
就職や転職をする際、大卒と高卒では具体的に何が違うのかご存じですか。この記事では、大卒と高卒で給与や仕事にどのような差が生じるのかについて、また高卒は就職や転職にどのような影響を及ぼすのかについて紹介していきます。
高校卒業後、大学に進学することを悩んでいる方や、就職しようと考えている方は決断する前に一度参考にしてみましょう。
高卒と大卒の違い6選
そもそも高卒と大卒では、就職や転職をする際にどのような点に違いがでてくるのでしょうか。ここでは高卒と大卒の違いを以下の6つのポイントにしぼってお伝えします。
- 高卒と大卒の割合
- 最終学歴
- 就職・転職状況
- 給与
- 仕事内容
- 待遇
高卒と大卒の割合の違い
文部科学省から発表されている「令和元年度学校基本調査」によると、四年制大学への進学率は53.7%となっています。
では残りの46.3%は“高卒”になるのかというと、そうではないようです。より厳密にみてみると、高等教育機関(四年制大学、短期大学、専門学校など)への進学率は82.6%ですので、すなわち、高卒で就職する人の割合は高校卒業者のうち約17%ほどということです。
しかし、ここで忘れてはいけないのが中退者の割合です。進学をしても中退をすれば、学歴は高卒になります。文部科学省から発表されている「学生の中途退学や休学等の状況について」を確認してみると、学生全体の年間の中退率は約3%(平成26年時点)となっています。同調査によると、中退率は年々増加しているようです。
このように統計をみると、高校卒業後の進路は、就職する人に比べると大学へ進学する人の割合が多いですが、“高卒”の人口はその限りではないことがわかります。
最終学歴の違い
高卒と大卒では当たり前の話ですが、履歴書に記載できる最終学歴が違ってきます。そのため、最終学歴が大卒以上の求人の場合、基本的には書類審査を通過することができません。
学歴不問という求人も増えてきてはいますが、大卒以上の募集がまだまだ多いのが現状です。
また、大学を中退した場合も、最終学歴は高卒になりますので、注意が必要です。
就職・転職状況の違い
高卒と大卒との間には、就職のしやすさや転職のしやすさに違いがあるのでしょうか。
就職状況の違い
厚生労働省によると、2019年3月に卒業した大学生の就職内定率は97.6%。高校生の就職内定率は98.2%で過去最高となりました。この数字を見ると、高卒と大卒の就職率はほとんど変わらない様に見えますし、むしろ高卒の方がやや高いように見えます。
しかし、このデータには少し注意が必要で、実はこの数字は在学中に就職を希望して、内定した高校生の就職率です。高校卒業後に就活や転職活動をする人の就職率はかなり下がることが推測されます。
転職状況の違い
転職サイトにおける大卒以上の求人の割合は44%、学歴不問の求人は40%というデータもでています。この場合、高卒の方は44%の求人には最初から応募できない、ということになってしまいます。
高校在学中の就職活動に比べると、高校卒業後しばらくしてからの就職活動や、高卒という学歴での転職活動は厳しい状況が予想されます。
給与の違い
高卒と大卒では実際のところ、給与はどれくらい違うのでしょうか。
厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」によると、2019年の最終学歴別の初任給は以下のようになっています。

これを見ると、高卒と大卒では初任給に約5万円の違いがあることがわかります。
高卒と大卒では、生涯受け取る合計賃金にも差があります。厚生労働省が公表している「学歴別にみた賃金」によると、年齢が25~29歳の場合、大卒・院卒者の月の賃金は261.3千円、高卒は226.5千円という結果になっています。この賃金の開きは年齢が上昇するほど大きくなっていきます。生涯賃金においては、高卒と大卒で6~7千万円ほどの開きがあります。これは大きな額ですよね。
仕事内容の違い
高卒と大卒の違いはまだまだあります。次は仕事内容についてみていきましょう。学歴が異なるからといって、仕事内容にまで差はないだろうと思いきや、この部分でも違いは出てきます。
例えば「大卒でなければいけない仕事」は、高卒の方にはできません。具体的には、研究職や開発職など、専門的な知識と学力が必要な仕事は大卒、もしくは院卒でなければ難しいでしょう。この場合、いくら熱量を持っていても高卒の採用はほぼないと考えられます。こういった専門的な職業でなくとも、大卒はより幅広い職種を経験しやすいでしょう。
大卒は将来的に会社の経営幹部にも関わってくる人材です。そのため、総合職に就き、1つの企業内でもさまざまな職業を経験させられるでしょう。
待遇の違い
給与とは違い、学歴によって福利厚生のような待遇に差をつける企業はほとんどありません。もちろん転職先の企業によりけりとなりますが、基本的に転職は前職の給与や本人のスキルをベースとして待遇が決定されるようです。
大卒だからといって、スキルがなければもしかすると高卒よりも待遇が劣ることがあるかもしれません。企業側が中途採用者のどこを見るかといえば、「これまでどのような仕事を行い、実績を積み上げ、業績を上げてきたのか」という点です。
大卒・高卒問わず、実績があれば高待遇に、実績がなければそれなりに、となります。
高卒のメリットとデメリット
ここではさらに具体的に、高卒で就職するメリット・デメリットについて紹介します。
高卒のメリット
- 同年齢に比べて早く社会人経験を得られる
- 大学の学費が不要
- 10代のうちに自立できる
- キャリアアップの年齢が早い
高卒のメリットはなんと言っても、大卒より早く社会にでられること。特にじっくり技術を身につけていくような職業では、4年間の差は大きなプラスになるでしょう。
また、10代のうちから自力でお金を稼ぐことができ、大学の費用もかからないので、経済的な自立が早いことも大きなメリットの一つです。
高卒のデメリット
- 社会経験がほとんどないうちに職業選択をしなければいけない
- 大学生活を送れない
- 大卒以上の求人に応募できない
- 初任給・生涯賃金の平均が低い
高卒のデメリットとして大きいのは、やはり大卒以上の求人に応募できないことや、生涯賃金の平均が低いことです。ただし、給料については自分に合った業界を選んだり、資格をとったり、早くからスキルや経験を積むことで大卒以上の給料を得る方法はいくらでもあります。
大卒のメリットとデメリット
高卒のメリット・デメリットを確認したところで、次に大卒のメリットとデメリットを見てみましょう。
大卒のメリット
- 自由な時間が多い
- 書類選考が有利に進みやすい
- 職業の選択肢の幅が広がる
- 初任給・生涯賃金の平均が高卒より高い
大卒のメリットはやはり、高卒より求人が多く、職業の選択肢が広がること。また、初任給や生涯賃金の平均が高いところです。
そしてもう一つメリットとして大きいのは、大学生には自由になる時間が圧倒的に多いということです。この時間を使って、将来についてじっくり考えたり、インターンや留学など様々な経験を積むことができます。
大卒のデメリット
- 受験や学費に莫大な費用がかかる
- 4年間無駄な時間をすごしてしまう人もいる
- 社会に出るタイミングが高卒に比べて遅くなる
大卒の最大のデメリットは、受験や学費に莫大な費用がかかることです。
2019年の日本政策金融公庫から発表された『令和元年度「教育費負担の実態調査結果」』によると、大学の入学費用の平均額は82.8万円。1年間の在学費用は平均151万円とい結果がでています。奨学金を借りて進学した場合は、社会に出ると同時に返済を始めなければいけないので、高卒で社会に出る場合と比べると大きな負担になります。
また、自由になる時間が多い分、無駄に過ごしてしまった時のロスも大きいというデメリットもあります。
高卒と大卒で人間性の違いはない

最後に、高卒と大卒の違いのうち「人間性はどうなのか」という点について考えていきます。
よくいわれることですが、コミュニケーションスキルに学歴は関係ありません。企業側が求めるものには、職業的なスキル以外に柔軟さや素直さ、コミュニケーション能力があげられます。
仕事をする上でいくら能力が高くても、対人スキルが乏しい人では長く働くことができなかったり、出世し誰かの上に立つということが難しくなってしまったりすることが背景にあるようです。
新卒者には「ポジティブで協調性がある」人を求めるが、転職者には「能動的に行動できる、コミュニケーションがとれる」人を求める傾向があります。
やはりコミュニケーション能力は大切
いくら学歴が素晴らしくても、世間話もままならない、人と目を合わせることができない、一生懸命やっているのは認めるけれど「いわれたことしかやれない」というタイプは、転職活動も困難を極めるでしょう。
こういった部分は本人の性格や性質に寄与するものです。仕事は教えることはできますが、会社側が性格を矯正することはできません。よって、最初から「難なくコミュニケーションができる人材」を求めがちです。
高卒でも対人スキルが高い人は、いい職場に出会える可能性も高いといえるでしょう。
学歴に関係なくいい転職先を見つける方法は?
ここまで学歴による転職・就職の違いについてみてきましたが、こと転職に関しては「学歴よりも大切なのはスキル」であることがわかりました。
しかし、普通の転職活動をしているだけではいい転職先と出会うのは難しいでしょう。というのも、現在は転職者を求めている企業が多くあり、その中から情報を取捨選択して転職活動を行うのは大きな労力がかかってしまうからです。
「現職の仕事もあるし、転職活動まで気が回らない」「退職後の手続きが大変で思ったように転職活動ができない」という方も少なくありません。そんな時には、まず手軽に利用できる転職向け求人サイトを利用してみましょう。
転職向け求人サイトはいくつかありますので、気になるサイトに登録して休憩時間や開いた時間にさっと求人情報を確認し、良い求人があればすぐに応募してみましょう。知り合いに転職先がないかあたってみる方法もありますが、退職していない状態では「転職活動をしているらしい」という情報が流れてしまう可能性があり、注意が必要です。
就職支援サービスで効率的な転職活動
転職向け求人サイトでは、自分で転職先を探し、自分で申し込み、面接まで進まなければいけません。ハローワークに通うよりは楽かもしれませんが、それでももう少し効率的な転職活動ができたら嬉しいですよね。
そんなときにおすすめなのが就職支援サービスです。就職支援サービスなら、求人サイトとは異なり「転職先を紹介してもらえる」というメリットがあります。就職支援サービスでは実際に面談やヒアリング、カウンセリングを行い、求人紹介だけではなく自分の強みを探したり、自分にぴったりな職種を見つけたりといったことも手伝ってもらえます。
無料セミナーを開催している就職支援サービスもありますので、転職に関する情報収集もバッチリ。面接の方法、履歴書の書き方、その他書類の書き方もきちんと教えてもらえます。就職支援サービスに登録したからといって、必ずそこから仕事を見つけなければいけないというわけでもありません。「転職に関する情報を効率的に集めたい」時にも利用可能です。
就職支援サービスを利用するときに気をつけたいこと
転職者にとってメリットの多い就職支援サービスですが、いくつか気をつけておきたいこともあります。就職支援サービスは、各社それぞれに得意・不得意があり、利用する就職支援サービスを間違えてしまうと「希望職種のいい転職先が見つからない」こともあります。
実際に登録する際には、就職支援サービスに関する口コミをチェックしてみましょう。どのような実績があるのか、自分の転職活動とマッチングしそうか確認してください。特に特殊な業種に就きたい方、更にハイレベルな企業に転職したい方は、それぞれ専門の就職支援サービスを探してみましょう。
20代からの転職を考えている方は、弊社「ジェイック」のご利用を検討してみてください。20代ならではの転職の悩みに寄り添い、よりよい転職ができるよう万全のサポートを致します。
まとめ
高卒と大卒、学歴の違いで転職にも差が出てしまうことがわかりました。だからといって、今から大学に通って卒業し、それから転職というのは現実的ではありませんよね。高卒であっても、自分の能力を最大限に活かせる職場へ転職できればキャリアアップも図れるでしょう。
研究職は難しくても、出世し大卒と同じように上層で戦うことは可能です。大切なのは、これまでの実績と経験、そして人間性です。コミュニケーションスキルを高め、待ちの姿勢ではなく攻めの姿勢で働ける人材であることをアピールしていきましょう。
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