大学中退で大卒資格を得る4つの方法!メリット・デメリットも解説

大学を中退しても通信制大学への編入や元の大学への復学など、大卒資格を取得する方法は複数存在します。
自分に合ったルートを選択して、学び直しすることで、大卒資格を手に入れることが可能です。
本記事では、大学中退から大卒資格を取得するための方法と、メリットやデメリット、大学中退から大卒資格を取得するまでの流れについて解説しています。
過去に大学で取得した単位を活かし、働きながらでも学べる方法も紹介しているため、自分に適した選択肢が見つかるはずです。
今こそ新たな一歩を踏み出して、大卒資格を手に入れましょう。
この記事の目次
大卒資格とは4年制大学を卒業して得られる学士のこと
大卒資格は、4年制大学で所定の単位(通常124単位以上)を修得し、卒業要件を満たした上で授与される学士のことです。
大学に入学しただけでは認定されず、全課程を修了して初めて得られる正式な学位とされています。
文部科学省が定めた基準を満たして卒業すれば大卒資格が与えられますが、高卒認定試験のように大卒認定試験が用意されているわけではありません。
大卒資格は専門知識だけでなく、課題解決力や論理的思考力、主体的に学ぶ姿勢を身につけた証として高く評価されます。
そのため、就職や転職の場面でも高く評価され、自分の可能性を広げながら、より充実したキャリアを築いていけます。
大学中退から大卒資格を取得する方法
大学を中退しても、通信制大学や他の大学への編入、大学改革支援・学位授与機構の活用、元の大学への復学や新たな大学への再入学など、大学資格を取得する方法はいくつも存在します。
もっとも一般的なのは、通信制大学や他の大学に編入・再入学するルートで、不足している単位を補いながら卒業を目指す方法です。
また、一定の条件を満たしていると、大学改革支援・学位授与機構という公的機関を通じて、学位を取得することも可能です。
自分の状況や取得済みの単位数、学費・通学の可否などを踏まえて適した方法を選ぶと、大卒資格を効率よく手に入れられます。
大学中退から大卒資格を取得する主な方法について、以下のとおり解説します。
- 通信制大学に編入する
- 他の大学に編入する
- 大学改革支援・学位授与機構を活用する
- 元の大学に復学または新たな大学に再入学する
通信制大学に編入する
大学中退から大卒資格を目指す方法として、もっとも現実的で柔軟性が高いのが「通信制大学への編入」です。
中退時に取得していた単位数に応じて2年次や3年次からの編入が可能で、学費が比較的安いのが大きなメリットです。通信制大学は入学試験がない場合も多いため、ハードルが低いのも魅力と言えるでしょう。
通信制大学はレポート提出やオンライン授業、スクーリング(対面授業)などを組み合わせた学習スタイルで、時間や場所に縛られずに学習を進められます。
以前通っていた大学の単位が認められれば、卒業までの必要単位を減らせるため、より短期間で大卒資格が取得できます。
中退から数年経っていても再スタートしやすく、キャリアアップや転職に向けて学士を取得したい方に適した方法の1つといえるでしょう。
他の大学に編入する
大学中退から大卒資格を目指す場合、他の大学に編入する方法もあります。
中退した大学とは別の大学に移って在籍を再開する方法です。
不足している単位を新たな大学で補いつつ、卒業を目指します。
編入制度は国立・私立を問わず多くの大学で実施されており、自分に合った進路を選びやすいのが特徴です。
中退時の在籍年数や取得単位数に応じて、2年次編入や3年次編入が認められる場合があるため、入学希望先の大学が何年次編入を認めているかを確認しましょう。
なお、他の大学への編入は一般入試とは異なるケースが多く、募集人数が限られている場合もあるため、募集要項をよく確認することが大切です。
大学改革支援・学位授与機構を活用する
大学改革支援・学位授与機構の制度を活用すると、大学中退でも一定の学修実績を積めば学士の学位を取得できます。
大学に編入しなくても学位が取れる唯一の公的制度ではありますが、大学の学部に在籍して卒業したわけではないため、一般的な意味での「大学卒業」とは区別されます。
ただ、就職や転職、資格取得などにおいて「大卒相当」の学歴を証明できたり、比較的安価に学位を取得できたりする点が大きなメリットです。
本章では、大学改革支援・学位授与機構で学士を取得するまでの具体的な流れを3つに分けて紹介します。
- 学士を取得する流れ1:卒業して学位授与を申請する
- 学士を取得する流れ2:学位授与試験を受ける
- 学士を取得する流れ3:試験に合格する
学士を取得する流れ1:卒業して学位授与を申請する
大学に2年以上在籍し、62単位以上をすでに修得した大学中退者が、124単位のうち不足している単位を大学改革支援・学位授与機構が認定した学校で取ると申請が可能です。
124単位以上が修得できたら、以下の必要書類を準備して申請しましょう。
- 学位授与申請書
- 学位審査手数料受付証明書
- 「基礎資格を有する者」に該当する証明書
- 単位修得状況等申告書
- 単位取得証明書(成績証明書)
- 学修成果
- レポートの要旨または作品等の説明書
- 住民票
- 受験票・写真票・到着お知らせはがき
- 大学に在籍していないことの証明書(対象者のみ)
申請受付は年に2回(4月期・10月期)です。提出期限が決められているため、早めに準備しましょう。
参考:独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構「新しい学士への途(学位授与申請案内)P41」
学士を取得する流れ2:学位授与試験を受ける
申請が受理されたら、次のステップは学位授与の試験です。
試験では、提出した学修成果のレポートをもとに、学士の学位にふさわしい知識と理解があるかが小論文で問われます。
また、音楽・美術・演劇のいずれかを専攻した場合は、小論文の代わりに面接試験が行われる場合があります。
申請時期は4月期と10月期の2回で、試験は6月と12月に設定されるのが一般的です。
小論文試験と面接ともにオンラインではなく、東京または大阪の指定会場で行われます。
小論文試験では、レポートや資料を参照できないルールになっているため、自分の言葉で表現できるように整理しておきましょう。
参考:独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構「新しい学士への途(学位授与申請案内)P49」
学士を取得する流れ3:試験に合格する
大学改革支援・学位授与機構では「修得単位の審査」と「学修成果・試験の審査」の両方に合格した場合のみ「学士(専攻分野)」の学位が授与されます。
合格者には学位記(学位証明書)が発行され、大学卒業と同等の学歴を取得したと見なされます。
後日、学位記が合格者に送付され、必要な場合は学位授与証明書の発行も可能です。
学位記は進学や就職活動の学歴証明として使用できますが、再発行ができません。大切に保管しましょう。
参考:独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構「新しい学士への途(学位授与申請案内)P51」
元の大学に復学または新たな大学に再入学する
大学中退から大卒資格を取得するためには、元の大学に復学するか、新しい大学に再入学する方法もあります。
元の大学に復学する場合は、大学が定める「復学制度」を利用しましょう。
大学ごとの規定に基づきますが、復学が許可されれば、以前取得した単位を認定される場合が多いため、学費と時間の負担を抑えながら卒業を目指せます。
一方、新たな大学に再入学する場合は、一般入試を受けて1年次から入学する方法が一般的です。
自分のライフスタイルや費用、卒業までの期間を考慮しながら、復学と再入学のどちらが適しているかを見極めましょう。
大学中退から大卒資格を取得するメリット
大学中退後に大卒資格を取得すれば、大卒が条件の求人にも応募できるようになります。
また、統計的にも高卒より大卒の方が平均年収や生涯賃金が高い傾向にあります。
加えて、キャリアアップや転職のチャンスが増える点も見逃せません。
さらに、受験資格に「大卒」が必要な国家資格や専門職の試験にも挑戦できるようになります。専門知識やスキルを高めて、より専門的なキャリアを目指すことができるでしょう。
学び直しを通じて、向上心や努力を継続できる姿勢をアピールできる点も、企業から評価されやすい要素といえます。
大学中退から大卒資格を取得することで得られる主なメリットを、5つの視点から解説します。
- 「大卒以上」が条件の求人に応募できる
- 収入や生涯賃金が増える可能性がある
- キャリアアップの機会が増える場合がある
- 大卒資格が必要な資格試験を受けられる
- 学び直した点により学習意欲をアピールできる
「大卒以上」が条件の求人に応募できる
大卒資格を得ると「大卒以上」が応募条件とされる求人の応募が可能です。
企業の求人票を見ていると「大卒以上」「大学・大学院卒歓迎」などと記載されているケースが多くあります。
特に管理職候補や研究・コンサルなどを扱う企業の求人では、最終学歴を条件としてふるいをかける場合があるのです。
大学中退では「大卒以上」の条件を満たせないため、選考対象外となることもあります。
そのため、大卒資格を取得すれば、これまで応募できなかった企業にも挑戦できるようになるでしょう。
収入や生涯賃金が増える可能性がある
大卒資格を得ると、高卒と比べて収入や生涯賃金の面で大きな差が出る傾向が確認されています。
厚生労働省の調査では、大卒と高卒の賃金(1ヶ月)において約9万円の差があることが分かります。
【学歴別にみた賃金】
| 大卒 | 高卒 | 大卒と高卒の差 |
|---|---|---|
| 38万5,800円 | 28万8,900円 | 9万6,900円 |
参考:厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況→学歴別
また、独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2023」の調査では、大卒と高卒の生涯賃金を比較すると、4千万円から5千万円程度の差があるのです。
【男女別の生涯賃金(新卒から定年まで勤務・退職金含めず)】
| 大卒(男性) | 高卒(男性) | 大卒と高卒の差(男性) |
|---|---|---|
| 2億4,740万円 | 2億300万円 | 4,440万円 |
| 大卒(女性) | 高卒(女性) | 大卒と高卒の差(女性) |
|---|---|---|
| 1億9,800万円 | 1億4,920万円 | 4,880万円 |
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 生涯賃金など生涯に関する指標・ユースフル労働統計2023(P300)
収入や生涯賃金の差は企業の規模などによっても変動します。しかし、大卒資格を持つと月収だけでなく将来の収入も増えやすくなるため、経済的にも安心して生活できる可能性が高まるでしょう。
キャリアアップの機会が増える場合がある
大卒の場合、昇進やマネジメント職、専門的なポジションなどへの道が広がる可能性があります。
理由は、管理職を選抜する際に学歴を参照する企業が一定数あるためです。
企業の昇進制度や管理職選抜はリーダーシップ、論理的思考、総合的なビジネス視点などを持っている点が求められ、学歴はその判断材料の1つとして使われる場合があります。
また、若手のうちから管理職候補として育てたい企業では、学歴を選抜対象とするケースがあるのです。
そのため、大卒資格を持っているとキャリアの選択肢が広がり、将来的にリーダーや管理職として活躍できるチャンスをつかみやすくなります。
ただし、実力重視の企業であれば、学歴に関係なく昇進できる場合があります。
大卒資格が必要な資格試験を受けられる
大卒資格を取得する利点の1つに、大卒が受験条件となっている資格試験を受けられる点があります。
国家資格や専門職の中には、受験の段階で「大卒以上」と明記されているものがあり、高卒のままでは受験資格を得られないケースがあるからです。
例えば、医師や歯科医師、薬剤師などの医療系国家資格をはじめ、教員免許や臨床心理士、公認心理師なども大学卒業が受験の前提条件です。
これらの資格は専門性が高く、社会的な信用や安定した収入にもつながるため、将来的に大きなキャリアアップが期待できます。
大卒資格を持っていると、専門的な資格試験への挑戦が可能なため、職業選択の幅が広がる点がメリットです。
ただし、医療系の国家資格に関しては、指定された学校の特定課程を修了する必要があります。教員免許も教職課程を履修して特定の単位を取得しなければなりません。つまり、大卒資格があっても、資格試験を受けられない可能性があることも考慮しておきましょう。
学び直した点により学習意欲をアピールできる
大学中退後に学び直して大卒資格を取得した経験は、仕事における自己成長力や継続力、向上心の証明となるため、面接や自己PRで強みにできます。
近年は学び直しや成長意欲を重視する企業が増えており、努力を継続して学位を得た点が高く評価される場合があるからです。
通信制大学や大学改革支援・学位授与機構を活用して学び続けた経験は、自己管理能力の高さを伝える実例にもなります。
面接では、中退した理由や再挑戦の経緯、困難を乗り越えた過程を具体的に話すと、人間性と意欲を印象づけられます。
大卒資格を取得した経験は、自身の成長を証明する貴重なストーリーといえるでしょう。
大学中退から大卒資格を取得するデメリット
大学中退後に大卒資格を取得することには多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットや注意点もあります。
代表的なものとしては、学び直しに時間と費用がかかる点と、再受験の手間が挙げられます。
また、就職活動では「なぜ中退したのか」を聞かれる場合があり、経緯を説明する準備も必要です。
さらに、既存の単位が認定されないケースや、必ずしも収入アップにつながらないリスクも理解する必要があります。
大学改革支援・学位授与機構を通じて学位を取得した場合は、学歴欄に「大卒」と記載できない点にも注意が必要です。
以下では、代表的な6つの懸念点をそれぞれ解説します。
- 大卒資格を取得する時間と費用がかかる
- なぜ大学中退したのかを聞かれる場合がある
- 入試対策が再度必要になる場合がある
- 既存の単位が認定されず無駄になるリスクがある
- 収入やキャリアが必ず向上するとは言えない
- 大学改革支援・学位授与機構は「大卒」と記載できない
大卒資格を取得する時間と費用がかかる
大卒資格を取得するためには、数年単位の時間と数十万円から百万円近い費用がかかる場合があるため、長期的な自己投資を覚悟する必要があります。
通信制大学や夜間学部を選んだ場合でも、卒業に必要な単位をすべて修得するまでには、2から4年ほどの期間が求められるのが一般的です。
また、教材費などの支出も重なるため、経済的な負担を感じるでしょう。
大卒資格を取得すると、将来的にキャリアアップや収入アップなどのリターンが見込める一方で、短期的には負担の大きい挑戦といえます。
そのため、生活とのバランスを意識しながら、無理のない計画で学び直しを始めましょう。
なぜ大学中退したのかを聞かれる場合がある
就職活動の場面では、大学を中退した理由を聞かれる可能性が高く、その答え方次第で印象が大きく変わります。
中退の理由が曖昧だったり、説明に一貫性が欠けていたりすると、忍耐力や責任感に疑問を持たれる恐れがあるからです。
しかし、大学中退を経て自分の課題を見つめ直し、再び目標を立てて努力を重ねた姿勢を伝えれば「成長意欲や行動力がある」とアピールすることが可能です。
中退の理由と学び直しとのつながりを明確にしつつ「失敗を糧に成長したストーリー」として語れるよう準備しましょう。
入試対策が再度必要になる場合がある
大学に再入学する場合は試験勉強が必要です。久しぶりに受験勉強を再開する場合、学力のブランクを取り戻すまでに時間がかかるかもしれません。
志望校によっては、筆記試験に加えて小論文や面接を実施しているケースもあり、現役時代の大学受験よりも難易度が高いと感じることもあるでしょう。
社会人で入試に再挑戦する場合、仕事や家庭との両立を図りながら勉強時間を確保する工夫も必要です。
大学の再入学を目指す人にとっては、モチベーションの維持や時間管理の難しさが大きな壁になるかもしれません。
しかし、再入学の準備を通じて得られる計画性や継続力は、その後の学びやキャリア形成に役立ちます。焦らず着実に準備を進めましょう。
既存の単位が認定されず無駄になるリスクがある
以前在籍していた大学で取得した単位は、新しい大学で必ずしも認定されるとは限りません。
単位が認められるかどうかは、大学ごとに設けられたカリキュラムやシラバスの内容、開講科目のレベルなどから判断される場合があります。そのため、同じ分野の授業でも、別の大学では単位として認められないケースもあるのが事実です。
単位が認定されなければ取り直す必要があるため、想定よりも在学期間が延びたり、授業料や教材費などの負担が増えたりする可能性があります。
大学の編入を検討している場合は、どの単位が認定されるのかを確認しましょう。
準備をしっかり行えば、大学資格の取得がスムーズに進みます。
収入やキャリアが必ず向上するとは言えない
大卒資格を取得しても、収入やキャリアが必ず向上する訳ではありません。
企業は学歴だけでなく、実務経験や専門的なスキルも重視する場合があるため、単に学位を得ただけでは評価に直結しないケースもあるからです。
大卒資格はあくまで新たな道を開くための手段であり、必ずしも成功や安定を保証するものではありません。
そのため、学び直しで得た知識や経験をどのように活かすかを明確にしましょう。
自己分析を通じて強みを整理し、希望する業界や職種のニーズを理解したうえで行動すれば、大学で得た学びをキャリアに活かすことができます。
大学改革支援・学位授与機構は「大卒」と記載できない
大学改革支援・学位授与機構を通じて取得した学士号は「〇〇大学卒業」と記載できません。
なぜなら、この制度は大学を卒業したのではなく、これまでの学習成果をもとに学士の学位だけを認める仕組みだからです。
大学院の入学資格や人事院の規則では、大学改革支援・学位授与機構の学位は大学卒業と同等に扱われます。しかし、企業によっては応募条件を満たしていないと判断される恐れもあるでしょう。
履歴書に記載する際は「〇年〇月 学士(専攻分野)の学位取得 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構」と記載し、必要に応じて補足説明を加えることが望ましいといえます。
参考:独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構「機構が授与する学士の学位」
大学中退から大卒資格を取得するまでの流れ
大学中退後に大卒資格を目指す場合は、過去に取得した単位や在籍期間を確認し、自分に合った進路や制度を選びましょう。
大学で修得した単位がどの程度認定されるかによって、卒業までに必要な学習量や期間が大きく変わるため、早い段階で確認しておくとスムーズに進められます。
大卒資格を取得する場合は、通信制大学への入学や元の大学に復学する方法など、いくつかのルートがあります。
入学条件や学習スタイル、費用などがそれぞれ異なるため、自分のライフスタイルや目的に合わせて選びましょう。
大学中退から大卒資格を取得するまでの基本的な流れを6つのステップに分けて解説します。
- 中退した大学で取得した単位数や在籍期間を確認する
- 大卒資格を取得する方法を選ぶ
- 入学に必要な書類を大学へ提出する
- 大学で選考を受ける
- 不足している単位を取得する
- 卒業して学士号を取得する
中退した大学で取得した単位数や在籍期間を確認する
まずは、中退した大学で取得した単位数や在籍期間を確認しましょう。
どのくらいの単位がすでに修得済みなのかによって、再入学後に必要となる履修科目数や卒業までの期間、学費の総額が大きく変わります。
多くの大学では、成績証明書や在籍証明書を提出すると、単位の互換や認定の審査を行なってもらえる場合があります。
単位の引き継ぎが認められれば、時間や費用を節約できるため、大きなメリットとなるでしょう。
進学を希望する大学が決まっている場合は、出願前に単位認定の可否を確認しておくと安心です。
また、必要書類の発行には時間がかかる場合もあるため、早めの準備を心がけましょう。
大卒資格を取得する方法を選ぶ
自分の生活スタイルや費用などに合わせて、大卒資格を取得する方法を選択しましょう。
通信制大学への入学や全日制大学への編入、元の大学への復学などが主な方法です。
働きながら学びたい場合は、柔軟に学習が進められる通信制大学が適しています。
一方で、特定の分野を専門的に学び直したい場合は、編入や復学の制度を利用して全日制の大学へ通うことも選択肢の一つです。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、費用や学習スタイルなどを比較し、自分に適した方法を見極めましょう。
入学に必要な書類を大学へ提出する
進学先が決まったら、出願に必要な書類を揃えます。
多くの大学では願書をはじめ、最終学歴の成績証明書や在籍期間証明書または退学証明書、志望理由書や住民票の写しなどの提出が求められます。
提出書類は大学によって異なるため、募集要項を必ず確認しましょう。
また、志望理由書では「なぜその大学を選んだのか」「どのような目的で学び直しをしたいのか」を具体的に記載します。
中退から再挑戦に至った経緯を前向きに説明できると、意欲を評価してもらいやすくなります。
記入漏れなどのミスを防ぐため、公式サイトや募集要項を確認し、余裕を持って手続きを進めましょう。
大学で選考を受ける
書類の提出が完了すると、多くの大学では入学選考が実施されます。
選考方法は大学によって異なり、書類審査のみで判断される場合もあれば、小論文や面接、一般常識テストなどを組み合わせて実施する大学もあります。
編入希望者を対象とする場合、学び直しへの目的意識や将来の展望が重視される場合があるのです。
そのため、事前に自己分析を行い「なぜ再び大学で学びたいのか」「学んだ内容を今後どのように活かしたいのか」を具体的に整理しましょう。
面接では、過去の経験を踏まえながら再挑戦への思いを誠実に伝えると印象が良くなります。
準備を整え、自信を持って選考に臨むことが合格への近道です。
不足している単位を取得する
入学が決まったら、不足している単位を取得していきましょう。卒業に必要な単位数は大学や学部によって異なる場合がありますが、一般的には124単位が目安です。
中退前に取得した単位が認定されるケースもありますが、認定されなかった場合は再履修が必要です。
授業はオンライン形式やスクーリング(対面授業)、レポート提出などさまざまで、自己管理能力が問われる場面も多くあります。
社会人が再び学ぶときは、仕事との両立が大きなテーマになるため、無理のないスケジュールを立てて、着実に学びを進めると成果につながります。
卒業して学士号を取得する
学校に在籍してすべての単位を修得し、卒業要件を満たすと、晴れて大卒となり「学士号」が授与されます。
学士号は大学教育を修了した証であり、正式に「大卒」として認められる資格です。
学士号を取得すると、多くの企業の求人に応募できるようになり、キャリアの幅が一気に広がります。
さらに、大学院への進学や専門職への転職、昇進・昇格も目指せます。
大学中退からの学び直しは決して容易ではありませんが、その分得られる達成感は大きく、努力を重ねて学位を手にした経験はかけがえのない財産です。
学士号を取得した瞬間、その努力が確かな自信へと変わり、新しい人生のステージへと踏み出せるでしょう。
よくある質問
大学中退者が大卒資格を取得するためには、いくつかの方法が存在しますが、それぞれに特徴があり、必要な年数や費用、学習スタイルも異なります。
本章では、大学中退が大卒資格を取得する際のよくある質問を紹介しています。ぜひ参考にしてください。
最短で大卒資格を取得したい場合は、大学改革支援・学位授与機構を活用する方法があります。
大学改革支援・学位授与機構を活用すれば、既に取得した単位を活かしつつ、大学を卒業しなくても学士の学位を取得することが可能です。
ただし、大学改革支援・学位授与機構を通じて取得した学士号は、履歴書などに「大学を卒業した」と記載することはできません。
「大卒」と胸を張って言えるようになりたい場合は、通信制大学への4年次編入学や、他大学へ3年次編入学を目指しましょう。
働きながら大卒資格を取得するおすすめの方法は、通信制大学に通うことです。
放送大学、八洲学園大学、サイバー大学などは、インターネットを活用した学習が可能で通学が原則不要のため、仕事との両立がしやすいのが魅力です。
また、学費も比較的安く抑えられる傾向があります。
他にも、夜間大学への通学も選択肢の1つです。
大学に通う必要があるため、通学時間の確保が必要ですが、リアルな授業で学びたい方に向いています。
これらの制度をうまく活用すれば、働きながら大卒資格を取得することが可能です。
ライフスタイルや現在の学歴、単位数に合わせて適した方法を選択しましょう。
学位授与機構で取得した学士で大学院に進学することは可能です。
大学改革支援・学位授与機構が授与する学士の学位は、国公立・私立大学を問わず、大学を卒業した人と同じように大学院入学の受験資格として正式に認められています。
大学院への進路が広がればキャリアアップにつながり、再び学ぶ意欲を持つ方にとって、未来を切り拓く確かな一歩となるでしょう。
参考:独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構(学位の授与)
まとめ
大学中退から大卒資格は取得可能で、再挑戦の道は複数用意されています。
通信制大学への編入や他大学への再入学、大学改革支援・学位授与機構の制度を活用すると、柔軟に学び直しができます。
また、学士号の取得により「大卒以上」が条件の求人に応募でき、収入やキャリアの可能性が広がります。
大学中退から大卒資格を取得した経験は、向上心や継続力の証として就職活動でもプラスに働くでしょう。
ただし、学修時間や費用の負担、単位認定のリスクなど、注意点も踏まえて計画的に進めることが必要です。
学び直しを通じて得た経験は、学歴以上にあなたの成長と可能性を示す力となり、次のステージへ進む大きな原動力になるでしょう。




















