大学を休学してそのまま退学するのは可能?理由や手続き・メリデメを解説

大学を休学してそのまま退学するのは可能?理由や手続き・メリデメを解説

大学を休学してそのまま退学することは可能ですが、大学のルールに従って手続きを行う必要があります。

そのまま放置すると自動的に復学扱いになり、学費や在籍費が発生する場合があります。

そのため「大学にはもう戻らない」と決めたら、速やかに退学手続きを始めましょう。重要なのは「なぜ辞めるのか」よりも「辞めたあとにどう生きるか」です。

本記事では、大学を休学してそのまま退学するのが可能な理由や手続きの方法、休学と退学・除籍の違い、退学するメリットとデメリット、復学と退学で迷った場合の判断軸について解説しています。

あなたの気持ちが整理され、不安が解消されるだけでなく、前向きな一歩が踏み出せるでしょう。自分らしい人生を選ぶため、ぜひ最後までご覧ください。

大学を休学してそのまま退学するのは可能?理由を解説

大学を休学し、そのまま退学することは可能ですが、正式な退学手続きが必要です。大学によっては、休学期間が終了すると自動的に復学扱いになる場合があるからです。意図せず在籍期間が続くと、学費や在籍料が発生する恐れがあります。

そのため「休学したまま大学を辞めよう」と決めた段階で、早めに大学へ退学の意思を伝えましょう。

所属学部の事務室に相談し、退学届と学生証を提出するのが一般的な流れです。退学手続きの際は、指導教員との面談や書類の確認が必要になる場合もあります。

自分の意志を明確にし、退学手続きを行うことで、次のステップへ気持ちよく進めます。

大学を休学してそのまま退学する際の手続き

大学を休学してそのまま退学する際は、担当教員との面談や保証人の同意が必要です。

大学や保証人に自分の意志を伝え、納得してもらえたら退学届と学生証を提出します。審査や手続きが完了すると、退学許可通知が届くのが一般的です。

退学届の締切は大学によって異なり、退学日は学期や年度の末日に定められている場合が多くあります。

申請のタイミングによっては、翌学期の退学になる場合もあるため、事前にスケジュールを確認しましょう。

すでに納めた学費や施設利用料は、返金されないケースがあります。退学手続きを進める前に規定を確認しておきましょう。

大学を休学してそのまま退学する際の手続き方法について、以下のとおり解説します。

  • 担当教員と面談をする
  • 保証人の同意をもらう
  • 退学届を受け取って記入する
  • 退学届と学生証を大学へ提出する
  • 退学許可通知を受け取る
  • 休学からそのまま退学する際の注意事項

担当教員と面談をする

大学を退学する際、多くの大学では担当教員との面談が求められます。

学生が退学を決意した理由を直接聞き取り、感情的な判断でないかを確認するためです。

教員が学生の現状を理解したうえで、休学延長や他の大学への編入など、代替案を提案する場合もあります。

退学届の受理には教員の承認印が必要な大学も多いため、面談は退学手続きを進めるうえで欠かせないステップです。

退学は人生に大きな影響を与える決断です。休学した後そのまま退学するか迷っている場合は、担当教員との面談を通じて状況を整理し、後悔のない決断につなげましょう。

保証人の同意をもらう

大学を休学してそのまま退学する際は、保証人の同意が必要になる場合があります。

なぜなら、退学は学費や奨学金などの金銭面に関わる重要な手続きもあるため、保証人にも責任が及ぶためです。

また、大学側が保証人の同意を求めるのは「学生本人が一方的に退学を決めてしまった」というトラブルを防ぐ目的もあります。

学生が保証人と話し合うことで、退学以外の方法を検討する機会にもなります。

他の大学への編入や通信制大学への変更など、将来の可能性を広げる道が見えてくるかもしれません。

休学後そのまま退学を決める前に一度立ち止まり、保証人に相談してみましょう。進路を見直すきっかけになります。

退学届を受け取って記入する

退学する場合は、大学の窓口やポータルサイトから退学届を受け取り、必要事項を記入する必要があります。

口頭やメールでの申請では正式な手続きとみなされず、大学は退学を認められません。

退学届の記入によって退学日や理由が明確になり、大学側の記録にも正式に残るだけでなく、学籍の扱いや証明書の発行、学費の精算などがスムーズに行えるようになります。

退学届には、学部や学科、学籍番号、氏名、住所、保証人の氏名、退学理由や退学希望日を記載するのが一般的です。

保証人の署名や印鑑が必要な場合もあるため、提出前に必ず確認しましょう。

退学届と学生証を大学へ提出する

退学届の記入が済んだら、学生証と併せて大学へ提出しましょう。退学を正式に認めてもらうための重要な手続きです。

退学届を提出しなければ、大学は退学の意思を確認できず、学籍上は在籍扱いのままとなります。

その結果、通学していないのに学費の請求が続くなどのトラブルにつながる恐れがあるのです。

一方で、学生証の提出は「在学生としての身分を返上する」という意味があります。

学生証は大学施設の利用や学割の適用などに使われる身分証明書のため、退学後に保持していると不正利用と見なされる場合があります。

そのため、退学手続きをする際に必ず返却が求められるのです。

退学許可通知を受け取る

大学で退学手続きが完了すると「退学許可通知」が大学から届きます。これは大学が正式に退学を承認したことを証明する重要な書類です。

通知書をもって手続きが完了したことが明確になり、学生としての在籍が正式に終了します。

退学許可通知には、退学日や承認日が記載されている場合が多く、今後の学歴確認や証明書の発行を依頼する際に必要となる場合があります。

例えば、他の大学への編入や就職活動の書類提出などで学歴証明が求められる際に、退学許可通知の内容が確認資料として扱われることがあるのです。

退学許可通知を受け取ったら、紛失しないよう大切に保管しましょう。

休学からそのまま退学する際の注意事項

休学中にそのまま退学を決める場合は、手続きの時期や締切、学費の扱いが大学によって異なるため事前に確認しましょう。

退学日は春学期や秋学期末、または大学が許可した日付に設定される場合が多いため、学期の途中で退学を希望しても、退学日が学期末の扱いとなるケースがあります。

また、退学届の提出期限は大学ごとに異なり、手続きが完了するまで1ヶ月程度かかる場合があるため、締切に間に合うように提出しましょう。

さらに、納入済の学費は退学時期によって返金されないケースが一般的です。

遡及退学が認められた場合は学費が返還されることもありますが、納入後の返金は行われない場合もあります。

本章では、以下の内容についてそれぞれ解説します。

  • 退学の時期は学期の末日が一般的
  • 退学届の締切は大学によって異なる
  • 納入済の学費は返金されない場合がある

退学の時期は学期の末日が一般的

退学日は、春学期末や秋学期末に設定されるのが一般的です。ただし、大学によっては大学が許可した日付を退学日とする場合もあります。

学期の途中で退学を申し出ても、実際の退学日は学期末として扱われるケースも多く、その場合は学費を全額納めなければならないケースがあるのです。

時期によっては遡及退学が認められる場合もありますが、学費の返還規定や退学日の扱いは大学ごとに異なります。

退学手続きの前に大学の窓口へ必ず相談し、締切を確認しておきましょう。計画的に進めれば、余分な出費を防ぎつつスムーズに次の進路へ進めます。

退学届の締切は大学によって異なる

退学届の提出期限は大学によって異なり、受理から承認までに1ヶ月ほどかかる場合もあります。

スムーズに手続きを進めるためには早めに大学へ相談し、必要書類の提出時期や流れを確認しておきましょう。

大学によっては、希望する退学日までに提出すれば退学が認められる場合もありますが、すべてのケースで柔軟に対応してもらえるとは限りません。

また、退学日をさかのぼって設定する「遡及退学」を希望する際は、定められた期日までに申請しなければ受理されない可能性があります。

余裕を持って準備すると、手続きの遅れによるトラブルを防げます。

納入済の学費は返金されない場合がある

多くの大学では、退学の時期によっては、すでに納入した学費が返金されないケースがあります。

学期の途中で退学する場合は、授業料や施設費、実習費などが返金の対象外となるのが一般的です。そのため、退学のタイミングを慎重に検討する必要があります。

ただし、大学が「遡及退学」を認めた場合に限り、学費の一部が返還されるケースもあります。

返金の有無や計算方法、申請期限は大学によって異なるため、学則や学生課で早めに確認しましょう。

返金の規定をあらかじめ把握しておくと、予期せぬ出費を防げるため、退学後の準備や生活設計をより計画的に進められます。

休学と退学、除籍の違いを解説

休学と退学、除籍は在籍の有無などに明確な違いがあります。

休学は「大学に在籍したまま、勉強や通学を一時的に停止する制度」であり、病気や留学、家庭の事情などで一時的に学業を中断したい場合に利用されます。

休学期間中も学生の資格は維持され、復学の手続きを行えば再び授業を受けられるのが特徴です。

退学は「学生が自らまたは何らかの理由で大学との関係を断つ手続き」で、学生としての身分が失われます。

そして、除籍は「大学側の判断でその学生を学籍簿から完全に抹消すること」で、本人の意思にかかわらず学籍が消される制度です。

休学と退学、除籍の違いについて、以下のとおり解説します。

  • 休学は大学に在籍したままの状態
  • 退学は学生の身分を喪失した状態
  • 除籍は大学の判断で学籍を抹消された状態

休学は大学に在籍したままの状態

休学は、学生が一時的に学業を中断しながらも大学に在籍し続ける制度です。

学籍は維持されたままのため、在学生であることに変わりありません。

休学する主な理由は病気や留学、起業の準備などです。

休学中は授業に出席したり、単位を取得したりすることはできませんが、復学すれば元の学年に戻って学業を再開できます。

大学によっては、休学期間中の学費が全額または一部免除される場合もあります。

ただし、休学費や在学費などの支払が発生するケースもあるため、事前に確認しましょう。

休学期間は通算4年が一般的です。上限を超える場合は自動的に退学処分となる場合があります。

退学は学生の身分を喪失した状態

退学は、学生の意思によって大学を辞める行為であり、学生の身分を完全に失う状態を指しています。

進路変更や経済的な事情、体調不良、学業意欲の低下など、さまざまな理由で本人の申請に基づいて手続きされるのが一般的です。

退学するとその大学の在籍者ではなくなるため、同じ大学に再び通うためには再入学試験の受験や入学金の再納付が必要になる場合があります。

また、退学日以降は学費の支払い義務がなくなりますが、すでに納めた授業料や施設費が返金されるかどうかは大学の規定によって異なります。

そのため、手続きを行う前に大学へ確認し、必要書類や返金条件を把握しておきましょう。

除籍は大学の判断で学籍を抹消された状態

除籍は、学生の意思とは関係なく大学側が学籍を抹消する制度です。大学の判断によって、学生としての資格が強制的になくなることを意味します。

主な理由は学費の未納や長期間の無断欠席、単位の未取得、休学の期限切れなどです。

除籍は大学が定める学則に基づいて実施され、原則として事前通告や猶予措置が行われるものの、学生に重大な過失があると判断された場合には、一方的に除籍処分が下されるケースもあります。

除籍された場合、大学に再入学するのは非常に難しいのが現実です。

しかし、やむを得ず除籍になった場合でも、専門学校や他の大学への入学、就職など次の道に進むことは十分に可能です。

大学を休学後そのまま退学するメリット

大学を休学後、そのまま退学すると経済的な負担の軽減や新しい生活の開始、ストレスからの解放、キャリアスタートの前倒しなど、複数のメリットがあります。

大学という学歴に縛られず、人生を自分で設計するための大きな決断となり得るのが「退学」という選択です。

退学によって学費の支出を止め、自分の時間を自由に使えるようになると、新たなスキルの習得や起業、転職、海外挑戦など、自分に合った道を選べます。

さらに、社会経験を早く積めば、大学卒業後に就職する人よりも先んじてキャリアを構築できる可能性もあります。

大学を休学後そのまま退学する主なメリット4点について、それぞれ見ていきましょう。

  • 学費の負担を減らせる
  • 新たな方向に進める
  • 心身のストレスから解放される
  • キャリアを早くスタートできる

学費の負担を減らせる

大学を休学後そのまま退学するメリットの1つは、学費の負担を減らせる点です。

大学に在籍しているだけで授業料や施設費、教材費、通学費など、多くの費用が発生しますが、退学を選ぶと学費の出費を一切カットできます。

さらに、奨学金を利用していた場合は返済総額も抑えられる可能性があるため、将来の金銭的なリスクも軽減されます。

大学に何となく在籍し続けて学費を払い続けるよりも、自分の選択に責任を持ってお金の使い方を最適化する判断は、非常に合理的な選択といえるでしょう。

新たな方向に進める

退学すると就職や起業など、新たな進路に進むための自由が手に入るのが特徴です。

大学に在籍していると、カリキュラムや卒業要件などの枠組みに縛られ、自分の興味が変わったとしても、方向転換が難しい場合があります。

そのため、休学後にそのまま退学すると、自分が本当にやりたいことに集中できる時間を確保できます。

例えば「違う分野に進みたい」「海外で生活してみたい」「起業してみたい」「手に職をつけたい」などの思いがある場合、大学の枠を超えて行動に移すことが可能です。

もちろんリスクも伴いますが、自分で人生を選ぶ力を育てるという意味では、退学は大きな成長の機会といえるでしょう。

心身のストレスから解放される

大学を休学した後にそのまま退学すると、学業や人間関係が原因となるストレスを根本的に解消できます。

大学生活では単位の取得や卒業のプレッシャー、友人関係、将来への不安など、多くの精神的な負担が積み重なります。

一時的に休学しても、復学期限や再び同じ環境に戻ることへの不安が拭えず、さらに追い詰められるケースもあるのです。

その点、退学を決断すると環境そのものを変えられるため、自分を苦しめていた要因から距離を取れるメリットがあります。

早い段階で「このままでは限界だ」と気づいて退学を選ぶのは、自分を守るための大切な決断です。

キャリアを早くスタートできる

大学を中退して就職すると、同年代の学生よりも一足先にキャリアをスタートさせるチャンスが得られます。

目的意識が明確な人にとっては、4年間を大学で過ごすよりも、実践の場に飛び込んだ方がはるかに多くの学びを得られる場合があるのです。

現代では、学歴よりも実務経験やスキルが重視される場合があり、IT業界やクリエイティブ職、営業、マーケティング、起業など、多くの分野で成果主義が浸透しています。

キャリアをスタートさせるためには「退学したら何をしたいのか」「何を学ぶのか」という明確なビジョンを持つと成功につながります。

大学を休学後そのまま退学するデメリット

大学を休学した後にそのまま退学すると、学歴が「大学中退」になる点や就活における応募先の制限、年収の低さなど、複数のデメリットを伴うリスクがあります。

理由として、大学中退というレッテルが学歴として残ること、大卒条件の求人に応募できない可能性、学歴による年収差のデータが複数の統計で裏付けられていることなどが挙げられます。

また、退学を選ぶと親や友人から理解を得られないケースもあり、精神的な負担や孤立感を抱くかもしれません。

さらに、目標が定まらずにそのまま退学する場合、空白期間が長引く恐れがあります。

本章では、大学を休学した後に退学する主なデメリットを7点挙げ、それぞれ解説していきます。

  • 学歴が「中退」として残る
  • 大卒が条件の求人に応募できない
  • 年収の差が出る
  • 周囲からの理解を得にくい
  • 学費や時間が無駄になったと感じる
  • 休学と退学の理由を就職活動で聞かれる可能性がある
  • 明確な目標がない場合は空白期間が長引く恐れがある

学歴が「中退」として残る

大学を退学すると、最終学歴は「大学中退」として残ります。

履歴書や職務経歴書に中退の事実を明記しなければならず、企業側に「なぜ中退したのか」と疑問を持たれることもあるでしょう。

卒業見込み者や卒業者と比べて、選考で不利になる可能性もあります。

大学中退の場合「最後までやり遂げられなかった」という印象を持たれる場合もあるため、説明力が問われます。

そのため、採用担当者に納得してもらえる前向きな理由を準備しておくことが重要です。

大卒が条件の求人に応募できない

企業の中には「大卒以上」を応募条件としている求人があり、大学を中退すると応募できない場合があります。

特に総合職や大手企業、専門的な職種では、採用時に学歴を重視する傾向が強く見られます。

そのため、退学を検討する際は、自分が目指す職業や業界が「大卒」を条件としていないか、事前に確認しておくことが重要です。

将来の可能性を狭めないためにも、求人情報を細かく調べたり、キャリアセンターや転職サイトを活用したりして、早めに情報を集めておきましょう。

年収の差が出る

大学を中退すると、生涯にわたる年収に差が出る可能性があります。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査やユースフル労働統計2023のデータによると、大卒と高卒の平均年収には大きな開きがあり、生涯賃金で数千万円の差になるといわれています。

【大卒と高卒における賃金の比較】

大卒高卒大卒と高卒の差
385,800円288,900円96,900円

参考:

厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況(学歴別)

【大卒と高卒の生涯賃金(定年まで勤務・退職金を除く)】

大卒(男性)高卒(男性)大卒と高卒の差(男性)
247,400,000円203,000,000円43,800,000円
大卒(女性)高卒(女性)大卒と高卒の差(女性)
198,000,000円149,200,000円48,800,000円

参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 生涯賃金など生涯に関する指標・ユースフル労働統計2023(P300)

また、大卒は昇進や昇格のチャンスが広がりやすく、初任給や賞与、退職金にも差がつきやすい傾向があるのです。

大学を退学した場合、短期的には自由な時間やコスト削減が得られても、長期的に見れば経済面で不利になるリスクがあるため、慎重な判断が求められます。

周囲からの理解を得にくい

大学を休学し、そのまま退学するという選択は、家族や友人、教員など周囲の理解を得にくい場合があります。

「なぜ大学を辞めるのか」「将来どうするのか」などの質問に答える必要があり、ときには批判的な意見を受けるケースもあるでしょう。

周囲の反応を気にするあまり、自分の決断に迷いが生じたり、孤独を感じたりする場合もあります。

そのため、退学を決める前に自分の考えや理由を整理し、しっかりと伝えられる準備をしておきましょう。

学費や時間が無駄になったと感じる

大学で明確なスキルや成果を得られなかった場合、過ごした時間や支払った学費が無駄だったと感じることは、退学後に多くの人が抱く感情の1つです。

しかし、大学で過ごした時間は決して意味のないものではありません。

たとえ思うような成果が得られなかったとしても、そこから得た人間関係や経験、悩んだ時間のすべてが今後の選択に生きていきます。

「何が自分に合わなかったのか」「どんな環境なら自分は活躍できるのか」を見つめ直す機会だったと前向きに捉えれば、自分の適性や価値観をより深く理解できます。

休学と退学の理由を就職活動で聞かれる可能性がある

就職活動では、面接時に「なぜ休学してそのまま退学したのか」と問われる場合があります。

なぜなら、休学と退学の理由や意思決定の背景を企業が重視するためです。

この質問に対して、明確で納得感のある回答ができないと「計画性がない」「逃げたのではないか」などのマイナス評価を受ける恐れがあります。

そのため、退学後に挑戦したことや学んだことが明確であれば、それを前向きにアピールしましょう。

重要なのは大学を休学して辞めた理由よりも「辞めた後に何をしたか」をポジティブに語れるかどうかです。

明確な目標がない場合は空白期間が長引く恐れがある

退学後に明確な目標や計画がない場合、空白期間が長引く恐れがあります。

「大学を休学した後、とりあえず辞めた」状態では、次の行動に迷いが生じるため、時間だけが過ぎてしまう場合があるからです。

空白期間は履歴書の印象を悪くするだけでなく、自分自身のモチベーションや自己肯定感にも悪影響を与える可能性があります。

空白期間を避けるためには、やりたいことや学びたいこと、働きたい職種などを退学前から明確にし、具体的な行動計画を立てておきましょう。

アルバイトやインターン、資格取得の勉強など、少しずつでも行動に移すと将来につながります。

休学後に復学すべきか退学すべきか迷った場合の判断軸

大学を休学した後、復学すべきか退学すべきかで迷う場合、自分のキャリアの目標や意欲、経済面や心身の状態などを基準にして、冷静に判断しましょう。

自分のキャリアに大卒資格が必要な場合、復学を検討する必要があります。

次に、大学での学習に目的意識がある場合は復学する価値がありますが、学ぶ意味を感じられない場合は、退学して新たな道を探す選択も視野に入れましょう。

さらにお金や健康の問題、目標の有無によって行動に大きな差が生まれます。

復学と退学どちらが正解ということはないため、以下5つの判断軸をもとに、自分にとっての正解を選びましょう。

  • 大卒の資格が自分のキャリアに必要かどうか
  • 学びたい意欲があるか
  • 学費や生活費を負担できるか
  • 退学後の進路が明確かどうか
  • 心身の健康状態が整っているか

大卒の資格が自分のキャリアに必要かどうか

自分が目指すキャリアにおいて「大学卒業」という学歴が必須かどうかを見極めましょう。

例えば、研究職や法務、教育、公的機関など、大卒が応募条件に含まれている職種では、高卒はエントリーできない場合があります。

一方で、ITやスタートアップ、クリエイティブ職、技術系や実力主義の業界などでは、実務スキルや成果が重視される傾向が強く、学歴よりも「何をできるか」が問われることが多くあります。

そのため、自分がやりたい仕事や業界をリストアップして、その求人要件を調べてみましょう。大卒が条件の企業が多い場合は、復学を検討すべきといえます。

学びたい意欲があるか

復学か退学かを判断する際は、自分の「学びたい」という気持ちがどの程度残っているかを冷静に見つめましょう。

大学での学びに興味や好奇心がある場合は、復学して再度挑戦したり、別の大学や通信制大学へ転入して環境を変えたりする方法もあります。

一方で「とりあえず在籍しているだけ」と感じていたり、授業への関心が続かない場合は、復学しても同じ悩みを繰り返すかもしれません。

モチベーションが低い状態では授業に身が入らず、休学や退学を再び考えることになりかねません。

自分が何を望んでいるのかを明確にし、無理せずに納得できる道を選びましょう。

学費や生活費を負担できるか

大学に復学する場合は、授業料や施設維持費、教材費、通学費などのほか、住居費や食費、交通費などの生活費も継続的に必要です。

学費や生活費の見通しが立たないまま復学してしまうと、経済的な不安から学業に集中できず、再び挫折してしまう可能性があります。

そのため、学業を続けるためには、学費や生活費の支出を安定してまかなえる経済的な基盤を整えておきましょう。

迷いを長引かせないためにも、早い段階で具体的な資金計画を立てておくことが重要です。

退学後の進路が明確かどうか

大学を辞める際は、退学後にどのような進路を歩みたいかを具体的に描きましょう。

例えばインターンや就職、フリーランスとしての独立、専門分野の学び直しなど、退学後の道筋が見えていれば進むべき方向を見失いにくくなります。

一方で、具体的なビジョンがないまま退学してしまうと「何をすればいいのか分からない」と感じて空白期間が長引く恐れがあります。

退学を決める前にスキルを習得する計画や情報を得られる人脈づくりなどを準備すると、退学後の成功につながります。

心身の健康状態が整っているか

復学または退学を判断するうえで、心身の健康状態は重要な要素の1つです。

休学に至る背景にはストレスや疲労、精神的な負担、体調不良などが関係している場合が多く、心身の健康状態が十分に解消されていないまま復学すると、再び同じ悩みを抱える恐れがあります。

心身の回復が不十分で、授業や課題の負担に耐えられる自信が持てない場合は、無理をして復学するよりも、退学して休養や治療に専念しながら新しい選択肢を探すことも賢明な判断です。

心身の健康は何よりも大切です。まずは自分の体調や心の状態を見つめ、回復を最優先にしたうえで次の道を選びましょう。

まとめ

大学を休学した後そのまま退学することは可能で、人生を見直す大きなチャンスにもなり得ます。

教員との面談や保証人の同意、退学届の提出など、正しい手続きを踏むと退学手続きが円満に完了します。

制度や学費の扱いは大学によって異なるため、早めの事前確認が必要です。

退学には学費の負担軽減や自由な時間の確保、心身のリセット、新たなキャリアへの挑戦など、多くのメリットがあります。

一方で、学歴が「大学中退」になる点や大卒条件の求人に応募できない点、大卒よりも年収が下がる可能性が高い点などがデメリットです。

休学してそのまま退学すると不安やリスクもありますが「自分のキャリアに大卒の資格が必要か」「学びたい意欲があるか」「退学後にやりたいことは何か」などの視点で自分と向き合うと、後悔のない選択ができるでしょう。

中退就職カレッジのご紹介
中退就職カレッジのご紹介
  • 学歴に自信がないから就職できるか不安
  • 就職について、誰に相談したら良いか分からない
  • 中退しようかどうかを迷っている
  • 学歴に自信がないから就職できるか不安
  • 就職について、誰に相談したら良いか分からない
  • 中退しようかどうかを迷っている
ABOUT US
小久保 友寛キャリアコンサルタント
元株式会社ジェイック シニアマネージャー/「就職カレッジ®中退者コース」事業責任者。国家資格キャリアコンサルタント。これまで約1400名以上*の大学中退者やフリーターのキャリアカウンセリングや就職支援講座を行う。(*2014年8月~2020年7月)現在は、学生団体の活動支援や、企業・経営者への組織づくり支援、終活支援など、世代や立場を問わず「やりがい」や「いきがい」を育む取り組みを幅広く展開中。 「誰もが人生を楽しめる社会をつくる」──その想いは、「日本の中退を変える!」と掲げていた頃から今も変わりません。