子どもが大学留年!親の対応はどうする?正しい向き合い方とサポート方法を解説

子どもが大学を留年したと知ったとき、親がまず取るべき対応は「落ち着いて状況を受け止めること」です。
留年は子どもにとって将来を揺るがす衝撃的な出来事であると同時に、親にとっても怒りや失望を伴う非常につらい事実です。
しかし、親が感情をぶつけてしまうと、子どもはさらに心を閉ざし、立ち直るチャンスを失ってしまうかもしれません。
本記事では、子どもが大学を留年した際に親が取るべき対応や、留年の現実と主な理由、子どもの気持ちと親が避けるべき対応について解説しました。
親の理解とサポートがあれば、留年という経験も将来へつながる貴重な学びに変えていけるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。
この記事の目次
子どもが大学を留年したときの親の対応
子どもが大学を留年したとき、親の対応で重要なのは、「感情的にならず、冷静に話を聞いたうえでサポートすること」です。
留年は子どもにとって不本意な事実であり、将来の不安や自信の喪失につながりやすい出来事です。
親もまた驚きや落胆だけでなく、金銭面での懸念も感じるでしょう。
しかし、一方的に責めたり叱責したりしてしまうと、子どもはさらに追い詰められ、立ち直れなくなる可能性があります。
親が理解を示しながら伴走すれば、子どもは安心感を得て、再び前向きに取り組む力を取り戻せるでしょう。
本章では、以下の内容についてそれぞれ解説します。
- 子どもの話を冷静に聞く
- 大学留年の理由を一緒に整理する
- 今後の学習計画を立て直す
- 経済的な負担について話し合う
- 将来に向けてサポートする
子どもの話を冷静に聞く
大学の留年は、子どもにとっても強いショックやストレスを伴う出来事のため、一方的に問い詰めるのではなく「話を聞かせてくれる?」という姿勢で接しましょう。
親から責められると子どもは防衛的になり、嘘をついたり本音を話さなくなったりするリスクがあります。
子どもの話を聞く際は「黙って聞くこと」と「否定しないこと」を心がけましょう。
留年の原因が子どもの怠慢だったとしても、感情をぶつけずに事実を受け止める姿勢を保ちます。
話をすべて聞いた上で「これからどうしたい?」と未来に視点を向ける声かけをすると、子どもは前向きな気持ちになりやすくなります。
親の対応次第で、子どもの心は開かれていくでしょう。
大学留年の理由を一緒に整理する
大学を留年した場合、複数の理由が絡んでいるケースがあるため、子どもと一緒に振り返りながら原因を言語化しましょう。
留年の原因は以下のように多く存在します。
- 単位不足
- 出席不足
- レポートの未提出
- 精神的なストレス
- 人間関係の悩み
- アルバイトのしすぎ
- ゲーム
- 体調不良
大学留年にあたって「何が起きたのか」を1つずつ具体的にヒアリングしましょう。
例えば「いつから授業に出られなくなった?」「どの科目でつまずいた?」など、具体的な質問を通して、子どもにも現状を客観視させます。
重要なのは、あくまで冷静に責めずに聞くことです。「どうしてもっと早く相談しなかったの?」と叱責するのは望ましくありません。
留年の原因を明確にできると、今後どのようなサポートが必要か見えてきます。
学業の遅れなら家庭教師や塾、メンタルの問題なら心療内科やカウンセリング、アルバイトのしすぎなら収支の見直しなど、適切な対策を講じやすくなります。また、原因や本人の意思によっては中退も選択肢となってきます。
今後の学習計画を立て直す
留年の理由が明確になったら、今後の学習計画を立て直しましょう。
ただ「頑張る」では曖昧すぎるため、再度留年する可能性が高くなります。
親子で現実的な学習計画を立て、短期・中期・長期の目標を決めることが大切です。
例えば、以下のように見直してから、具体的な計画を立てましょう。
- 次の学期では何単位取得する必要があるのか
- 一週間の学習スケジュールをどのようにするか
- アルバイトや趣味とのバランスをどのように取るか
スケジュール表やタスク管理アプリを活用して、可視化するのも効果的です。
小さな目標を設定してクリアしていくと、自信の回復にもつながります。
計画どおりに進まない時期があっても「やり直せばいいよ」と柔軟な姿勢を持ち続ければ、子どもにとって大きな支えになります。
経済的な負担について話し合う
大学を留年すると、学費や生活費など、予定外の出費が発生します。そのため、経済的な負担について、親子で具体的に話し合いましょう。
まず、大学から届いた学費請求の内容を確認し、支払額を確認します。
そのうえで「親がどこまで支援できるのか」「子どもにアルバイトをしてもらうのか」などの方法を親子で検討しましょう。
お金の話は避けがちですが、現実を理解させることは子どもにとって社会性を育む機会になります。
ただし「親がお金を出してやってるのに!」という態度は逆効果です。あくまで「どうすれば引き続き大学に通えるのか」を親子で冷静に考えましょう。
親だけが背負い込まず、子どもに「自分の将来は自分で考える責任」を持たせると、成長につながります。
将来に向けてサポートする
留年をきっかけに、将来の目標やキャリアについて親子で一緒に見直しましょう。
大学留年は人生の失敗ではなく「立ち止まって考えるチャンス」と捉えます。
この機会に子どもの将来について親子で話し合うと、新たな目標や方向性が見えてくるかもしれません。
例えば、進みたい業界や職種、やりたいこと、やりたくないことなどを親子で話せば、子どもの気持ちも整理できます。
学業が合わない、または興味がない場合は、専門学校への入学や就職、起業など、大学以外の道を考えるのも有効です。
大学の卒業が目的ではなく「自立した人生を送れること」が本来のゴールであると再確認しましょう。
親が将来の話をする際は、押し付けにならないよう注意が必要です。
「あなたの人生を応援しているよ」という姿勢を持ちつつ、必要に応じて情報提供や人脈紹介など、実務的にサポートしましょう。
大学留年の現実や主な理由
大学で留年する学生は、決してごく少数というわけではありません。
全国の大学における留年率はおおむね10%前後とされており、約10人に1人の割合で何らかの理由により進級や卒業ができず、留年しています。
「留年=勉強をサボった学生がなるもの」という印象を持たれがちですが、実際には真面目に取り組んでいても、さまざまな理由で留年に至るケースがあるのです。
本章では、実際の大学生の留年率を紹介しながら、留年に至る主な理由を6つに分けて解説していきます。
子どもの留年に直面して悩んでいる保護者の方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
- 大学の留年率は10%前後が多い
- 必修科目の単位が不足していたから
- 出席日数が足りなかったから
- 試験に合格しなかったから
- 課題やレポートを提出していなかったから
- アルバイトや遊びに熱中して学業が疎かになったから
- 心身が不調だったから
大学の留年率は10%前後が多い
大学の留年率は、一般的に10%前後であるケースが多く、想像以上に多くの学生が何らかの理由で留年しています。
大学や学部、年次によっても大きく異なりますが「留年は珍しくない現象」であることを知っておくことが重要です。実際のデータは次のとおりです。
| 大学名 | 留年の割合 |
|---|---|
| 明治大学 | 13.1% |
| 和歌山大学 | 10.0% |
| 駒澤大学 | 5.0% |
| 県立広島大学 | 2.5% |
大学の基準や難易度、学部の特性などによって留年率に幅があるものの「およそ10人に1人が留年する」というのは現実的な数字といえます。
特に、単位の取得が難しい理系学部や留学の多い外国語学部、カリキュラムの厳しい学部などでは進級の難易度が高く、留年のリスクも上がります。
参照:
明治大学「データで見る明治大学(学修成果→学部卒業率・留年率)」
和歌山大学「修業年限期間内に卒業する学生の割合、留年率、中途退学率」
必修科目の単位が不足していたから
必修科目の単位が不足し、留年する学生は非常に多くいます。授業についていけず、単位の取得に失敗したという声が実際に多く聞かれているのです。
株式会社ジェイックの調査では、中退者331名のうち半数以上が留年経験者であり、その中でも「授業についていけなかった」点が留年理由の第1位となっています。
大学の必修科目は、進級や卒業に必要な基礎知識を身につけるためのものです。
必修科目を落とすと再履修が必要になり、スケジュールが圧迫され、他の科目との両立が難しくなる場合があります。
留年を防ぐためには、絶対に落とせない科目の優先順位を明確にして、計画的に取り組むことが大切です。
参考:株式会社ジェイック【調査】中退者の半数が「留年経験者」、留年理由1位は「授業についていけない」 中退者331名へのアンケート調査を公開
出席日数が足りなかったから
出席日数が足りずに単位がもらえず、留年になるケースが頻繁に発生しています。
多くの大学では、授業の出席率が一定の割合を超えないと試験を受けられない、または単位が付与されないというルールがあります。
授業によっては遅刻や早退も欠席と見なされるケースがあり、注意が必要です。
病気や家庭の事情などのやむを得ない事情による欠席も、届け出がなければ欠席扱いとなり、不利になる可能性があります。
出席日数を確認したうえで、授業に遅れず出席できる生活リズムを整えることが大切です。
試験に合格しなかったから
定期試験や再試験で合格点に達しないのも、留年の主な原因の1つです。
大学では多くの科目で試験の点数が評価の中心となっており、出席率や課題の出来が良くても、試験で失敗すると単位が認められないケースがあります。そのため、勉強不足や理解不足が命取りとなります。
定期試験は授業内容からの出題が基本のため、早めに範囲を把握し、ノートや配布資料を整理すると効果的です。
授業で十分に理解できなかった箇所は、教員や友人に質問して、早めに克服することが求められます。
課題やレポートを提出していなかったから
課題やレポートの未提出は、成績の評価に大きな影響を及ぼすため、留年につながる場合があります。
大学の授業では、課題やレポートの提出が試験と同等に重視されるケースがあり、提出期限を守らなかったり、内容が不十分だったりすると、評価が「不可」となる可能性があります。
課題を期限内に提出するためには締切管理や早めの着手、リマインダーの設定、シラバスの確認などが有効です。
また、友人と情報を共有すると、抜け漏れを防ぐ手段になります。
アルバイトや遊びに熱中して学業が疎かになったから
アルバイトや遊びに時間を使いすぎると、学業との両立が難しくなるため、留年の原因になる場合があります。
また、生活リズムが乱れて睡眠不足や体調不良につながる場合もあります。そのため集中力が低下し、出席率や課題提出、試験の結果に悪影響を与えるのです。
留年を避けるためには、学業を最優先にしたスケジュールを組み、アルバイトや遊びは支障のない範囲にとどめる必要があります。
学業とプライベートのバランスを適切に保つと、大学生活をより充実させながら進級や卒業へとつなげられます。
心身が不調だったから
心身の不調は、授業の出席や課題の提出、試験勉強など学業全般に大きな影響を及ぼし、集中力の低下や生活リズムの乱れを招きやすくなります。
その結果、学習の遅れが積み重なり、留年につながるケースも少なくありません。
大学生活では環境の変化や人間関係、将来への不安、生活習慣の乱れなど、ストレスを感じる要因が数多く存在します。
これらの要因が複雑に重なると心身に負担がかかりやすく、体調を崩す原因になるのです。
大学には学生相談室などの支援部門が整備されているため、心身の不調を自覚したら1人で抱え込まず、早めに相談することが大切です。
大学留年で子どもが抱く気持ちを解説
大学で留年が確実になったとき、学生は強いショックを受け、親への罪悪感や将来に対する不安、周囲との比較による焦りなど、さまざまな感情が重なり合い、心が押しつぶされそうになります。
これらの複雑な気持ちを抱える子どもに対して、親が冷静に耳を傾け、理解とサポートを示すことが非常に重要です。
親の支えがあると、子どもは立ち直る力を取り戻し、次の一歩を踏み出しやすくなります。
本章では、大学留年に直面した学生がどのような気持ちを抱きやすいのかを、代表的な6つのパターンに分けて詳しく解説します。
- 親に申し訳ないと思う
- 親の反応が怖くてなかなか話せない
- 自分を責めてしまい自己嫌悪に陥る
- 将来への不安で頭がいっぱいになる
- 学費や仕送りの負担をかけてしまい心苦しく思う
- 留年した理由を理解してもらいたい
親に申し訳ないと思う
留年すると、親に対して負担や迷惑をかけてしまうという想いから、子どもは申し訳なさを感じます。
親が学費や生活費を用意したり、進学にあたってさまざまな準備をしてくれていたりする事実を子どもは理解しているため、自分の失敗が親を裏切り、取り返しがつかないことをしてしまったという気持ちになります。
「4年で卒業するつもりだったのに」「もっと努力すればよかった」などの後悔の念に加えて、親の期待に応えられなかったという責めの思いが湧きあがり、自己嫌悪を募らせるのです。
親の反応が怖くてなかなか話せない
親に留年を伝えること自体が大きなストレスとなり、なかなか言い出せずに1人で抱え込む学生は少なくありません。
親の性格や過去の親子関係、親が描いていた将来像などによって「許してもらえないかもしれない」「失望されるかもしれない」「理解してもらえないかもしれない」などの不安な気持ちでいっぱいになります。
その結果、親への連絡を先延ばしにしたり、成績を隠そうとしたりして、問題を後回しにするケースが多くあるのです。
このような状況は、子どもの精神的な負担を一層大きくしてしまう原因となります。
自分を責めてしまい自己嫌悪に陥る
留年を自分の人格や能力の問題だと考えてしまうと、子どもは深い自己嫌悪に陥る場合があります。
特に真面目で責任感の強い学生ほど、自分を必要以上に責めてしまいがちです。
そのため「自分はダメな人間だ」「何もできない」などの否定的な思考を呼び起こし、自己評価を大きく下げてしまうケースが少なくありません。
自分を責める気持ちが続くとモチベーションが著しく低下し「どうせ何をやっても無駄だ」という無力感につながり、次の挑戦への意欲を失ってしまう場合もあります。
将来への不安で頭がいっぱいになる
留年により卒業が遅れると、その後の就職活動やキャリア、収入、人生設計に対して強い不安を抱く学生は少なくありません。
そのため「自分だけが取り残されてしまうのではないか」という思いが強くなります。
「留年したら就活で不利になるはず」「希望する職業に就けないかもしれない」などの恐怖や焦りが生まれ、悲観的な考えに傾くケースもあります。
また、順調に進級や卒業していく友人と自分を比較して、劣等感やプレッシャーを感じる場面も増えるでしょう。
その結果、自信を喪失し、さらに不安が増幅される悪循環に陥る学生もいます。
学費や仕送りの負担をかけてしまい心苦しく思う
親が学費や生活費を負担している場合「自分が留年すると、余計なお金をかけてしまう」と考え、大きな罪悪感につながる場合があります。
子どもが一人暮らしをしているケースでは、学費だけでなく家賃や食費などの仕送りなども含めたコストは相当なものです。
留年すると親の負担がさらに大きくなるため、子どもは「自分のせいで親に迷惑をかけてしまう」と感じます。
留年が決定すると、その分の授業料や諸経費が新たに発生し、親に支払ってもらわなければならないという現実が突きつけられます。
経済的な負担を意識するあまり、強いプレッシャーに追い込まれる学生も多くいるのです。
留年した理由を理解してもらいたい
自分がなぜ留年してしまったのか、その理由を親に理解してほしいという気持ちは、多くの学生が強く抱いています。
単に謝るだけではなく、自分の言葉で状況を説明し「なぜこうなってしまったのか」を伝えたいと心から思っているのです。
例えば「努力したが授業についていけなくなった」「体調を崩した」「アルバイトとの両立が難しかった」「大学の勉強に興味が持てなくなった」など、留年に至った事情は一人ひとりで異なります。
親が一方的に叱責や否定をするのではなく、共感や傾聴を通じて寄り添ってくれると、子どもにとって大きな安心感につながるでしょう。
子どもが大学を留年したときに親が避けるべき対応
大学留年が明らかになったとき、親の反応は子どもの今後の人生に非常に大きな影響を与えます。
進級の問題のみにとどまらず、子どもの自信や将来への姿勢、さらには親子関係のあり方にも関わってくる重要な場面です。
親が怒りや失望から感情的に対応してしまうと、子どものやる気や自尊心を大きく損ね、親子の信頼関係まで壊れてしまう恐れがあります。
特に、理解を必要としている時期に親が否定的な態度を取ると、子どもの心に深い傷を残してしまうのです。
本章では、親が特に避けるべき対応を7つ挙げ、それぞれの理由を詳しく解説していきます。
- 感情的に怒鳴る・叱責する
- 人格を否定する言葉を投げかける
- きょうだいや親戚・友人と比較する
- 一方的に将来を決めつける
- 突き放して話を聞かない
- 理由を聞かずにお金の問題だけを責める
- 過去の失敗を掘り返して責める
感情的に怒鳴る・叱責する
大学留年が明らかになったとき、子どもを感情的に怒鳴ったり激しく叱ったりするのは逆効果です。
怒りの感情をそのままぶつけると、子どもは精神的に追い詰められて心を閉ざしてしまうリスクがあります。
留年が決まった時点で、子どもはすでに強い自己嫌悪や焦りを感じている場合が多く、親からの怒声はその気持ちをさらに悪化させます。
そのため、子どもが状況を説明したり相談したりする機会を失い、親子関係にも深刻なひびが入るのです。
親はまず、現実を冷静に受け止め、子どもの気持ちに寄り添う姿勢を見せると、再出発につながります。
人格を否定する言葉を投げかける
「留年したのは怠けたからだ」「だらしない」「留年するような人間は社会で通用しない」などの人格を否定する言葉を子どもに投げかけるのは、絶対に避けるべきです。
失敗は行動の結果であり、その人の価値や能力すべてを否定するものではありません。
人格を否定する言葉を浴びせられると、子どもは自分の存在そのものが否定されたと感じて、自己肯定感が著しく低下します。
人格否定により心が深く傷つき、将来的な人間関係やキャリア形成に悪影響を及ぼす可能性があります。
問題は行動のみにフォーカスし、改善の余地について一緒に考えることが大切です。
きょうだいや親戚・友人と比較する
「お兄ちゃんは4年で卒業できたのに」「同級生はみんな進級できているのに」などの他人と比較する言葉は、子どもの心に深い傷を残します。
比べられた相手が身近な存在であればあるほど、そのダメージは大きくなります。
そのため、子どもは「自分は親から愛されていない」「親にとって自分は価値のない存在だ」と感じて自尊心を損なうのです。
また、他者との比較は子どもの成長や努力を無視することになり、前向きな行動を取る意欲を失わせます。
留年という状況を改善するためには、子どもの状況や考えにしっかりと向き合い、その歩みに寄り添うことが重要です。
一方的に将来を決めつける
「留年したから就職は無理だろう」「もう大学を辞めろ」「大学を中退して働け」など、親が一方的に進路を決めてしまうと、子どもの主体性を奪ってしまうリスクがあります。
子どもは自分で考える機会を失い、将来への選択に自信を持てなくなる恐れもあります。
進路は人生の方向を左右する重要な決断であり、その最終的な決定権はあくまで子ども本人にあるべきです。
親の意見や提案はもちろん大切ですが、押しつけではなく、子どもが考える際に参考として提示するのが望ましいあり方です。
親はアドバイザーとしてそばに寄り添い、ヒントを与える役割に徹しましょう。子どもの意思を尊重する姿勢こそが、子どもの将来を前向きに切り拓く力になるのです。
突き放して話を聞かない
子どもが留年の理由や今後のことについて話したいと思っているのに、親が話を遮ったり、そもそも話を聞こうとしなかったりすると、子どもは強い孤独感や絶望感を抱きます。
「親に話しても意味がない」「どうせ否定されるだけだ」と感じると、子どもは親との対話を避け、問題を1人で抱え込むようになります。
そのため、精神的にも大きな負担となり、さらに状況を悪化させる恐れがあるのです。
親がすべきことは子どもの話を遮らずにしっかりと聞くこと、すぐに否定せずに受け止めることです。
親が聞く姿勢を持つと子どもは安心し、次の一歩を踏み出す気持ちを持てるようになります。
理由を聞かずにお金の問題だけを責める
留年の原因を理解しないまま、お金の問題だけを子どもに責めるのは適切ではありません。
大学の留年により学費や生活費、仕送りなどが追加で発生するため、家庭にとって大きな負担となるのは事実です。
しかし、それを理由に「これだけお金をかけたのに」「無駄だったじゃないか」と金銭面ばかりを責めると、子どもは強い罪悪感に苛まれ「自分は親に迷惑ばかりかけている」と感じます。
その結果、自己否定感や無力感を助長し、改善への意欲を奪う原因となります。
お金の問題を一方的に責めるのではなく、子どもと一緒に現実と向き合い「どうしたら負担を減らせるか」を共に考える姿勢が重要です。
例えば「学費の一部は子どものアルバイト代で負担する」「親が費用を立て替え、子どもが社会人になってから少しずつ親へ返済する」など、子どもと建設的な対話を重ねていきましょう。
過去の失敗を掘り返して責める
「高校でも同じようなことがあったじゃないか」「昔から飽きっぽい性格だよね」など、過去の失敗を持ち出して責めるのは避けるべきです。
過去の出来事を引き合いに出されると、子どもは「やっぱり自分はダメなんだ」と思い込み、前を向く気力を失います。
親の言葉は非常に影響力があるため、何気ない一言でも子どもの心に深く突き刺さる場合があります。
過去の失敗を蒸し返すよりも「現状をどのように改善するか」「今後どうやって前に進むか」という未来に目を向けた会話が大切です。
子どもが反省しながら前に進むためのサポート役として、親はできるだけポジティブな対応を心がけましょう。
子どもが大学留年した際の親の対応についてよくある質問
大学留年は、多くの家庭にとって急に直面するショックな出来事です。
進路や学費、就職への影響など、さまざまな不安や疑問が一気に押し寄せてくる中で、親としてどのように対応すればいいのか悩む人も少なくありません。
本章では、多くの親が抱きがちな疑問を「よくある質問」として取り上げ、具体的かつ実用的なアドバイスをまとめました。ぜひ参考にしてください。
留年が見込まれる場合には、教授に直接交渉すると追加のレポート提出や補講などの救済措置を受けられる場合があります。
ただし、このような対応は大学や学部の方針、教授の裁量によって大きく異なるため、できるだけ早く確認して動きましょう。
一方で、留年がすでに確定した場合には、救済措置が設けられていないのが一般的です。
成功率は高いとは言えませんが、教授や事務局に事情を伝えて相談すれば、例外的な対応を得られる可能性もあるため、最後まで諦めずに行動してみる価値はあります。
留年が必ずしも就職活動に致命的な影響を与えるわけではありません。
企業側は「なぜ留年したのか」「その間に何をしていたのか」を重視する傾向があります。
例えば病気や家庭の事情など納得のいく理由があり、その経験から学んだことや今後の展望を語れるのであれば、大きなマイナスにはなりにくいと言えます。
一方で、遊びすぎや怠慢が原因で何の反省も見られない場合には、選考で不利になる可能性があるため注意が必要です。
子どもが就職活動の面接で正直かつ前向きに話せるよう、留年の原因を一緒に整理し、将来の目標や行動計画を明確にするサポートをしましょう。
留年が決まると、子どもは精神的に大きなショックを受けて部屋に閉じこもったり、会話を拒否したりする場合があります。
そのような状況の場合、親が焦って無理に立ち直らせようとすると逆効果になるケースがあるのです。
まずは、無理に話を聞き出そうとせず、安心できる環境を整えましょう。子どもは自分の中で整理がつくまで時間がかかる場合があります。
その間、親は「あなたの味方だよ」という姿勢を言葉や態度で示し続けることが重要です。
また、大学の学生相談室や心療内科、カウンセラーなど、専門家の力を借りるのも効果的です。第三者との対話によって、心を開きやすくなる場合があります。
大学を留年すると、半年分または1年分の学費や生活費が追加で必要です。
留年の対象になった科目によって異なる場合があるため、大学に確認しましょう。
さらに注意すべきなのが、奨学金の扱いです。
日本学生支援機構(JASSO)の場合、留年により卒業予定時期が延期される場合は、在学猶予願の提出が必要です。
しかし、成績不振で卒業が延期になる場合は、奨学金の申請ができない場合があります。
日本学生支援機構(JASSO)の「奨学生の適格認定に関する施行細則 第2章第3条 (2)」によると、奨学金が貸与できるのは「修業年限で確実に卒業又は修了できる見込みがあること」とされています。
奨学金を利用している場合は、留年がどのような影響を与えるのかを正しく把握し、必ず大学やJASSOの窓口に相談して早めに対応しましょう。
参考:
独立行政法人 日本学生支援機構「在学猶予(1)在学猶予願の届出が必要な場合(進学・辞退・留年・休学等)」
独立行政法人 日本学生支援機構「奨学生の適格認定に関する施行細則」
まとめ
子どもが大学を留年した際に親が取るべき対応や留年の現実と主な理由、子どもの気持ちや親が避けるべき対応について解説しました。
大学留年は親子ともに衝撃的な出来事です。しかし、親は感情的にならずに子どもの話を冷静に受け止めましょう。
留年の原因を一緒に整理したり、今後の見通しを親子で話し合ったりすると、新たな一歩につなげられます。
留年は将来を考え直す貴重な機会にもなり得ます。子どもに寄り添いながら適切に対応すると、子どもは再び自信を持って歩み出せるでしょう。























