残せます。
ミスマッチを防げる
企業研究が不足したまま入社すると、就職後に「こんなはずではなかった」という思いにとらわれることもあります。
しかし、企業研究をきちんとしておけばあらかじめ企業風土を知ることができますから、就職前に抱いていたイメージと実際の企業の姿との乖離に悩まされることが少なくなります。
※2022/12/12~2024/5/31の当社相談参加者へのアンケートで相談に満足された方の割合
企業研究で見ておきたいポイント
企業研究では、具体的にはどのようなポイントを見ておくべきでしょうか。
企業の特徴
企業に関する正確な情報を集めておきましょう。
- 企業の基本情報(設立した年、資本金、本社や支社の所在地など)
- 事業内容(主な商品やサービスの内容)
- 社風(男女比、3年以内の離職率、社員の平均年齢など)
- 労働条件(初任給、福利厚生、年間休日数など)
- 採用情報(採用人数、採用の日程など)
企業に関する情報はHPなどの正しい所から取るようにしましょう。
他社との比較で業界内での位置を確認
同業他社と比較することで、応募したい企業が業界全体から見るとどのような位置にあるのかわかります。
売上高、営業利益などを比較すると事業規模の大小が明らかになり、より正確な企業像が見えてきます。その企業の独自性や強みもわかるでしょう。
取引先や販売先など、関係の深い企業を知ることも重要です。資本提携している企業も調べておきましょう。
これらの情報によって企業同士の力関係を知ることができます。
自分とマッチしているか
企業について理解が深まったところで、あらためて自分が入社したとして自分の個性を活かしながら働けるか、自分とマッチしている企業かと自問してみます。
相性の良い企業であれば就活を進めるモチベーションもアップし、就活の励みにもなるでしょう。
もしも、企業について何らかの疑問が生まれたときは、会社説明会や面接などで質問することができます。
これらの作業は、自分が希望している業界や企業ごとにポイントを絞って確認しておきましょう。
十分な企業研究で就活を有利に進めよう
企業研究を行って企業を深く知ると、有望な企業を見つけて応募できるのはもちろんのことですが、自分と相性の良い企業を探しやすくなるという利点も生まれます。
就職活動を効率的に進め、納得できる結果を得るためには質の高い企業研究が不可欠です。
自分自身の将来のために、この記事を参考にして企業への理解を深めましょう。
※2022/12/12~2024/5/31の当社相談参加者へのアンケートで相談に満足された方の割合
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい
1.企業研究で一番やるべきことは自己分析
2.就活がゴールではない、将来を考えて研究しよう
3.企業研究は就活の軸と一致しているのかどうか
4.就活生は情報の取りどころにこだわろう