パートと正社員の違いを解説【同一賃金同一労働法が与える影響も】

パートと正社員の違いを解説【同一賃金同一労働法が与える影響も】

「パートと正社員の違いを知りたい」と思っている方もいるのではないでしょうか。この記事では仕事内容や雇用契約、給与といった点をもとに、パートと正社員の違いをそれぞれご紹介します。「同一賃金同一労働法」がパートに与える影響も解説しますので、これからパートで働こうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

パートと正社員の違い

パートと正社員の違い

パートと正社員の違いは、あらゆる側面から指摘できます。特に以下5つについては、その違いが顕著です。

  • 法律的な違い
  • 仕事内容の違い
  • 給与の違い
  • 待遇の違い
  • 安定性の違い

それぞれの違いについて解説します。

法律的な違い

まずは法律的な違いに目を向け、パートと正社員の違いをご紹介します。

パート

パートは「パートタイム労働法」という法律によって守られた人のことを指します。具体的には、雇用期間の定めがない社員がパートタイム労働者と呼ばれます。

ちなみに、国内で働くすべての人の労働条件を定めた「労働基準法」という法律もあり、この法律上ではパートも「労働者」として規定されています。

ただし、労働基準法だけではパートの給与格差などの問題が解消されませんでした。そこでパートのみに適用される「パートタイム労働法」がつくられた、という経緯があるのです。

正社員

正社員は、パートと同じく「労働基準法」によって守られた人のことです。そもそも正社員という言葉は法律用語ではなく、正しくは「労働者」と呼ばれます。

一般的には、雇用期間の定めなく働く社員を「正社員」と呼ぶ会社が多い傾向にあります。

仕事内容の違い

パートと正社員は、仕事内容にも違いがあります。それぞれの違いについてご紹介します。

パート

まず「パートだからこの仕事」といった縛りは基本的には存在しません。なぜなら仕事内容に関して、パートと正社員で業務を明確に定義した法律はないからです。

ただし実際は、正社員よりも簡単な仕事を任せられているケースが少なくありません。たとえば飲食店では配膳、スーパーではレジや品出しといった限られた仕事を担当することが多く、こうした「単純作業」と呼ばれる業務を、パートの仕事と定めている店舗が多いのも事実です。

正社員

正社員は、パートと比べると責任の大きな仕事を任されます。たとえば飲食店の場合には、スタッフの育成、シフトの調整、販売戦略の立案や売上管理といった業務を担当することが多い傾向にあります。

こうした仕事は「頭脳労働」とも呼ばれ、単純作業のように明確なマニュアルは存在しません。スキルや経験が頼りになる仕事でもあり、特定の領域で実績を積み重ねた社員がこのような仕事を正社員として任される傾向もあるのです。

給与の違い

次に、給与の違いを見ていきましょう。

パート

給与についても、実は仕事内容と同じく、法律的にはパートと正社員との間に違いはありません。ただし、パートの給料は正社員よりも低く設定されていることがほとんどです。

多くのパートは時給で働いていますが、正社員も時給で雇えるため「時給だからパート」という考えは誤りです。さらには、パートであってもボーナスや退職金を受け取れるケースもあるため「パートにボーナスや退職金を出す会社はない」という認識も間違いです。

会社の規定によって支給されるかどうかは変わりますが、求人への応募の際にはボーナスなどの待遇の有無についても確認してみると良いでしょう。

正社員

正社員の給料は、一般的に固定給です。「毎月20万円」など、月々もらえるお金があらかじめ決められている傾向にあります。

また、パートにはボーナスや退職金の支給をしていないけれど、正社員には支給しているという会社も珍しくありません。パートより正社員の給料が高いといった点も、ほとんどの会社に共通しています。

待遇の違い

パートと正社員には、待遇において以下のような違いがあります。

パート

パートは、福利厚生などの待遇が乏しい傾向にあります。店舗などで働いている場合は社割などを使えることがありますが、特別休暇の適用や研修の費用補助などを受けられることは少ないといえます。

なお、パートであっても、有給や産休育休の取得は可能です。企業独自の福利厚生などは手薄でも、法律で決められた休暇などはしっかりと取ることができますし、その権利もあります。

正社員

正社員の場合、福利厚生が手厚い傾向にあります。なかには住宅手当や資格手当、ベビーシッター代補助などの育児サポートといった福利厚生を用意している会社もあります。

正社員は長期的に働くことを前提に採用されているため、将来の成長を見越した教育支援に積極的な会社が少なくありません。そのため、外部の研修などを受けられることもあります。待遇の手厚さという点では、やはり正社員に軍配があがるでしょう。

安定性の違い

安定性という点で、パートと正社員には大きな違いがみられます。

パート

パートは、不安定な働き方といえます。なぜなら、期間が定められた「有期雇用契約」を会社と結んでいるケースが多く、場合によっては期間終了をもって契約が延長されない可能性もあるためです。

ただし有期契約だからこそ辞めやすく、別の仕事にチャレンジしやすいといったメリットもあります。労働時間や勤務日数に柔軟性がある点も、有期雇用で働くメリットといえるでしょう。

正社員

正社員は、安定性のある働き方といえます。正社員の場合は「無期雇用契約」を会社と結んでいるケースが一般的です。そのため、会社としてはよほどのことがない限り社員を雇い続ける義務があり、結果として長く働き続けやすい雇用形態といえるのです。

昇格のチャンスがあったり、やりがいの大きな仕事に就ける可能性が高かったりする点も、正社員のメリットです。一方で会社都合の異動や社内イベントへの参加など、自分が望まないことをしなければならないこともある点はデメリットといえるでしょう。

「フルタイム=正社員」ではない

「フルタイム=正社員」ではない

「フルタイムで働く人=正社員」と考える人もいますが、これは誤りです。

  • パートタイム労働法の定義
  • 労働時間の多さは関係ない

上記のふたつについてご紹介します。

パートタイム労働法の定義

パートタイム労働法では「1週間の所定労働時間が、同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」をパートタイム労働者としています。

つまり「1週間という単位のなかで、勤務時間が正社員よりも短い労働者をパートと呼ぶ」と定義しているのです。この場合、たとえば週40時間働くことが規定されている会社の場合、40時間働く社員が正社員でそれ以下がパート、というふうにわけられます。

これだけを聞くと「フルタイムで働く社員=正社員」という考えが正しいように思えますが、そういうわけでもありません。

これはあくまで定義に過ぎず、実際は「契約の違い」でパートと正社員の扱いを分けている会社が多いためです。

労働時間の多さは関係ない

パートと正社員の違いにおいて、労働時間の多さは大きな意味を持ちません。たとえば週5日で8時間ずつ、週40時間働くフルタイムの社員であっても「非正規社員」として雇用している会社もあるからです。

会社の視点からみると、正社員は「無期雇用契約」で働いている社員を指すことが一般的です。一方でパートの場合は「有期雇用契約」を結んでいることがほとんどです。

つまり、会社規定の40時間働いていたとしても、その契約が有期雇用であれば、その社員はパートと呼ばれる可能性があるということです。

フルタイムとは

そもそもフルタイムとは、職場で定められた正規の勤務時間を全時間勤務する人のことを指します。基本的には、1日8時間、週40時間を所定労働時間、つまりフルタイムの勤務時間として定めている会社が一般的です。

ここで気を付けたいのが、フルタイムは、あくまで「全時間勤務する人」を指す言葉であるということです。そのため「正社員のことをフルタイムと言うわけではない」という点は押さえておいてください。

同一賃金同一労働法の影響

同一賃金同一労働法の影響

パートに関わる制度として、「同一労働同一賃金法(別名:パートタイム有期雇用労働法)」についても知っておきましょう。

  • 同一賃金同一労働法とは
  • 同一賃金同一労働法のメリットデメリット
  • 同一賃金同一労働法の注意点

上記の3つのポイントにしぼってご紹介します。

同一賃金同一労働法とは

同一賃金同一労働法とは「同じ労働に対しては同じ賃金を支払うべき」という考え方で、働き方改革の一環として日本で導入された制度です。2020年4月に大企業で施行が開始され、2021年4月からは中小企業でも適用が開始されます。

同一賃金同一労働法は、主に非正規雇用の労働者の格差改善を目的に策定されています。この場合、対象となるのは以下の人たちです。

  • 有期雇用の労働者
  • 派遣社員
  • パート

これまでの日本同じ職場で同じ仕事をしているにも関わらず、パートと正社員などの雇用形態の違いから給与や待遇に差がありました。

労働に関わる法律でも、待遇などの是正に関する規制は定められていましたが、そのルールが「同一賃金同一労働法」として改めて明確化されることになったのです。

同一賃金同一労働法のメリット・デメリット

同一賃金同一労働法は、非正規社員の雇用格差を改善する制度として一定の効果が期待されています。一方で、デメリットもあるので注意が必要です。

同一賃金同一労働法のメリットとデメリットについて、それぞれ見ていきましょう。

メリット

同一賃金同一労働法のメリットは、パートを含め、非正規社員の給料が上がる可能性があることです。同一賃金同一労働法は、どのような雇用形態であっても、同じ業務をおこなっている限りは同じ給料を与えるべき、といった考え方に基づいて作成された制度です。

そのため、これまではある意味慣習的に「パートの給料は正社員より低い」とされていたものが改善され、パートの給料も正社員と同等になることが期待されています。

デメリット

同一賃金同一労働法のデメリットは、パートの仕事内容が高度化する可能性があることです。なぜならば「正社員と同じ給料であれば、正社員と同じ仕事内容で当然」と考え、パートにも正社員と同じような難易度の仕事を任せる会社が出てくる可能性があるためです。

この場合、責任を負うような仕事や、スキルに自信のない仕事であっても任されてしまうケースも考えられます。「パートで無理なく働ければいい」と考えている人にとっては、プレッシャーになってしまうこともあるかもしれません。 こうした事態に陥らないよう、パートを始める場合には、自分の業務範囲は必ず確認しておくようにしましょう。

同一賃金同一労働法の注意点

同一賃金同一労働法の施行にともない、パート労働者が注意しておきたいことがあります。それは、解雇されるリスクや勤務先を見つけるハードルがあがる可能性です。

人件費が高騰すると企業の経営が圧迫されます。そうなれば企業はパートの数を減らし、人件費をなるべく抑えようと考えるかもしれません。

なかには人件費がかさんだことで、新たなパートを雇えなくなる企業も出てくるでしょう。するとその企業ではパート採用をストップする可能性もあり、パート先を探している人が次の勤務先がなかなか決まらない、といったリスクも考えられます。

たとえばデザインソフトの習得や語学力、需要の高い仕事など、万が一解雇されたとしても次の仕事につながりやすいスキルを身に付けておくことが大切です。今後もパートとして働き続けたいと考えている方は、これまで以上に自己研鑽に努めるなど、いまできることを着実に始めていくことも必要といえるでしょう。

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