
スタイリストとは、モデルやタレントの衣装やアクセサリーを見立てることを通じて、魅力を最大限に引き出す仕事です。
1度しかない舞台や撮影に向けて、一人ひとりのスタイルや雰囲気に適したコーディネートが求められるため、ファッションセンスやトレンドに敏感な人だとやりがいを持って働けるでしょう。
この記事では、スタイリストの仕事内容や求められるスキル、就職方法から働くメリット・デメリットなど網羅的に解説します。
スタイリストの仕事に興味がある人は、記事の内容を参考にしてみてください。
この記事の目次
スタイリストとは?
スタイリストとは、雑誌やテレビ、舞台やファッションショーなどで活躍するモデルやタレントの衣装やアクセサリーを選び、状況に合わせたスタイリングを行うことで人の魅力を引き立たせる専門職です。
ファッションセンスはもちろん、常にファッショントレンドを収集したり、現場スタッフやタレントとの調整力が求められる一面もあるため、幅広い人とのコミュニケーション能力が重要になってきます。
また、スタイリストはモデルやタレントのイメージを的確に捉えてコーディネートを選ぶ役割も担っているため、担当した相手の印象を大きく左右することもある重要なポジションと言えます。
高い専門性が必要とされるため、専門学校を卒業してから就職する人も多くいます。
| 平均年収 | 591万円 |
| 求められるスキル | ・ファッションセンス ・コミュニケーション能力 ・トレンド収集力 |
| 向いている人の特徴 | ・裏方として現場を支えたい人 ・手先が器用な人 ・相手の意図をくみ取り、段取りよくサポートできる人 |
| 就職するためには | ・アパレルメーカーやスタイリスト事務所に就職する ・スタイリスト専門学校を卒業し、就職先を紹介してもらう |
(出典:厚生労働省「スタイリスト – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))」/令和7年12月時点。※職業分類・調査条件により差があります)
スタイリストの仕事内容
スタイリストの仕事は、単にモデルやタレントの衣装を選ぶだけではありません。
事前に打ち合わせをしてタレントの情報収集をしたり、撮影現場での衣装調整を行うことや、撮影終了後の衣装の返却や確認作業まで多岐に渡ります。
表舞台ではなく裏方の仕事ではありますが、撮影全体の仕上がりを左右することもある責任の大きな役割ですので、スタイリストに興味がある人は、仕事内容をしっかりと理解しておきましょう。
事前準備
スタイリストは参加する本番が決まったら、まずは事前準備を行います。企画内容の確認や演出の意図を打ち合わせを通じて確認するとともに、クライアントやタレントの要望に沿った衣装と小物を調査します。
実際にスタイリングするイメージが決まったら、各アパレルブランドへの貸し出し依頼や衣装のサイズ調整、試着スケジュールの調整など、本番当日まで複数のタスクを並行して進める必要があります。スケジュール管理能力はもちろん、タスク管理能力も求められる仕事と言えるでしょう。
また、場合によってはコーディネートのイメージ資料を用意して、クライアントに事前のチェックをしてもらうなど撮影当日に向けて万全の準備を整えるため、事前準備の工程は非常に重要です。
撮影現場への同行
撮影当日になったら、準備していた衣装や小物を持ってタレントに着用補助を行います。タレントや現場によってはスタイリストが全て着用を補助することもありますし、タレントが自分で着用をすることもあるため、TPOに合わせて行動していくことが重要です。
他にも、撮影中に衣装が乱れてしまうこともありますので、都度撮影の合間を縫って乱れた衣装を整えながら、イメージ通りの着用スタイルを維持することもスタイリストの仕事です。加えて、現場のヘアメイクやマネージャーと連携し、トータルのコーディネートを調整するなど柔軟な対応が求められる場面も少なくありません。
したがって、撮影現場でのスタイリストは、常に状況を俯瞰して柔軟に対応していくスキルが重要になってきます。
撮影後の返却作業と最終確認
撮影が終わった後は、使用した衣装や小物を元通りにタレントから返却してもらい、汚れや破損がないかを丁寧にチェックします。アパレルブランドからレンタルしている衣装であれば、返却期限までにそうする必要があるため、梱包や配送手配もスタイリストが行います。
また、撮影に使用したスタイリング内容の記録を残し、今後の仕事の参考やクライアントとの確認資料に活用することもあります。
このように、スタイリストは現場が終わったら事務作業をテキパキとこなす必要があるため、ファッションセンスだけでなく、目の前のやるべきタスクを素早くこなしていく意識も求められます。
スタイリストに求められるスキル
スタイリストには、単なる衣装選びにとどまらない総合的なスキルが求められます。センスだけでなく、情報収集力やコミュニケーション能力、柔軟な対応力など、以下のスキルが求められることを認識しておきましょう。
- ファッションセンス
- トレンド収集力
- コミュニケーションスキル
- 柔軟な対応力
これらのスキルをバランスよく備えることで、スタイリストのプロとして継続的に活動することが可能になります。それぞれのスキルについて詳しく解説します。
1. ファッションセンス
スタイリストの最も重要になってくるスキルがファッションセンスです。衣装や小物を選ぶときは、撮影の意図や目的だけでなく、スタイリングするタレントのイメージにどれだけ合わせられるかが腕の見せ所になってきます。
また、同じタレントであっても、バラエティーに出演するのかファッションショーに出演するのかによって、考えるべきファッションテーマは大きく変わってきます。したがって、色彩感覚やコーディネート知識を含めたファッションセンスが基礎能力と言えるほど重要です。
ファッションセンスは、スタイリストとしての経験を積むことで磨かれる一面もあります。そのため、スタイリスト初心者の場合は先輩のスタイリストにアドバイスをもらいながら働くケースも少なくありません。
2. トレンド収集力
ファッション業界は流行の移り変わりが速く、トレンドの解釈が企画意図とずれると、クライアントの意向と合わないことがあります。事前のすり合わせや参考資料の共有で認識齟齬を減らすことが重要です。スタイリストは日常的にトレンドを収集するような調査力が求められます。
雑誌やSNS、ファッション展示会など幅広いチャネルからトレンドを収集し、日々のスタイリング業務やクライアントへの提案に落とし込むことが重要です。インプットとアウトプットを繰り返すような働き方が求められることもあり、学習意欲と探究心が求められる仕事とも言えるでしょう。
また、トレンドを収集するだけでなく、流行をうまく取捨選択することで、自分なりのセンスも混ぜ合わせたスタイリングができれば高い信頼に繋がることでしょう。
3. コミュニケーションスキル
スタイリストは、自分1人だけで仕事が完結する事が基本的にありません。タレントやクライアント、カメラマンを始めとして多くの関係者と連携をしながら仕事を進める役割のため、丁寧なコミュニケーションスキルも求められます。
特にスタイリストとして求められるコミュニケーションスキルは、相手の発言の意図や目的を聞き取るような「聞く力」となります。
丁寧に撮影の意図や目的を聞くことができなければ、誤ったスタイリングをしてしまうかもしれませんし、タレントに迷惑をかけることにも繋がります。
他にも、スタイリングの意図を説明するようなコミュニケーションスキルも求められます。同じスタイリングであっても、言葉選びや説明力によって衣装の印象が大きく左右されてしまうため、自分の意図がうまく伝わらずに満足のいかない結果に繋がりかねません。
ファッションセンスやトレンド収集力だけでなく、他人と一緒に撮影を作り上げていくような協調性やコミュニケーションスキルが強く求められる仕事ということも認識しておいてください。
4. 柔軟な対応力
撮影当日になると、予期せぬトラブルが生じることもあるため、スタイリストが柔軟に対応するような場面も多く見られます。衣装や小物が乱れてしまった場合であっても、丁寧かつ迅速に対応できるようなスタイリストであれば、現場のスタッフからも信頼してもらえるでしょう。
また、トラブルを見越して予備の衣装を発注しておいたり、代替案を準備しておくなど、トラブルを未然に防止するようなリスク管理力も同じく求められます。
スタイリストはただ衣装を考えるだけでなく、撮影を円滑かつ満足度を高く終わらせる役割を担っていることも覚えておきましょう。
スタイリストに向いている人の特徴
スタイリストは裏方として撮影現場を支える職業のため、サポート力に加えて、提案力・段取り力・関係者間の調整力も求められます。また、細かなアクセサリーを付け替える場面も多く、手先が器用な人であれば撮影当日の衣装転換も素早く行えるでしょう。
ここからは、スタイリストに向いている人の特徴を解説しますので、就職を希望する人が自身の適性と照らし合わせてみてください。
段取りよくサポートできる人
スタイリストは、主役となるモデルやタレントが自身の持ち味以上に輝くよう全力を尽くす姿勢が求められる仕事です。現場では主役を引き立てる役割が多いため、相手の意図をくみ取り、細部まで丁寧に整える姿勢が活かせます。
スタイリストは表に名前が出にくいこともありますが、現場では信頼や継続依頼といった形で評価されることが多いです。他人の成功を喜べる人であれば、スタイリストとして活躍できるだけでなく、やりがいを持って日々の仕事に向き合っていけるでしょう。
裏方として現場を支える仕事がしたい人
スタイリストは、撮影の準備から本番当日の衣装合わせ、撤収までの業務を裏方として支える役割が中心となってきます。自身が前に出る事はほとんどないものの、作品作りに大きく貢献できる仕事ではあるため、裏方として現場を支える仕事がしたい人に向いてる仕事です。
撮影を成功させるチームの一員として周囲に目を配りながら、自分の担当領域外の事でも手を差し伸べられる人であれば、経験が浅くても重宝されるスタイリストになれるでしょう。転じて、スタイリストは協調性や気配りが求められる職業とも言えます。
手先が器用な人
スタイリストは衣装の微調整やシワの手直し、アクセサリーの取り付けなど、とにかく細かい作業が日常的に求められますので、手先が器用な人に向いています。
どれだけコーディネートのセンスが良くても、撮影当日に手先が不器用で手間取ってしまうようなことがあれば、現場やタレントに迷惑をかけてしまいます。
また、場合によってはスタイリストが直接裁縫やアイロン掛けをその場で行うようなこともありますので、手先が器用なだけでもファッションセンスの能力を補えるようなケースがあります。
丁寧で正確、かつ緻密な作業ができる人であれば、スタイリストとしても活躍しやすいでしょう。
スタイリストになる方法
スタイリストになる上では、学歴や資格は関係がありません。とにかく現場での経験やスタイリングの精度の高さなどを通じた信頼の積み重ねが何より重要になってきます。
基本的にはアシスタントとしてキャリアをスタートし、現場を知るところから始めます。十分な実績や人脈を築くことができれば、独立してフリーランススタイリストとして活動することもできることから、将来の選択肢の広い仕事と言えるでしょう。
ここからはスタイリストになる方法について詳しく解説します。
1. 学歴や資格は必須ではない
スタイリストになるために特別な学歴や資格は必要ありません。重要なのは現場で通用する実力や対応力となりますので、実務を通じてスキルを身に付けていれば、スタイリストの専門学校を出ていなくても就職できるチャンスがあります。
同時にスタイリストは服飾やスタイリングの基礎を知識として習得しておくことが重要なため、専門学校に通う事はスタイリストになる近道とも言えるでしょう。
また、知識が必要だからといって、スタイリストの関連資格の取得にばかり時間をかけすぎてしまうと、実務経験を身に付けられる期間も減ってしまいますので、できれば早めにアシスタントとしてアパレルメーカーやスタイリスト事務所に就職することがおすすめです。
2. アパレルメーカーやスタイリスト事務所に就職する
先ほど解説した通り、スタイリストはとにかく実務経験が重視される世界であることから、まずはアパレルメーカーやスタイリスト事務所などにアシスタントとして就職し、現場での経験を積むことが基本的な就職方法と言えます。
アシスタントであれば、実務経験がないような未経験者でも採用している求人は多くありますので、志望動機の作り込みや面接対策を通じて就職を目指してきます。就職直後は直接スタイリングに関わらない雑用が多くなりがちですが、徐々に業務を任されることで一人前のスタイリストを目指すことができます。
スタイリストは服飾に関する専門職ではありますが、同時に華やかな芸能業界で活躍する仕事でもあるため、アシスタントとして実務経験を覚えつつ人間関係を構築していく動きが主となってきます。
3. 実力を積んでフリーランスになる
経験や実績を重ねることで、フリーランスとして独立するといったキャリアの選択肢もあります。フリーランスのスタイリストであれば自由な働き方ができたり、自分が興味のある分野の仕事に集中できるといったメリットがありますが、営業やスケジュール管理などを自分1人で行わなければならないといった責任が伴うようになります。
特にフリーランスになった後は、定期的に案件を獲得できるかが重要になるため、SNSやポートフォリオで発信を行うといった自己PR力が求められます。
実際に自身のスタイリングを動画でアップロードするようなスタイリストも少なくなく、実力以外の側面が求められる働き方になる点は認識しておきましょう。
スタイリスト向けの資格
スタイリストになる上で必須となる資格はありませんが、関連する資格を取得しておくことで実務に活かすことができるため、就職を検討する際はあらかじめ以下のような資格の勉強をしておくこともおすすめです。
- パーソナルスタイリスト®
- 色彩検定
- カラーコーディネーター検定試験®
それぞれの資格について詳しく解説します。
パーソナルスタイリスト®
パーソナルスタイリストは、スタイリストの基本知識であるファッションに関する理論やコーディネートにおける心理面の理解など、幅広い知識が証明できる資格です。
これからスタイリストを目指す人だけでなく、スタイリストとして働き始めている人にも受験されており、難易度に応じて1級から4級まで分かれています。
4級はインターネット受験ができるため、就職活動と並行して受験しやすい点がポイントです。また、パーソナルスタイリストとして認定されるためには、2級に合格する必要があります。
2級は実技検定もあるため、本格的にスタイリストとして活動したい場合は2級の合格を目指すケースが多くなっています。
参考:パーソナルスタイリスト®協会|検定のご案内
色彩検定
色彩検定は、色に関する基礎知識から応用力まで幅広く学べる資格です。文部科学省が後援していることもあり、資格が取得できれば、スタイリストとしても求められるカラーコーディネートの基礎知識があることを証明できます。
難易度は1級から3級にまで分かれており、2級の合格率はおよそ70%であることから、未経験者でも挑戦しやすいレベルと言えます。2級に合格できれば実務に応用することができる水準で知識がある証明になるため、未経験からスタイリストを目指す上でも有効に活用できるでしょう。(※合格率は年度・回次で変動します(最新値は公式発表を参照))
試験は年に2回程度のみの開催となるため、受験できる機会が少ないという点は認識しておく必要があります。直近の試験日程は公式サイトで確認してください。
参考:文部科学省後援|色彩検定「色彩検定とは 〜色彩って面白い〜」
カラーコーディネーター検定試験®
カラーコーディネーター試験は、東京商工会議所が主催するビジネスやデザインの場で活かせる色彩の知識を測る試験です。色彩検定と同じく、スタイリストに求められる色のセンスや知識の証明になる資格のため、スタイリストも多く受験しています。
難易度に応じてアドバンスとスタンダードの2種類の区分で試験が開催されており、スタンダードは合格率が70%前後、アドバンスは合格率が50%弱となっているため、未経験者でも挑戦しやすい難易度と言えます。(※合格率は年度・回次で変動します(最新値は公式発表を参照))
スタイリストなどのファッション業界だけでなく、インテリアや広告の分野でも役立つスキルであり、スタイリスト以外も幅広く受験しているといった特徴があります。
参考:東京商工会議所|カラーコーディネーター検定試験「カラーコーディネーター検定試験®とは」
スタイリストになるメリット
スタイリストは、芸能界などの華やかな現場で働けるだけでなく、常にトレンドの最先端で仕事に向き合えることから、とにかくファッションが好きな人は常にやりがいを持って働けるといったメリットがあります。
また、目の前のタレントが輝かしい姿になることをサポートできることに加えて、直接感謝の言葉を投げかけてもらえる点も、スタイリストならではのメリットと言えます。
ここからは、スタイリストを目指す上で知っておきたい就職するメリットについて詳しく解説していきます。
芸能人やモデルと直接関われる
スタイリストは、常に芸能人やモデルといった有名人と直接関わりながら仕事を進めていけるため、周りの人に自身の仕事を自慢できるなどのメリットが挙げられます。
また、スタイリストは技術職にもなりますので、特定のタレントと信頼関係を築ければ、専属契約に繋がるといったこともあります。
直接表舞台に出るような仕事ではありませんが、表舞台を支える重要な存在として芸能人やモデルの魅力を引き出す仕事には、大きなやりがいを感じられるはずです。特に昔からファンだったような有名人と一緒に仕事できる可能性もあり、夢のある仕事とも言えるでしょう。
トレンドの最先端で働ける
スタイリストは、常に最新のファッションやトレンドに触れながら働くことができる仕事のため、トレンドの最先端で働けるといったメリットもあります。仕事だけでなく、個人的にファッションやスタイリングが好きな人であれば、趣味を仕事にできるため長く働くことも可能です。
また、仕事を通じて展示会や新作アイテムの先行使用、ブランド担当者との打ち合わせをすることもでき、世の中に流行る前のトレンドを体験できるなどの副次的なメリットもあります。
ファッション好きな人からすれば、常に新しい洋服やアクセサリーに触れることができるため、感性が磨けるだけでなく、日々インプットを通じて仕事に活かせますし、毎日楽しんで仕事に向き合っていけるでしょう。
人の美しさをサポートできる
スタイリストは衣装やアクセサリーを通じ、目の前のタレントの個性や魅力を引き出すことが役割の仕事のため、人の美しさをサポートできるといったメリットもあります。
特にファッションは自分だけでなく、第三者も評価しやすい目に見えるものになるため、自身のスタイリングを他人に評価してもらうことができれば、やりがいも感じることができます。
また、自分のスタイリングで目の前の人が笑顔になったり、感謝の言葉を投げかけてもらう得る機会も多く、自分のサポートによって人を笑顔にしたいと考えている人にこそ向いてる仕事とも言えます。
スタイリストになるデメリット
スタイリストは華やかに見える職業ではある反面、下積み時代が比較的長く、収入が安定しにくいといったデメリットがあります。また、1度でも失敗をしてしまうと大きな悪影響をもたらすような重要な役割であることから、肉体的にも精神的にも少なくない負担がかかる点は認識しておく必要があるでしょう。
スタイリストを目指す上では、メリットだけでなくデメリットも合わせて認識しておく必要があるため、ここからはスタイリストになるデメリットについて詳しく解説します。
下積み時代が長く収入が安定しにくい
スタイリストはとにかく実務経験がものをいう世界ということもあり、就職直後は基本的にアシスタントとして数年間の下積み時代を経験する傾向にあります。
下積み期間は給料が低くなるだけでなく、現場や契約形態で差がありますが、繁忙期は拘束時間が長くなることもあります。事前に稼働時間の目安や休憩の取り方を確認し、無理のない範囲で働ける環境を選ぶことが大切です。
もちろん、実力や実績を積み重ねることによってスタイリストとしての仕事を徐々に増やしていく事はできますが、就職直後は特に経済的な余裕がないことを覚悟しておく必要があるでしょう。
どうしても早い段階からスタイリストとして活躍したい場合は、専門学校で実践的な知識を学んだり、資格を独学で取得しておくなどして、立ち上がりが早い人材というアピールを面接でしておくことが重要になってきます。
仕事におけるプレッシャーが大きい
スタイリストは裏方の仕事でありながら、現場の成功を左右するような重要な役割を担うため、衣装やスタイリングのミスができないなど、仕事におけるプレッシャーが大きい点もデメリットとして挙げられます。
常に緊張感を持って働かなければならないだけでなく、限られた時間の中で最適な判断を求められたり、急な変更への対応力が求められる場面も多く、精神的な負担を感じるケースも考えられます。
華々しい業界で働ける仕事ではある一方で、限られた時間で変更対応が発生することがあるため、事前の確認手順や予備案の準備が重要です。
体力的にハードな働き方になりやすい
スタイリストは衣装の運搬やセッティング、長時間の立ち仕事など体力を必要とする場面が多いことに加えて、撮影時間が不定期であることから、体力的にハードな働き方になりやすい点もデメリットの1つとして挙げられます。
特にアシスタント自体の場合は、重い荷物を持ち歩いたり撮影が深夜まで続くこともあるため、精神面だけでなく肉体面で疲労感を感じてしまうこともあります。
不規則になりやすい現場もあるため、生活リズムを重視する場合は、案件の傾向や契約形態を事前に確認し、働き方をしっかりと認識した上で自分が長く働いていけそうか自己分析をすることが大切です。
スタイリストを目指す人によくある質問
美容師とスタイリストの違いは?
美容師とスタイリストは、どちらも人の美しさをサポートする仕事ではあるものの、業務内容や役割が異なります。美容師は髪型のセットやカットなど主にヘアに関する技術職であり、働くためには美容師免許が必須となってきます。
一方、スタイリストは衣装やアクセサリーを用いて他人の外見全体をスタイリングする専門職であり、必須となる資格は無いといった違いがあります。
ただ、美容師とスタイリストは同じ現場で連携することも多く、それぞれの専門性を活かして1人のタレントの美しさを引き出すことも珍しくありません。
スタイリストの大変なことは?
スタイリストの仕事は華やかに見える一方で、下積み期間が長く体力的な負担がかかる事や、現場においてミスができないプレッシャーが重くのしかかるなど、働く上での大変さが際立つ仕事です。
また、スタイリングだけでなく、衣装の準備や打ち合わせ、返却作業など地道な業務も多く、常に細かい気配りが求められます。自分の不注意で衣装やアクセサリーに傷をつけてしまった場合は契約内容や状況によっては修繕費等の費用負担が発生する場合があります。事前に取り扱い方法や規約を確認しておくと安心です。
芸能人のスタイリストになるには?
芸能人のスタイリストになるためには、まずスタイリスト事務所にアシスタントとして就職して経験を積んでいきます。最初はスタイリングに直接関わらないような作業も多いですが、信頼を得ることで、徐々に芸能人のスタイリングに携われる機会が増えていくでしょう。
特に芸能人のスタイリストを目指す場合は、芸能事務所やテレビ局などの撮影現場と強い繋がりを持つスタイリスト事務所に所属することがポイントです。就職活動の際には、どういった現場で働く案件が多いかあらかじめ企業研究しておくことが重要になるでしょう。
まとめ
スタイリストは、衣装やアクセサリーを通じて人の魅力を引き出す専門職であり、ファッションセンスや対応力、コミュニケーションスキルなど様々なスキルを幅広く求められる仕事です。
体力的にも精神的に厳しい一面がありますが、その分スタイリストでしか得られないようなやりがいも大きく、ファッションが好きな人に特に向いている仕事と言えます。
自分がどんなスタイリストとして活躍したいかを自己分析した上で、就職するスタイリスト事務所を選ぶことがポイントです。もし自分がスタイリストとして働くのに向いているかどうか分からない場合は、就職エージェントに相談してみることもおすすめです。




































