
スクールカウンセラーとは、学校などの教育現場で学ぶ子供たちの心の健康をケアする専門職です。
主に生徒のカウンセリングを通じて悩みを解消に導く業務が多く、コミュニケーション能力や心理学の知識を持っている人であれば、社会的意義のある役割を担えるでしょう。
この記事では、スクールカウンセラーの仕事内容や求められるスキル、就職するやりがいなどを網羅的に解説します。スクールカウンセラーの仕事に興味がある人は、記事の内容を参考にしてみてください。
この記事の目次
スクールカウンセラーとは?
スクールカウンセラーとは、学校において生徒の心の健康を守りつつ、安心して学べる教育現場を整える心理職の1つです。
学校に通う生徒の中には、友人関係や家庭での悩みを感じて精神的に不安定になってしまうケースがあるため、個別にスクールカウンセラーが面談を行い、悩みの解消に繋げていきます。
また、必要に応じて保護者や他の教員、福祉機関と連携をしながら支援を行うこともあり、とにかくコミュニケーション能力が求められる仕事と言えます。
精神面のサポートを直接的に行える役割のため、子供の成長を間近に捉えられるといったやりがいを感じられるでしょう。
なお、スクールカウンセラーとして活躍する上では、募集要件は自治体・学校により異なりますが、公認心理師や臨床心理士等が条件に含まれることがあります。一定の専門知識の習得が求められる点はあらかじめ認識しておいてください。
| 平均年収 | 591万円 |
| 求められるスキル | ・心理学に関する専門的な知識 ・コミュニケーション能力 ・論理的思考力 |
| 向いている人の特徴 | ・人の悩み相談に乗るのが好きな人 ・正義感が強く悩んでいる子供の手助けをしたい人 ・社会的意義のある仕事に挑戦したい人 |
| 就職するためには | ・関連する心理士の国家資格を取得する ・教育委員会か私立学校の公募に応募する |
平均年収出典:厚生労働省「スクールカウンセラー – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))」
スクールカウンセラーの仕事内容
スクールカウンセラーの仕事は主に生徒のカウンセリングとなりますが、それ以外にも多岐に渡ります。
例えば保護者や教員との連携を行ったり、心理学のカンファレンスに参加するといったこともあります。また、学校で事件や事故があったときに緊急でメンタルケアに対応することもあり、活躍の幅は広いのが特徴です。
スクールカウンセラーの仕事内容をまとめると以下の通りです。
- 生徒のカウンセリング
- 保護者や教員に対する相談対応
- 研修の実施
- カンファレンスへの参加
- 心理検査(アセスメント)の実施
- 事件や事故に対する心のケア
それぞれの仕事内容について詳しく解説します。
1. 生徒のカウンセリング
スクールカウンセラーの主な仕事の1つが、生徒との個別のカウンセリングです。
いじめや不登校、家庭の悩み、人間関係のトラブルを始め、年齢や発達段階、置かれた環境によって気持ちの整理や言語化が難しい場合もあるため、人ひとりの悩みに寄り添って安心して話せる場を提供する事はスクールカウンセラーにとって非常に重要です。
特に自分の本当の悩みを話してもらうためには、生徒からの信頼を得る必要があります。
スクールカウンセラーになったからといって誰もが悩みを話してくれるわけではありませんので、継続的に関係構築を行ったり、機密性の担保を徹底するなど、心理専門職としての高いスキルが求められます。守秘義務を前提にしつつ、生命・安全に関わる場合や法令・校内規定に基づく場合は、必要最小限で関係者と情報共有することがあります。
カウンセリングを通じて悩みを解消できる状態になれば、直接感謝の言葉を伝えられるだけでなく、スクールカウンセラーしか得られないようなやりがいも感じられるでしょう。
2. 保護者や教員に対する相談対応
スクールカウンセラーは生徒だけでなく、保護者や教員からの相談にも対応します。
例えば保護者からは、家庭でうまく子供とやりとりができずに育児に悩んでしまうケースや学校生活における子供の様子について情報交換を求められるなど、親ならではの悩みを聞いて解決することも少なくありません。
また、教員に対しては、生徒への対応における心理的なアドバイスを行うことによって、クラスの運営や生徒への個別支援の品質を高めるサポートを担います。
このように、スクールカウンセラーは実際に悩んでいる生徒だけでなく、学校に関わるすべての関係者の心理的サポートを行う重要な役割を担っています。
3. 研修の実施
スクールカウンセラーは、特定の学校だけでなく、様々な教育現場に足を運んで、心理的なサポートに対する理解を深めるための研修を実施することがあります。
主に教員や保護者に向けた研修となり、ストレス対処法やメンタルヘルス、いじめや不登校に対する対応などテーマは多岐に渡ります。
専門的な心理学の知識を誰もが分かりやすい言葉で伝えることが求められるだけでなく、実績や知名度を高めて研修講師としての依頼を受け続けることができれば、フリーランスのスクールカウンセラーとしても活動できるようになります。
4. カンファレンスへの参加
スクールカウンセラーは日々のカウンセリング業務のほか、学校内外で開催されるカンファレンスと呼ばれる会議体に参加することがあります。
例えば、地域の不登校生徒支援チームや特別支援教育担当者との連携会議や、関係する福祉機関との検討会などに参加し、カウンセラーとしての知見をプロジェクトに還元するような役割も担います。
会議を通じて地域の生徒指導の品質が高まることもあり、社会的意義を感じやすい瞬間と言えます。
ただし、会議においては守秘義務や情報共有の範囲に気をつける必要があるため、スクールカウンセラーには高い倫理観や分かりやすい説明能力が求められます。
5. 心理検査(アセスメント)の実施
スクールカウンセラーは、生徒の心理的な状態を客観的に把握するために、アセスメントと呼ばれる様々な心理検査を実施することもあります。
代表的なものとしては、性格検査や知能検査、行動観察スケールなどがあり、検査結果をもとにして支援方針を立てていきます。
心理検査は数値の測定をするだけでなく、生徒の物事に対する考え方や現在置かれている状況など全体像を把握する1つの手段となるため、様々な可能性の解釈や想像力が求められます。
検査結果を保護者や教員に共有することもあり、分かりやすく説明する能力も大切です。
6. 事件や事故に対する心のケア
万が一学校で事件や事故が起きた際、普段健康に過ごしている生徒でも、強いストレス反応(眠れない、過度に不安になる等)が出ることもあります。そうしたトラブルが起きた際に、スクールカウンセラーは生徒の心のケアを行うこともあります。必要に応じて医療・専門機関と連携します。
突発的なイレギュラーやトラブルによって心に傷を負ってしまった子供たちに対し、緊急時は心理教育や安心確保などの初期対応や継続的なメンタルカウンセリングを行うことで、再び健康に学校に通えるようなサポートを迅速に行っていきます。
こうした精神面の傷は早期に対応することが求められるため、カウンセラーとして身に付けた知識を総動員することが重要です。
また、保護者に対する精神面でのサポート体制や現状の説明に加え、必要に応じて専門機関と連携を図ることもあるため、柔軟な対応を求められる場面が少なくありません。
スクールカウンセラーに向いてる人の特徴
スクールカウンセラーは、とにかく生徒を始めとした目の前の相手と丁寧なコミュニケーションを通じて仕事を進めていくことから、高いコミュニケーション能力が求められます。
合わせて、カウンセリングに必要な専門的な心理知識が重要になりますので、心理学全般に興味がある人にも向いていると言えます。
また、自分の感じている悩みをうまく言語化できないような生徒も少なくなく、スクールカウンセラーは話を聞いて論理的に構造を分解し、どういった点に悩みの本質があるかを洗い出すこともあるため、論理的思考力がある人にも向いている仕事と言えます。
スクールカウンセラーに向いている人の特徴をまとめると、以下の通りとなります。
- コミュニケーション能力が高い人
- 相手の気持ちを考えられる人
- 論理的に物事を分解できる人
- 正義感の強い人
- 心理学に興味がある人
これらの特徴を持ち合わせている人であれば、スクールカウンセラーになった後もやりがいを持って働けるでしょう。それぞれの特徴について詳しく解説します。
1. コミュニケーション能力が高い人
スクールカウンセラーは、相手の話を丁寧に聞き出すとともに、信頼関係を築くために適切な会話のやりとりをするといった高いコミュニケーション能力が求められます。
特に生徒や保護者の緊張をほぐして本音を聞き出せる状況を作るためにも、コミュニケーション能力が高い人に向いている仕事と言えます。
コミュニケーション能力が高いと言っても、ただ話が面白いだけではなく、時と場合に応じた言葉選びや表情、話し方や相槌など、単なる言葉だけに閉じない非言語的なやりとりも重要です。自ら発信する能力だけでなく、相手の状況を見定める観察力も重要と言えるでしょう。
また、教員や関係機関との連携においても、調整力やコミュニケーションが必須能力となってきますので、対人関係全般において円滑にやりとりができるかどうかがスクールカウンセラーとして働く上で重要な素質となってきます。
2. 相手の気持ちを考えられる人
カウンセリングにおいては生徒や保護者の感情に寄り添う姿勢が欠かせないため、相手の気持ちを考えられる人に向いている仕事と言えます。
相手の気持ちに寄り添う姿勢を見せるだけでなく、適切に共感をして話しやすい状況を作れないと、いくら心理学の知識があったとしても適切なカウンセリングはできません。
特にスクールカウンセラーは、何らかの心のモヤモヤや悩みや困りごとがある生徒・保護者・教職員を対象として予防的な相談も含めて支援しますので、本当の悩みを話してもらうまでの信頼構築が非常に大切です。
「話を聞いてあげている」ではなく、「本当に悩んでいることを教えてもらう」といった意識を持ちつつ、目の前の相手の気持ちを考えて行動できるかでスクールカウンセラーを目指すか判断してみましょう。
3. 論理的に物事を分解できる人
スクールカウンセラーは感情的な能力だけでなく、論理的な思考力も求められる仕事です。
相談者は複雑な心の悩みや背景があるからこそカウンセリングに来ているため、どういった構造によって目の前の悩みに繋がっているのかを論理的に分解していくことが求められます。
生徒や保護者等の話から要点を見定めてカウンセリング方針を作り上げていくためには、論理的な情報整理力が必須であり、物事を考える力に優れている人に向いています。
加えて、関係者との連携においても論理的な説明が求められますので、感情と論理のバランスを保てる人にこそスクールカウンセラーは向いていると言えます。
4. 正義感の強い人
スクールカウンセラーの仕事は、広く言えば生徒の人権を守る立場とも言えます。
学校内で不適切な対応やいじめなどが起きたことで生徒が苦しんでいることを知った場合は、それらに毅然と立ち向かうことが求められます。
言い換えれば、正義感の強い人にスクールカウンセラーは向いていると言えるでしょう。
正義感を持って仕事を進めていくと、ときには教員や保護者と意見を対立する場面もあるかもしれませんが、目の前の悩んでいる生徒の最善の選択肢を考えて、校内の方針や法令・倫理に沿って、関係者と調整しながら提案します。
正義感や倫理観、そして熱意などを発揮し続けることで、信頼されるスクールカウンセラーに成長していけます。
5. 心理学に興味がある人
スクールカウンセラーは、心理学の理論や知識を基盤としてカウンセリング業務などを進めていくため、心理学そのものに興味がある人に向いている仕事です。
特にカウンセリング理論や発達心理学の知識をインプットできていれば、日々の仕事でアウトプットをし、生徒の精神面のケアに繋げられるでしょう。
また、心理学は研究が進んでいる学問の1つであるため、就職後にも定期的に自ら新しい知見をインプットしていくことが求められます。
心理学に興味がある人であれば最新の試験や研究結果を活かし、より専門的な支援が可能になり、生徒や関係者との信頼構築にも役立てられるはずです。
スクールカウンセラーになるには
スクールカウンセラーになるには、関連する資格の取得が必要になります。
特に臨床心理士などの資格の取得を行うことで、応募できる求人が増える傾向にあります。
また、就職活動としては基本的に民間の求人サイトではなく、教育委員会や私立学校の公募に応募するケースが大半です。
他にも、スクールカウンセラーの勤務形態的に専業で働くケースは少なく、一般的に他のメンタルクリニックなどで働きながらスクールカウンセラーも兼任する働き方が主流ですので、どのように働くかによって就職方法が変わってくるといった特徴があります。
ここからは、スクールカウンセラーになる方法について詳しく解説していきます。
公認心理士や臨床心理士の資格を取得する
スクールカウンセラーになるには、公認心理士や臨床心理士などの資格取得が前提となることが一般的です。
公認心理士は国家資格の1つであり、大学や大学院で指定科目を履修した上で試験に合格する必要があります。そのため、比較的難易度の高い資格と言えるでしょう。
一方、臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格であり、信頼性が高く多くの自治体や学校で採用要件に含まれている傾向にあります。
いずれの資格においても、心理学の理論だけでなく実践経験が求められますので、数年単位での取得計画を準備しておくことも重要です。
教育委員会か私立学校の公募に応募して採用される
スクールカウンセラーとして働くためには、一般的に各自治体の教育委員会や私立学校が行っている公募に応募して採用されることが必要です。
非常勤としての採用が多く、任用期間は年度単位で更新されることが多いといった傾向が見られます。
公立学校においては教育委員会が窓口となっているため、募集情報は各自治体の公式サイトに掲載されるのが一般的です。
一方、私立学校においては、独自の選考基準や採用基準を設けている場合もあり、事前に就職を希望するような私立学校のホームページで確認しておくことがポイントです。
専業以外の働き方が一般的
スクールカウンセラーの多くは非常勤として働くため、他のメンタルクリニックや大学での教授職と兼業するようなケースが一般的です。
例えば心理相談所や福祉施設で働きながら、週1〜2回程度スクールカウンセリング業務を担うといった働き方が挙げられます。
複数の学校を掛け持ちするような働き方も少なくなく、専業以外の働き方が一般的である点は、スクールカウンセラーを目指す上では知っておきたい知識となります。
このように、スクールカウンセラーは業務に関する専門的な知識だけでなく、自らのスケジュール管理や職場ごとの切り替え力が必要とされる点も特徴的な仕事と言えます。
スクールカウンセラー向けの資格
スクールカウンセラーになる上では、心理に関する専門資格の取得が基本的に必須となっていきます。
中でも公認心理士や臨床心理士、学校心理士の3つは代表的な資格であるため、応募条件として多くの求人で記載されている傾向が見られます。
ここからは、スクールカウンセラー向けの資格として3つ取り上げ、それぞれの資格について解説します。
公認心理士
公認心理士は、2015年に成立した公認心理士法に基づく心理職の国家資格になります。
資格を取得するためには、指定された大学や大学院において所定の科目の単位を履修することが必須です。
ルートによっては、国が認定する施設でのカウンセリングに関する実務経験を2年以上行わないと受験資格がないなど、ハードルの高さが見られる点が特徴です。
資格が取得できれば、心理的支援における専門家として医療や福祉、教育など幅広い分野で活躍が期待できますし、スクールカウンセラーとしても非常に有利にはたらくでしょう。
スクールカウンセラーの求人では、公認心理士があれば基本的に応募できると言われています。
参考:放送大学|資格取得とキャリアアップ「公認心理士」
臨床心理士
臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会によって認定される民間資格であり、受験するためには指定された大学院で特定のカリキュラムを満たしていることが求められるため、公認心理士と同じく、そもそも試験に挑戦するハードルが高い資格と言えるでしょう。
試験は筆記試験と面接試験の2つに分かれており、特に面接試験においては臨床心理士として求められる人間関係能力が問われますので、コミュニケーション能力やカウンセリング能力が重視される実践的な試験となっています。
もし資格が取得できると、スクールカウンセラーになる上で有利にはたらく事はもちろん、臨床心理士として医療機関を始めとした様々な場所で働けるようになります。
参考:公益財団法人|日本臨床心理資格認定協会「資格審査の実施」
学校心理士
学校心理士は日本学校心理士会が認定する資格であり、特に学校教育の現場において特化した心理支援を行う試験を図る資格試験となっています。
数ある心理系の資格の中でもスクールカウンセラーに特化した資格と言えますが、受験をするためには相談などの業務において2年以上の実務経験があるなど、所定の条件を満たす必要があります。
試験は年に1回しか行われておらず、入念に対策をすることが求められます。
特に学校内における研修や教員保護者等へのコンサルテーション活動を重視する自治体においては、学校心理士の資格を持っていることで、就職上有利になることもあるでしょう。
参考:一般社団法人学校心理士認定運営機構・日本学校心理士会|2025年度資格認定試験について
スクールカウンセラーになるメリットややりがい
スクールカウンセラーは生徒を始め、様々な人の心の支えとなっていることが実感できるやりがいのある仕事です。
人の成長に深く関われるだけでなく、社会的意義のある仕事に取り組める実感を持てれば、就職してよかったと感じることもあるでしょう。
ここからは、スクールカウンセラーになるメリットややりがいについて詳しく解説していきます。
社会的意義のある仕事に取り組める
スクールカウンセラーは、生徒の心の問題に向き合って安心して学べる環境を作るといった、重要な社会的役割を担っています。
いじめや不登校など、深刻な悩みに寄り添って状況の改善を支援することができれば、生徒の人生に良い影響を与えることができ、強いやりがいを感じられるといったメリットに繋がるでしょう。
また、教員や保護者との連携を通じて、学校や地域全体の心理的安全性を高める役割も果たせます。
自治体単位で自分の働きによって良い社会活動に繋げることができるなど、実は影響範囲の広い仕事となっていますので、社会のために自分の知見を活用していきたいと考えている人にぴったりの仕事です。
生徒の成長を間近で支えられる
スクールカウンセラーとして、生徒と日々関わる中で少しずつ前向きに変化していく姿を見れることは、非常に大きなやりがいと言えます。
最初は悩みすら打ちかけてくれなかった生徒が、徐々に心を開いて自分なりに歩んでいけるまでの1連の流れを支援することができれば、スクールカウンセラーとしての達成感も感じられるはずです。
また、生徒本人や保護者から直接感謝の言葉をもらえるということもあり、スクールカウンセラーとしての働きが他人の役に立っているという実感を持てる点も、就職するメリットややりがいと言えます。
とにかく信頼関係を構築して他人をサポートしていくような仕事に興味がある人は、スクールカウンセラーに就職するメリットを享受できるでしょう。
学校全体の心理的安全性の向上に寄与できる
スクールカウンセラーは、生徒一人一人への支援だけでなく、学校全体の心理的安全性の向上にも関与できる仕事のため、影響範囲の大きさにやりがいを感じやすい一面も見られます。
定期的に教員と会議を行ったり、いじめ防止の研修、保護者向けの相談会を通じて学校全体に自分の影響力を波及していくことが可能です。
もし学校全体に心理的安全性の風土を根付かせることができれば、生徒や教員の行動に大きな変化が生まれます。
そうした変化を自らの手で起こせるなど、個人サポートだけでなく学校という組織全体の改善のサポートの両面に携われる点が大きなやりがいと言えます。
スクールカウンセラーになるデメリットや注意点
スクールカウンセラーは、やりがいのある仕事ではある反面、他人の悩みを直接引き続けるような仕事であることから、自分自身の精神的な負担が重く持ちかかるといった注意点があります。また、専業として働くことが難しく、働き方として不安定になるといったデメリットも挙げられます。
他にも、関係者が多くなりやすいことから、コミュニケーション能力があったとしても連携に苦労することがあるなど、スクールカウンセラーならではのデメリットや注意点がありますので、それらをしっかり認識した上で就職を目指すのか検討すると良いでしょう。
1. 雇用形態など働き方が不安定になりやすい
多くのスクールカウンセラーは非常勤で雇用されることになりますので、勤務できる学校や日数が限定されており、働き方が不安定になりやすいといった注意点が挙げられます。
特に契約更新は年度ごとが主流であるため、長期的な雇用が保障されていないことは意識しておく必要があるでしょう。
また、働く学校によって業務内容や職場の雰囲気が大きく変わることもあり、環境に適応できるような柔軟性が求められます。他の職種と兼務をする場合は、職場ごとでうまく気持ちを切り替えられないと不安定な精神状態になりかねません。
2. 精神的な負担が大きくなる
スクールカウンセラーは、生徒や保護者から深刻な悩みを日常的に相談される立場のため、相手の負の感情に自分も影響されてしまい、精神的な負担が大きくなりやすいといったデメリットが挙げられます。
うまく自分自身のメンタルコントロールができないと、就職しても長く働くことは難しいかもしれません。
他にも、うまく自分がアドバイスできないことで生徒の状況が悪化してしまった場合は、自己嫌悪感に陥ってしまうことも考えられ、うまく自分自身をコントロールする力やストレス体制が求められる点は認識しておく必要があります。
3. 関係者が多く連携に苦労することも
スクールカウンセラーは生徒1人だけでなく、保護者や教員、関連する福祉機関など様々な関係者が関わってくるため、連携に苦労する点も注意点と言えます。
自分にとっては最良の選択肢を選んだつもりでも、価値観や方針の違いから意見が食い違ってしまい、うまく支援ができない状況にもどかしさを感じることもあるでしょう。
スクールカウンセラーを目指す人によくある質問
スクールカウンセラーとカウンセラーの違いは?
スクールカウンセラーは学校に勤務して、生徒や保護者、教員を主な対象として心理的支援を行う専門職です。
一方、一般的なカウンセラーは、医療機関や福祉施設などで相談業務を行う場合が多く、対象年齢や支援内容に違いがあります。
スクールカウンセラーは特に学校という特定の場において活躍できる仕事のため、精神面がまだ幼い未成年者のサポートをしていきたい人であれば、スクールカウンセラーを目指した方が良いと考えられます。
スクールカウンセラーになるための進学先は?
スクールカウンセラーを目指すためには、大学や大学院において心理学や教育心理学を専門的に学ぶ必要があります。特に公認心理士の資格を目指す場合は、それらの学部に加えて指定されたカリキュラムを履修することが求められるため、入学の前にしっかりと進学先を見定めることが大切です。
なお、大学や大学院で心理系のカリキュラムを履修することができれば、スクールカウンセラーだけでなく、他の心理系の職種に就職することもできるため、心理系の仕事につきたいと考えている人は少なくとも心理学が学べる進学先を選ぶ意識を持っておいてください。
まとめ
スクールカウンセラーは、教育現場において生徒の心理的な支援を行える専門職であり、生徒のみならず学校や地域全体に心理的安全性を提供できるやりがいの大きい仕事です。
就職する上では、公認心理士や臨床心理士などの取得が必須となるケースもありますので、大学や大学院で専門的な心理学に関する学びや実習が求められます。したがって、すぐに就職できるような仕事ではないと言えるでしょう。
どうしても他人の精神的な悩みを解消する仕事に就職したい場合は、スクールカウンセラー以外の選択肢も考えられます。どのような仕事に向いているか分からない場合は、就職エージェントに相談してみるのも1つの手です。




































