商社とは何?総合商社・専門商社の特徴や働くメリットとは?

商社とは何?総合商社・専門商社の特徴や働くメリットとは?

新卒者の就職先として不動の人気を誇っている商社。商社に興味を抱いている就活生も多いのではないでしょうか。とはいえ、予備知識がないまま、勢いで商社の採用試験に挑むのは考えものです。そこで今回の記事では、商社の概要を踏まえたうえで職種や具体的な業務内容、働くメリットや必要なスキルなどについて詳しくご紹介します。

商社とは?

商社とは、主に他企業の製品およびサービスなどを買いたい相手に販売する業務を生業にしている企業を指しています。企業間の需要と供給をマッチングさせる仲介役と言った方がイメージしやすいかもしれません。国内外を問わずあらゆる地域の企業が対象となるため、自社製品に欠かせない素材を海外から輸入したいが貿易のノウハウを持たない国内企業などを支える役割も担っています。

「商品の販売」という共通点からメーカーと混同されがちですが、メーカーが自社製品を作っているのに対して商社は自社製品を作っておらず、あくまで他社の製品やサービスを取り扱っているのが大きな違いです。また、商社を大きく分類すると「総合商社」と「専門商社」の2種類に分けられます。

商社の歴史

日本における商社のルーツは、1865年に坂本龍馬が長崎に設立した「亀山社中」から始まったと言われています。亀山社中はイギリスの貿易商人トーマス・ブレイク・グラバーから長州藩が必要としていた大量の最新式小銃と蒸気船(ユニオン号)一隻を薩摩藩名義で仕入れ、薩摩藩が必要としていた米500俵と引き換えに長州藩へと引き渡しました。商社という名称はまだ一般市民に浸透していませんでしたが、薩長の需要と供給をマッチングさせたうえで商品の仕入れ・運搬・販売までを担っていたのですから、まさに商社の業務と言えるでしょう。

その後、1870年代には岩崎弥太郎が三菱商事の前身となる九十九商会を、1890年代には井上馨らが三井物産の前身となる先収会社を設立し、1955年ごろから「商社」という名称が定着するようになりました。

総合商社の特徴

総合商社とは、特定の分野に限らず幅広い商材を扱う商社を指しています。総合商社が取り扱う商品は実に3万種類を超えるほど豊富だと言われており、ガスや金属といった資源はもちろん自動車をはじめとする機械類やアパレルなど、ジャンルを問わず多岐にわたるのが特徴です。だからこそ、総合商社を言い表す「カップラーメンからロケットまで」というフレーズが多用されているのでしょう。

総合商社は海外でも「Sogo shosha」と呼ばれるほど日本独自の形態とされていますが、国内で総合商社と呼ばれている企業はそう多くはありません。基本的に7社に対してのみ用いられているのが実情で、一般的には「三菱商事」「伊藤忠商事」「丸紅」「三井物産」「住友商事」の5社を五大商社、さらに「豊田通商」と「双日」を加えた7社を七大商社と呼び分けています。

専門商社の特徴

総合商社が広範囲の商品を扱うのに対し、専門商社とは「日用品」をはじめ「化学製品」や「情報と通信」といった特定の分野および業種の商品やサービスを専門的に取り扱う商社を指しています。つまり、どの専門商社に就職するかによって取り扱う商品がガラリと変わってしまうのです。ただし、専門商社だからといって扱う商品が必ずしも1種類とは限りません。中には複数の商品を扱っている専門商社も多いため、就職先として専門商社を選ぶ時はメイン商材だけでなく、二次的な商品も考慮に入れておくべきでしょう。ちなみに、海外では日本的な総合商社より専門商社の方が多いのが特徴です。

商社のビジネスモデル

商社のビジネスモデル1:トレーディング

商社の基本的かつ伝統的なビジネスモデルとして代表的なのが「トレーディング」です。商社におけるトレーディングとは、他企業の商品やサービスを販売して得る手数料によって利益を生み出す仕組みを指しています。言い換えれば、グローバルな物流網をはじめ販路の構築、さらには情報収集力によるマーケット分析といった商社ならではの強みを活かしたビジネスモデルと言えるでしょう。とはいえ、インターネットが普及するにつれて素材の調達から開発、販売までを独自で行うメーカーも増えているようです。そのため、商社を介するからこそ得られる付加価値を提供できるかどうかが重要視されています。

商社のビジネスモデル2:事業投資

さまざまな事業に対し、投資して利益を得る「事業投資」も商社の収入を支えているビジネスモデルの一つです。従来、大半の商社ではトレーディングをメインの事業と位置づけていましたが、メーカー間で直接取引をするケースが増えるにつれて商社の存在意義が薄れてきました。そのため、従来のように売手から調達した商品を買い手に販売する仲介業務だけでなく、原料調達から加工や製造を経て流通販売やアフターサービスまでをトータルで網羅する「バリューチェーンの構築」を強化するための事業投資に力を入れる商社が増えてきたのです。

商社における事業投資には、投資先の企業価値を高める効果も含まれています。だからこそ、資金だけでなく人材やノウハウなども投入しているのです。

商社の職種

商社の職種1:営業

商社における代表的な職種として「営業」が挙げられます。一般的な企業の営業担当であれば特定の顧客が対象となりますが、商社の営業は企業同士をつなぐパイプ役も担っているのです。そのため、相手企業2社とこまめにコミュニケーションをとりつつ双方と足並みを揃えて契約の交渉を進めなければなりません。また、基本的にデスクワークよりも外回りの方が多いのも商社の営業ならではの特徴です。中には、会社に戻らず仕事をする営業スタッフも珍しくありません。

商社の職種2:営業事務・貿易事務

営業担当者のサポート役を担っている「営業事務」も、商社にとっては欠かせない人材と言えるでしょう。デスクワークが多く電話応対や書類整理といった基本的な仕事内容は一般的な営業事務と同じです。ですが、商社における営業事務の場合、取引先が海外の企業であればビジネスレベルの語学力が求められるケースも珍しくありません。また、原料や製品を輸出入するケースが多い商社では、税関を通す通関手続きを行う「貿易事務」も重要な職種です。商社の貿易事務は外国語の読み書きはもちろん通関手続きに必要な幅広い知識が求められるのが特徴で、海外事業が多い商社ほど営業事務と貿易事務を分けて採用する傾向が見られます。

商社の職種3:事業企画

活躍の場が幅広く、商社の花形とも呼ばれているのが「事業企画」という職種です。どのような分野に進出するかを踏まえたうえで取引先の選別を行い、新たな事業を立ち上げるために必要な事業企画を立案します。マーケティングとしての役割を担っているといった方が分かりやすいかもしれません。また、他企業への投資計画を立案する経営支援も事業企画の業務に含まれます。その他、経営問題を解決するために経営計画を立てたり経営戦略を考えたりと、コンサルティング業務を担うケースが多いのも事業企画の特徴です。だからこそ、事業企画の人材には市場を的確に捉える広い視野や将来性を見極める観察力などが求められているのでしょう。

商社で働くメリットとは?

商社で働くメリットは数多くありますが、ここでは代表的な2点についてご説明しましょう。第一に、一般的な企業に比べて商社の方が格段に高い年収が得られるという点です。基本給だけなら通常の企業より多少高いという程度ですが、ボーナスの高さが際立っているうえ大手商社であれば入社1年目でも高額ボーナスが期待できます。しかも福利厚生や営業手当てなども手厚く、中には海外赴任手当てによって給料が国内勤務の2倍になったというケースも少なくありません。事実、平均年収が1000万円を超える有名商社もあるほどです。

第二に、グローバルな舞台で活躍できるというメリットが挙げられます。このメリットこそ国内のみならず海外で働くチャンスが多い商社の特権です。しかも、海外勤務の場合は現地の外国人だけでなく他の国から派遣されてきた競合他社のスタッフと顔を合わせることも珍しくありません。国際的に活躍する同業者との人脈が広がるのですから、大きな魅力と言えるでしょう。

商社で働くにあたって必要なスキルは?

多くの人と接する機会がある商社で働くには、相手に合わせて柔軟に対応できる高いコミュニケーション能力が欠かせません。商社の業務は携わる業種が広範囲にわたるうえビジネスモデルの正解が定まっていないため、担当者のコミュニケーション能力によって仕事内容から成果まで大きく左右されてしまうのです。もちろん、商品の良さをロジカルに分かりやすく説明できるプレゼンテーション能力、取引先を含む全ての担当者をまとめるリーダーシップなども重要視されます。特に企画立案を行う事業企画で働く場合は、上記に加えて斬新な発想力やマーケティングの知識なども必須のスキルと言えるでしょう。

代表的な商社の企業

代表的な商社の企業1:三井物産

旧三井物産は、1876年に三井財閥の支援を受けて創業した歴史ある総合商社です。その後、1945年に行われたGHQによる戦後の財閥解体を経て旧三井物産の業務を引き継ぐ第一物産が設立されました。さらに、1959年には全事業合同を果たして現在の三井物産となっています。日本を代表する五大商社だけあって、日本屈指のビジネス街である東京の丸の内に本社を構えているだけでなく、アジアや北米など世界65カ国に126カ所の海外拠点を置き、グローバルにビジネスを展開しているのも三井物産の特徴です。

三井物産の事業は、「機械・インフラ」「エネルギー」「生活産業」「次世代・機能推進」「化学品」「金属」の6分野に分かれており、連結子会社や持分法適用会社を含めて約460社にものぼる巨大な組織体制を誇っています。

代表的な商社の企業2:三菱商事

日本初の株式会社と言われる三菱商事は、1950年に設立された総合商社です。そのルーツは明治維新にまでさかのぼり、坂本龍馬の海援隊から岩崎弥太郎に受け継がれて誕生した九十九商会が発端だと言われています。三井物産と同様に日本の五大商社に名を連ねており、東京の丸の内に構えた本社を中心に世界90カ国200以上の拠点で活動し、グループ全体の従業員数が約7万2000人にものぼる巨大グローバル企業です。

三菱商事の本体は「生活産業」から「地球環境・インフラ事業」まで事業内容を8つのグループに分割し、広範囲な分野で事業を行っています。地球環境の維持に貢献する「所期奉公」、活動の公開性と透明性を堅持する「処事光明」、全世界的および宇宙的視野に立脚した事業展開を図る「立業貿易」という3つの企業理念を掲げているのも、グローバルにビジネスを展開している三菱商事ならではの特徴でしょう。

代表的な商社の企業3:住友商事

東京の晴海に本社を持つ住友商事は、1919年に設立された総合商社です。業界で住友商事を表現する時「石橋をたたいても渡らない」というフレーズが多用されているのは、他の商社に先駆けて複数のリスク管理手法を取り入れた経緯があるからでしょう。とはいえ、慎重さが商社にとって必ずしもネガティブに作用するとは限りません。確かに他の商社と比べると大きな挑戦を避ける傾向があるものの、むしろ堅実な経営による圧倒的な安定性こそが住友商事の強みです。2018年6月1日時点では国内に22カ所の拠点を、海外には108カ所の拠点を置いています。

代表的な商社の企業4:伊藤忠商事

みずほグループ系列である伊藤忠商事は1949年に設立された総合商社で、古くから商いが盛んだった大阪の梅田に本社を構えています。戦前から多数の紡織会社を傘下に持つ伊藤忠財閥の中核企業として世界最大の繊維商社とも呼ばれていました。そのため、現在でもアパレル系を得意とする総合商社として高く評価されています。また、食料をはじめ生活資材や情報通信、保険や金融など非資源分野全般に強みを拡大しているのも伊藤忠商事の特徴です。世界63カ国に約120カ所の拠点を持ち、得意とする繊維はもちろん幅広い分野でビジネスを展開しています。

代表的な商社の企業5:丸紅

東京の日本橋に本社を持つ丸紅は、1949年に設立された総合商社です。元々、伊藤忠商事の兄弟会社だった丸紅も繊維商社として活躍していました。ですが、現在ではみずほグループの大手総合商社として農業資材を扱うヘレナ事業をはじめエネルギーや金属といったさまざま事業を手掛けており、中でも穀物事業を得意としているのが特徴です。日本におけるコーヒーシェア30%、世界のエチレントレードシェア30%といった輝かしい業績が目を引くのも、世界131カ所に拠点を構えている丸紅ならではの魅力と言えるでしょう。

就職活動では商社も選択肢に入れよう

新規参入のベンチャー企業が勢いを強みにしているのに対し、経験値を積み重ねてきた歴史や幅広い事業展開こそが商社の特徴です。グローバルな舞台で働けるうえ高い年収も期待できるのですから、多くの新卒者が商社に魅力を感じるのも当然かもしれません。確かに競争率が低いとは言えませんが、就職先に迷っているなら商社も選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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