人手不足の業界ってどこ?【人手不足の問題点や原因も】

人手不足の業界ってどこ?【人手不足の問題点や原因も】

「人手不足の業界はどこなのか知りたい」と考えている方もいるかもしれません。人手不足の職場は仕事量が多かったり、離職者が多くなりがちだったりするなどの注意点がある一方で、求人数が多く未経験でも就職しやすいというメリットもあります。この記事では人手不足の業界を5つ紹介するとともに、その業界の問題点や原因についてご紹介します。

人手不足の業界

人手不足の業界

人手不足の業界は多々あります。そのなかでも特に深刻な人手不足に悩まされているといわれる、以下の5つの業界を紹介します。

  • 建設
  • 福祉
  • 飲食
  • 宿泊
  • 運送

それぞれの業界についてくわしく解説します。

建設

建設業界の人手不足の原因は、労働者の高齢化と、若手人材の流出の多さが考えられます。

55歳以上の労働者が大量に退職する未来が目の前に迫っているため、今後はいま以上に、人手不足が深刻になるとの予想もあります。

また、いわゆる「職人気質」の労働者が多い環境でもあることから、若手への指導も厳しいものになりがちです。こうした環境に耐えきれず、建設業界を離れる若手人材も少なくありません。

福祉

福祉業界の人手不足の原因は、仕事の大変さと賃金の安さです。やりがいを感じて天職だと考える人もいる反面、離職者も多くなかなかスタッフ数が足りていないのが現状です。

欧米などに比べると日本の介護職員の給料は低く「きつい仕事」といったイメージも色濃く残っているため、人材の流入が進んでいかないという現状もあります。

飲食

飲食業界の人手不足の原因は、短期離職の多さです。人件費が事業を圧迫しがちな飲食業界では、賃金の安いアルバイトやパートなどの非正規雇用の労働者を多く抱えています。

しかし、こうした人材は短期離職の傾向があります。就職や家庭の事情などで一定期間が経過すると辞めていくことが多く、結果として「常に人手不足」という現状が続いているのです。

また、飲食店は都市部を中心に競争が激化しており、開業後数年内の廃業も多いのが現実です。そのため従業員を長く雇いきれない飲食店も多く、その雇用の不安定さも、労働者が飲食業界を敬遠する原因のひとつとなっています。

宿泊

宿泊業界もの人手不足の原因は、労働環境の厳しさです。ホテルや旅館で働くと、基本的にはシフト勤務となります。そのため就業時間が不規則で、プライベートの予定も立てづらく、場合によっては深夜勤務が続くこともあります。

宿泊業界の給与水準は、ほかの業界と比べて高くはありません。小規模ホテルや小さな旅館は労働の大変さに見合うだけの給料を提示できないケースも多く、こうした「低賃金」という現状も、労働者離れに拍車をかけています。

運送

運送業界の人手不足の原因は、流通量の爆発的な増加です。ネット通販やフリマアプリの利用者が急増しているなか、運送を担う人材の数は追いついていません。

国としてもこうした現状を打破しようと、規制緩和によって配送業者が新たに参入しやすい政策を打ち出しましたが、これがかえって「多重下請け構造」を生み出す温床にもなっています。

低価格で仕事をけ負う零細企業が増え、結果として低い報酬でドライバーを募集する企業が出てきました。その結果従業員の質やモチベーションが下がるなど、運送業のイメージを悪化させてしまったところもあります。

人手不足による業界の問題

人手不足による業界の問題

人手不足に悩まされている業界には、共通する以下の3つの問題点があります。

  • 事業が縮小する
  • 残業時間が増える
  • 社員のモチベーションが低下する

それぞれの問題点について解説します。

事業が縮小する

人手不足が続くと、既存事業を縮小せざるを得ません。事業を進める人材がそもそもいないため、場合によっては事業の撤退を決意しなければならないケースも多いのです。

事業が縮小すると会社としての売上が立たず、その影響は従業員の給料やボーナス削減、手当カットなどのかたちで現れることがあります。

なんとか事業縮小を食い止められたとしても、少ない人数で業務を回していることに変わりはなく、従業員には多くの負担やストレスがかかったままになってしまいます。結果として人材が流出していってしまうといった悪循環が起こっているのです。

残業時間が増える

人手不足の業界では、従業員の残業が慢性化しているケースが少なくありません。少ない人数で事業を継続させるためには、一人ひとりの業務量が必然的に多くなるためです。

特に中小企業では、営業や事務、企画といった仕事をひとりの社員が並行しておこなっているケースも珍しくないため、結果として残業時間の多さにつながっているのです。

社員のモチベーションが低下する

従業員ひとり当たりの業務量が多い企業では、肉体的な疲労だけでなく、精神的な疲労も蓄積されていきます。人手不足の業界の賃金水準は総じて低いため「がんばっても報われない」といった状況に陥るケースも多く、仕事に対してのやりがいも持てません。

結果として従業員のモチベーション低下につながり、意欲が持てないなかでの業務のパフォーマンスは低下しがちなため、仕事がなかなか終わらないという悪循環につながっていってしまうのです。

人手不足している業界の原因

人手不足している業界の原因

人手不足に悩んでいる業界をみると、共通して以下の原因から深刻化していることが分かります。

  • 技術革新が進んでいない
  • 業務の「外製化」が進んでいない
  • 労働環境が悪い

それぞれの原因について見ていきます。

技術革新が進んでいない

たとえば、定型的な業務は機械に任せる、対面でおこなっていたサービスを自動化する、といった技術革新は、どの業界でも喫緊の課題となっています。しかし人手不足の業界では、そもそもこうした技術革新を進める人材が不足しています。

仮にこうしたスキルや知見を持っている人がいたとしても、そういった人は労働環境がよく賃金の高い業界や企業に行ってしまうため、社内にノウハウが蓄積されていきません。

結果として技術革新が遅々として進まず、従来の「アナログな業務」を人力でなんとかこなしているといった企業が、人手不足の業界には特に多いのです。

業務の「外製化」が進んでいない

外製化とは、事務作業をはじめとする業務を社外の専門企業に任せることで「外注」や「アウトソーシング」とも呼ばれます。

外製化の大きなメリットは、社内の少ない人数でも業務を回せるようになることです。手間のかかっていた事務作業を社外に任せることで、自社の中核事業や、新規事業の創出に人員を割けるようになるなど、ビジネスの面での貢献も大きなものがあります。

外製化はメリットが大きい施策ではありますが、人手不足の業界では、そもそも外製化を進める人材がいない、といった現状もあります。

外製化のためには、その業務を請け負う専門企業との調整や、マニュアルの作成、社内の業務フローの見直しなど、細々とした作業が多く発生します。

この先の未来を考えると、外製化に伴う業務量の一時的な増加を堪える企業も多い一方で、「目の前の業務に手一杯」といった状況から、外製化に踏み出せない企業も多いのです。

労働環境が悪い

たとえば残業時間の多さや、賃金の少なさ、売上低下に伴う社員の士気低下など、労働環境に問題を抱えている企業は少なくありません。

もちろん、改善したくてもそもそも人がいないので「従業員に我慢してもらうしかない」といった企業も多くあります。

一方で「この人数でもなんとか回せているから」と、社内環境の整備を後回しにした結果、気づいたら社員が疲弊しきっていたり、離職者が続出して人手不足に陥ったりした企業も多いのです。

「あの業界はキツそう」といったイメージが蔓延してしまうと、その業界への入社者も減っていってしまいます。こうした事情からも、労働環境の改善は、社員が長期的に、そして安心して働くために欠かせないものといえるのです。

人手不足業界の行うべき対策

人手不足業界の行うべき対策

人手不足を解決していくためには、主に以下の対策が求められます。

  • 働き方改革に取り組む
  • 業務の自動化を進める
  • ブランディングを強化する

それぞれの対策についてお伝えします。

働き方改革に取り組む

働き方改革は、人手不足問題を解決するひとつの「糸口」となることが期待されています。

そもそも働き方改革とは、労働者を増やしたり、労働生産性を向上させたりするために、労働環境の問題を改善していく政策のことです。たとえばテレワークを導入する、男女ともに子育てしやすい制度を手厚くする、といった施策も働き方改革のひとつです。

外部のフリーランス人材に社内プロジェクトに参画してもらい、効果的にスキルを発揮してもらうといった動きを進める企業も増えています。

働き方改革への取り組みは、残業時間の抑制や生産性の向上になるだけでなく、外部への「アピール」としての機能も持つため、業界全体のイメージアップにもつながります。

もちろん、初期投資が必要だったり慣れるまでは社内の混乱を招いたりする可能性もあるなどの注意点もあります。

しかしいま手を打っておかないと、さらに厳しい未来が待っているのも事実です。働き方改革は、人手不足に悩まされている業界が今すぐにでも取り組むべきものといえるのです。

業務の自動化を進める

たとえば建設業界ではICT技術の導入を国が推進し、業務の自動化が進められています。飲食業界では料理のオーダーをタッチパネル方式に変えるなど、店員を減らし、人件費の抑制を図るケースも多くなっています。

このように業務の自動化は多くの業界で進められていますが、一方で従来の業務や慣習をそのまま踏襲している企業もまだまだあります。

いまは、経費精算や、営業売上の集計など、社内の細々とした業務を効率化させるソフトウェアの開発も盛んです。こうしたツールも活用しつつ業務を自動化し、社内のコアな業務に人員を割いていくことが、人手不足に悩む業界には特に求められるでしょう。

ブランディングを強化する

ブランディングとは、社外から見たイメージを創造する取り組みのこと。たとえば採用ホームページをリニューアルし、社内の雰囲気をより伝えられるコンテンツをつくる、といった取り組みもブランディングのひとつです。

広報部門を新設し、働き方改革などのアピールを対外的に知らせるといったことも会社のイメージアップには効果的です。

ブランディングがうまくいくと、求職者の注目を集められるようになります。「仕事がキツそう」「給料が低そう」といったイメージを、「なんか楽しそう」「やりがいがありそう」といったイメージへと転換できる力を、ブランディングは持っているのです。

人手が足らず困っている業界こそ、ブランディング戦略を綿密に立て、実行に移すことが求められるでしょう。

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