
高等遊民とニートの違いは、学歴や出身家庭、働いていない理由などです。高等遊民とニートはどちらも就職せずに働かない生き方をしていますが、就業しない理由や社会的なイメージなどに大きな違いがあります。
本記事では、高等遊民とニートの違いやメリット・デメリット、高等遊民もしくはニートから抜け出す働き方について解説しています。社会復帰につながる具体的な方法も解説しているので、記事を参考にして、社会復帰の一歩を踏み出してください。
この記事の目次
高等遊民とニートの6つの違い
高等遊民とニートには、大きく以下の6つの違いがあります。
- 意味・定義の違い
- 言葉が使われた時期の違い
- 対象者の年齢による違い
- 学歴による違い
- 出身家庭の違い
- 働いていない理由による違い
それぞれの観点における、両者の違いを解説します。
1.意味・定義の違い
高等遊民とニートは、意味や定義の違いがあります。高等遊民とは、大学などの高等教育を卒業しながらも、経済的に不自由がないため労働に従事することなく、読書など文化的な活動をしている人のことです。(参考:Wikipedia 高等遊民)
一方ニートは「Not in Education, Employment or Training」の略であり、教育や職業訓練を受けずにただ就業していない人を指します。両者は似た意味で用いられることもありますが、働かない目的が異なります。
2.言葉が使われた時期の違い
高等遊民とニートは、言葉が使われた時期による違いもあります。
「高等遊民」という言葉は明治時代から昭和初期、すなわち1900〜1940年頃に日本で多く使われていた言葉です。一方で「ニート」という言葉は1999年にイギリスで生まれた言葉であり、日本でも2003年頃から使われるようになりました。
現在「高等遊民」という言葉はあまり使われておらず、就業していない人を指す言葉としては「ニート」や「無職」と表現することが一般的です。
3.対象者の年齢による違い
高等遊民とニートには、対象者の年齢による違いもあります。高等遊民には、一般的に年齢制限が設けられていません。一方ニートに関しては、15〜34歳で就労をしておらず、家事や教育、職業訓練を受けていない人を指すと定義されています。(参考:内閣府「若年雇用の現状」)
また、35歳以上から44歳未満のニートは中年無業者もしくは中年ニート、45歳以上のニートは高齢ニートと呼ばれる傾向。
関連記事:35歳以上のニートの就職は厳しい?就職成功のポイントも解説
4.学歴による違い
高等遊民とニートは、学歴による違いもあります。高等遊民は主に大学を卒業している人を指す言葉ですが、ニートは中退者や大学へ進学していない人も含みます。
ニートの場合、学校教育の段階でつまずきを経験している人が多い傾向です。
厚生労働省の調査によると、在学中に1ヶ月以上の長期欠席をしたニートの方は高校で16.6%、大学や短大で25.8%もいるとわかりました。(参考:厚生労働省「ニートの状態にある若年者の実態および支援策に関する調査研究報告書(概要)」)
また、全体の37.1%が不登校を経験しているという結果が得られています。
5.出身家庭の違い
出身家庭の違いも、高等遊民とニートでは異なる傾向にあります。
高等遊民は経済的に不自由がないことから、裕福な家庭で育ったと予想できますが、ニートにはさまざまな家庭環境の方がいます。以下にニートの家庭を対象とした経済状況に関する調査結果をまとめました。
| 家庭の経済状況 | 割合 |
|---|---|
| 余裕がある | 3.3% |
| やや余裕がある | 10.8% |
| 普通 | 47.1% |
| やや苦しい | 28.0% |
| 非常に苦しい | 8.9% |
参考:厚生労働省「ニートの状態にある若年者の実態および支援策に関する調査研究報告書(概要)」
ニートの方の場合は高等遊民と違い、普通の経済状況とやや苦しい経済状況が多いとわかります。
6.働いていない理由による違い
高等遊民とニートでは、働いていない理由も異なります。高等遊民はそもそも会社員になって働く必要がないと考えています。働かなくても生活ができるため、読書をしたり研究をしたりと、文化的な活動に時間を費やすのでしょう。
一方でニートの場合は、就労希望の有無に関わらず、さまざまな理由で働いていません。ニートが働いていない主な理由は以下のとおりです。
| 就労希望の有無 | 働いていない理由 |
|---|---|
| 就労希望がある | ・病気やけがのため(29.9%) ・知識や能力に自信がない(12.6%) ・急いで仕事に就く必要がない(7.9%) |
| 就労希望がない | ・病気やけがのため(32.0%) ・学校以外で進学や資格取得などの勉強をしている(8.7%) ・仕事をする自信がない(8.0%) |
参考:労働政策研究・研修機構「資料シリーズNo.217【第3章】」
高等遊民は働く必要がないと思っており、ニートは働きたくても働けない場合も多いとわかります。
高等遊民やニートが今の生活を続ける3つのメリット
高等遊民やニートが今の生活を続けて得られるメリットは以下の3つです。
- 働かない状態でいられる
- 自由に使える時間が多い
- 自分の考えを優先できる
1.働かない状態でいられる
高等遊民やニートが今の生活を続けると、働かない状態を維持でき、以下のメリットが得られます。
- 会社の飲み会に誘われなくてすむ
- 人間関係のストレスが少ない
- 仕事のプレッシャーを受けなくてすむ
- 転勤など、会社都合で住む場所を変えなくてすむ
会社に勤めると自分の時間を取りづらくなるため、時間の余裕ができる点は大きなメリットと言えます。
2.自由に使える時間が多い
自由に使える時間が多い点も、高等遊民やニートが今の生活を続ける際に得られるメリットです。会社に勤めていると時間を拘束されてしまいますが、働いていない状態であれば拘束されずにすみます。
自由な時間が多いと、以下のようなメリットを得られます。
- 趣味に没頭できる
- 自分のペースで生活ができる
- ストレスの少ない生活を送れる
会社に勤めていると、自分のために使える時間が限られます。自由な時間が多ければ、好きな生き方ができるでしょう。
3.自分の考えを優先できる
高等遊民やニートの方は、自分の考えを優先して生活ができます。たとえば、会社に勤めていると周りの評価や反応が気になりやすいでしょう。一方で、高等遊民やニートの場合は一人でいる時間が多いため、自分の考えを優先して生活ができ、周りに流されずにすみます。
ニートの方であれば、落ち着いて休養ができる時間を確保できるメリットもあります。ゆっくり時間を取って自分自身を見つめ直し、内観もできるでしょう。
高等遊民やニートが今の生活を続ける5つのデメリット
高等遊民やニートが今の生活を続けると、メリットだけではなくデメリットもあるので注意が必要です。主なデメリットは以下の5つです。
- 就職しづらくなる
- 収入が不安定になりやすい
- 周りと価値観が合わなくなる場合がある
- 社会に貢献できていないと感じる場合がある
- 世間からの評価が厳しくなりやすい
1.就職しづらくなる
高等遊民やニートを続けると、就職の難易度が上がる傾向にあります。ニートの場合、働いていない期間が長ければ長いほど、以下のように就職できない割合が増えるとわかっています。
| 年数 | 就業できた | 就業できなかった |
|---|---|---|
| 1年以下 | 44.2% | 30.2% |
| 1年超〜3年以下 | 45.1% | 35.2% |
| 3年超〜5年以下 | 50.7% | 31.9% |
| 5年超 | 42.3% | 42.3% |
参考:財務法人 社会経済生産性本部「ニート状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究報告書」
一方で、高等遊民であれば親の会社を引き継ぐことで、就職できる可能性があります。ただし、働いた経験が少ない人が会社を引き継いだ際には、以下のデメリットが生じやすいと理解しておいた方がいいでしょう。
- 現場の理解が浅いため従業員からの信頼を得にくい
- マネジメントがうまくいかない
- 数字の管理ができずに経営が不安定になりやすい
- 経営者としてのプレッシャーに耐えるのが難しい
ニートの方だけでなく、高等遊民であっても働いていない期間が長くなれば就職しづらくなります。
2.収入が不安定になりやすい
収入が不安定になりやすい点も、働かない状態を継続するデメリットの一つです。高等遊民やニートに関係なく、単身世帯で1ヶ月にかかる消費支出の平均は198,324円とされています。(参考:政府統計の総合窓口「家計調査/家計収支編 単身世帯 詳細結果表」)
消費支出とは、食費や家賃、光熱費や医療費など、家庭や個人が生活するために物やサービスに使用するお金を指します。
働いていないと、自分の力で消費支出をまかなうことはできません。現時点で実家暮らしの場合でも、いつまでも今と同じ生活を続けられる保障がないため、収入の不安定さは大きなデメリットとなるでしょう。
3.周りと価値観が合わなくなる場合がある
高等遊民やニートとして働かない生活を送っていると、周りと価値観が合わなくなる場面が出てきます。
年齢を重ねていくにつれて、仕事や結婚、子育てなどのライフイベントの話題が増える可能性もあり、自分の立場や考え方との違いに焦りを感じることも珍しくありません。
現時点では問題がない場合でも、今後価値観のズレに関して悩む可能性はあります。価値観のズレは徐々に積み重なると、大きな不安や不満につながることもあります。
4.社会に貢献できていないと感じる場合がある
高等遊民やニートとして働かない生活をしていると、社会に貢献できていないと感じる場合があります。
社会への貢献は、一般的な欲求の一つです。実際に、ニートの方が「社会や人から感謝される仕事がしたい」と考える割合は、82.5%に達します。(参考:厚生労働省「ニートの状態にある若年者の実態および支援策に関する調査研究報告書(概要)」)
高等遊民の場合「今後に役立つ勉強をしているからあとで挽回すればいい」と考えていても、就業経験や実績がなければ認めてもらえない場合もあるでしょう。後でどうしたらいいか焦らないためにも、早めに就業するのをおすすめします。
5.世間からの評価が厳しくなりやすい
高等遊民やニートとして生活していると、世間からの評価が厳しくなりやすいデメリットがあります。具体的な世間からの評価は以下のとおりです。
| 世間からの評価 | |
|---|---|
| 高等遊民 | ・変わった生き方をしている ・知識はあるけれど社会性はあるのだろうか |
| ニート | ・働く意欲はあるのだろうか ・精神的にあまり強くないのではないか |
周囲の評価を気にしてしまう場合、高等遊民やニートの生活を続けると苦しくなる可能性があるため、療養や就職活動を早めに行うのをおすすめします。
高等遊民から抜け出す4つの働き方
高等遊民から抜け出す方法として、以下の4つの働き方が挙げられます。
- 親の会社に入社する
- 起業する
- フリーランスで働く
- 一般企業に就職する
それぞれの働き方のメリット・デメリットも解説するので、自分に合った働き方を見つけましょう。
1.親の会社に入社する
親が会社をやっている場合であれば、親の会社に入社する方法がおすすめです。高等遊民が親の会社に入社するメリットとデメリットを以下にまとめました。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・就職のハードルが低い ・家族の支えがあるため精神的に安心しやすい ・将来的に会社の経営に携われる可能性がある | ・現場で働く人と考えが合わない場合がある ・親子関係が業務に影響する可能性がある ・成長の機会が少なくなる場合がある |
デメリットはあるものの、親の会社に入社する方法は、一番手っ取り早く状況を変えられます。社会人経験の第一歩として検討してみましょう。
2.起業する
起業することは、高等遊民から抜け出す方法の一つです。起業するメリットとデメリットを以下にまとめました。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・自分の興味や得意分野を活かせる ・仕事にやりがいを感じやすい ・自分のペースで事業を進められる | ・収益が安定しにくい ・経営や営業、資金管理など幅広いスキルが求められる ・一定の準備や覚悟が必要である |
起業が成功すれば、自立とやりがいの両方を手に入れられます。一方で失敗すると、経済的な負担が大きくなるリスクもあるため、事前準備や十分な市場調査、計画を立てておくことが重要です。
3.フリーランスで働く
フリーランスで働く方法も、高等遊民から抜け出す方法の一つです。フリーランスとは、企業などに所属せず、自分のスキルや知識を活かして個人で仕事を請け負う働き方です。フリーランスになると、以下のメリットとデメリットを得られます。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・自分のペースで事業を進められる ・働く時間と場所に縛られない ・得意を仕事にできる | ・収益が安定しにくい ・仕事の受注や報酬の交渉などを自分で行う必要がある ・自分が働かないと収入が得られない |
フリーランスは自分の好きなことや得意を仕事にできる一方で、収入を安定させるには継続した努力と行動が求められる働き方です。
4.一般企業に就職する
一般企業への就職は、高等遊民から抜け出すための一般的な方法です。一般企業に就職するメリットとデメリットを以下にまとめました。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・収入が安定する ・社会的信用が得られる ・社会とのつながりを得られる | ・人間関係の問題が生じる可能性がある ・業務のプレッシャーに適応するのが難しい ・ブランクがあったりや就労経験が少なかったりすると選考に通りづらい |
まずはアルバイトや派遣社員で働き始め、徐々に会社員に慣れていくのも一つの選択肢と言えます。
ニートから抜け出す3つの働き方
ニートから抜け出すための働き方を、以下で3つ解説します。
- 正社員になる
- アルバイトを始める
- スキルを習得して在宅で働く
それぞれのメリットとデメリットを把握し、自分に合った働き方を選びましょう。
1.正社員になる
正社員を目指すことは、ニートから抜け出すための一般的な方法です。正社員になるメリットとデメリットは以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・収入が安定する ・社会的信用が得られる ・長期的にキャリアを積める | ・ブランクや職歴の少なさが就職活動に影響を及ぼしやすい ・フルタイムで働く必要がある |
正社員を目指す場合は、ハローワークや就職支援サービスを活用すると、内定率を高められます。まずは未経験歓迎の求人を中心に探し、自分に合った働き方を見つけましょう。
2.アルバイトを始める
ニートから抜け出すには、アルバイトを始めることもおすすめです。アルバイトで働くメリットとデメリットは以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・短時間や週数日から働ける ・選考のハードルが低い ・アルバイト先から正社員になれる場合もある | ・収入や待遇が安定しにくい ・キャリアアップにつながりにくい |
将来的なキャリアアップにはつながりにくいですが、社会復帰の第一歩としては効果的な働き方です。いきなり長時間働くのが難しい場合は、少ない出勤日数からスタートするのもおすすめです。
3.スキルを習得して在宅で働く
スキルを習得して在宅で働く方法は、ニートから抜け出す方法の一つです。プログラミングやデザインなどを学ぶと、通勤せずに在宅で仕事ができます。スキルを習得して在宅で働くメリットとデメリットは以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・自分のペースで働ける ・自分の好きや得意を活かせる ・実績次第で収入を伸ばせる | ・スキルの習得には時間と労力がかかる ・すぐ収入につながらない場合がある ・仕事のスケジュール管理が必要である |
継続的に仕事を得るには、自身の努力が不可欠です。スケジュール管理をしっかりと行えば、在宅での仕事をスムーズに進められるでしょう。
まとめ
高等遊民とニートはどちらも働いていないという点で似ていますが、言葉の定義や働いていない理由など、さまざまな違いがあります。
高等遊民やニートとして生活を続けていると、自分の時間を作れたり、自分の考えを優先したりしながら生活できます。一方で、就職のしづらさや社会に貢献できていないことへの不安を感じやすくなるため、なるべく早めに働いた方が精神的な負担を減らせるでしょう。
高等遊民やニートを抜け出すためには、正社員就業やスキルを身につけてフリーランスで働くのをおすすめします。自分に合った方法を選び、社会復帰を目指しましょう。








































