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既卒は何歳までですか?
既卒は何歳までと決まっているわけではありません。
既卒とは学校卒業後に進学や正社員就職をしなかった方のことで、卒業後3年以内の人材を示している場合がほとんどです。
「既卒は〇歳まで」と年齢が定められているわけではないからこそ、高校を卒業してからの既卒者と、大学院を卒業してからの既卒者とでは年齢が大きく異なります。
20代後半で職歴がなかったとしても、大学院に通っていたと企業に伝えれば納得するでしょう。
なお、卒業後に契約社員や派遣社員、アルバイトなどの非正規雇用で働いている人も既卒に該当します。
企業における既卒採用の年齢制限は?
企業における既卒採用の年齢制限はありません。雇用対策法により、企業は労働者を募集する際に、年齢を制限してはならないと義務付けられているためです(参考:厚生労働省『募集・採用における年齢制限禁止について』)。
企業は年齢を理由に採用を断ることができないからこそ、応募者の能力や意欲を重視しています。
既卒者かどうかに関係なく、すべての求人において年齢制限が禁止されていると理解しておきましょう。
卒業後2~3年目に既卒として就活するデメリット
「卒業から3年以内は既卒者として就活できて、なおかつ何歳までと決まりがないのであれば、急いで就活しなくていい」と思った方もいるでしょう。
ここでは、卒業してから2~3年経ったあとに就活するデメリットを解説します。1つずつ詳しくお伝えします。
企業からネガティブな印象を持たれる場合がある
卒業後2〜3年目での就職活動は、次の印象を企業から持たれる場合があります。
- 働く意欲が低いのではないか
- 長期的なキャリアプランを考えていないようだ
- 人とコミュニケーションを取るのが苦手なのか
将来のことを考えて「早く就活しなければいけない」と思っているのであれば、卒業1年目に就活を行っているはずです。
卒業から日が空いている場合は、他社から採用されなかった理由があるのではないかと、企業は思う傾向にあります。
また、企業は卒業2~3年目の既卒者に対して「なぜ今まで就職しなかったのか」と質問する可能性が高いでしょう。
企業が納得のいく説明ができなければ、就業意欲が低いととらえられてしまうため、卒業後1年目の方よりも選考難易度が上がると言えます。
どの企業でも「働いていない期間は何をしていたか」と尋ねられると「なぜ早く就活しなかったのか」と自己肯定感が下がってしまう場合もあるはずです。
卒業してからやりたいことが特になければ、早めに就活するのをおすすめします。
ブランク期間が人間関係や体力に悪影響を与える
卒業後2~3年働いていない状態で就職すると、ブランク期間が長いせいか、人間関係や体力に悪影響を与える場合があります。
働いていない期間が長ければ長いほど、就職したあとの変化が大きく、慣れないうちは心や体が疲れやすくなるはずです。
30代に近いと学生時代の頃よりも体力が落ちているため、就業環境に慣れるだけでも精一杯になってしまうでしょう。
また、長期間働いていない状態が続くと、家族や親戚から心配の声が上がりやすくなります。「働かなければならない」とプレッシャーを感じる人もいるでしょう。
自分だけが働いていない状態が続くと、周りと疎遠になっていまう場合もあります。できる限り気まずい思いをしたくない方は、早めに就職するようにしましょう。
ポテンシャル採用の求人でも通過しづらくなる
卒業してから2~3年ほど経過している既卒者は、ポテンシャル採用の求人に応募できます。しかし、同世代で働いたことのある方がライバルになる可能性が高いため、通過が難しいと言えるでしょう。
たとえ他の候補者が前職をすぐに退職した人であっても、社会人としての基本的なマナーを身につけている場合があります。
既卒者はビジネスマナーを教わっていない状態のため、研修に時間がかかると思われやすいのがデメリットです。
既卒者は同年代の応募者と比べても不利な立場となり、選考に通過しづらい可能性があると理解しておきましょう。
既卒枠で就活するメリット
既卒での就職活動には、いくつかのメリットもあります。既卒ならではの強みが何か知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
中途では就職できない企業に行ける可能性がある
既卒で就活するメリットは、中途では就職できない企業に行ける可能性があるところです。
大手企業の求人の中には、新卒者と既卒者を対象としている場合があります。
一度就職をしてしまうと応募できない求人のため、応募する価値があると言えるでしょう。
新卒・既卒者に限定している求人は、社員を一から育成するという意味が込められている場合がほとんどです。「最終学歴卒業後3年未満」を応募条件とし、若手人材の採用に注力しています。
中途枠の求人で「未経験歓迎」と書いてある場合でも、だいたいは就業経験のある方が応募する傾向にあるため、既卒者は選考通過が難しい状況です。
新卒・既卒者向けの求人であれば、応募できるハードルが低くなるため、就職できるチャンスが広がると言えるでしょう。
キャリアを考える時間を取れる
社会人になる前の時間を、自分のキャリアを深く考える機会として活用できるのも、既卒で就活するメリットです。
海外で普及している「ギャップイヤー」の考え方に似ています。
ギャップイヤーとは、進学や就職の前にインターンやボランティア、留学などを通じて自己成長を図る期間のことです。
既卒期間も同様に、将来のキャリアに向けた準備期間として、資格取得や興味のある業界でアルバイトするなど時間を有効に活用すると良いでしょう。
20代後半でも既卒の就活を成功させるコツ
既卒の就活は準備と戦略が成功のポイントです。
20代後半の既卒でも内定獲得できるポイントを具体的に解説します。
焦らず一つずつ実践していきましょう。
卒業してからすぐ就活を行う
卒業後できるだけ早く就活を始めることが、就活を成功させるコツです。
就業しない期間が長くなるほど、企業からの評価は厳しくなる傾向にあるためです。
とくに、ブランク期間が2〜3年と長い場合は「なぜ今まで就業していなかったのか」という質問への回答を準備する必要があります。
公務員試験や留学など、明確な理由があれば問題ありませんが、特に理由がない場合は、企業に納得してもらえるような回答が必要です。
また、卒業から時間が経っていると、同年代の就業経験者と比較されてしまう場合があります。周りよりもキャリアを積んでいないことが原因で、不採用になることもあるでしょう。卒業後はなるべく早く就職活動をするのがおすすめです。
応募する企業の幅を広げる
就職活動で失敗する要因の1つは、理想が高すぎることです。
次のような条件にこだわりすぎている場合は、条件を緩和するのをおすすめします。
- 大手企業や有名企業にこだわる
- 初任給が同年代の平均より高い企業のみを選ぶ
- 希望する職種以外は検討しない
理想にこだわりすぎると、チャンスを逃してしまう可能性があります。
中小企業で経験を積んでから大手企業への転職を目指したり、入社後に希望職種へ異動を申し出たりすることも可能です。
既卒の方はまず就職することを優先し、理想は就職してから目指すことも視野にいれましょう。
なかなか通過しなくてもあきらめずに応募する
既卒者は、なかなか通過しなくてあきらめる必要はありません。
総務省『我が国の事業所・企業の経済活動の状況』によると、令和3年6月時点において529万もの事業所が存在します。
これだけ多くの就業先があるからこそ、一度の不採用であきらめることなく、粘り強く就職活動を続けることが大事です。
応募しても次の選考に進めない場合は、下記の対策を試してみましょう。
- 志望動機は企業の情報をくまなく見たうえで作成する
- 面接での質問と回答を記録しておき、定期的にブラッシュアップする
- 業界研究をしたうえで、応募企業の理解を深める
改善を重ねることで、きっと道は開けるでしょう。
内定を獲得しやすい業界・職種に応募する
既卒者の採用に積極的な業界や職種に応募することも、既卒が就職を成功させるコツの1つです。特に人材不足が深刻な業界は、意欲と基礎的なスキルがあれば、通過しやすい傾向にあります。
内定獲得をしやすい業界・職種は、以下の表を参考にしてください。
業界 | ・IT/通信業界 ・小売/流通業界 ・介護/福祉業界 |
職種 | ・営業職(法人営業、個人営業) ・システムエンジニア ・カスタマーサポート ・事務職(一般事務、営業事務) ・製造スタッフ |
求人票に「未経験歓迎」と書いている場合は、スキルよりもやる気や成長意欲を重視する傾向にあります。
まずは就業経験を積むためにも、内定を獲得しやすい業界・職種から狙うのがおすすめです。
就業に役立つ資格を取得する
20代後半でも就活を成功させるには資格取得も効果的です。資格を持っていれば、新卒者と差別化が図れるためです。
既卒におすすめの職種別資格は、以下の表を参考にしてください。
職種 | 資格名 | 既卒者におすすめ理由 |
---|---|---|
営業職 | ・ファイナンシャルプランナー ・宅地建物取引士 | 業界専門知識に加え、法律や金融の知識も身につけられ、実務での即戦力性をアピールできる |
事務職 | MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト) | 実務で即使えるスキルであり、在宅勤務増加で需要が高まっているOfficeスキルの証明になる |
技術職 | CAD | 論理的思考力と専門性の両方をアピールできる |
資格を勉強しているとアピールすると、応募先から就業に前向きだと思ってもらえる場合があります。就職活動と並行しながら、計画的に取り組んでいきましょう。
質問に回答できるよう入念に準備する
既卒者の面接では、よく聞かれる質問を重点的に対策するようにしましょう。
よくある質問と効果的な回答例は、以下をご覧ください。
よくある質問 | 効果的な回答例 |
---|---|
なぜ今まで就職活動をしていなかったのですか? | 自分のキャリアに迷いがありましたが、接客のアルバイトを通じて人と関わる仕事に興味を持ち、営業職で就職活動を始めようと決意しました。 |
卒業してからは何をしていましたか? | フリーターとしてアルバイトをしながら、就職活動を続けていました。 しかし、社会に出ている同世代の友人を見て「このままではいけない」と思い、将来に向けて考えを深めました。 結果、自分はエンジニアの仕事がしたいと思い、現在資格取得に向けて勉強中です。 |
質問への回答は具体的なエピソードを交えながら、前向きな姿勢が伝わるように準備しましょう。面接での質疑応答に不安がある方は、就職エージェントに相談するのがおすすめです。
就職エージェントを利用する
就職エージェントは、就職活動を無料でサポートする転職のプロフェッショナルです。求人紹介だけでなく履歴書の書き方から面接対策まで、一貫したサポートを受けられます。
既卒が就職エージェントを利用する主なメリットは、以下を参考にしてください。
- 個別面談でどういった企業が最適かアドバイスしてもらえる
- 企業が求める人材像に合わせた効果的な応募書類を作成できる
- 経験や志望業界に合わせた面接対策をマンツーマンで実施してもらえる
就職エージェントを利用すると、社風や職場の雰囲気など求人票だけではわからない情報を得られます。ミスマッチな企業に応募したくない方は、就職エージェントを積極的に活用するようにしましょう。
まとめ
既卒に何歳までという年齢制限はありません。既卒でも早めの準備と適切な対策さえ行えば、十分に就職のチャンスをつかめます。しかし、就業経験がない既卒の方にとって、一人で志望動機や面接対策をするには限界があるでしょう。
既卒者の就職活動は、プロのサポートを受けるのがおすすめです。未経験者に特化した就職エージェントなら、実践的な面接対策やビジネスマナーの基礎から丁寧にサポートしてくれます。
一人で悩まず、プロのアドバイスを受けることで内定までの道が開ける可能性も広がるでしょう。

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