保育士を中卒で目指すにはどのような勉強をしたら良いの?と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
中卒から保育士を目指すための勉強方法は存在します。保育士になるには保育士資格が必要になり、中卒からでも受験資格を得て保育士になるための方法はあるからです。
こちらの記事では、保育士試験の勉強方法や保育士に必要な実務の積み方を解説しています。こちらの記事を読むことで、中卒から保育士になる方法がわかる内容になっていますので、ぜひご覧ください。
保育士は中卒でも狙える!
保育士は、中卒からでも目指せます。保育士になるには、国家資格である「保育士資格」の取得が必要ですが、全国保育士養成協議会のホームページによると、受験資格に学歴条件は設けられていません。
ただし、中卒から保育士を目指すのは、大卒や高卒の人たちと比べて少し大変といえます。特に大変なのは、保育士の受験資格を満たすために必要な「実務経験時間」です。中卒の人が受験資格を得るには「7200時間の実務経験」が必要です。一方、高卒だと、必要な実務経験は2880時間まで減ります。この差は、高校3年間の学習時間と同程度に値するため、中卒から保育士になるハードルは、高校卒業と同じくらいといえるでしょう。
保育士の資格を中卒者が取得する2つのルート
中卒者が保育士の資格を取得するには、以下2つの方法があります。
- 保育士試験に合格する
- 指定保育士養成施設を卒業する
以下、それぞれの方法を詳しく解説していきます。
方法1:保育士試験に合格する
1つめは「保育士試験に合格すること」で、保育士になる最もメジャーな方法です。中卒の人が保育士試験の受験資格を得るには「児童福祉施設で5年以上かつ7,200時間以上の実務経験」が必要です。1日8時間労働を月20日(月160時間)働いたとしても、3年9か月かかります。これは、なかなか大変な道のりといえるでしょう。
しかも、実務経験をすれば、保育士資格が手に入るわけでもありません。そこから試験勉強をすると、保育士を目指してから働き出すまでに、4〜5年かかるのが一般的です。
試験は筆記試験と実技試験に分かれており、以下の日程で年に2回あります。
筆記試験 | 実技試験 | |
前期 | 4月 | 7月 |
後期 | 10月 | 12月 |
試験科目は以下の9科目で、合格するには、各科目で60%以上の正答率が必要です。
- 保育の心理学
- 保育原理
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 教育原理
- 社会的養護
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
「9科目すべてに合格」と聞くと大変に感じるかもしれませんが、筆記試験は3年の有効期限があります。合格した科目は3年以内であれば免除されるため、1度にすべての科目を合格しなくてもいいのです。
そして、筆記試験に合格した人のみが実技試験を受けられます。実技試験は、以下3分野の中から2分野を選択する試験で、合格には2分野とも60%以上の得点が必要です。
- 音楽に関する技術
- 造形に関する技術
- 言語に関する技術
試験会場は、都道府県ごとに1か所以上用意されています。
保育士試験の合格率ですが、令和元年においては以下の割合でした。
- 学科試験のみ合格した人:32.9%
- 学科試験実技試験ともに合格した人:23.9%
保育士は中卒からでも目指せる仕事ですが、誰でも資格が取れるような簡単なものでは決してないため、しっかりと準備が必要です。
方法2:指定保育士養成施設を卒業する
2つめの方法は、指定保育士養成施設を卒業することです。指定保育士養成施設とは、厚生労働省が管轄している「保育を専門的に勉強する学校」であり、卒業と同時に保育士資格が取得できます。
指定保育士養成施設を卒業するには、以下4科目8単位の取得が必要です。
- 福祉と教養:2単位
- 相談支援:2単位
- 保健と食と栄養:2単位
- 乳児保育:2単位
指定保育士養成施設には通学制と通信制があり、それぞれ通学期間は以下の通りです。
- 通学制:20〜30日程度
- 通信制:数か月程度(施設によって異なる)
学費は5〜15万円ほどで、通信制の方が安い傾向です。
ただし、指定保育士養成施設は、高校を卒業していないと入学できません。そのため、中卒者がこのルートで保育士を目指す場合は、まず高校卒業程度認定試験(高卒認定試験)に合格することが必要です。
保育士試験の受験資格に必要な中卒者の実務の積み方
中卒者が実務経験を積むには、大きく以下2種類の働き方があります。
- フルタイム
- パートタイム
それぞれメリットデメリットがあり、以下で解説していきます。また、実務経験として認められるのは、以下の保育施設です。
- 保育所(利用定員20名以上)
- 保育所型認定こども園
- 幼保連携型認定こども園
- 児童厚生施設
- 児童養護施設
- 助産施設
- 乳児院
- 母子生活支援施設
- 障害児入所施設
- 児童発達支援センター
- 児童心理治療施設
- 児童自立支援施設
- 児童家庭支援センター
まずは、中卒の人が施設で働いて実務経験を積み、保育園の受験資格を得る場合の具体的な方法について知りましょう。
フルタイムで働き経験を積む
1つめは、フルタイムで働き経験を積む方法です。保育士資格がなくても働ける職場を探してみましょう。規模の大きい保育園では「保育補助」という役割があり、保育士の指示下で保育をサポートする仕事があります。
保育補助としてフルタイムで働けば、月に160時間、年に1,920時間の実務経験が得られます。このペースで働くと、最短の実務経験期間となる5年間で保育士試験に挑戦できるので、フルタイムで働くことが問題なければおすすめの方法です。
パートタイムで働きながら時間をかけて経験を積んでいく
2つめは、パートタイムで働きながら、時間をかけて経験を積んでいく方法です。パートタイムは自分のペースで働けることが最大のメリットでしょう。すでに結婚している中卒の女性で、育児や家事に手がかかりフルタイムで働くのが厳しい時期にある場合は、この方法もアリです。
ただし月の労働時間が少ないと、保育士になるまでの期間が長くなる点はデメリットです。先ほど紹介したフルタイムの半分、月に80時間の労働とすると、実務経験の条件を満たすのに7年半かかります。なので早めに保育士として就職したい場合は、できるだけ月の労働時間を増やすことが重要です。
保育士資格合格のための中卒者の勉強方法
中卒の人が保育士資格に合格するためのポイントは、以下3つです。
- 最新情報や最近のトレンドに敏感になる
- 参考書や通信講座を利用し、基礎を固める
- 過去問を解いて、出題の傾向を知る
それぞれの方法を、詳しく解説していきます。
最新情報や最近のトレンドに敏感になる
保育士試験は、保育業界のトレンドや時事問題が出ることもあります。そのため、業界の最新情報やトレンドは、できるだけ押さえておきましょう。特に以下の法律の改訂内容は、しっかり押さえたいポイントです。
- 児童福祉法
- 保育所保育方針
- 近年登場した子育て支援制度
また、保育関連のニュースなども意識的にチェックしておくとよいでしょう。
参考書や通信講座を利用し基礎を固める
保育士試験は、基礎を固めることがとにかく重要です。毎回の出題傾向は大差なく、計画的に勉強すれば、出題範囲を網羅することは十分できます。そのため、参考書や通信講座を利用し、各分野の基本問題は確実に解けるように対策しておきましょう。
ただし、試験範囲は幅広いため、それぞれの分野でよく出題される問題や傾向を掴んでおくのが大切です。各科目で60%以上の正答率が必要なので、苦手な分野は重点的に対策をしておきましょう。
過去問を参考に出題の傾向を知る
参考書や問題集で基礎を固めた後は、過去問を解いて、出題の傾向を掴んでおきましょう。これは保育士試験に限りませんが、過去問は本番のイメージを掴むのに最適です。特におすすめなのは、実際に時間を測って過去問を解くことです。合格ラインから自分がどの位置にいるのかはっきりイメージできるため、本番前に弱点を発見することにもつながります。
筆記試験の1か月前までにテキストの学習を終えて、直前1か月は過去問中心の試験対策ができると理想的です。
まとめ
以上、中卒の人が保育士になるためのルートと、受験資格の満たし方、保育士試験の勉強方法を解説しました。
中卒者が保育士になるには、必要な実務経験時間が長い点は大変です。しかし、保育業界は常に人手不足ですし、資格を取得できれば、就職先に困る確率は大きく減らせます。中卒から保育士になりたい人は本記事も参考に、できることから進めていきましょう。