
世の中には色々な生活の方法があります。フリーターや無職といった選択も、生き方の1つといえます。生活ができていれば、どのような状態でも構わないと考える人もいるかもしれません。
しかしフリーターや無職の状態は、周囲からの理解が得づらく、社会的な信用もありません。
ときに同じようなものとして扱われることのあるフリーターと無職ですが、本来2つは別のものを意味しています。
以下ではフリーターと無職の定義について説明した後に、無職のデメリットやそこから脱却するための方法を解説します。
この記事の目次
35歳以上の人は違う?フリーターの定義

フリーターは、1980年代中期に登場した「フリーアルバイター」という言葉が元になっています。後に「フリーアルバイター」は略され、フリーターと呼ばれるようになります。
当時の日本において、アルバイトという働き方は、社会に縛られていない自由な生き方と考える風潮がありました。
そのため、自ら「フリーアルバイター」という生き方を選ぶ人も少なくありませんでした。現在ではフリーターの増加や高齢化が社会問題となっており、国や地方自治体はフリーターが正社員として再雇用されるように、さまざまな政策を行っています。
一般的にフリーターは、アルバイトやパートで生活をする人全般を指していますが、内閣府では次のような人をフリーターとして定義付けています。
- 学生や主婦を除く15歳から34歳の「若年者」
- パートやアルバイトと呼ばれる雇用形態を主な仕事としている
- パートやアルバイトで求職する意思を持っている無職の者
この定義によれば、現在無職の者であっても、パートやアルバイトとして働く意思を持っている限り、フリーターに含まれます。
内閣府の定義ではフリーターは15歳から34歳の「若年者」に限られます。では、35歳以上の人や、本業とは別にパートやアルバイトをしている人はどのように呼べばよいのでしょうか。
この場合には「非正規労働者」や「アルバイト」といった呼ばれ方がされ、フリーターとは区別されるので注意が必要です。
フリーターとなった時期によって異なるフリーターの種類

「フリーター」の中にも、「バブル期のフリーター」と「就職氷河期のフリーター」という、異なる成り立ちのフリーターが存在しています。そしてそこには、フリーターとなった時期が大きく関係しています。
バブル期のフリーター
バブル期のフリーターは、バブルの好景気の中、アルバイトの求人が増加し、その上、給与も高く働きようによっては会社員以上の高収入を得ることもできたため、自ら進んでフリーターになったという人々です。
フリーターでの収入だけで生計を立てられる状態であり、また、正社員として就職することも比較的簡単できたのです。
そのため、先の見えない不安定な生き方というよりは、自由で新しい生き方として雑誌で特集が組まれたり、映画になったりと若者を中心にトレンド化していた部分もありました。
しかし、自由奔放で企業に縛られたくないといったバブル期のフリーターの軽薄なネガティブイメージが、現在まで世間に根強く残っている部分が大いにあります。
就職氷河期のフリーター
バブルが崩壊した後、企業は雇用を控えるようになりました。就職氷河期と呼ばれる時代です。就職活動をしても職に就くことができず、本来は正社員としての就職を希望していたものの、やむを得ずフリーターになったという人々です。
最も深刻な時期には、新卒の就職希望者のうち半数近くが職に就けずフリーターにならざるを得ないこともありました。
新卒採用が主流の企業が多数を占め、また、中途採用の求人数も減少していた就職氷河期の中で、一度新卒の時期に非正規雇用で働き始めてしまうと、その後再就職するのが難しく、望まないながらも非正規雇用=フリーターの時期が長期化してしまう傾向があります。
近年、若い世代のフリーターが減少傾向にある一方で、中年世代のフリーターが増加していることもまた、就職氷河期の多くのフリーターが、フリーターのまま高齢化していることを表していると言えるでしょう。
就職氷河期以外にも、正社員就職できなかったフリーターは多い
以上のような時代を反映するこの二種類以外にも、いつの時代にも正社員就職できなかったフリーターは多いです。
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年齢は関係なし!無職の定義

無職とはどのような状態を指しているのでしょうか。無職とは無職業者の略称で、現在定まった仕事をしておらず、かつ学生や主婦でない者を指します。
その定義はフリーターと異なり年齢は関係ありません。また、家事や育児を行っている人は、一般的に無職とはいいません。無職は、社会的にみてあまりイメージのよい状態ではありません。
そのため、無職という言葉を避けるために「家事手伝い」や「フリーター」などと呼ぶ場合もあります。
無職と類似した概念に、ニートというものがあります。
ニートとは「Not in Education, Employment or Training」の頭文字を並べたもの(NEET)で、就学や就労、職業訓練や求職活動を行っていない人を指して使われる言葉です。
内閣府ではニートを「若年無業者」として定義しています。働かず求職活動を行っていない15歳から34歳の「若年者」は「若年無業者」もしくはニートとされています。
フリーター、ニート、無職の3つは、定義において似ている面がある言葉です。
「若年者」の無職者でも働く意思があるのならばフリーターとなり、働く意思思がまったく無い人はニートに分類されます。
また、35歳以上の人で、現在決まった仕事をしていない者は、無職に分けられます。
仕事をしていなくても違う?フリーターと無職の違い

一般的な使われ方では、アルバイトやパートの仕事をしているならばフリーターで、働いていないものが無職として解されています。
しかし、定義の上から比べると、仮に仕事をしていなくともフリーターとなる場合があります。
フリーターは定義上、年齢が15歳から34歳の「若年者」で、在学していない者です。女性であれば以上の条件にくわえて未婚の者が、フリーターです。
無職が無職業を指し、決まった仕事をしていない状態であるのに対して、フリーターはアルバイトやパートといった決まった仕事に従事しています。
また現在求職中の者は広い概念では無職者です。しかし、「若年者」であり、パートやアルバイトの職を探している、学生や主婦で無い者はフリーターと定義され、無職とは区別されます。
なお、類似した語として使われがちなフリーターと無職ですが、フリーターが就労形態の名称であるのに対し、無職は職業区分を指している言葉です。
そのため、フリーターと無職を同義で使うのは間違っているといえます。
無職もフリーターも社会的信用がないのは共通している

会社員などの正社員として働いている状態は、社会的信用がある立場です。
定期的な収入があり、社会に一定のポジションで参加していると見なされるからです。例えば銀行やクレジットカード会社は、その信用に対してお金を融資し、クレジットカードを発行します。
もし、フリーターや無職から社会的信用がある正社員になりたい場合は、フリーターの就職活動のコツをまとめた以下の記事も参考にしてみてください。賢い就活の進め方や、フリーターならではの履歴書・面接対策についても解説しています。
無職は社会的信用がほとんど無い状態です。社会的信用を失うと、信用に基づいた行動の多くが制限されてしまいます。
また、フリーターは定期的な仕事を行っているとはいえ、社会的信用はあまりありません。フリーターはその仕事において、責任が重いものは任されません。
そのため、フリーターとして働いている者は頼りない人間とみなされやすいです。さらに、収入の低さも社会的信用を失う要因となっています。
何よりも、フリーターは安定した仕事とはいえないため、すぐに仕事を辞めてしまうのではないかと思われがちです。
社会的信用は目に見えるものではありません。しかし、生活していく上でとても大切なものです。社会的信用を失ってしまうと、さまざまな成功のチャンスも失います。
日本の就労形態では、無職やフリーターは社会的な信用が得られる状態ではありません。その点では、無職とフリーターは共通しているといえるでしょう。
無職のデメリット1.家族の負担が大きい

仕事を辞めて無職になると、多くの時間が得られるなどのメリットがあります。しかし、メリットにはデメリットが付き物です。
無職となると、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
まず上げられるのが、家族への大きな負担です。
無職となると定期的な収入が失われるため、無収入や貯蓄のない状態であるなら、食費や光熱費といった生活費は、同居人や家族に依存しなければなりません。
家族の負担が大きくなっていくと、今まで通りの円満な関係を望めなくなる可能性があります。
それまで家庭を支えていた人が無職となった場合、家族はお金をあまり使わない生活へと舵を切らざるを得ません。
そのためには、食費などの他に、子どもの教育費や、老後の蓄えなどを削る必要もでてきます。
また、家族は親密であるからこそ、感情的な対立はよくあります。無職となった選択が仮に正しかったとしても、家族の心に、受け入れ難い感情を産みだすかもしれません。
そうならないためにも、無職となる前に、後のライフプランを明確に立てられるだけの事前準備をしておくことが大切です。
無職のデメリット2.経済的に困窮する

上述しましたが、無職となると収入が激減します。そのため、生活にかかるお金を誰かに依存しなければならない事態が発生しやすいです。
お金を誰かに頼る状況は、自分のみならず頼られた相手をも経済的困窮に陥れかねません。
経済的困窮を避けるためにも、無職となる前に、次のような経費を概算しておくようにしましょう。
- 国民年金や国民健康保険などの社会保険料
- 1カ月あたりに必要な生活費
- 求職活動をするにあたって必要な活動費
- 住民税
また、収入がある場合には、それらも計上しておくようにしましょう。
- 失業手当などでの収入
- 無職の間に株式投資などの収入があるか
多くの人は、お金に苦労したときに、無職となったことを失敗したと感じます。そのような心配を持たないためにも、無職となる前に準備をしておくようにしましょう。
親と同居しているのであれば、無職の期間がどれほど続くのか概算し、現状を把握しておくのはとても大切です。
無職の期間が長期に及び、親が高齢化してしまうと、一家揃って経済的に困窮するおそれがあるからです。
最近では無職者の親の高齢化は社会問題として取り沙汰されるようになりました。無職のままで過ごしていると、親の老後の蓄えを食いつぶしてしまう事にもなりかねません。
無職のデメリット3.アルバイトや正社員採用が難しくなる

無職の期間が長引いてしまうと、正社員としての採用の機会だけでなく、アルバイトやパートとしての仕事でも採用されにくくなります。
学生であるならば、働いていない期間が合っても問題はありません。しかし、フリーターや無職だった人が、あまりに長い期間働いていない時期があった場合、面接時に採用担当者は納得ができる理由を求めます。
働いていない期間が長いと、働く気力に欠ける人なのではないかと心配に思うからです。不安を払拭するためにも、働いてきた経歴に長いブランク期間があるならば、その理由を明確に答えられるような準備が大事です。
もしも採用担当者が納得できないなら、採用は難しくなります。
また、無職期間が長いと、人と接する機会が少なくなります。
人と接する機会が少なくなると、見た目やマナーなどに無頓着になりがちです。そのようなだらしなさが身につき、目に見えるようになっていては採用試験には受かりません。
さらに無職期間が長引き、無職者が高齢化してしまうと、より正社員での採用は難しくなります。仮に採用されたとしても上司より年上の部下となりやすいです。
上司よりも年上の部下は、仕事の指示や命令がしづらいため、多くの職場で好まれません。そのため、高齢化が進んでいる無職の人は、ますます採用されにくくなります。
無職はフリーターからはじめてみては?

無職が長引いてしまうと、働いていないブランク期間も伸びてしまいます。そうなると仕事への意欲が疑われるため、より仕事が見つからない状況に陥りかねません。
そこで、現在無職の人は、正社員の仕事を探す前に、アルバイトやパートとして仕事をするのも良い方法です。
無職から直接に正社員採用されるためには、人に誇れるスキルや、企業との高いマッチングが求められます。
しかし、無職状態が長い人が、強力な自己PRとなる適性を持っていることは非常に稀です。よって無職から正社員に直接なるのは、とても難しいと言わざるをえません。
アルバイトやパートでは、責任が大きな仕事はあまり任されません。責任が軽いので、前職からのブランクが長い人や、働いた経験が少ない人でも、フリーターは働きやすいです。
また、進みたい業界やチャレンジしてみたい仕事があるならば、アルバイトをステップにして、狙いの仕事に挑戦してみるのもよいでしょう。
専門的な業界ほど、実際に働いた経験を持っているかを重視します。そのため、アルバイトやパートで職務経験を積んでいると、即戦力として希望した仕事に就ける可能性が高くなります。
アルバイトやパート採用を目指す際に、履歴書の書き方や自己PRで悩んだのなら、転職支援サイトや転職支援エージェントの力を借りてみるのも良いでしょう。
無職の状態では、人と接する機会が少ないため、就職面接ですら緊張して失敗するかもしれません。
転職支援サイトなどの利用によって、事前対策を万端に準備できます。失敗せずに仕事を得るためには、専門家の力を借りるのは非常に効果的です。
無職よりフリーターのほうがメリットが大きい

無職の状態が長く続くと、家族や周囲の人に大きな負担を与えてしまいます。そのため、余程の理由が無い限りは、一刻も早く無職状態から脱却しなければなりません。
アルバイトやパートの仕事であれば、職を得るのは難しくありません。
無職から正社員を目指すためには、1歩ずつ段階を踏むことが大切です。正社員となるまでの間、ステップの1つとしてフリーターとして過ごすのは、無職状態を続けるよりも遥かにメリットが大きいといえます。
無職に比べて、フリーターやアルバイトの状態は、大きな額面でなくとも一定の収入が得られるため、家族や周囲の人に経済的な負担をあまり与えません。
収入があるので、万が一の出費を伴う事態にも対処しやすくなります。無職では貯金などもできないため、独立した生活を営むのもままなりません。
また、職歴に空白がある状態では、正社員として仕事を得るのはとても難しいです。その空白を埋め、自己の強みを発見するために、フリーターとなるのは非常に有意義な選択であるといえます。
フリーターになったら正社員に!生活を安定させよう

フリーターと無職は、同じものとして見なされやすいですが、2つは異なるものです。
無職は、現在決まった職を持っていない状態を指しており、アルバイトやパートで生計を立てている若年者であるフリーターとは同義ではありません。
どちらも生き方の1つですが、フリーターや無職の状態が長く続くと、社会的信用を失っていき、人生のチャンスを無くしかねません。
特に無職は、家族や周囲の人々に大きな負担をかけているケースが少なくありません。それは精神的な負担だけでなく、経済的負担である場合も多いです。
近頃では、無職者が依存している親の高齢化が、社会問題となっています。無職状態が続けば、経済的困窮で親子共倒れとなってしまうかもしれません。
そうならないためにも無職の人は、いち早くその状況から抜けださなければなりません。
しかし、無職者が直接正社員として採用されるのは、非常に高いハードルがあります。無職の人は一度フリーターになって職場経験を積んでみるとよいでしょう。
また、フリーターは、安定的でないとはいえ収入が得られるので、無職であるよりも経済的な困窮に陥りにくいです。
フリーターになった後は、正社員を目指しましょう。フリーターとして経験を積み、正社員に転職ができれば、安定した生活を手に入れやすくなります。
日本では、フリーターや無職の状態が自由の象徴であるとされている時期がありました。しかし、本当に自由であるためには、安定した収入と、社会的な信用の両方が必要です。
それらが足りていない状況では、望みの多くは叶いません。そのためにも、現在無職やフリーターの人は正社員を目指すようにしましょう。