
高卒就職では社会経験を早く積めるなどのメリットがある一方、初任給や生涯年収が低くなりやすく、キャリアの選択肢が限られる現実があります。
また、大卒以上が条件の求人も多いため「やっぱり大学に行っておけばよかった」と後悔するかもしれません。
本記事では、高卒就職の現実が難しい理由やメリット、高卒で就職しやすい業界や業種などについて解説しています。
自分の進路や現実を見つめ直すきっかけになるため、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の目次
高卒就職の現実は厳しい?6つの理由を解説
高卒就職は早く稼げるなどのメリットがある一方で、厳しい現実も存在します。
主な6つの理由をそれぞれ解説します。
- 高卒の就職率は56.3%
- 複数の企業に応募できない場合があるから
- 「大卒以上」の求人があるから
- 高卒の初任給や生涯賃金は大卒より安いから
- 昇格に影響する可能性があるから
- 高卒就職で3年以内に辞めるのは10人のうち約4人
1. 高卒の就職率は56.3%
厚生労働省の調査によると、高校を卒業して正社員になった割合は56.3%です。
以下の表で、大学卒業後に正社員になった場合と比較しました。
| 就職のタイミング | 正社員 | 正社員以外の労働者 |
|---|---|---|
| 高卒就職 | 56.3% | 43.2% |
| 大卒就職 | 80.9% | 19.1% |
高卒就職と大卒就職とで大きな差があることから、高校を卒業した後に非正規雇用で働く人も多いことが分かります。
高校を卒業した後、自由な働き方や他の活動と両立しながらフリーターになる人もいれば、正社員になれずに契約社員や派遣社員、アルバイトとして働き続ける人もおり、将来のキャリア形成や収入面でも不利になる傾向があります。
一方、大卒は高卒よりも求人の選択肢が広く、待遇や昇進のチャンスも優遇されているのが一般的です。このように、高卒と大卒ではスタートラインから大きな差があるのが現実です。
参考:厚生労働省 平成30年若年者雇用実態調査の概況 個人調査 1.現在の就業状況
参考:表13 性、年齢階級・在学の有無・最終学歴、雇用・就業形態別若年労働者割合
2. 複数の企業に応募できない場合があるから
高校生が就職活動をする際は「一人一社制」という独自のルールがあります。学業に支障が出ないよう、応募できる企業が基本的に1社に限られている制度です。
「推薦応募」として公平性を重視するために設けられたものですが、選考に失敗すると就職活動が大きく遅れてしまうというリスクがあります。
そのため、複数社へ同時にエントリーできる大卒とは異なり、高卒は選択肢が狭く失敗が許されにくいのが現実です。
高校生の就職活動では、学校が手厚くサポートしてくれるのが利点です。しかし、選択肢の少なさと制度によって、希望する企業を複数社選べないのは大きなデメリットといえるでしょう。
3. 「大卒以上」の求人があるから
企業の採用ページや求人票には「応募資格:大卒以上」と記載されているケースが多くあります。これは学歴による線引きではなく、応募者のスキルを見込んで設定されている場合が多いため「高卒ではそもそも門前払い」となる職種が存在します。
特に総合職や企画部門、管理職候補などは大卒以上が必須とされるケースが多く、高卒は製造や販売、接客などの現場の業務になることが多いです。
高卒就職の現実として、希望する職種への挑戦ができないのは大きな壁に感じるでしょう。
また、将来的にキャリアチェンジを望む場合でも、スタート地点の差が長期的な格差につながる可能性もあります。
4. 高卒の初任給や生涯賃金は大卒より安いから
高卒就職と大卒就職を比較すると、収入面での格差があります。厚生労働省によると、高卒就職と大卒就職の賃金は次のとおりです。
| 高卒(男女計) | 大卒(男女計) | 高卒-大卒 |
|---|---|---|
| 197,500円 | 248,300円 | ▲50,800円 |
参考:厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況
参考:新規学卒者の学歴別にみた賃金
高卒は早くから社会に出て収入を得られるため、若いうちは「早く稼げるからうらやましい」と感じるかもしれません。
しかし、高卒就職の初任給の水準は大卒に比べて低く、昇給ペースや賞与額でも差がつきやすいのが現実です。
さらに生涯賃金で比較すると数千万円の開きが出る場合もあり、将来的な資産形成や生活の安定に大きく影響します。
新卒で就職し、60歳で退職した場合(退職金含まず)の生涯賃金を以下の表で比較しました。
【男性の生涯賃金】
| 高卒男性 | 大卒男性 | 高卒男性-大卒男性 |
|---|---|---|
| 208.8百万円 | 251.5百万円 | ▲42.7百万円 |
【女性の生涯賃金】
| 高卒女性 | 大卒女性 | 高卒女性-大卒女性 |
|---|---|---|
| 154.4百万円 | 201.9百万円 | ▲47.5百万円 |
参考:ユースフル労働統計2024 労働統計加工指標集
参考:図21-1 生涯賃金(定年まで、退職金を含めない)
高卒就職には即戦力としての強みがある一方で、長期的な視点で見ると経済的な不安定さがつきまとうのがデメリットです。
5. 昇格に影響する可能性があるから
高卒で入社した場合、学歴が昇進や昇格に影響する可能性があります。
企業の中には「管理職になれるのは大卒以上」と条件を設けている場合があり、高卒社員がいくら現場で経験を積んでも、一定以上のポジションに昇格できないかもしれません。
また、大卒と同じレベルの業務をしていても、学歴によって評価や待遇が変わるケースも多いのです。
努力や成果が正当に評価されづらい職場にいると、やりがいを感じにくくなるリスクもあります。
もちろん、実力次第でキャリアアップできる企業もありますが、それはごく一部に限られます。
このように、高卒就職の現実として「昇格の壁」に直面することがある点も注意すべきポイントです。
6. 高卒就職で3年以内に辞めるのは10人のうち約4人
厚生労働省の公表によると、高卒就職後3年以内に離職するのは10人のうち約4人(38.4%)でした。大卒との比較は次のとおりです。
【就職後3年以内の離職率】
| 新規高卒就職者 | 新規大卒就職者 | 新規高卒就職者-新規大卒就職者 |
|---|---|---|
| 38.4% | 34.9% | 3.5% |
参考:厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します
新規高卒就職者の離職率が大卒よりもやや上回っている現実が分かります。
考えられる理由は以下のとおりです。
- 仕事内容や職場環境とのミスマッチ
- 職場の人間関係
- 給料や待遇への不満
高卒の場合、大卒よりも社会経験を積む機会が少ないため、理想と現実のギャップに悩んで早期に退職を選ぶ可能性があります。
また、一度退職すると次の就職先を見つけるのが難しくなり、非正規雇用に移行するケースも見られます。
就職先を決める際は自分に向いている仕事や働き方を考え、先生や家族に相談しながら進路を決めると安心して長く働けるでしょう。
高卒就職のメリット
高卒就職は厳しい現実もありますが、多くのメリットもあります。
主なメリットを6つそれぞれ解説します。
- 社会経験を早く積める
- 実践スキルを早く習得できる
- 18歳からフルタイムの収入を得られる
- ライフイベントの選択肢が広がる
- 実力主義の企業では早期昇進のチャンスもある
- 学費の負担が少なくなる
社会経験を早く積める
高卒就職の場合、大学に進学した同級生よりも社会人としてのマナーを早く身につけられます。
報告・連絡・相談の方法や時間管理、上司や先輩との関係づくりなど、ビジネスの基本を学べる機会が早く訪れるため、企業や業種によっては20代前半からリーダー的な存在として活躍できる現実もあります。
また、仕事を通じて多くの人と関われると、社会性やコミュニケーション力を自然と高められるでしょう。
このような強みを活かせば「信頼できる人材」として若いうちから期待されるため、将来のキャリアの幅が広がります。
実践スキルを早く習得できる
仕事を通じて、すぐに使えるスキルが身につくのも高卒就職の強みです。若いうちから社会に出ると、経験を積みながら必要な知識や技術を習得できる環境に身を置けるからです。
例えば、製造業なら機械の操作や品質管理、介護業界なら福祉の知識や身体介助など、職場での実務を経験すると専門知識が習得できます。
座学では得にくい現場の感覚や段取りの力も磨かれ、周囲から信頼される存在へと成長できるでしょう。
スキルを手に入れると転職や独立の選択肢も広がるため、将来の可能性が増える点でも大きなメリットとなります。
18歳からフルタイムの収入を得られる
高校を卒業してすぐに働き始めると、18歳という若さで正社員としての収入を得られます。
毎月安定した給与を受け取れるため、親に頼らずに生活費をまかない、自立した暮らしを築けます。
さらに、若いうちから働くと金銭感覚が自然と養われ、収入の一部を貯金に回したり、将来を見据えて投資を始めたりする人がいるかもしれません。
早いうちからお金の使い方や管理方法を学べるため、将来の家計管理やライフプランの設計にも役立ちます。経済的な自立は精神的な自信にもつながるでしょう。
ライフイベントの選択肢が広がる
大卒と比べて早い段階から安定した収入を得られるため、ライフイベントを前倒しで検討できるのも高卒就職の利点です。
例えば、20代で結婚や出産、マイホームの購入を経験している人も多く、大卒の同世代より一歩早く将来を見据えた行動が取れます。
貯蓄や住宅ローン、保険などを若いうちから計画すると、長期的な視点で人生を歩む準備が整うでしょう。
また、働きながら経験を積むと、自分の適性や興味をより深く理解できるようになり「一度立ち止まって進路を変える」など、次のキャリアを柔軟に考えられるのもポイントです。
早く社会に出たからこそ得られる時間的な余裕が、人生の可能性を広げてくれます。
実力主義の企業では早期昇進のチャンスもある
学歴よりも実績や成果を重視する企業では、高卒でも日々の努力や結果によって、重要なポジションを任される場合があります。
特に中小企業やベンチャー企業では、年齢や経歴に関係なく実力次第で評価されるケースがあり、20代のうちにチームリーダーや管理職として活躍する人が多くいます。
このような環境では、若いうちからマネジメントに関わる機会が得られるため、仕事への責任感や判断力が養われ、同年代と比べても一歩以上先を行く成長が期待できるでしょう。
実務を通じてビジネスの全体像を掴めるようになれば、将来のキャリアパスも広がります。
学費の負担が少なくなる
高卒就職すると大学の入学金や授業料、教科書代、交通費など、まとまった費用を支払う必要がなくなります。
特に私立大学では4年間で数百万円の費用がかかるケースも多く、大きな負担となりがちです。
また、進学のために奨学金や教育ローンを借りる必要がないため、返済に追われる不安もありません。
早いうちから自分の力で生活を築いていきたいと考えている人にとって、高卒就職は将来の選択肢を広げる魅力的な進路といえます。
高卒で就職しやすい主な業界や職種(男女)
高卒就職しやすい業界や職種は現実に多くあります。
男女ともにおすすめの仕事を以下で紹介します。
- 製造業
- 物流・運輸・倉庫
- 建設・設備・電気工事
- 介護
- 小売・飲食・サービス
- 警備
- 清掃
- IT
- 公務員
1. 製造業
製造業は、ものづくりが好きな人や安定した職に就きたい人にとって働きやすい業界です。
自動車や機械、食品、電子部品などさまざまな分野があり、工場での製造ラインや検品、部品の組み立てなどがあります。
多くの企業が未経験者の受け入れ態勢を整えており、入社後に丁寧な研修が行われるため、専門知識がなくても安心です。
製造業は男性の比率が比較的高い業界ですが、近年では軽作業や品質管理の分野で女性の採用が増えています。
また、技能検定やフォークリフトの資格などを取得すれば、手当がついたり昇給につながったりするケースもあるため、長く働きながらスキルアップできるのも魅力です。
2. 物流・運輸・倉庫
ECサイトの普及で物流業界は急速に成長しており、高卒の採用も積極的に行われています。
倉庫での仕分け作業や梱包、ピッキング、トラックへの積み込みなどの作業が多く、特に若手人材が求められているのです。
力仕事が中心と思われがちですが、軽作業やパソコンでの在庫管理業務もあるため、女性も多く活躍しています。
物流企業の多くは常に求人を出しているケースが多く、働く時間帯も日勤、夜勤、交替制など柔軟に選べるため、自分の生活スタイルに合わせやすいのも魅力です。
経験を積めば管理職や配車担当などへのキャリアアップも目指せるでしょう。
3. 建設・設備・電気工事
建設業界では現場での作業員や設備工、電気工事士など、多くの高卒求人があります。
建物を建てる土台から設備や内装工事まで、幅広い工程に人手が必要なため、未経験でも現場で基礎から学びつつ働ける環境が整っています。
電気工事士や配管工になる場合は、特定の資格が必要なケースがあるため、若いうちに手に職をつけたい人にとって非常に有利です。
男性が多い業界ではありますが、近年では女性の建設技術者や設計補助が増加していると言われています。
天候や体力に左右される面はあるものの、自分の仕事が形として残る達成感が大きく、やりがいのある仕事です。
公共工事やインフラ整備に関わる案件も多いため、将来性も高い業界といえるでしょう。
4. 介護
介護業界は深刻な人手不足が続いており、高卒就職がしやすい業界の1つです。
未経験からスタートでき、働きながら実務経験を積んで「介護福祉士」などの国家資格を目指せます。
職場は特別養護老人ホームやデイサービス、グループホームなど多岐にわたります。
人と接することが多く、体力や気配りが必要な仕事ですが「ありがとう」と感謝される機会も多く、やりがいを感じやすいのが特徴です。
女性の比率が高い業界ですが、男性職員も増えており、身体介助を中心とする業務では特に重宝されています。
福祉分野は少子高齢化が進む日本において今後も拡大が見込まれており、安定した雇用が期待できる業界です。
5. 小売・飲食・サービス
高卒の就職先として、身近で求人も多いのが小売・飲食・サービス業です。
販売スタッフやレジ係、調理補助、ホールスタッフ、ホテルのフロント業務など、多岐にわたる職種があり、接客が好きな人や人と話すのが得意な人に向いています。
未経験でもマニュアルや研修が充実しており、安心して始められる点も魅力です。
接客スキルやマネジメント力を磨けば、若いうちに店長やエリアマネージャーなどへ昇進する可能性もあります。
女性の比率が高い業界ですが、特に飲食やホテル業界では男性の採用も活発です。
土日祝の勤務やシフト制が基本であるものの、自分のライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
6. 警備
警備は高卒採用に積極的な業界の1つです。研修制度がしっかりしており、特別な資格がなくても始められます。
施設の警備や交通誘導、イベント警備など仕事内容は幅広く、自分に合った現場を選びやすいのが特徴です。
男性の割合が高い業界ですが、近年では女性警備員の需要も増加しており、ショッピングモールや企業などでの勤務も増えています。
体力や注意力が求められる仕事ですが、黙々と作業する場面も多く、落ち着いて働ける点が魅力です。
法定研修を修了すれば誰でもスタートでき、実務経験を積んで「警備業務検定」などの資格を取得すれば、リーダー職や管理者への道も開けるでしょう。
夜勤やシフト制の勤務もありますが、安定した収入を得られやすく、再就職もしやすい業界です。
7. 清掃
清掃業は年齢や性別にかかわらず高卒者を広く受け入れており、特別な資格や経験がなくても始めやすい仕事の1つです。
オフィスビルや病院、学校、商業施設など、あらゆる場所にニーズがあり、作業内容は清掃箇所によって異なります。
特に女性は、トイレや洗面所の清掃、ホテルの客室清掃など、きめ細かな作業が求められる現場で活躍しています。
1人で黙々と働ける仕事が多く、人と話すのが苦手な人や静かな環境で集中したい人にとって適した仕事です。
また、早朝や夜間などシフトが選べる場合もあるため、自分のライフスタイルに合わせて働けます。
経験を積めば、リーダーや管理者としてのキャリアアップも可能で、長く安定して働ける職種の1つです。
8. IT
IT業界は大卒向けのイメージがありますが、高卒の採用枠を設けている企業も多く存在します。
特にプログラマーやシステム運用、カスタマーサポート、ITヘルプデスクなどの職種では、スキルと意欲が重視される傾向があります。
そのため、高校在学中にIT系の授業で学んでいた人にとってはチャンスといえるでしょう。
入社後もオンライン学習などで知識を深めながらスキルアップできるため、働きながらのキャリアアップも可能です。
IT業界は男女問わず活躍できる業界であり、将来的にはフルリモートやフリーランスとして働く道も広がっています。
9. 公務員
高卒で公務員を目指す道も非常に安定しており、人気の進路です。
国家公務員の一般職や地方公務員(市役所職員、警察事務、消防士など)は、高卒を対象とした採用枠が毎年設けられています。
仕事内容は事務職だけでなく現場対応や施設管理、技術職など多岐にわたります。男女問わず活躍できる職種が多く、福利厚生も手厚いため、長期的に安定して働きたい人におすすめです。
筆記試験の勉強と面接対策が必要ですが、民間企業に比べて景気の影響を受けにくく、給与や制度も安定しています。
結婚や出産など、ライフイベントとの両立を考える人にも選ばれており、親からの支持も高いのが特徴です。
高卒女子におすすめの業界や職種
高卒女子におすすめの職場も多くあります。以下の業界や職種について、それぞれ見ていきましょう。
- 一般事務・営業事務
- 病院・クリニックの受付
- ホテルや旅館のスタッフ
- コールセンター・オペレーター
- アパレル販売員
- 女性専用ジム受付・サポート
1. 一般事務・営業事務
企業の事務職は、落ち着いて働きたい高卒女子に人気のある職種です。
仕事内容は、書類作成やデータ入力、電話・来客対応、備品管理など多くの仕事があります。
営業事務では受発注や見積書の作成などを担当する場合が多いため、チームの一員としてのやりがいも感じられるでしょう。
パソコンの操作やビジネスマナーなど、社会人として基本的なスキルが身につき、長く働きながらステップアップしていける環境です。
土日祝日が休みで残業少なめの求人も多く、ワークライフバランスを重視したい人にも向いています。
未経験からでもスタートしやすく、将来的な転職や再就職にも強い職種です。
2. 病院・クリニックの受付
医療機関の受付は、人とのふれあいが多い仕事です。
主な業務内容は診察の受付や会計処理、電話対応、カルテの管理などです。
医師や看護師との連携も重要で、スムーズな診療をサポートするために欠かせない存在といえるでしょう。
医療事務の知識があると有利ですが、未経験からスタートできる職場も多くあります。
丁寧な言葉遣いや気配りが求められるため、接客が得意な人に向いています。
また、落ち着いた環境で働きながら、医療に関する基本的な知識も身につくため、将来的に医療事務や調剤事務管理士などの資格取得を目指すことも可能です。
女性が多く活躍している職場で、清潔感や礼儀を大切にする人に適しています。
3. ホテルや旅館のスタッフ
人と接するのが好きな人や、おもてなしの心を大切にしたい人におすすめなのが、ホテルや旅館での勤務です。
フロントでの受付や予約対応、レストランでの接客、客室の清掃など、施設内にはさまざまな役割があり、それぞれにやりがいがあります。
特にリゾート施設では寮完備や食事付きの求人が多く、生活コストを抑えながら全国各地で働けるチャンスがあります。
若いうちから地域や文化の異なる場所で実務経験を積むと視野が広がり、自信にもつながるでしょう。
また、語学力に自信がある人は外国人観光客の対応を任される機会もあり、接客スキルとともに語学力もさらに高められるのが魅力です。
シフト制で土日祝日の出勤もありますが、平日に休みを取りやすいため、混雑を避けて観光を楽しめるメリットもあります。
ホテルや旅館のスタッフは、サービス業ならではの楽しさと成長の機会が詰まった魅力ある仕事といえます。
4. コールセンター・オペレーター
コールセンターやオペレーターの仕事は、高卒女子の就職が可能な仕事の1つです。丁寧な研修制度が整っているため、未経験からでも安心してスタートできます。
業務内容は、商品やサービスに関する問い合わせ対応、注文受付、アフターサポートなどが中心です。
あらかじめ用意されたマニュアルに沿って対応できるため、専門的な知識がなくても問題ありません。
基本的に座り仕事のため体力的な負担が少なく、私服可の職場も多く見られるため、働きやすさを重視する人にとって魅力的な環境です。
また、電話応対を通じて敬語や言葉遣い、クレームへの対応力が自然と身につくため、社会人としての基礎力が養われます。
これらのスキルは将来的に事務職や接客業など、さまざまな業種への転職にも役立つため、長期的なキャリア形成にもつながります。
シフト制で勤務時間の調整がしやすいため、ライフスタイルに合わせて働きたい人にもおすすめの仕事です。
5. アパレル販売員
ファッションに興味がある高卒女子に人気の高い職種として、アパレル販売員の仕事があります。
主な業務は、店頭でのコーディネート提案や商品の陳列・補充、在庫管理、レジ業務などで、実務を通じて店舗運営の流れを学べる点も魅力です。
洋服やアクセサリーを販売しながら、お客様に似合うアイテムを提案する中で、接客スキルやコミュニケーション力も自然と身についていきます。
また、販売目標(ノルマ)が設定されている店舗もありますが、達成すればインセンティブや昇給につながるケースもあり、やりがいを実感しやすい環境です。
経験を積むと若くても店長やエリアマネージャー、バイヤーなど、より専門性の高いポジションへとキャリアアップする道も開かれています。
アパレル販売員は、お客様との関係を大切にしながら自分らしい働き方を追求できる、やりがいのある職種です。
6. 女性専用ジム受付・サポート
健康や美容に関心のある高卒女子におすすめなのが、女性専用フィットネスジムでの受付・サポート業務です。
来店した会員のチェックイン対応やマシンの使い方の説明、簡単なトレーニング指導、清掃・整備などが主な業務で、明るい笑顔と丁寧な接客が求められます。
運動の経験がなくても始めやすく、研修や先輩のサポートがあるため安心して取り組めます。
業務を通じて健康管理やボディメイクに関する知識が自然と身につき、自分自身のライフスタイルにも良い影響を与える点が魅力です。
会員との距離も近く、成果に喜ぶ姿を間近で見られるほか「ありがとう」と声をかけてもらえることも多く、日々のやりがいにつながります。
女性専用ジムの受付やサポートは、自分を磨きながら人をサポートする喜びを感じられる、魅力あふれる仕事といえるでしょう。
高卒就職で後悔しないために知っておくべきこと
高卒就職で後悔しないためには、知っておくべき現実がいくつかあります。
以下の内容について、それぞれ解説します。
- 初任給だけでなく昇給テーブルも確認する
- キャリアパスと研修制度をチェックする
- 勤務地と転勤の有無や頻度を把握する
初任給だけでなく昇給テーブルも確認する
高卒就職を考えるとき、初任給の額ばかりに目が行きがちですが、それだけで判断すると後悔する可能性があります。
大切なのは、将来どれくらい収入が伸びるのかという「昇給の仕組み」です。
初任給が他社と変わらなくても、毎年確実に昇給がある企業の場合は、長期的には安定した収入が見込めます。
企業の求人票などでモデル年収例や等級制度などを確認し、入社3年後、5年後、10年後にどのような待遇になるのかを見ておきましょう。
将来の生活設計にも関わるため、初任給だけでなく将来の賃金の伸びを把握すると、安心して暮らせる環境が手に入ります。
キャリアパスと研修制度をチェックする
長期的にどのようなキャリアを築けるかをチェックするのも必要です。
入社後、どのような職種に配属され、どんなスキルが求められ、昇進や異動のチャンスがあるのかなど「キャリアパス」の情報を事前に確認しましょう。
また、仕事をしながら成長できるかどうかは、研修制度にも左右されます。
新人研修が充実しているか、先輩社員がマンツーマンで指導してくれるか、資格取得支援制度があるかなどの環境が整っているかも重要です。
キャリアアップの道が明確な企業に入社できると意欲的に仕事に取り組めるため、将来の目標も立てやすくなります。
目の前の業務だけでなく、3年後や5年後に自分がどうなっていたいかをイメージしながら、研修制度を確認しておきましょう。
勤務地と転勤の有無や頻度を把握する
高卒就職後の生活を左右する要素の1つが、勤務地や転勤の有無です。
入社時は現在の家から通える距離で働けていたのに、数年後に遠方へ転勤を命じられるというケースもあります。
企業によっては全国や海外に拠点があり、転勤がキャリアアップの前提になっている場合もあるため、事前に確認しましょう。
転勤の頻度や、場所・希望を聞いてもらえるか、地域限定制度があるかなどを人事担当者に聞くのも有効です。
家族と同居している場合や、将来的に結婚や出産を考えている場合は、働く場所が生活に大きく影響します。
自分のライフプランと照らし合わせつつ、勤務地や転勤について確認すると後悔せずに長く働けるでしょう。
まとめ
高卒就職は社会経験を早く積める点や、若いうちから自立した生活を築けることなど、多くの魅力があります。
現場で実務を重ねながら成長できるため、将来的にキャリアアップや昇格を目指す道も十分に開かれています。
一方で、大卒と比較すると求人の選択肢は限られ、初任給や生涯賃金に大きな差が生じているのが現実です。
また、高卒で就職した人の約4割が3年以内に離職しているというデータからも、自分に合った職場や働き方を慎重に見極めることの重要性がうかがえます。
高卒就職を成功させるためには、給与や福利厚生だけでなくキャリアパスや研修制度なども確認し、自分の希望やライフプランに合った企業を選ぶことが大切です。



































