

本に関わる仕事は、作家や編集者などのコンテンツ制作職、出版社や印刷会社でのビジネス職、出版取次、書店員、司書など、多様な職種が存在します。これらの仕事の中には、業務で本を読めるものもあれば、読めないものもあります。
1冊の本が読者に届くまでには、「執筆→編集→出版→販売→読者」という多くの工程があり、この工程に関わる職業はすべて本に関わる仕事と言えます。
本に関わる仕事に就くためには、単に読書が好きというだけでなく、ビジネスとして捉え、仕事でどのような価値を発揮できるかをアピールすることが重要です。記事を参考に本に関わる仕事を探していきましょう。
- 「本に関わる仕事の種類」を解説し、「本に関わる仕事17選」も詳しく紹介
- 「本に関わる仕事」には、本を読める仕事もあれば、読めない仕事もあることを知ろう
- 読書好きは大前提。あなたが仕事でどんな価値を発揮できるかが重要
この記事の目次
本に関わる仕事の種類
本に関わる仕事は、意外と種類が多くあります。
1冊の新刊が我々の手元に届くまでには、「執筆→編集→出版→販売→読者」というように多くの工程を経ています。そのため、この工程に関わる職業は、すべて本に関わる仕事と言えます。
ここでは、本が読者の手元に届くまでの各工程に分け、本に関わる仕事はどんな種類で分けられるのかについて解説します。
本を書く仕事
まず、本ができる上ですべての起点となるのが「本を書く仕事」です。作家をはじめ、文章を書く人が原稿を執筆することで、出版のプロジェクトがスタートします。
本を書く仕事は直接的に本を生み出す仕事となりますが、同時に他の本を読んだ上で自分の作品の参考にすることもありますので、仕事の上で本を読む機会も多いでしょう。
また、本を書くために必要に応じて取材をすることもあります。常に机の前に座って執筆活動をするだけではないことを知っておいてください。
執筆業があるからこそ本に関わる他の仕事も存在するため、執筆者の文章力や想像力がスキルとして強く求められます。
本の制作や編集に携わる仕事
作家が執筆した原稿は、そのまま本になるというわけではありません。原稿が読者に受け入れられるかどうかの判断や、誤字脱字や誤情報のチェックや修正など、編集作業に携わる仕事も忘れてはならないポジションです。
また、本に関わる仕事という意味では、表紙や文中に挿入するグラフィック、つまりデザインの仕事も作品に華を添える重要な役割です。そのため、文章の読み書きが苦手であっても、デザインスキルがあれば本に関わる仕事はできると言えます。
他にも、どんな本を出版して売り上げに繋げるかといった、出版社におけるビジネス職であったり、実際に完成した本を大量生産する印刷会社におけるビジネス職も、この工程で重要な仕事を行っています。
本の出版や流通に関わる仕事
原稿や装丁など本の生産に必要な材料が揃ったら、読者の手に届けるための出版をする工程に入ります。
本は紙でできていますので、大型プリンタを使って印刷する作業がありますし、製本する作業もあります。このような作業スタッフも本に関わる仕事と言えます。
他にも、完成された大量の本を書店に直接販売する、本の流通を行う出版取次といった仕事もあります。
本を手に取る人に関わる仕事
ここまでの工程で、本は読者の手元にすぐに手渡せる状態になっていますが、実際に読者に販売するのは書店員です。そのため、本に関わる仕事として書店員も挙げられるでしょう。
他にも、本に関わるという広い意味で言えば、大量の漫画や本が読み放題のネットカフェ店員も挙げられます。
この工程では「店が保有している本を販売する・貸す」という業務が主となりますので、仕事の難易度的にもアルバイトやパートといった働き方の人も多くなってきます。
気軽に本に関わる仕事に挑戦したいのであれば、この工程の仕事から始めてみるのもいいかもしれません。
出版された本そのものに関わる仕事
本への関わり方は、作り出すだけでなく「読む」という形式も考えられます。例えば本を読んで感想や要約をまとめるといったブロガーも、本に関わる仕事と言えるでしょう。
また、図書館司書も本に囲まれながら毎日を過ごせる仕事として有名です。
本に関わる仕事17選
本に関わる仕事はたくさんありますので、ここからは本への関わり方の種類別に合計17職種の仕事をご紹介します。
それぞれどんな人に向いているのかをまとめつつ、仕事内容も解説しますので、気になる仕事を見つける参考にしてみてください。
1. 小説家
小説家は、まさに「本を執筆する」という点において本に直接関わることができる仕事です。
人によって異なりますが、小説家として扱うジャンルは純文学・推理小説・SF・ファンタジーなど多岐に渡ります。最近では、漫画のような読みやすさを備えたライトノベルも人気です。
小説家にはストーリーのアイデアはもちろん、物語の展開や情景描写など、あらゆる要素を文字だけで表現していくための高い文章力が求められます。
平均年収 | 100万円~300万円(駆け出しの小説家の場合) |
役に立つ資格 | 特になし |
必要なスキル | ・文章力 ・構成力 ・表現力 |
向いている人 | ・物語を書くことが好きな人 ・想像力が豊かな人 ・自分の考えを発信したい人 |
2. エッセイスト
エッセイストは、自身の経験や考えをまとめた文章を出版する、という理由から本に関わることができる仕事といえます。
エッセイは、小説とは異なるジャンルの作品として確立しています。
有名人が「エッセイ本」を出版するなど、副業として仕事にする人も珍しくありません。
エッセイストを本業にしたい場合には、まずは「エッセイコンクール」などで受賞を目指すことが一般的です。
平均年収 | 100万円〜300万円 |
役に立つ資格 | 特になし |
必要なスキル | ・文章力 ・表現力 ・洞察力 |
向いている人 | ・人の心に響く文章を書きたい人 ・自分の経験や考えを伝えたい人 ・抽象的なことを言語化するのが得意な人 |
3. 絵本作家
絵本作家は、子供たちの想像力を育む絵本を作る、という点で本に関わることができる仕事です。
ストーリー構成や作画、執筆などをひとりで行うケースが多いですが、作画と執筆を分担して創作をする場合もあります。
絵本はロングセラー作品が多いため、絵本作家として新たにデビューするのは難しい傾向があります。
そのため専業で活動している人は少なく、ほかの仕事と並行しながら兼業の絵本作家として創作に励んでいる人が少なくありません。
平均年収 | 424万円~790万円 |
役に立つ資格 | 特になし |
必要なスキル | ・画力 ・構成力 ・発想力 ・表現力 |
向いている人 | ・絵を描くことが好きな人 ・子供の気持ちをくみ取れる人 ・子供の成長に関わりたい人 |
4. ライター
ライターは、書籍の執筆に携わる、という点で本に関わることができる仕事です。
雑誌を中心に、Webメディアや新聞、フリーペーパーなど、活躍の場は多岐に渡ります。また、いわゆる“ゴーストライター”として有名人に代わって本を執筆する人もいます。
業務委託の案件も多く、他の仕事に比べると気軽に始めやすいため、まずは副業としてWebライターに挑戦するのもおすすめです。
平均年収 | 415万円 |
役に立つ資格 | ・Webライティング技能検定 ・SEO検定 |
必要なスキル | ・ライティング力 ・リサーチ力・編集力 |
向いている人 | ・文章を書くことが好きな人 ・分かりやすく説明できる人 ・フットワークが軽い人 |
出典:マイナビエージェント「ライター・編集・制作・校正|職種別平均年収ランキング」
5. 翻訳家
翻訳家は、海外の書籍を日本語に翻訳する、という点で本に関わることができる仕事です。
高い語学力に加え、国ごとの表現方法の違いを理解する力や、それぞれの文化の特性を理解した文章を作るための幅広い知識も必要です。
また、多くの翻訳家はフリーランスで活動しており、独立して生計を立てていくには営業力も欠かせません。
平均年収 | 571.7万円 |
役に立つ資格 | ・翻訳実務検定 ・TOEIC ・実用英語技能検定 |
必要なスキル | ・高い語学力 ・専門分野に関する知識 ・翻訳スキル ・情報収集力 |
向いている人 | ・語学力が高い人 ・文化の違いを理解できる人 ・リサーチ力が高い人 |
出典:厚生労働省「翻訳者 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))」

6. 編集者(エディター)
編集者は、本の著者と直接やり取りをする、という点において本に関わる仕事といえます。
現在の読者に“うける”内容にする必要があるため、今はどんな本が人気なのか?といったトレンドを理解しておくことが大切です。
仕事上、本を読む機会も多く、幅広い知識や経験が求められる仕事でもあります。
なお、編集者になるには就活や転職で出版社に就職することが一般的です。
平均年収 | 571.7万円 |
役に立つ資格 | ・DTPエキスパート ・校正技能検定 |
必要なスキル | ・企画力 ・編集力 ・校正力 ・交渉力 |
向いている人 | ・人の気持ちを深く理解できる人 ・交渉が得意な人 ・責任感がある人 |
出典:厚生労働省「図書編集者 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))」
7. 校正
校正は、書籍に誤字脱字や文法のミスがないかを確認する仕事のため、本に関わることができる仕事といえます。
「校正によって本のクオリティが高まる」とも言われるため、本作りにおいて非常に重要な役割を担っています。
出版予定の作品に直接携われるため、本に関わっている実感を手にしやすいことが魅力といえるでしょう。
出版社に勤めるだけでなく、フリーランスの校正者として働くことも可能です。
平均年収 | 415万円 |
役に立つ資格 | 校正技能検定 |
必要なスキル | ・高い日本語力 ・校正記号の知識 ・リサーチ力 |
向いている人 | ・集中力がある人 ・正しい言葉遣いができる人 ・細かい作業が得意な人 |
出典:マイナビエージェント「ライター・編集・制作・校正|職種別平均年収ランキング」
8. 出版社ビジネス系職
出版社のビジネス職は、本の企画や営業、マーケティングなどの仕事を通して本に関わることができます。
本をどのように売り出すかを企画し、世の中に送り出す役割を担うため、まさに本の売上に直結する仕事といえるでしょう。
本をビジネスとして捉え、売上に貢献する施策を考えることが必要な仕事のため、単に「本が好き」というだけでは採用されない可能性があります。
平均年収 | 350万円~800万円 |
役に立つ資格 | ・DTPエキスパート ・日商簿記検定 ・ファイナンシャルプランナー |
必要なスキル | ・マーケティングスキル ・営業スキル ・交渉力 |
向いている人 | ・ビジネスに興味がある人 ・さまざまなジャンルの本を読む人 ・交渉が得意な人 |
9. 印刷会社ビジネス系職
印刷会社のビジネス職は、出版会社への営業などを通して本に関わることができます。
出版会社から依頼を受け、印刷計画を立案したり、関係各所と調整したりすることが主な仕事です。
印刷作業は別のスタッフが担当するため、「本に関わっている」という感覚は他の仕事に比べると得にくいかもしれません。
一方で、本以外の印刷物も扱うことが多いため、人によってはさまざまな印刷物に関われるのはメリットに感じられるでしょう。
平均年収 | 400万円~500万円 |
役に立つ資格 | ・DTPエキスパート ・色彩検定 |
必要なスキル | ・印刷工程の知識 ・工程管理スキル ・品質管理スキル ・交渉力 |
向いている人 | ・コミュニケーション力が高い人 ・営業に興味がある人 ・チームで仕事をするのが好きな人 |
10. デザイナー
デザイナーは、本の挿絵やブックカバーなどのイラストを描くことから、本に直接関わることができる仕事といえるでしょう。
優れたデザインは多くの人の目を惹きつけ、本を手に取ってもらうきっかけになるため、本の出版においてデザイナーは重要な役割を担っています。
なお、雑誌全体の構成を決定する「エディトリアルデザイナー」と呼ばれる仕事もあります。
平均年収 | 509.3万円 |
役に立つ資格 | ・Illustratorクリエイター能力検定 ・Photoshopクリエイター能力検定 |
必要なスキル | ・デザインソフトの操作スキル ・デッサン力 ・色彩感覚 ・発想力 |
向いている人 | ・デザインスキルが高い人 ・責任感がある人 ・トレンドに敏感な人 |
出典:厚生労働省「ブックデザイナー – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))」

11. 出版作業スタッフ
出版作業スタッフは、本の印刷や製本、梱包など、本の製造に関わるさまざまな作業を行う、という点で本に関わることができる仕事です。
決められた作業を行うことが多いため、出版作業スタッフには特別なスキルはあまり求められません。
未経験からでも応募できる求人が多いため、「とにかく本に関わる仕事がしたい」という人がはじめに挑戦する仕事としておすすめです。
平均年収 | 444.3万円 |
役に立つ資格 | DTPエキスパート |
必要なスキル | ・機械操作のスキル ・品質管理の知識 |
向いている人 | ・単純作業でも集中力が途切れない人 ・細かい作業が得意な人 ・仕事で本が読めなくてもいい人 |
出典:厚生労働省「印刷オペレーター – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))」
12. 出版取次
出版取次は、出版社が発行する本を仕入れて書店へ送る仕事のため、本に関わることができる仕事といえます。
出版社が発行する本は、出版取次を経由して書店に委託販売される形が一般的です。出版取次は出版社と書店をつなぐ存在のため、“本の専門商社”といわれることもあります。
なお、あくまでも本を取り次ぐ仕事なので、業務のなかで本を読める機会が少ないことは理解しておきましょう。
平均年収 | 489万円 |
役に立つ資格 | 特になし |
必要なスキル | ・出版業界の知識 ・物流の知識 ・営業スキル ・交渉力 |
向いている人 | ・計算が得意な人 ・マーケティングに関心がある人 ・交渉が得意な人 |

13. 書店員
書店員は本屋で働く仕事のため、常に本に囲まれた環境で仕事ができます。
基本的な業務はレジ打ちや接客です。書店によっては書棚の陳列を考えたり、新刊のポップを作ったりするような仕事を任されることもあります。
正社員として働く場合は、売上の計算や、アルバイトの管理なども業務に加わります。店舗経営に必要な知識を身につけたい人は、本屋の正社員求人に応募してみましょう。
平均年収 | 361万円 |
役に立つ資格 | 販売士 |
必要なスキル | ・本に関する幅広い知識 ・接客スキル ・売場作りの知識 |
向いている人 | ・本が好きな人 ・立ち仕事でもOKな人 ・常に最新の本に触れていたい人 |
出典:厚生労働省「書店員 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))」
14. ネットカフェ店員
ネットカフェの店員は、漫画や雑誌が置かれているネットカフェで働ける、という点で本に関わることができる仕事といえます。
ネットカフェ店員の主な仕事は、受付や清掃です。
多くの漫画や本に囲まれて働けますが、店舗の運営に関わる業務が多いので、書店員などと比べると本に関わっている感覚は手にしづらいかもしれません。
落ち着いた空間で働けるので、静かな環境で働きたい人には適した仕事といえるでしょう。
平均年収 | 434万円 |
役に立つ資格 | 特になし |
必要なスキル | ・接客スキル ・パソコン操作スキル ・設備管理の知識 |
向いている人 | ・落ち着いた空間で働きたい人 ・間接的に本に関われればOKの人 ・接客業に抵抗がない人 |

15. レビュアー(ブロガー)
レビュアーは読んだ本の感想を書く仕事のため、本に関わる仕事といえるでしょう。
レビュー記事を自身のブログ内などで執筆し、それを読んだ読者が本のリンクを経由して購入することで収入を得られます。また、依頼を受けてレビューを書くこともあります。
ただし一件あたりの報酬が低いため、お小遣い程度の収入にしかならないケースも珍しくありません。
レビュアーとして安定した収入を得るのは難しいため、基本的には副業として取り組むことが一般的です。
平均年収 | 5万円~30万円 |
役に立つ資格 | ・Webライティング技能検定 ・SEO検定 |
必要なスキル | ・文章力 ・表現力 ・分析力 ・情報収集力 |
向いている人 | ・読んだ本の感想を発信したい人 ・分かりやすく伝えるのが得意な人 ・幅広いジャンルの本を読む人 |
16. 図書館司書
司書は図書館の蔵書を管理する仕事のため、常に本に囲まれて仕事ができます。
本の管理以外に、受付や貸出業務、イベントの企画・立案など、幅広い業務を担います。
司書として働くには「図書館司書」の資格が必要です。資格取得に必要な科目を大学などで履修するか、司書講習を受けることで資格を得られます。
平均年収 | 551.4万円 |
役に立つ資格 | 司書資格 |
必要なスキル | ・図書館の専門知識 ・図書分類の知識 ・情報収集力 |
向いている人 | ・本に囲まれて仕事をしたい人 ・昔の本を読むのが好きな人 ・人の役に立ちたい人 |
出典:厚生労働省「図書館司書 – 職業詳細 | job tag(職業情報報提供サイト(日本版O-NET))」
17. 大学教授
大学教授は論文や研究レポートを執筆する際に学術書を参照することが多いため、本に関わる仕事といえます。
学生に教えるだけでなく、自身の研究を学会で発表する機会も多いため、中学・高校などの教師とは異なり「研究者」としての側面があることが特徴です。
大学教授のなかには、自身の研究結果をまとめた本を出版する人も少なくありません。
平均年収 | 1074.7万円 |
役に立つ資格 | 教育機関の博士号 |
必要なスキル | ・専門分野の深い知識 ・情報収集力 ・プレゼンテーション力 |
向いている人 | ・学術的な本に興味がある人 ・専門分野を極めたい人 ・学生の成長をサポートしたい人 |
出典:厚生労働省「大学・短期大学教員 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))」
本に関わる仕事に向いている人|職種別に紹介
本に関わる仕事に向いている人の特徴を、次の5つの職種に分けて紹介します。
- 本を書く仕事に向いている人
- 本の制作や編集に向いている人
- 本の出版や流通に向いている人
- 本を手にする人と接する仕事に向いている人
- 出版された本に関わる仕事に向いている人
本を書く仕事に向いている人
小説家やエッセイストのような本を書く仕事は、次のような人に向いています。
- 好奇心旺盛な人
- コミュニケーション力が高い人
- 時間管理能力が高い人
こうした特徴は、本を出版するまでに必要な多くの工程をスムーズに進めるうえで役に立ちます。
たとえば好奇心は、読者の興味を引くようなテーマや題材を見つけるために必要です。
コミュニケーション力は、編集者やデザイナーなど、さまざまな人と協力して本を作り上げていくうえで不可欠といえるでしょう。
本を書く仕事は“締め切りとの戦い”ともいえるため、決められた日時までに計画的に書き進めるための時間管理能力も重要です。
本の制作や編集に向いている人
本の制作や編集は次のような人に向いています。
- 丁寧な作業が得意な人
- 協調性がある人
- 常にアンテナを張っている人
丁寧な作業が得意な人は、内容の誤りや矛盾を見つける校正作業で力を発揮できるでしょう。
協調性がある人は、本の制作に関わるさまざまな人と円滑にやり取りしつつ、意見を調整しながら制作を進められます。
本の制作や編集は、社会の動向や、読者の興味関心の変化をいち早く察知し、新しい視点を取り入れた企画の立案が求められます。
そのため、世の中に常にアンテナを張っている人は編集者として活躍できるでしょう。
本の出版や流通に向いている人
本の出版や流通に関わる仕事は、次のような人に向いています
- 交渉力のある人
- 行動力のある人
- 計画性のある人
より良い条件で本の取引を成立させたり、新しい販売ルートを開拓したりするためにも交渉力は欠かせません。
どのような本が売れているかを書店に行って確かめるような行動力がある人は、自分の目で見た“リアルな情報”を出版や流通に活かせるでしょう。
綿密な計画を立てつつ、各工程の進捗状況を管理しながら遅延なく出版を進める必要があるため、計画性がある人にも適した仕事といえます。
本を手にする人と接する仕事に向いている人
書店員など、本を手にする人と接する仕事は次のような人に向いています。
- 本の知識が豊富な人
- コミュニケーション力が高い人
- サービス精神が旺盛な人
本の知識が豊富な人は、お客さんの質問に的確に答えたり、それぞれの好みに合った本を薦めたりできます。
「どんな本を求めているか」をお客さんとの会話の中から理解し、適切な提案をする必要もあるためコミュニケーション力が高い人にもおすすめです。
お客さんが悩んでいる場合には本を一緒に探したり、関連書籍を紹介したりするなど、こうした行動が自然とできる人も書店員として活躍できるでしょう。
出版された本に関わる仕事に向いている人
レビュアーや司書、大学教授など、出版後の本に関わる仕事は次のような人に向いています。
- 幅広いジャンルの本を読んでいる人
- 分かりやすく説明できる人
- 新しい情報をチェックしている人
ジャンル問わず本を読んでいる人は、たとえばレビュアーとしてさまざまな本を紹介できますし、司書であれば“本のアドバイザー”として利用者のニーズに合った本を薦められます。
本の魅力を的確に表現することが求められるレビュアーや、専門的な内容を噛み砕いて学生に伝える必要がある大学教授の仕事では「分かりやすく説明できる」という強みが欠かせません。
毎年多くの本が出版されることから、過去の書籍だけではなく、最新の出版情報もチェックしている人もレビュアーや司書などの仕事で活躍できるでしょう。
本に関わる仕事では本を読めるのか
本に関わる仕事に興味がある人は、「本を読むことそのものを仕事にしたい」と思っていることも多いのではないでしょうか?
ここからは、これまでご紹介した本に関わる仕事で、実際に本を読めるのかどうかについて解説します。
読める仕事もあれば読めない仕事もある
最初に結論をいうと、本を読める仕事もあれば読めない仕事もあります。
例えば、作家であれば本を書くことがメインですが、仕事の中で本を読むことも多くあるでしょう。一方、校正の仕事では本を読むというよりも文章のチェックという側面が強く、本を仕事で読めるとは言えません。
仕事によっては物理的に本に触れられるだけで、作品を読んで味わうような余裕はないものもあります。仕事内容をしっかりと調べ、あなたが望むような形で本を読める仕事かどうかを判断していくと良いでしょう。
好きな本が読めない場合も
本が読める仕事であっても、自分が好きな本を読めない場合もあります。
例えば、出版社であれば新刊やまだ世に出ていない本を読めますが、図書館司書は新刊に触れることは難しく、古い本を読むことがメインになります。
それ以外にも、本のジャンルなど、自由に本を読んで働ける仕事はほぼないと考えてもいいレベルでしょう。
好きな本だけを読んでいたいのであれば、仕事ではなく趣味として向き合った方がいいかもしれません。
本を読むことが仕事になるケースもある
編集者やレビュアーなど、本を読むことそのものが仕事になるケースもあります。
業務上本を読む必要があるのは、本の制作や編集に関わる仕事か、出版された本そのものに関わる仕事の2パターンと考えておくと良いでしょう。
ただ、いずれの場合も本を読んで何かをアウトプットするということが求められるため、単に本を読んで稼ぐということはできません。本が好きというだけでは仕事は務まらないということを理解しておいてください。

本に関わる仕事に就くための方法
本に関わる仕事に就くためには、大きく3つの方法があります。
ただ、これ以外にも、例えば作家の場合はコンクールで受賞するなどの方法がありますので、仕事によって若干変わってくることはあらかじめ認識しておきましょう。
求人サイトで検索する
まずは、気になる仕事を求人サイトで検索してみるのがおすすめです。求人サイトでは、校正や出版作業スタッフといった未経験でもできる仕事が多く掲載されている傾向にあります。
職種としてはクリエイティブ系の仕事として分類されていることもありますが、迷ったらフリーワードで気になる仕事の名称を入力しても問題ありません。
気になる求人を見つけられたら、なるべく早めに応募しましょう。本に関わる仕事は募集枠が少ないことも多く、また求人が掲載される機会も少ないため、できるだけ早い行動がおすすめになります。
就職エージェントに紹介してもらう
本に関わる仕事は非常に人気で応募も多い傾向にあることから、求人サイト等に広く公開されない「非公開求人」として募集されていることもあります。
非公開求人に応募するには、就職エージェントから求人を紹介してもらう方法があります。就職エージェントは数多くの非公開求人を紹介できる立場ですので、どんな形で本に関わりたいのかを伝えて求人を探してもらいましょう。
また、就職エージェントでは求人紹介だけでなく、面接対策や応募書類の添削も実施してもらえます。就職成功率を高める期待も持てますので、まずは登録してみるのがおすすめです。
企業のホームページから直接応募する
本の制作そのものに関わりたい場合は、出版企業のホームページから直接応募するのも一つの手です。企業ホームページから応募する場合は、ホームページに掲載されている「採用情報」などのタブから求人が見つけられますので参考にしてみてください。
ちなみに、求人サイトや就職エージェント、企業ホームページからの直接応募といった手段の違いによって、選考の有利不利が変わってくることはありません。
気になっている仕事が募集されていたら、手段はなんでも構いませんのですぐに応募するのがポイントです。


本に関わる仕事に就く時の注意点
最後に、本に関わる仕事に就く時の注意点を4つご紹介します。
これらの注意点をしっかり理解しておくことで、就職成功率が高められるかもしれませんので、目を通しておくようにしてください。
読書が好きなだけでは務まらない
本を読むのが好きというだけでは、本に関わる仕事に就くことは難しいでしょう。
むしろ、読書好きというのは前提として、自分はどんな価値を仕事で発揮できるかをアピールすることが大切です。
本に関わる仕事は、どこまでいってもビジネスになります。そのため、マーケティングや本を作るスキルが面接では重視されます。
「本が好き」というアピールをしただけでは面接官に興味を持ってもらうことは難しいでしょう。
高卒以上の学歴が望ましい
出版業界の求人は倍率が高いことから、高卒以上の学歴であることが望ましいと考えられます。
特に編集者や校正など、本のクオリティに直結するような仕事の場合、応募資格に大卒以上などの条件が設けられていることもあるので注意しましょう。
応募条件としてどれくらいの学歴が求められるかは、求人票に記載されていることがほとんどです。本に関わる仕事をしたいのであれば、まずは求人票を読み込むことから始めてみてください。
経験者を募集する求人にいきなり応募しない
繰り返しになりますが、本に関わる仕事は人気の高い仕事になります。また、業界特有のルールや仕事の進め方があるため、どうしても経験者が優遇されやすい傾向にあります。
もし未経験から本に関わる仕事を始めたいのであれば、未経験者の応募を歓迎する求人に応募するよう意識してください。
未経験者歓迎と記載されていなかったり、経験者を募集していることが書かれていたりする求人に応募しても、書類通過で見送られる可能性が高いです。
キャリアパスを考えておく
校正→編集→作家など、本に関わる仕事は比較的キャリアパスが明確に考えられるといった特徴があります。
自分はどのように本と関わっていきたいのかを考え、キャリアパスに落とし込んでおくことは面接対策にも繋がります。
そもそもキャリアパスをどうやって描けば良いかわからないという人は、就職エージェントに相談してみるのも良いでしょう。


まとめ
1冊の本ができるまでには、非常に多くの仕事が関わっています。この記事で紹介した17個の仕事以外にも、たくさんの仕事がありますので、実際に求人を探してみると良いでしょう。
また、本に関わる仕事は非常に人気のため、いきなり応募しても選考に通過できない可能性が考えられます。自己分析や企業研究といった面接対策を念入りに行っておくことが重要であることを認識しておいてください。


