既卒だと正社員になれないのでは。新卒の就活でうまくいかず、既卒になるとより不安になる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、既卒の正社員就職率や、採用されないと感じる理由について紹介していきます。既卒におすすめの業界や仕事、優良企業の見極め方についても解説をしていくので参考にしてみましょう。
既卒から正社員にはなれないって本当?
「既卒」とは、高校・専門学校・短大・大学などを卒業して3年以内で、一度も正社員経験のない人を指す場合が一般的です。
既卒の状態から、正社員として就職することは不可能ではありませんが、新卒と比較すると就職率は大きく劣ってしまいます。
ここでは、既卒から正社員就職に成功した人の割合、正社員就職が難しい既卒者の特徴について解説します。
既卒から正社員への就職率
文部科学省「令和3年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査」によれば、現役大学生の内定率は、2021年10月1日の時点で『71.2%』と公表されています。
一方、既卒者の内定率は、マイナビ「2021年度マイナビ既卒者の就職活動に関する調査」によると、2021年9月後半の段階で『42.4%』です。
つまり、既卒から正社員就職に成功した人の割合は、新卒に比べると6割に満たないということになります。
既卒者が正社員として就職することも可能ですが、新卒時の就職活動よりもしっかりとした準備や既卒特有の対策が必須となります。
第二新卒との違い
「第二新卒」とは、高校・専門学校・短大・大学などを卒業後3年以内に、一度でも正社員経験のある人のことです。
卒業後3年以内であれば就業期間の長短は問われず、たとえば一社目に就職した会社を3か月で辞めても、2年半で辞めても、どちらも第二新卒として扱われます。
既卒と第二新卒はどちらが有利
既卒者と第二新卒のもっとも大きな違いは『就職した経験の有無』です。
また、第二新卒が経験していて既卒者は経験していない事として、以下のような事項があげられます。
- 社会人としての基本的なマナー/ビジネススキルが身に付いている
- 会社組織の一員として働いた経験
- 研修などの教育を受けたことがある(企業による)
第二新卒は一度は企業で働いたことがあり、最低限のビジネスマナーが身に付いている点で一歩リードしていると考える企業もあるでしょう。
ただ、若手人材の長期的なポテンシャル・成長に期待して採用を行う場合、「既卒者」と「第二新卒」の間に圧倒的な差があるとまでは言えません。
企業側から見れば、既卒者は「新卒時の就活がうまくいかなかった(あるいは就活をしなかった)のかな」、第二新卒は「わが社で採用しても、前の会社と同じようにすぐに辞めてしまうのではないか」というように、両者とも一定のマイナス要素がある点は共通しています。
既卒者、第二新卒、どちらにとっても大切なのは『過去の失敗から学び、その経験を成長の糧にしようとしているかどうか』であり、『その姿勢が実際の行動にも現れていること』です。
それは「自分の頭で考え、行動できる人である」ということになります。企業が求めているのは、そういう人材です。しっかりと自己分析をして、面接の場でも臆せず落ち着いて話せるよう、万全の準備をしておきましょう。
既卒で採用されない…-既卒就活の厳しい実態とは-
「既卒者の就職活動は厳しい」という声がよく聞かれますが、本当にそうなのでしょうか。実態を見ていきましょう。
既卒就活が厳しい理由
「既卒者の就活は厳しい…」と言われる理由は、主に3つあげられます。
- 1.先に社会人になった友人への劣等感
- 2.家族との関係も気まずくなりがち
- 3.誰にも相談できず、孤立してしまう
既卒になると、新卒で就職した友人に対して劣等感を抱いてしまうのはやむを得ない事でしょう。社会人になった人と就職していない人とでは話題が合わず、連絡をとったり会う機会が減ってしまう事もあるようです。
また、家族はあなたの将来を心配するでしょうし、あなたも家族に対する申し訳ない気持ちから、家庭内の雰囲気が気まずくなることもあるようです。
さらに、就職支援を行っている機関に相談しづらいと感じる既卒者も多いようです。大学の就職課やキャリアセンターは、在校生が新卒での就職活動の際に利用することをメインに想定されています。誰にも相談できずにいると、有益な就職情報が得られるルートを狭めてしまう恐れもあります。
特に既卒者は、ひとりだけで就職活動を行おうとしない方が、スムーズに良い結果へ繋がります。あとから詳しく説明しますが、ハローワークや転職エージェントなど、無料で活用できる「就職支援サービス」がありますので、ぜひ検討してみてください。
既卒採用で企業が見るポイント
企業が「既卒の人」と「新卒者」、どちらを採用するか判断する場合、新卒の人を優先して採用する傾向にあることはご理解いただけると思います。
なぜなら「新卒者向けの就職活動をせずに(あるいは失敗して)既卒になった人」よりも、「新卒のタイミングに合わせて準備を進め、就職活動を行った人」の方が、入社後の仕事も安心して任せられると考えられるからです。
そのように企業が判断する具体的なポイントとして、以下の3点が挙げられます。
1:自己分析などの事前準備が不足していて、採用してもすぐ辞めると思われてしまう
自己分析や業界・企業分析がしっかりできていない場合、企業側に「この人は自社のメンバーとして、しっかり勤務してくれるかな」と不安視されてしまいます。
採用担当者は、自社に入りたいという熱意がある人を採用したいと考えています。そのため、自己分析や業界・企業分析をしっかり行う必要があります。
2:社会人としての基礎的な能力が身についていない、または素養がない
「社会人基礎力」という言葉を聞いたことがありますか?経済産業省が提唱したもので、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」です。これは、就職した人が入社後の数年間で身に付けていくと想定されています。
引用:社会人基礎力|経済産業省
既卒である期間が長ければ長いほど、この力を体得するタイミングが遅れてしまうため、新卒者と比べて不利になると言えます。そこで、応募書類の書き方や面接時のマナーなどを学び、「社会人基礎力」を短期間で身に付けられる「素地」があると伝えるための準備が大切になります。
3:コミュニケーション能力が不足している
コミュニケーション能力とは、「自分の考えや意見を的確に伝える力」と「相手が自分に伝えたいことを読み取る力」の両方を指します。面接という限られた時間において、コミュニケーション能力の有無は重要視されます。
特に「既卒になった理由」など答えにくい質問をされた時にこそ、しっかりと回答できるコミュニケーション能力が必要となりますが、これを不得意としていたり、準備不足のため応対があやふやになる人が多いようです。
逆を言えば、『答えにくい質問であっても、しっかり答えられる人』はとても目立つので、面接官の心象を良い方向に大きく動かせる可能性があります。
既卒から正社員になれない人の特徴
なかなか正社員就職ができない既卒者の特徴として、以下の項目が考えられます。
- 行動量が少ない
- 自分に自信が持てない
- 大手企業ばかり見ている
- 特定の業界・職種に絞っている
- 履歴書/面接の対策をしていない
既卒者の場合、「応募企業の数が少ない」など行動量が不十分だと、なかなか採用につながりません。また、既卒の経歴を気にしすぎている様子が面接の場で担当者に伝わると、ネガティブな印象を与えてしまい敬遠されがちです。
大手企業ばかりを目指す人もいますが、「専門的な知識や特別なスキルがある」、「海外留学をしていた」、「難関資格を保有している」などの突出したスペックがないと、既卒から大手企業への就職はかなりの難関になるでしょう。
また、業界や職種を絞りすぎることで、就職活動が長引くこともあります。履歴書や面接などの基本的な就活対策ができていない・または不十分であることも、就職が決まりにくくなる要因です。
既卒から正社員就職しやすい職種
既卒の方が正社員として就職しやすい職種を5つ、ご紹介します。
今回は「未経験でもできる仕事」「人手不足で需要が高い」という2つの条件から、職種を選定しました。それぞれの仕事内容や向いてる人の特徴、平均年収を合わせてご紹介します。
1.営業職
doda「平均年収ランキング(年代別・年齢別の年収情報)」によると、営業職(20代)の平均年収は378万円です。
新規開拓営業、ルート営業など営業の種類はいくつかありますが、いずれも製品・サービスの提案・受注、顧客へのフォローやサポート、社内外との調整などが主な仕事内容です。
営業職に向いてる人の特徴としては、以下があります。
- どの業界でも使えるスキルを身につけたい人
- 自分でスケジュールを組むのが得意な人
ほとんどの企業には、営業の部署があります。営業としてキャリアを積んでいけば、将来的に別の業界で営業の仕事がしたいと考えたときでも行動に移しやすくなります。また、営業はクライアントとのアポイントや訪問予定などを自分で決めて組むことも多いため、そういったことが好きな人にも適性があるでしょう。
2.販売職
doda「平均年収ランキング(年代別・年齢別の年収情報)」によれば、販売職(20代)の平均年収は298万円です。
販売するアイテムのジャンルは店舗によって異なりますが、基本的には接客、レジ、清掃、品出し、問い合わせ対応など、店舗運営にまつわる業務が主な仕事内容です。店長やマネージャーになると、売上やシフトなど全体を管理する業務を担当します。
販売職に向いてる人の特徴としては、以下があります。
- 臨機応変な対応ができる人
- 気持ちの切り替えが上手な人
不特定多数のお客さんを相手にするため、その人に合った言葉遣いや接客、ときにマニュアルにない対応などもできる人のほうが、活躍しやすい仕事です。また、笑顔や元気が求められるため、感情のコントロールが上手な人のほうが適性があります。
3.施工管理
求人ボックス給料ナビ「施工管理の仕事の年収・時給・給料情報」によると、施工管理職の平均年収は474万円です。
主に建設現場などにおける工事全般の管理業務を担当し、予算や安全面の管理、スケジュールや予算の管理、提出す書類作成や各種手続きなどが、主な業務内容です。
施工管理職に向いてる人の特徴としては、以下があります。
- 人との調整や計画を立てることが得意な人
- しっかりとスキルを身につけたい人
現場で身体を動かすというよりも、スケジュールを組んだりスタッフがスムーズに業務に取り組めるよう準備したりする仕事となるため、そういったことが得意な人にはおすすめです。また、実務を通じてマネジメント業務を体得できるため、長く使えるスキルを身につけたい人にも適性があります。
4.介護職
求人ボックス給料ナビ「介護福祉士の仕事の年収・時給・給料情報」によれば、介護職の平均年収は305万円です。
高齢者が利用する施設において、利用者の日常生活のサポートや夜間等の見回り、イベントやレクリエーションの企画~運営、利用者家族への対応などが、主な業務内容です。
介護職に向いてる人の特徴としては、以下があります。
- 感謝されることに喜びを感じる人
- 特に需要が高い業界で働きたい人
利用者に喜んでもらえたり、お礼の言葉をかけてもらえたりすることがやりがいになる人にとって、介護職は適職といえます。また、高齢化社会において介護職は常に必要とされている仕事のため、そういった業界で働きたい人にもおすすめです。
5.ITエンジニア
doda「平均年収ランキング(年代別・年齢別の年収情報)」によると、ITエンジニア(20代)の平均年収は372万円です。(※技術系【IT/通信】の平均年収)
ITエンジニアの仕事内容は、情報システムやWebサイト、ソフトウェアなどにおいて、システム設計・開発、テスト、運用などの工程が主な担当です。
ITエンジニアに向いてる人の特徴としては、以下が考えられます。
- 長時間のパソコン作業も可能な人
- 技術や知識を継続的に身につけていきたい人
ITエンジニアの仕事は、どうしてもパソコンと向き合う時間は長くなりがちです。そのため、座り仕事が苦手な人は避けたほうがよいでしょう。また、IT系の仕事は常に新しい技術や知識が出てくるため、定期的に自分自身をアップデートしていける人のほうが適性があります。
まとめ
既卒でも正社員就職を実現させて、活躍している人がたくさんいます。既卒者の就職活動は簡単なことではないものの、現状をネガティブにとらえすぎず、さまざまなサポートも利用しながら、前向きに就職を検討していきましょう。
一方で、既卒者の採用に慎重な企業や担当者は一定数存在するため、適切に自分をアピールして「採用したい」と感じてもらうための準備が、新卒時よりも求められます。自分に適した企業への正社員就職を目指したい既卒の方は、ぜひ一度ジェイックへご相談ください。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい
よくある質問
そもそも既卒者の採用を実施していない、中途採用=経験者のみの採用という企業も一定数あるため、既卒正社員の求人を探すうえでは時間がかかることがあります。ジェイックの「就職相談」にお申込みいただければ、既卒の就職活動の進め方をアドバイスさせていただくことが可能です。
そんなことはありません。既卒→正社員就職を成功させ、社会人として活躍している人はたくさんいます。ただし、通常の就職や転職と比較すると大変にはなるため、就職支援サービスの活用がおすすめです。既卒者の就職実績も豊富な「ジェイック」の就職支援サービスを、ぜひご検討ください。
大手企業の倍率は高いため難易度が高いのは事実です。大手企業の割合は日本の企業の中の0.3%です。99.7%の 中小企業にも優良企業も視野に入れるのも選択の一つとしては持っておきましょう。
介護や営業、販売など、未経験からでもスタートできる人手不足の職種は、既卒から正社員就職がしやすいといえます。既卒からの就職を目指す場合、まずは需要の高い職種に絞って就職活動をするのも効率的な方法です。