博士課程を中退して就職するには?就活の流れ・おすすめの仕事も紹介

博士課程中退しても就職することは可能です。 なぜなら、最終学歴は「修士課程(博士前期課程)修了」となり、応募できる求人が幅広いからです。また、博士課程の中退者は一定割合存在し、面接官からネガティブに捉えられることが少ないこと、そして少子高齢化による人手不足が続いている今の市況感では、どの企業も人材を欲しているためです。

就職活動を成功させるためには、博士課程を中退する理由を言語化することや、中途採用枠で求人を探しつつ、研究内容を誰にでも分かるように伝えることなどがポイントとなります。

この記事では、博士中退者が就職を成功させるためのポイントや、メリット・デメリット、おすすめの仕事、そして後悔する人の特徴や注意点について解説します。

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小久保 友寛/元中退就職カレッジ®事業責任者

元株式会社ジェイック シニアマネージャー/「就職カレッジ®中退者コース」事業責任者。国家資格キャリアコンサルタント。これまで約1400名以上*の大学中退者やフリーターのキャリアカウンセリングや就職支援講座を行う。(*2014年8月~2020年7月)現在は、学生団体の活動支援や、企業・経営者への組織づくり支援、終活支援など、世代や立場を問わず「やりがい」や「いきがい」を育む取り組みを幅広く展開中。

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博士を中退しても就職成功できる理由4選

博士課程中退者は「大卒以上」が条件の求人に応募できるため、博士課程を中退したからといって就職先が大きく狭まるわけではありません。

企業にとって博士中退者は決して珍しい存在ではなく、むしろ博士課程まで進んだ経験を評価する企業も多くあります。

20代後半〜30代前半のフリーターの6割以上が正社員就職に成功しているというデータ(※)もあること、そして少子高齢化で人手不足に悩む企業が多いことも、博士中退者が就職できる理由の一つです。

※出典:労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書No.213「大都市の若者の就業行動と意識の分化―「第5回 若者のワークスタイル調査」から―」p.124

1. 大学院卒という枠組みで応募できるから

博士課程に進んでいる人であれば周知の事実ではあると思いますが、念の為大学と大学院のシステムを振り返っておくと、大学(学部)を卒業した後に大学院に進学し、修士課程の修了後博士課程に進むといった流れになっています。

つまり、博士を中退したとしても学歴的には大学院卒(修士)になります。

博士を中退したとしても、大学院卒という枠組みで就活を進められることになりますが、募集条件に学歴を設けている場合でもそのほとんどが大卒までとなっています。

つまり、博士を中退していても学歴的に応募できないといった求人は存在しないと言えます。
むしろ大卒の人の方が世間では多いため、「修士課程を修了している」という点で有利になるケースすらありますので、就職成功も期待できるでしょう。

2. 博士中退者は一定割合いるから

文部科学省の令和6年度の調査結果によると、大学院(博士課程)の中退率は3.40%で、およそ30人に1人が中退を選択しています。

他の学校種別と比較すると、短期大学(3.95%)はやや高いものの、修士課程・専門職学位課程(2.38%)、大学(2.00%)はいずれも博士課程より低い割合です。

このように博士課程での中退は決して珍しくなく、むしろ博士課程まで進んで研究を続けてきた経験をプラスに評価する企業も多くあります。

大学院を途中で辞めたからといって就職の道が閉ざされるわけではなく、これまで積み上げてきた高度な専門性や思考力が評価され、就職に成功する博士中退者も多いのです。

学校種別中退率(令和6年度)
大学院(博士課程)3.40%
大学院(修士課程・専門職学位課程)2.38%
大学2.00%
短期大学3.95%

出典:文部科学省「令和6年度 学生の中途退学者・休学者数の調査結果について

3. 未経験でも3人に2人が正社員就職に成功しているから

東京都在住のフリーター経験者への調査では、正社員を目指した約3人に2人(66.6%)が正社員として働けています。
つまり博士課程を中退したあと、一時的にフリーター生活を送ったとしても正社員就職を目指せる可能性があるのです。

博士中退者は20代後半〜30代前半で就活を始める人が多いですが、同調査では25〜29歳で63.6%、30〜34歳では68.5%が正社員就職に成功しています。
特に男性は成功率が高く、30〜34歳の約7割が正社員就職を果たしていることが特徴です。

「年齢が高いのに職歴がない…」と不安を感じる方も多いかと思います。しかしデータを見る限り、社会人未経験の状態から正社員就職を実現できる可能性は十分にあるため、過度に心配する必要はないでしょう。

▼正社員になろうとした割合のうち、正社員になれた割合(2021年調査/都内在住者)

年齢男女計男性女性
25~29歳63.6%66.7%61.2%
30~34歳68.5%75.2%63.0%

出典:労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書No.213「大都市の若者の就業行動と意識の分化―「第5回 若者のワークスタイル調査」から―」p.124

4. 少子高齢化で今後も人手不足が続くから

現在の日本は多くの企業が人材を求めているため、博士課程を中退したからといって就職できないわけではありません。

日本は少子高齢化の影響もあり、産業全体で人手不足が深刻で、企業は“優秀な人材”を確保するために採用の門戸を広げています。

また、中途採用では「ビジネスで活かせる強みの有無」が重視されます。その点、博士課程までに培われた「複雑な課題を論理的に解決する力」や「データを分析し、仮説を立てて検証する力」はビジネスの場でも大きな武器になるのです。

以上のように、中退者を含めて採用対象としている企業が増えていること、そしてビジネスで活かせる強みを持った“優秀な人材”と高く評価されやすいこともあり、博士中退者が内定を取ることは十分に可能なのです。

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博士を中退して就職するメリット

博士課程を中退するメリットとしては、早く働き始められること、学費の負担がなくなること、そして若いうちに就職活動を始められる点が挙げられます。

中退して就職すれば、同世代との収入の差が広がることを抑えつつ、社会人としての経験やスキルを早く積めます。

高額な授業料の支払いがなくなることで、生活費への不安も減るでしょう。

30代を過ぎると未経験で応募できる求人は減りますが、20代後半であれば「未経験OK」の求人に挑戦しやすい点もメリットの一つです。

1. すぐに社会に出れる

博士中退のメリットの一つに、すぐに社会に出て働けるといったものが考えられます。
博士課程は3年から6年修了までにかかりますが、この間学部卒の新卒で就職した人と比べれば社会に出るまでに修士課程と合わせて5年以上の遅れが出てしまいます。

収入にして1,000万円〜2,000万円もの差が出てくることになりますので、博士修了の前に中退して就職することで、社会人として働く期間を短くせずに済むようになります。

社会人は学歴よりも経験が重視される世界ですので、無理に博士課程を修了して社会に出ても評価が変わるわけではありません。
場合によっては、博士課程を中退してまで社会に早く出た方がいい選択になる場合も考えられます。

2. 高い学費の負担がなくなる

博士課程は授業料が非常に高いという特徴があります。国公立であっても年間で50万円程度かかりますし、私立であれば年間100万円かかることも珍しくありません。

中退により学費の負担がなくなりますので、特に経済的に厳しい中で大学院に通っていたような人は大きなメリットだと感じることができるでしょう。

ただ、奨学金を借りて大学院に進学している場合、中退しても奨学金の支払い義務が無くなるというわけではありません。基本的に中退してからすぐに奨学金の返済義務が発生してくることになりますので、できる限り早く就職するに越したことはありません。

3. 未経験枠で応募できる

博士課程を中退することによって、年齢にもよりますが未経験枠の求人に応募できるというのもメリットとして挙げられます。浪人や留年をしながら博士課程を修了すると30歳を超えてしまう場合があり、そうなると未経験枠としての就職が難しくなってきてしまいます。

できるだけ若いうちに見切りをつけて博士を中退することにより、未経験枠で内定を獲得してリスタートを切るというアクションが取れるようになります。

精神的に無理して大学院に通っているのであれば、潔く中退して就職する方向にシフトしてみてもいいかもしれません。

博士を中退して就職するデメリット

博士課程を中退すると、研究に費やした時間や努力が「無駄になった」と感じてしまうことがあります。研究職など、博士号取得を前提とする専門職への道が閉ざされる点もデメリットです。

中退によって研究が途中で途切れるため、取り組んできたテーマを「学術的成果」としてまとめにくくなります。

企業から「飽きっぽいのでは?」「やり切る力がないのでは?」といったネガティブな印象を持たれ、就職活動で不利になるケースも少なくありません。

1. 博士課程での時間が無駄になる

博士課程を中退することにより、博士課程で勉強してきた時間や研究が全て無駄になってしまいます。中退後は当然研究室に入ることはできなくなりますし、それまでの研究結果は教授に引き渡すことになるケースも存在します。

「博士課程で勉強したことは自分の財産となる」などポジティブに考えられる人であればデメリットに感じませんが、多くの人はこれまでかけてきた時間を無駄にするようなことは耐えられないはずです。

自分のやってきたことを何らかの形にしたいと強く感じている人は、博士課程の中退を一歩踏みとどまった方がいいかもしれません。

2. 研究職などの専門職にはなれない

会社や求人、仕事内容にも寄りますが、博士課程の修了を応募条件にしているような研究職の場合、中退によって応募資格がなくなるといったデメリットがあります。

自分が将来研究職などの専門分野で働きたいと考えている場合は、中退が明確に自分の足を引っ張ることになるので注意してください。
また、アカデミアなどで研究員として働くには、前提として博士課程の終了が条件になっているケースが大半です。研究が好きで人生をかけて向き合っていきたいと考えているのであれば、少なくとも博士課程を中退することは避け、頑張って修了まで突き進んでいくことがおすすめです。

ちなみに、求人の募集要件として掲げられている条件は、満たしていない限り書類選考に通過することはほぼ100%不可能です。
「博士課程を中退したが、学会でこういった評価を受けた」というアピールできる実績があったとしても、募集要件を満たしていないため採用されることはまずありません。

3. 就職で不利になることもある

博士課程で中退したとしても修士卒、大学院卒(修士)としての学歴になるため応募先に困ることはないという解説をしましたが、そもそも「中退」という事実が就職において不利になるケースも考えられます。

学部卒にしろ、博士卒にしろ、一度自分がやりたいと思ったことを途中で中退という形で辞めるということについて、面接官は次のような印象を持つことがあります。

  • 嫌なことがあると就職後にすぐ退職してしまうのではないか
  • 一度自分で決めたことをやり切る力が低いのではないか
  • 人間関係を上手くやっていけないのではないか
  • 理想が高い人なのではないか
  • 行き当たりばったりで行動してしまう人なのではないか

このようなネガティブなイメージを持たれることもありますので、面接ではそういった印象を払拭できるよう、ポジティブに明るく受け答えをしていくコミュニケーション能力を発揮していく必要があるでしょう。

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博士課程を中退してしまう理由

博士課程を中退する主な理由としては、「就職」「学業不振」「経済的な問題」の3つが挙げられます。

文部科学省の調査(※)では、博士課程を中退する理由のうち「就職」が約24%と最も多い結果でした。

次に多いのが「学業不振(8.03%)」です。修士課程より研究の難易度が大幅に上がることや、研究テーマの行き詰まり、成果が出ないことなどが中退理由として考えられます。

これらの理由に加え、経済的な事情で学費を支払えなくなる人も少なくありません。

※出典:文部科学省「経済的理由による学生等の中途退学の状況に関する実態把握・分析等及び学生等に対する経済的支援の在り方に関する調査研究」さい。

1. 修士課程中に就職した

文部科学省の調査によれば、博士課程を中退する人のおよそ23.98%は就職を理由にしていることが分かっています。

博士課程の中途退学の理由

就職23.98%
学業不振8.03%
一身上の都合17.06%
経済的理由5.42%
病気・ケガ2.76%
転学2.23%
不明10.09%
その他29.20%

参考:文部科学省「経済的理由による学生等の中途退学の状況に関する実態把握・分析等及び学生等に対する経済的支援の在り方に関する調査研究」

博士課程は卒業に最短でも5年かかるため、中には将来のことを考えて正社員就職に切り替える人も少なくないと言えるでしょう。

博士課程を卒業したからといって、将来安定したキャリアを歩めるとは限りません。

例えば、大学の教授を目指して博士課程に進学した人であっても、教授になることの難易度の高さを知れば、博士過程中に就職するといった中退の道を歩むケースが考えられます。

2. 学業についていけなくなった

博士課程に進学したのは良いものの、修士課程に比べて研究の難易度が高いと感じ、学業についていけなくなったという理由で中退の道を決断する人も見られます。

先程の文部科学省のデータによると、学業不振による中退は8.03%でした。

博士課程の中退に限らず、実際にその道に進む前に持っていたイメージと、その道に進んだ後の印象に悪いギャップを感じてしまうと、努力を諦めてしまう人は少なくありません。

就職も同じことが言えますので、もし学業についていけなくなったという理由で博士課程を中退した人が就活をする際は、しっかりと企業研究を行い、就職後に働くイメージを出来る限り明らかにしていきましょう。

3. 経済的に通えなくなった

文部科学省の調査結果によると、博士課程を中退した人のうち約5%は、経済的な理由が原因とされています。

博士課程は最低でも5年間は通う必要があります。

その中で支払うことになる学費は、国公立か私立化によって異なるものの、およそ100万円から200万円かかると言われています。

親からの支援を受けるにはやや難しい金額ということもあり、自身でバイトと奨学金をやりくりして博士課程の勉強を進めている人も少なくありません。

しかし、学業とバイトの両立が何らかの理由でできなくなると、博士課程の卒業を途中で諦めてしまうケースがあります。

博士中退者の就職活動の流れ

博士中退者の就職活動は、「中退理由の言語化」→「業界・職種研究」→「応募」→「面接」という流れで進むことが一般的です。

面接では「中退理由」について高確率で質問されるため、中退に至った経緯はあらかじめ整理しておきましょう。

回答を考える際のポイントは、「何のために博士課程で学んでいたのか」「なぜ進路の方向を変えたのか」「今はどんな目的で就職を目指しているのか」を、“一貫したストーリー”として説明できるようにしておくことです。

1. 博士課程を中退する理由を言語化する

就職活動を始めるからといって、いきなり求人に応募し始めるのは避けましょう。

まずは博士課程の中退を決心した段階で、自分はなぜ博士を中退するのかという理由を言語化してみてください。

博士課程であっても中退は中退ですので、面接の場ではなぜ中退したのかといった理由を聞かれることになります。
その際に慌てて中退理由を取り繕っていれば面接官からの心象が意図せず悪い方向に向かうことが考えられます。
また、中退理由の言語化は就職先に求める条件の優先度を特定することにも役立ちます。

もし中退理由が「研究内容が自分に合わなかったから」なのであれば、就活では仕事内容を念入りに吟味すべきですし、「ラボの雰囲気が苦手になってしまった」のであれば、社風の良い会社を中心に応募していくと良いでしょう。

このように、博士課程を中退する理由の言語化は面接対策にも、応募先に求める条件の自己理解にも役立てることができます。

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小久保 友寛/元中退就職カレッジ®事業責任者

博士課程中退をポジティブに伝えるコツ

博士課程を中退して就職に切り替える場合、面接で最も重要なのは「なぜ進学したのか」と「なぜやめたのか」を一貫性をもって説明できるかどうかです。

面接官は、「博士課程に進もうと決意したのに、なぜ途中で方向転換したのか」を知りたがります。進学理由と中退理由に大きな矛盾があると、説得力が弱くなってしまうため、当時の判断と今の考えを整理して伝えることがポイントです。

たとえば「専門性を高めたいと思って進学したが、研究を続けるうちに実務の現場で社会に貢献したいと感じた」といった形で、前向きな動機の変化として説明すると良いでしょう。

大切なのは、「何のために学び、なぜ方向転換したのか」を自分の言葉で整理し、次の行動に目的を持っていることを示すことです。目的が曖昧なままではまた同じことを繰り返してしまうため、今後は「働く目的」や「なりたい姿」を明確にしておくことが大切です。

2. 働きたい業界や職種を見つける

博士を中退する理由を言語化できたら、次は自分が働きたい業界や職種にあたりをつけましょう。

博士中退と言っても大学院卒の学歴はありますので、基本的にどのような業界・職種でも応募して内定を獲得することは可能です。
そのため、まずはフラットに自分がどういうビジネスパーソンとして活躍していきたいかという観点から求人を探していくと良いでしょう。
また、業界と職種、それぞれで平均年収が大きく変わってくる傾向がありますので、ビジネスモデルや基本的な仕事内容の理解だけでなく、各業界・職種の給与水準についても合わせてリサーチしておくことをおすすめします。

3. 求人に応募する

就職エージェントや就職サイトなどで気になる求人を見つけることができたら、ようやくここで応募フェーズに入ります。

最近ではWeb応募が主流となっていますので、あらかじめ登録しておいた自分のWeb履歴書/経歴書の情報を送信して応募が完了します。

応募完了後は書類選考に移ります。博士中退者は中途採用枠で選考を進めることが基本ですが、中途採用枠は書類選考でも見送りになるケースが多いため、できるだけ複数の求人に応募をしておくことがおすすめです。

少しでも気になる求人を見つけることができたら、検討リストに入れるのではなく応募してしまいましょう。特に中途採用枠は定員が数名しかないケースもあるため、応募が遅れればその分内定を獲得できる可能性が下がってしまいます。

4. 面接〜内定

書類選考に通過した後は面接を行います。企業によって面接の回数はまちまちですが、これは企業ごとの採用戦略によるものです。そのため、面接の回数が少ないから危険な会社という判断にはならないことを覚えておきましょう。
また、面接のスタイルについても企業によって様々です。
最初から最後までオンライン面接の企業もあれば、最終面接だけ対面面接といったケースもあります。
こちらも企業の採用戦略に基づくものになりますので、面接スタイルによって一喜一憂する必要はありません。

面接を繰り返し、最終面接も突破することができれば見事内定獲得です。内定承諾の期間はおよそ1週間程度となるケースが多く、入社するかどうかを悩む時間は少ないので注意してください。

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博士中退者が就職を成功させるポイント9選

博士中退者が就職に成功するには、幅広い求人への応募が欠かせません。「中途採用」の求人だけでなく、既卒枠や、「大卒以上」が応募条件となっている求人にも積極的にエントリーしましょう。

書類選考や面接を突破するには、研究で身につけた強みをアピールし、中退を「学びの経験」として前向きに説明することも大切です。

また、博士中退者がよくされる質問(ストレス耐性、研究内容など)への回答を用意しておくことも重要なポイントです。

1. 中途採用枠で求人を探す

基本的に博士中退者は中途採用枠にて就職活動を進めていくことになりますので、転職サービスや中途退職者向けのサービスを使って求人を探していきます。

ナビサイトなどの新卒就職サービスに登録しても応募できる求人がそもそもないといったことがありますので注意してください。
また、就職サービスは併用して登録するのがおすすめです。
サービスによって掲載されている求人が異なるので、自身の応募先の選択肢を最大化させたいのであれば、最低でも3,4つのサービスを並行して利用すると良いでしょう。

2. 既卒枠の求人を探す

正社員就職率が高まるため、博士中退者は「既卒枠」の求人も探してみましょう。

既卒枠とは、学校を卒業後に正社員としての就業経験がない、主に20代の若年層を対象とした採用枠のことです。新卒採用と同じく、既卒枠ではスキルや実績よりもポテンシャルが重視されるため、社会人経験がなくても正社員として採用される可能性がある点がメリットです。

既卒枠の求人は、既卒・第二新卒向けの就職エージェントで紹介してもらう、あるいは求人サイトで「既卒歓迎」といった条件を設定すると見つかります。仕事経験に自信がない方は、既卒枠の求人への応募も検討しましょう。

3. 大卒以上を募集している求人に応募する

求人広告にしろ、就職エージェントが紹介してくれる求人票にしろ、応募条件はほぼ確実に記載されています。博士中退者の場合は、できるだけ大卒以上を募集している求人に応募するのがおすすめです。

もちろん学歴不問の求人であっても応募資格を満たしていることになりますが、学歴不問で行える仕事ということは特別な知識やスキルがなくても担える業務ということになりますので、博士まで進んだ思考力が活かしきれないといったデメリットがあります。

大卒以上を募集している求人であれば、その企業が地頭の良い人を求めているということになります。言い換えれば、知識力や思考力が高ければ活躍できる可能性の高い仕事となりますので、博士中退者の就職先としてふさわしいと考えられます。

4. 博士課程で学んでいた分野の仕事に応募する

博士課程で学んでいた専門分野と関連する仕事を選ぶことで、これまでの知識や経験を強みにできます。

たとえば、理系なら製薬・化学・素材・エンジニアリング企業、文系なら教育・リサーチ・シンクタンクなど、研究内容に近い業界がおすすめです。

研究で培った「情報収集力」「データ分析力」「論理的な説明力」は企業でも即戦力として評価されます。研究テーマを社会課題やビジネスの問題解決に結びつけて説明できれば、採用担当者に高い専門性と応用力をアピールできます。

中退という経歴よりも、「何を学び、どう活かせるか」を明確に伝えることが成功の鍵です。

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専門分野に近い仕事では即戦力として評価されやすい!

大学院を中退したとしても、その学びが無駄になるわけではありません。研究している分野やテーマが企業の求める領域と一致していれば、その専門性が評価されて採用につながることもあります。

企業によっては「博士課程修了」を応募条件にしている場合もありますが、なかなか応募が来ないこともあるため、中退していても採用される可能性はあります。

薬剤師のように資格が必須の職種であれば別ですが、特に製薬メーカーや化学メーカーなど、研究や製造に関わる職種では大学院での研究経験が即戦力として見られるケースも少なくありません。

5. 研究で身につけた強みをアピールする

研究活動を通して身につけた力は、ビジネスの世界でも価値のある“強み”となります。そのため「就職の際にアピールできるものがない…」と不安に感じなくても大丈夫です。

研究を進める中で培われたのは、専門的な知識や実験スキルだけではありません。たとえば「課題解決力」や「計画力」、共同研究で培った「コミュニケーション力」など、仕事で必要とされる大切な能力も身についているものです。

こうしたスキルは「ポータブルスキル(どの業種や職種でも活かせる力)」とも呼ばれ、企業が未経験者を採用する際に特に重視します。

▼ポータブルスキル(例)
  • 課題解決力
  • 計画力
  • 柔軟な対応力
  • コミュニケーション力
  • 調整力

学部時代から数えて7〜9年ほど研究に専念してきた方も多いでしょう。仮に専門分野と異なる企業に就職するとしても、長い研究生活の経験は決してムダにはなりません。

まずは研究で身につけた能力を言葉にして整理した上で、自信を持ってアピールしましょう。

※参考:厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)

例文1

「計画力」をアピールする例文を紹介します。

強みは「計画力」です。

修士時代の材料評価の研究では、約1年間で成果を出す必要がありました。限られた期間で成果を最大化するため、まずは研究全体を5つのフェーズに分け、フェーズごとに具体的な期限と中間目標を設定しました。
また、データ解析に必要なシミュレーション環境の構築に時間がかかると想定し、はじめの3ヶ月は余裕を持った計画を組みました。実際に予期せぬ不具合もありましたが、予備期間を設けていたことで柔軟に対応でき、遅延なく論文を完成させることができました。
私が希望するシステムエンジニアは、期日までにシステムを完成させるための綿密な計画が欠かせない仕事だと理解しています。貴社で働く際も、長期的な目標を見据え、システムを遅滞なく開発するために計画力を発揮していきたいです。

例文2

「調整力」をアピールする例文を紹介します。

強みは「調整力」です。

博士課程の共同研究では、大学の研究目標と、食品メーカーの「年内の商品化」というビジネス目標にズレが生じ、進捗が停滞していました。メーカー側は実用化を急ぎ、研究室側は厳密なデータ検証を求めたためです。
そこで私は双方の意見を整理し、「研究データの信頼性を保ちつつ、実用化に必要な最低限のデータ取得に集中する」という方針を提案。メーカー側が早期に必要とする指標と、研究室が担保すべき検証項目を分けて優先順位を設定しました。
結果として認識のズレが解消され、プロジェクトの遅れも挽回でき、現在は商品化に向けた最終段階まで進んでいます。
貴社の事業開発は、多様な関係者との調整が求められる仕事であると理解しています。これまで培ってきた調整力を活かし、着実な事業化に貢献したいと考えています。

6. 中退を「失敗」ではなく「学び」と捉える

企業は「中退と同じ理由ですぐに辞めないか」を気にするため、中退経験を“失敗”として語るのではなく、そこから得た“学び”もセットで伝えることが重要です。

たとえば「研究テーマに興味を持てなかった」ことが中退理由であれば、「周りの意見に流されてテーマを選んだことを反省している」というように、企業選びにもつながる“気づき”が手に入ったはずです。

また、博士課程まで進んだからこそ示せる「学習意欲の高さ」「研究への主体的な姿勢」など、企業から評価される要素も多くあります。

「研究者になれなかった自分はダメだ…」と否定的に捉える必要はありません。
まずは博士中退を前向きに捉え、何を学び、何を身につけられたのかを整理しましょう。

7. 博士中退者がよくされる質問への回答を用意しておく

面接の回答を用意しておくと緊張が和らぐので、特に「博士中退者がよくされる質問」の回答はしっかりと準備しておきましょう。

具体的には、以下の質問が頻出です。

  • 中退理由
  • 博士まで進んだ理由
  • 研究内容
  • 専攻とは違う仕事でも大丈夫か
  • ストレス耐性はあるか

これらの回答は一人で考えるのではなく、就職エージェントやハローワークの担当者といった“就職のプロ”と一緒に練ることをおすすめします。

プロに相談すると、「中退理由を伝えるときは反省とともに学びも伝え、入社後は辞めずに長く働くという覚悟や意欲も一緒に伝える」といった具体的なアドバイスを受けられます。

模擬面接によって話す練習もでき、答え方についても具体的なフィードバックをもらえるので、面接通過率を高めたい方は就職支援サービスを活用しましょう。

8. 研究内容は誰にでも分かるように伝える

面接では博士課程で研究していた内容について聞かれたり、自己PRのエピソードとして盛り込んだりすることがありますが、研究内容は誰にでも分かるように伝えられるよう努力しましょう。

高度な知識をアピールしようとして専門用語を多用したり、理解の難しい伝え方をしてしまったりすると、逆に「この人はコミュニケーション能力に難がある人」と思われて見送りに繋がることが考えられます。
研究内容がそもそも難しいという人は、例え話やイメージを積極的に使い、どんなことをしていたのかをざっくりと伝えることを意識するのがポイントです。

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研究経験を自己PRに活かすポイント

研究そのものを自己PRにすることはまったく問題ありません。ただし大切なのは、「何を研究していたか」ではなく、「どんな工夫や努力を重ね、そこから何を学んだか」を伝えることです。

たとえば専門的な研究テーマを面接官に説明しても、相手がその分野に詳しくなければ伝わりにくい場合があります。しかし、研究過程で直面した課題に対してどのように工夫し、粘り強く取り組んだかを具体的に語ることで、あなたの責任感や課題解決力をアピールできます。

たとえば「毎日3時間睡眠でデータ観察を続けた」「失敗を繰り返しながらも最後までやり切った」といった経験には、社会人としての忍耐力や実行力が表れています。
それを「この経験を御社での〇〇業務に活かしたい」とつなげられれば、採用側にも明確なメリットとして伝わります。

9. できる限り多くの求人に応募する

求人数の方が求職者よりも多い状況ではあるものの、自分一人しか特定の求人に応募しないといった状況はあり得ません。基本的に一つの求人に二人以上応募することがほとんどですので、博士中退者であっても不採用となるケースは当然考えられます。

今は複数の求人に応募して、並行して選考を進めていくといった方法が主流ですので、気になる求人を見つけたらできる限り多くの求人に応募するのがポイントです。
また、応募するタイミングはできる限り同期間にまとめて行うのもコツです。
選考が進み、内定を見事獲得できれば内定承諾するかどうか迫られることになりますが、考える猶予は1週間程度しか与えてもらえません。

他の企業の選考がまだ進んでいるからという理由で内定承諾の期間を延ばしてもらうことは基本的にできないため、選考のスピードを併願企業全て同じにするためにも、応募期間を集中しておくことをおすすめします。

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博士課程中退者の就活方法

博士中退者が就職を目指す主な方法は、「就職エージェント」「求人サイト」「コネクションの活用」の3つです。

就職エージェントを利用すると専任アドバイザーが付き、内定まで無料でサポートしてくれます。求人紹介のほか、模擬面接のような実践的な支援も受けられるため、はじめての就活でも安心です。

多くの求人を比較したい方は求人サイトを活用しましょう。教授の紹介や、研究者の友人との“コネクション”をもとに就活を進めるのも一つの手です。

1. 就職エージェントを使う

博士課程を中退した人の就活方法として最もおすすめできるのが、就職エージェントの活用です。

就職エージェントは、登録後に自分専任のアドバイザーが担当につき、幅広いサポートを受けながら内定獲得を目指していく方法となっています。

博士課程を中退すると、就活の面接で中退理由を聞かれるケースが出てきます。

うまく答えられないと、せっかく修士まで卒業しているにもかかわらず、ネガティブな印象を持たれて見送りになるリスクが高まります。

就職エージェントでは模擬面接を実施してくれますので、博士中退のネガティブイメージを払拭できるようになります。また、就職エージェントでは、自分の希望や強みにマッチした求人を紹介してくれるといったサポートも受けられます。

自分で求人を探す手間を省けるだけでなく、自身のこれまでの学びを活かせる求人を効率的に特定できるため、就職後にミスマッチを感じにくくなるといった点もメリットと言えます。

2. 求人サイトを活用する

数多くの求人の中から自分の力で就職先を見つけたいと考えている場合は、求人サイトを活用した就活が考えられます。

求人サイトに登録した後は、希望条件を設定し、ヒットした求人の中から応募先を見つけて面接に繋げていくといった流れで就活を進めていくことになります。

就職エージェントよりも、一度に数多くの求人を比較検討できるといったメリットがあるものの、就活におけるサポートがなかったり、企業との連絡も自身で行わなければならなかったりなど、就活が初めてという人にはややハードルの高い方法と言えます。

求人サイトを活用した就活をしたいのであれば、少なくとも最初のうちは就職エージェントと併用することをおすすめします。

3. 研究室の友人などのコネクションを活かす

博士課程まで進学した人は、研究室の友人や教授の知り合いなどのコネクションを活かして就活を進めていくといった方法もあります。

通っている教育機関にもよりますが、研究室や教授は様々な企業とのコネクションを有していることがあります。それらのコネクションを活かして企業を紹介してもらうことができれば、普通に就活をするよりも有利な条件で内定を目指せる可能性があるでしょう。

しかし、コネクションを利用した就活では就職を検討できる企業が少なかったり、そもそも中退をした自分を紹介してくれないリスクが考えられますので、就職エージェントや求人サイトによる就活をメインとしつつ、コネクションが活かせたらラッキー程度に捉えておくことをおすすめします。

博士課程を中退後、就職に成功した体験談

博士前期課程(修士)を中退したあと、就職に成功した方の体験談を紹介します。

中退に至った理由や、就活で感じた悩み、苦労を乗り越えたポイントなど、中退後に就職した方ならではの“気づき”が詰まっているため、ぜひ参考にしてみてください。

【W.Sさん】博士前期を中退後、サプリメント製造業に就職

薬学系の学部を卒業後、大学院(博士前期課程)へ進学したWさんでしたが、思うような研究結果が出ず、教授や先輩にも相談できない状況が続き、次第に孤立していきました。

「このままだと卒業できないかもしれないけど、どうする?」と教授から問いかけられ、まずは学内の窓口に相談することに。しかし納得のいく対応を受けられず、再び心を閉ざしてしまいます。

一方、中退者に強い就職エージェントに登録し、“就職のプロ”から受けたフラットな意見は「どれも心に刺さった」と話すWさん。一通りアドバイスを聞いた上で、「まずは中退せず、内定が出たら退学届を出す」と決めました。

その後、エージェント主催の就活講座に参加する中で、同じような悩みを抱える仲間との出会いも大きな励みになったようです。「自分の気持ちを言葉にして伝える」という苦手意識も克服できたWさんは、大学院での薬学系の学びとも通じるサプリメント製造会社から内定を獲得しました。

博士中退者の就職におすすめの仕事8選

博士中退者におすすめの仕事は、「営業職(技術営業など)」や「メーカーの技術職(製品開発・品質管理など)」です。「ITエンジニア」や「コンサルタント」にも適性があります。

これらの仕事は、研究で培った論理的思考力や課題解決力を活かしやすく、専門性も比較的高いため「知的好奇心を活かせる仕事をしたい」「専門的な分野で働きたい」と考えている方にもぴったりです。

では上記の職種も含め、博士中退者におすすめの仕事を8つ紹介します。

1. 営業職

営業職は博士課程で培った論理的思考力と課題分析力を活かせるため、博士中退者におすすめです。専門知識を持つ理系出身者であれば、医療機器、化学、ITといった「技術営業」において専門性を活かしながら働けるでしょう。

営業職では、顧客の課題を深く理解し、データや根拠をもとに提案を行う力が求められます。これは、研究発表や論文作成で培ったプレゼン力・資料作成力とともに、営業現場で大きな強みとなります。

また、数字で成果が見えるため達成感を得やすく、キャリアアップの道も広いのが特徴です。

2. メーカーの技術職

メーカーの技術職は研究や実験の経験をそのまま活かしやすい仕事のため、理系の博士中退者におすすめです。製品開発、品質管理、評価・分析といった業務では、研究で培った「仮説を立てて検証する力」や「データに基づき改善策を提案する力」も活かせます。

理系の博士中退者は、研究テーマで得た知識を応用しやすく、設計や実験計画の立案などで即戦力として期待されます。企業によっては、学位よりも実践的なスキルや探究心を重視するため、大学院での研究経験が評価されやすい傾向にあります。

製造業や化学、医薬、電機メーカーなど、幅広い業界で活躍のチャンスがあります。

3. ITエンジニア

ITエンジニアは研究や実験などで培った力を活かせる仕事のため、博士中退者におすすめです。ITシステムは非常に複雑な構造をしているため、特に論理的思考力や、構造的に物事を捉える力を活かせる場面が多いでしょう。

ITエンジニアは、ITシステムの開発や設計を行う技術職の一つです。

最近ではエンジニア未経験者であっても採用し、自社で研修を行うことでエンジニアとして働けるような仕組みを作っている会社もありますので、応募先に困ることもないでしょう。

加えて、ITエンジニアの需要はこれからもどんどん伸びていくことが明らかになっていますので、将来性も抜群です。実績や経験を積めればフリーランスとしての独立も視野に入ってくるため、自由に働きたいという博士中退者にも向いている仕事です。

4. コンサルタント

コンサルタントは論理的思考力と問題解決力を活かせる仕事のため、博士中退者におすすめです。

たとえば経営コンサルタントとして働くと、企業が抱える経営課題に対し、現状分析や原因の特定、戦略立案、実行支援を行います。こうした過程において必要なロジックを組み立てる力、問題を特定・解決へと導く力は、博士課程までの研究で鍛えられてきた方も多いでしょう。

研究活動と似たプロセス(課題の設定 → 情報収集・分析 → 仮説構築 → 検証 → 解決策の提示)で業務が進むため、仕事のイメージを掴みやすい点も博士中退者におすすめできる理由の一つです。

5. FAS(フィールドアプリケーションサイエンティスト)

FASは専門知識を活かせるため、博士中退者におすすめです。

FASとは、主に医療機器や分析機器メーカーの営業担当者に同行し、商談を技術面からサポートする仕事です。研究者に対し、自社製品の仕組みや特徴、活用方法を分かりやすく説明することが求められます。

「この製品で課題がどう解決できるか」という点は研究者が特に知りたい情報ですが、文系の営業担当だけでは十分に答えられない場合があります。
その点、博士課程まで研究を続けてきた人は、研究者が抱える悩みや細かなニーズを深く理解できるため、商談の結果を左右する重要な役割を果たすことも多いのです。

6.  バイオベンチャー

バイオベンチャーは高い専門性を活かせるため、博士中退者におすすめです。

バイオベンチャーとは、生命工学を基盤に、医療・食品・農業・環境などの分野で事業化を目指す企業のことです。博士課程までに培った深い専門知識(バイオ、化学、薬学など)や知的好奇心を活かせる場面が多くあります。

研究職・開発職だけでなく、専門知識と意欲が評価されれば、社会人未経験でも事業開発などの職種で採用されるチャンスがあります。社員の平均年齢が20代後半〜30代と比較的若い会社も多いため、博士中退者にとって職場に馴染みやすい点もおすすめできる理由です。

7. 公務員

公務員試験を通過できる学力を持った博士中退者は多いため、就職先として「公務員」も選択肢に加えてみましょう。公務員は“人物重視”の採用が一般的なため、中退経験が大きなマイナス要因になりにくいこともおすすめできる理由です。

公務員は公務員試験を受検する必要があり、博士中退者の場合は30歳以下であれば受験資格があります。

試験内容は非常にアカデミックなものとなっていますので、博士課程に進学する学力があれば比較的スムーズに勉強を進められるはずです。

公務員は景気による給料の変動がなく、加えて民間企業には存在するリストラの心配もないことが特徴です。さらに年功序列制で勤める期間が長くなればなるほど給料が上がっていくことから、安定的に働きたいという人に特に向いています。

公務員の中でも、大きく分けると国家公務員と地方公務員の二つがありますので、自分がどのような公務に携わりたいのかを明らかにしておくのがおすすめです。

関連記事:既卒で公務員は厳しい?民間企業への就職に切り替える方法も解説!

8. 塾講師

塾講師は学習経験や教科ごとの専門知識をダイレクトに活かせる仕事のため、博士中退者におすすめです。研究活動を通して身につけた論理的に説明する力や、複雑な内容を整理してまとめる力も指導の場面で活かせます。

博士中退をすると大学で講義をするような教授にはなりにくくなってしまいます。

博士中退者の学習意欲と知識量は他の人よりもはるかに高いことを考えると、学問に関わり続けるという観点でも塾講師はおすすめの仕事と言えます。

塾講師として生徒に直接勉強を教える立場から、塾長など塾を経営する側に回ることも可能です。また、個別塾を独立して立ち上げたり、オンラインでのマンツーマンレッスンなどでキャリアを広げていくことも将来的にできるのもポイントです。

中退者からよくある相談例
中退就職カレッジ 中退した方専門の就職支援サービス
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博士中退を後悔する人の特徴

博士課程を中退したことを後悔しやすいのは、学歴や肩書きを重視している人、金銭的な理由で辞めた人、人間関係のトラブルを理由に辞めた人です。こうした理由の場合は「本当は続けたかった」という思いが残りやすく、後悔につながりがちです。

衝動的に中退を決断したり、誰にも相談せず中退の手続きを進めてしまったりした人も後悔する傾向が見られます。

「休学」という選択肢があったことに後から気づき、あのとき続けていれば…と悔やむ人も少なくありません。

1. 学歴や肩書きを重視する人

学歴や肩書きというものを重視して生活しているような人は、博士課程の中退を後悔することになるでしょう。なぜなら、博士課程まで進学した事実とともに「中退」の2文字は自分の学歴から消えることはないからです。

これから先の将来において、特に転職や就職では学歴を記載して応募書類を作成することになりますが、その都度中退している事実と向き合わなければなりませんので、自分自身に対しての自信を失う原因にもなりかねません。

2. 金銭的負担で中退する人

金銭的負担が厳しく、博士課程を中退するような人も後悔をすることになるでしょう。確かに博士課程の授業料は年間でも50万円〜100万円程度かかりますので、主な収入源がバイトにならざるを得ない大学院生からすれば大きな負担となります。

ただ、本当は博士としての勉強や研究を続けたかったのにも関わらず、金銭的に厳しいという理由だけでその道から外れなくてはならないとなれば、まさに中退は後ろ髪を引かれる思いとなることでしょう。

よく調べれば博士課程者向けの奨学金を受給できるかもしれませんし、学費の免除の制度が大学院に用意されている可能性があります。もし学費に困って博士課程を中退しようと考えているのであれば、一度大学院の学務課に相談してみるのもおすすめです。

3. 人間関係に悩んで中退する人

博士課程まで順風満帆に進学できたとしても、教授や同じ研究室の仲間との人間関係に悩んでしまうといったことが十分考えられます。人間関係に悩んで中退したいと感じる人も少なからず存在するでしょう。

ただ、こちらも金銭的負担で中退する人と同じく、人間関係のせいでやりたかったことができなくなってしまうというのは、後になって後悔する原因になりやすいと考えられます。
もし教授との人間関係に悩んでしまっているのであれば、逃げずにしっかりと向き合って教授に対して思っていることを伝えてみるのも一つの手です。

4. 衝動的に中退した人

博士課程の中退を後悔する人の特徴としては、衝動的に中退した人も挙げられます。

博士過程に限らず、生きている中では様々なストレスを感じることがあります。

そのストレスに身を預けてしまい、深く考えないまま中退をしてしまうと、後々後悔するリスクが高くなりますので注意してください。

博士を中退すると、基本的に元に戻ってくることはできません。

中退後に「やっぱり博士課程を修了すればよかった」などと後悔しても遅いため、博士を中退したいと感じた際は1歩踏みとどまり、「そもそも自分はなぜ博士を中退したいと考えているのか」を明らかにした上で決断を行いましょう。

5. 誰にも相談せず中退した人

博士の中退は、自身の人生に少なからず大きな影響を与えることになります。

それだけ大きな決断になりますので、誰にも相談せず自分1人の判断だけで中退をすると、後悔をするリスクが高まります。

博士中退の相談をする相手はどんな人でも構いません。

仲の良い友人や大学院のキャリア相談室を始め、心を許して話せるような相手であれば自分の本心を打ち明けやすくなるため、より効果的なアドバイスをもらえる可能性があります。

また、学費に悩んでいるような場合は親への相談も良いでしょう。

学術的なアドバイスがもらえる可能性は低いものの、もしかしたら学費の支援をしてくれる可能性がありますので、中退をせずに済む道を選べるかもしれません。

6. 休学を検討しなかった人

博士課程の勉強に魅力を感じなくなったり、精神的な理由で博士中退を考えているような場合は、休学を検討した方が良いと考えられます。休学を検討せずにいきなり中退をしてしまうと、中退の判断を後悔するリスクが高まります。

休学により、大学院に籍を残したまま、一定期間博士課程の勉強から距離を置くことができます。一度勉強から離れることで自分の頭を整理することに繋がるため、本当に自分が博士を中退して良いのか、自身の納得のいく決断ができるようになるはずです。

中退者からよくある相談例
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博士満期退学すると就職にどんな影響がある?

博士課程を満期退学すると、博士課程を途中で中退した人よりも就職で高く評価される可能性があります。満期退学は「単位をすべて取得した=十分な研究を積んできた」と見なされやすく、専門性や学習意欲の高さを評価されやすいからです。

満期退学者は博士課程在籍者の約20%(※)を占めており、決して珍しい経歴ではありません。ただし最終学歴は「修士卒」となるため、博士号が必須の研究職や大学教員などには応募できなくなります。

※出典:文部科学省「学校基本調査-令和3年度 結果の概要

1. 最終学歴は修士卒となる

博士課程を満期退学すると、最終学歴は修士卒となります。博士を卒業した扱いにはなりませんので注意が必要です。

ただし、この場合は単純に博士課程を中退したよりも、満期退学の方が高い評価を受けられる可能性があります。

なぜならば、満期退学は博士課程を卒業するための単位をすべて取得しているからです。

単純に論文だけ提出できなかったという見られ方になりますので、就活においても「博士課程の研究を十分にしてきた人」という評価が受けられ、中退がネガティブに映りにくくなることが考えられます。

ただし、満期退学はそれ以外の中退よりも不利になりづらいといっても、面接官からすれば「なぜ論文が出せなかったのか」という疑問に繋がりかねません。

したがって、博士を満期退学した場合は、なぜ満期退学の道を選んだのかといった理由をポジティブに伝えられるよう準備しておくことが大切です。

2. 満期退学者は20%もいる

令和3年度の学校基本調査によれば、博士課程を卒業した人のうち、満期退学者は約20%の割合を占めています。

文系と理系で分けてみると、文系は約半数の人が満期大学となっている事も分かるため、満期退学者は比較的多いと考えられます。

もし将来的に大学教授などのアカデミックな進路を考えていたり、博士課程の終了を応募条件としているような研究職に就職したいと考えている場合は、満期退学ではなく論文の提出も行い、博士課程の終了を目指すことをおすすめします。

ただ、一般的な民間企業に就職したいと考えている場合は、満期退学をしてすぐに就活をするといったキャリアプランも検討すると良いでしょう。

博士を中退して就職する上での注意点

博士課程を中退して就職する際の注意点は、学歴によって初任給に差が出ること、そして入社企業とのミスマッチが起きる可能性があることです。

たとえば国家公務員の初年度年収を比べると、博士のほうが修士よりも約50万円高く、長期的に見ると博士号の取得には一定の金銭的メリットがあることが分かります。

「早く社会に出ないと…」という焦りから深く考えず応募先を選んだことで、自分に合っていない会社に就職する恐れがある点にも注意が必要です。

1. 博士卒と学士卒で初任給は変わる

博士卒と学部卒で初任給は大きく変わる傾向にあります。
例として国家公務員の初年度年収を比較してみると以下の通りです。

  • 学士:382万円
  • 修士:434万円
  • 博士:480万円

このように、学士卒と博士卒で初年度年収にしておよそ100万円の差が出てきます。

確かに博士は社会に出るまでに時間がかかりますし、授業料も高いと短期的にみた時のお金には苦労する面が多いですが、将来就職した後はそれを上回るスピードで稼げる可能性があるということを理解しておきましょう。

2. 焦って就職活動を進めない

博士を中退した後は、これからの人生をリカバリーしようと焦って就職活動を進めてしまうかもしれません。しかし、焦って就職活動を進めると、希望とは全く異なる企業に就職してしまったり、ブラック企業に入社するリスクが高まります。

空白期間を作らないようにすぐ行動しようとする気持ちは良いものですので、就職エージェントや信頼できる友人などに相談しつつ、落ち着いて就職活動をすることをおすすめします。

中退者からよくある相談例
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博士中退を検討する人によくある質問

最後に、博士中退を検討する人によくある質問を4つ取り上げて解説します。

1. 博士課程中退だと最終学歴は何になる?

博士課程を中退した場合、最終学歴は修士卒となります。
履歴書においても博士課程に進学した事は書けますが、同時に博士課程を中退した事実を書かなければなりませんので、就職サービスに登録する際は最終学歴は修士卒として入力することを徹底してください。
また、求人によって設定されている応募条件についても、博士課程を修了していることが条件の求人には応募ができないことを合わせて認識しておきましょう。

2. 博士課程の中退率は?

文部科学省が2023年に発表したデータによれば、博士課程の中退率は3.49%となっています。
ちなみに、同調査によると、大学の中退割合が2.04%、修士過程が2.6%、高等教育全体で2.17%の中退率となっているため、博士課程の中退率はそれ以外の中退率よりも高いことが分かります。
中退率が高い博士課程だからといって安心せず、就活においては博士過程を中退した理由をしっかりと言語化し、面接官に納得してもらえるよう準備しておくことが大切です。
参考:文部科学省「令和5年度 学生の中途退学者・休学者数の調査結果について

3. 博士課程を中退すると教授にはなれない?

博士課程を中退すると、基本的に教授になれないと思っておくと良いでしょう。
一般的に大学教授を目指す際は、博士号を取得していることや、複数の論文提出、研究実績があることなどが最低限の前提となってくることがほとんどです。
博士課程を中退すると、当然博士号がないことになりますので、大学教授になる上での前提となる要件を満たしていないことに繋がり、教授になることが難しいと考えられます。
ただし、大学教授になるには、実業家になるというルートもあります。
実業家として成果を残し、かつ知名度も高めることができると、客員教授として大学で講義をできるようになります。
大学の運営に携わることはできませんが、教授のように振る舞うことができますので、そういったキャリアパスがあることも理解しておくと良いでしょう。

4. 博士中退すると内定取消しになる?

博士課程の修了を前提として内定を獲得していた場合は、博士を中退することで内定取り消しになる可能性が十分に考えられます。
ただし、どういったタイミングで就活をしていて、面接先の企業とどのような会話をしていたかによって内定取り消しになるかが変わってきます。
もし不安な場合は、内定獲得先企業に中退前に相談してみることをおすすめします。

まとめ

博士を中退したとしても、就職ができなくなるといったことはありません。
むしろ、博士課程まで進学したということが評価されて就職で有利になることも考えられます。

一方、中退という事実だけを切り取れば面接官からネガティブな印象を受けることもあるため、この記事で解説したような就職活動のコツを意識しつつ、自分が納得できる就職を成功させましょう。

中退就職カレッジのご紹介
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  • 学歴に自信がないから就職できるか不安
  • 就職について、誰に相談したら良いか分からない
  • 中退しようかどうかを迷っている
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小久保 友寛キャリアコンサルタント
元株式会社ジェイック シニアマネージャー/「就職カレッジ®中退者コース」事業責任者。国家資格キャリアコンサルタント。これまで約1400名以上*の大学中退者やフリーターのキャリアカウンセリングや就職支援講座を行う。(*2014年8月~2020年7月)現在は、学生団体の活動支援や、企業・経営者への組織づくり支援、終活支援など、世代や立場を問わず「やりがい」や「いきがい」を育む取り組みを幅広く展開中。 「誰もが人生を楽しめる社会をつくる」──その想いは、「日本の中退を変える!」と掲げていた頃から今も変わりません。