
ハローワークには、公共職業訓練と求職者支援訓練、現在2つの職業訓練の種類がありますが、自分がどちらを受講すればいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。この記事では、2つの職業訓練の違いや受講条件について紹介していきます。気になる給付金の審査条件やメリット・デメリットについても解説するので職業訓練を受ける前に参考にしてみましょう。また、職業訓練以外の就職支援サービスも近年増えてきています。他のサービスについても触れていくので、どの方法で就職/転職するか考えましょう。

※1. 2018/2/1~2018/7/31の当社研修参加者の内、当社が把握している就職決定者の割合
※2. 2005/5/1~2020/4/30の弊社主催の面接会参加人数
※3. 調査期間:2021年9月17日~9月19日(日本コンシューマーリサーチ)
この記事の目次
公的職業訓練には「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」がある

公的職業訓練とは、就職に役立つ知識やスキルを基本無料で習得することができる公的制度です。さまざまなコースが用意されていて、訓練期間の職員に就職相談をすることも出来ます。期間は3ヶ月から6カ月のコースが中心ですが、1年から2年間と長期間のコースもあります。
公的職業訓練は、失業保険を受給してる求職者を主な対象とした「公共職業訓練」と、失業保険を受給をすることのできない求職者を対象とした「求職者支援訓練」に分かれます。平成28年11月から厚生労働省では公共職業訓練と求職者支援訓練の総称の愛称として「ハロートレーニング」という言葉を使っています。この章では公的職業訓練と求職者支援訓練に、すなわちハロートレーニング全般について解説します。
参考:ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)特設ホームページ
公共職業訓練
公共職業訓練について解説します。
公共職業訓練とは
公共職業訓練は「主に失業保険を受給されている求職者」を対象にした訓練講座のです。失業保険を受け取りながら、講座を受講することが可能です。基本的に受講料は無料ですが、1年以上など長期の口座については有料のものもあります。なお、テキスト代や作業服、工具代、保険料などは実費負担が必要です。
公共職業訓練の種類
公共職業訓練には施設内訓練(国や都道府県直営・常設の訓練)と委託訓練(民間企業やNPO、学校に委託する訓練)の2種類があります。施設内訓練施設内訓練は生産システム技術科やテクニカルオペレーション科ものづくり系の科が中心で、委託訓練はOA事務科、経理事務科といったオフィスワーク系の科目が中心となるのが特徴です。
公共職業訓練の倍率
倍率について全体を総括したデータを入手することはできませんでしたが、「公共職業訓練 倍率」と検索すると各都道府県のコースごとの倍率についてある程度情報を得ることは可能です。定員割れのコースも中にはありますが、2倍、3倍といった高倍率のコースもあります。
求職者支援訓練
求職者支援訓練について解説します。
「求職者支援訓練」とは
「主に失業保険を受給されている求職者」を対象にした職業訓練である「公共職業訓練」に対して、失業保険を受給されていない方」を対象とした職業訓練が「求職者支援訓練」です。「求職者支援制度」の対象は、厳密にはハローワークに登録して仕事を探している人のうち、失業手当をもらう資格がなかったり、手当がもらえる期間が終わってしまって現在失対業保険を受給されておらず、かつ働く意思がある人です。
制度の対象者はハローワークの求人紹介に加え、スキルアップのための職業訓練と職業訓練受講給付金(月10万円+交通費)が受けられます。職業訓練は以下の2つのコースに分かれており、ニーズに合わせて選べます。
- 基礎コース:社会人経験のない人向け
- 実践コース:特定分野の専門知識を身につけて就職したい人向け
さまざまな分野の職業訓練が開講されていて魅力的です。制度の対象者はぜひ一度調べてみることをおすすめします。
求職者支援訓練の倍率
厚労省の資料によると令和2年度の申請状況・認定状況は、基礎コース:実践コース≒30%:70%となっており、希望者全員が受講できる状況ではないことがわかります。
その他の訓練-在職者訓練
「雇用保険を受けていない求職者を対象とした」職業訓練のひとつには「在職者訓練」があります。主に中小企業に勤める方々を対象に、従事されている業務に必要な専門知識及び技能・技術の向上を図るための比較的短期間のトレーニングです。
在職中の方が受講をされるという事もあり、平日の夜や土日開催の講座がほとんどで、多くの場合には、テキスト代など、1回に数百円から数千円程の受講料がかかります。
その他の訓練-高卒者訓練
「雇用保険を受けていない求職者を対象とした」職業訓練のひとつに中・高の学校を卒業した方を対象とした有料の「高卒者訓練」があります。学習の内容は専門性ごとに普通課程、専門課程、応用課程と3つの分野に分かれており、それぞれ数十万円の入学金と年間授業料がかかります。訓練の期間は、普通課程の場合は1年から2年、また専門課程や応用課程に関しては2年間と定められています。
職業訓練を受けるメリット・デメリット

職業訓練のメリット/デメリットを理解したうえで訓練に申し込むかどうかを決めましょう。
職業訓練を受けるメリット
職業訓練を受けるにあたってのメリットとしては、下記の5つです。
- 受講料が無料
- 就職に有利な知識や技能が身につく
- 就職に役立つコネクションができることもある
- 認定日にハローワークに出かける手間が省ける
- 自己都合で退職しても、失業保険がその日から受給できる
それでは解説していきます。
メリット1:受講料が無料
前述したように、公的職業訓練の受講料のほとんどが無料です。(※長期コース以外)さらに、求職者支援訓練は、1か月ごとに職業訓練受講給付金(訓練受講手当、通所手当、寄宿手当)が支給されます。
メリット2:就職に有利な知識や技能が身につく
職業訓練では仕事に必要な知識や技能を身につけ、実践的な講座を通してマスターすることができ、さらに、職種に必要な資格を終了後に取得できるコースも用意されています。
メリット3:就職に役立つコネクションができることもある
訓練校の講師や受講生と知り合う中で就職先を紹介してもらえたり、ということもあるようです。
メリット4:認定日にハローワークに出かける手間が省ける
失業者手当を受給するため、認定日の度にハローワークに出かけるのが面倒な人も多いことでしょう。公共職業訓練の受講者は、毎月末が認定日となり、手続きは訓練校が代行してくれますので、認定日の度にハローワークに出かける手間が掛かりません。
メリット5:自己都合で退職しても、失業保険がその日から受給できる
自己都合で退職した場合、失業手当受給まで3ヶ月間待たなければなりませんよね。この期間生活を支える資金がないのが一番のネック。でも職業訓練受講者はそれよりも早く受給することができます。また、雇用保険を受給している期間に職業訓練を受けると、訓練が終了するまで、失業手当の受給期間が延長されます。これは失業者にとってありがたい支援ではないでしょうか。
職業訓練を受けるデメリット
デメリットについても考えてみましょう。
「職業訓練を受けるデメリット」としては、下記の4つです。
- 申し込みから受講までの時間がかかる
- 職業訓練受講給付金の支給要件がシビア
- 給付金が物足りない
- 訓練校によって講座の質にばらつきがある
それでは一つ一つ解説していきます。
デメリット1:申し込みから受講までの時間がかかる
それではまず1つ目のデメリットは、「申し込みから受講までの時間がかかる」という事です。職業訓練は、申し込みを行った後に下記の手順を踏まなくてはなりません。
- 選考
- 合格
- 受験開始
また、受講開始までは数カ月ほどの時間がかかってしまう場合があるため、すぐにでもスキルを身につけたいといった方にとってはかなりもどかしく感じるでしょう。
デメリット2:職業訓練受講給付金の支給要件がシビア
以下の条件にあてはまらない人は職業訓練受講給付金をもらうことができません。
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月25万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- 全ての訓練実施日に出席している
- 世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
(やむを得ない理由がある場合でも、支給単位期間ごとに8割以上の出席率がある)
結構シビアな条件ですよね。見逃しのないようにハローワークの窓口に相談必須です。
デメリット3:給付金が物足りない
職業訓練の受講とともに受けられる手当や給付金の額は、就職をして仕事をしている時に比べるとどうしても見劣りします。
訓練中の場合にはアルバイトはNGというわけではないのですが、アルバイトを行って頂いた収入や就業の時間といった事に関しては細かな規定が設けられいるため、思うように稼ぐことはできません。
デメリット4:訓練校によって講座の質にばらつきがある
訓練校は基本的に自宅から最も近い訓練校を案内されますが、訓練によって講師や講座のクオリティにばらつきがあります。説明会や見学会などを最大限活用をして、自分が納得できるような訓練校なのかをしっかりと見極めることが大切です。
職業訓練以外の就職支援サービスの利用も検討しよう!

メリットが多い反面デメリットもある公的職業訓練について解説してきましたが、就職を強く希望し、今すぐにも求職活動を始めたい人は、職業訓練と合わせて民間の転職エージェントの活用を検討してみましょう。
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「公共職業職業訓練と求職者支援訓練」に関するよくある質問
ハローワークの職業訓練は大きく2種類に分類されます。「公的職業訓練には「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」がある」では、その内容や費用についても詳しく解説していますので、自分にとって有用な職業訓練を探す参考にしてみてください。
ハローワークの職業訓練にはメリットが多くあるため、仕事探しに難航する人はぜひ受講を検討されることをおすすめします。「職業訓練を受けるメリット・デメリット」では職業訓練を受講するメリットを5つあげて解説しています。
ハローワークの職業訓練を受講をしたいと考えていてもタイミングによってはすぐ申し込めるわけではありません。就職に向けてすぐに行動を起こしたいという人は注意してください、ジェイックの就職支援サービスでは無料で「就職相談」をしていただくことができます。ぜひご活用ください。
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まとめ
職業訓練に通いながら就職活動を両立させるのはなかなか、困難かもしれません。とくに若者にとって、仕事に役立つ知識や技能を身につけるための職業訓練は長期コースになるものが多いため、就職が後回しになってしまうこともあるでしょう。 前向きに考えれば、スキルのないまま就職するよりは、仕事に役立つスキルアップのための準備期間を持つ、と考えてみてはいかがでしょうか。職業訓練で習得した知識や技能は、次の就活の応募書類に書き足す項目となり、その後の選考で以前より有利な位置に立てることは間違いありません。

こんな人におすすめ!
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