大学院を中退した場合の履歴書の書き方は?最終学歴の記載方法を解説!
大学院を中退した場合、修士・博士課程のどちらであっても、履歴書では“正直に・簡潔に”記載することが基本です。中退を隠したり省略したりすると、学歴詐称とみなされる恐れがあり、採用担当者に不信感を与えてしまうこともあります。
正しい書き方を理解すれば、大学院中退は決してマイナスではありません。
この記事では、大学院中退を履歴書に記載する際の具体的な書き方や注意点、項目別の例文までわかりやすく解説します。中退の事実を前向きに伝えることで、誠実さと意欲をアピールできる履歴書を作りましょう。
大学院を中退した場合の履歴書の書き方は?
大学院を中退した場合、履歴書には「〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 入学/同 中途退学」と書き、博士課程では「博士課程 中途退学」と課程名も加えます。また、修業年限内に博士号を取得せずに辞めた場合も「博士課程 修了(博士号未取得)」ではなく「中途退学」と記載します。
修士課程中退の場合の履歴書の書き方
修士課程を中退した場合は、「大学院名」「研究科」「専攻」を正式名称で記載し、入学と中途退学の年月を明確にします。研究分野などは職務経歴書や面接で伝えれば十分です。
2022年4月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 入学
2023年9月 同 中途退学
博士課程中退の場合の履歴書の書き方
博士課程中退の場合も、修士課程と同様に「博士課程」であることを明記します。特に博士課程は在籍期間が長いため、年月を正確に記載することが重要です。
2020年4月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 入学
2023年3月 同 博士課程 中途退学
修業年限内に博士号を取らずに大学院を辞めた場合の履歴書の書き方
博士課程の修業年限を満了して博士号を取得できなかった場合も「中途退学」と書きます。「修了」や「博士号未取得」は誤解を招く可能性があるため避けましょう。
2019年4月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 入学
2022年3月 同 博士課程 中途退学
大学院中退を履歴書に書かないとどうなる?
大学院を中退した事実を履歴書に記載しないのは、学歴詐称とみなされるおそれがあります。履歴書は経歴を正確に伝えるための公的な書類であり、意図的に学歴を省略すると虚偽の申告と判断される可能性があります。
また、大学卒業から大学院中退までの期間が空白になってしまうため、「この期間は何をしていたのか」と採用担当者に疑念を抱かせる原因になります。空白期間は、就職活動においてマイナス要素として受け取られやすいポイントです。そのため、たとえ短期間の在籍であっても、「〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 入学」「〇年〇月 同 中途退学」と正直に書くことが大切です。
大学院の中退理由は履歴書に書くべき?
基本的には中退理由を履歴書に書く必要はありません。履歴書は事実を簡潔に伝える書類だからです。
ただし、経済的な理由や家庭の事情など、やむを得ない場合に限り一言添えると誤解を防げます。その場合も「前向きな表現」でまとめることが大切です。
たとえば「経済的理由により進学継続を断念」「家庭の事情により進路を変更」など、短く明確に書きましょう。長々と説明するよりも、面接時に自分の言葉で背景を説明できるよう準備しておくのが安心です。
経済的理由の場合の書き方
大学院を中退した理由が経済的なものであった場合は、履歴書にそのまま「経済的理由」と書いて問題ありません。重要なのは、「仕方なく辞めた」という印象ではなく、「現実的な判断をした」という前向きな伝え方を意識することです。
たとえば、「学費や生活費の負担が大きく、やむを得ず退学した」といった内容を簡潔にまとめましょう。詳細を書きすぎると言い訳がましくなるため、理由は一文で十分です。
また、経済的な事情をきっかけに「社会で実務経験を積む決断をした」と説明すれば、責任感や行動力として評価される場合もあります。中退をネガティブに隠すのではなく、現実を受け止めた上で新たな一歩を踏み出した姿勢を示しましょう。
見本
2023年4月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 入学
2025年9月 同 中途退学(経済的理由により進学継続を断念)
家庭の事情の場合の書き方
家庭の事情で大学院を中退した場合は、プライベートな詳細を書きすぎず、事情を簡潔にまとめるのがポイントです。履歴書に「家庭の事情」と書くだけで十分で、具体的な内容(家族の介護・転居・病気など)は面接時に口頭で説明すれば問題ありません。
重要なのは、「学業を続けられないやむを得ない理由があった」という事実を、誠実に伝えることです。また、「家庭の事情を整理したうえで、今は就業に集中できる環境が整った」といった前向きな姿勢を面接で補足すると、印象が大きく変わります。採用担当者は「理由そのもの」よりも「今の姿勢」を見ています。誠実さと再スタートの意欲を示しましょう。
見本
2023年4月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 入学
2025年9月 同 中途退学(家庭の事情により進路を変更)
【項目別】大学院中退の履歴書の書き方
大学院を中退した場合、履歴書の各項目を正しく記載することで、誠実さと一貫性を示すことができます。特に注意すべきは「学歴欄」と「職歴欄」で、大学院在籍期間を省略せず、正確に記すことが大切です。
また、在学中のアルバイト経験や中退後にどのような活動をしていたかを職歴欄で具体的に書くことで、ブランク(空白期間)の不安を払拭できます。
資格欄では、大学院で培った知識やスキルを活かせる資格・検定を記載することで、学びを社会に還元する意欲を伝えられます。履歴書全体を通して、「中退したこと」よりも「その後どう行動したか」に焦点を置きましょう。
学歴欄
大学院中退を学歴欄に記載する際は、入学と中途退学の年月を正確に書くことが基本です。「修士課程」「博士課程」といった課程名も入れると丁寧な印象になります。
省略や曖昧な表現を避け、正式名称で記載しましょう。履歴書は公的書類であるため、誤魔化しや省略は避けるべきです。中退理由までは書かず、事実のみを簡潔に記載します。
見本
2022年4月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 入学
2023年9月 同 中途退学
職歴欄
中退後にアルバイトや派遣、インターンなどの経験がある場合は、職歴欄にその活動を明記します。短期の仕事であっても、内容を具体的に書くことで「中退後も前向きに行動していた」と伝えられます。
職歴がない場合でも、「アルバイト勤務」や「資格取得のための勉強期間」と書くとブランクをカバーできます。大切なのは、働く意欲を見せることです。
見本
2023年10月〜現在 〇〇株式会社 アルバイト勤務(事務補助業務)
2024年4月 退職予定
資格欄
資格欄は、大学院中退後の努力や成長をアピールできる重要な項目です。大学院で得た専門知識を補完する資格や、社会で活かせる汎用スキルを中心に記載しましょう。
たとえば、簿記・TOEIC・ITパスポート・基本情報技術者など、業界に関係する資格がおすすめです。資格がまだ取得予定の場合も、「取得に向けて勉強中」と添えると意欲が伝わります。
見本
2024年3月 日商簿記検定2級合格
2025年受験予定 TOEIC公開テスト
志望動機欄
大学院中退後の志望動機は、「なぜ大学院を辞めたのか」ではなく、「これからどう貢献できるのか」を中心に書くのがポイントです。大学院で培った研究力・分析力・継続力などを、応募先の仕事でどう活かせるかを具体的に示しましょう。
たとえば、「研究活動を通じて培ったデータ分析力を、企業の課題解決に役立てたい」といった形で書くと、前向きで好印象です。
また、「学びを実務に活かしたい」「社会に直接貢献したい」という転換理由を添えると、中退の印象を自然にカバーできます。文章は3〜4行程度にまとめ、簡潔ながら熱意が伝わるよう意識しましょう。
見本
大学院での研究活動を通じて、課題に対して粘り強く取り組む姿勢と分析力を身につけました。今後は、学んだ知識や思考力を実務に活かし、貴社の事業に貢献したいと考えています。研究を通じて得た問題解決力をもとに、チームの一員として成果を上げていきたいです。
本人希望欄
本人希望欄は、特別な希望がなければ「貴社規定に従います」と記載するのが一般的です。
ただし、勤務地や勤務時間、雇用形態などに希望がある場合は、簡潔にまとめて記載しましょう。
本人希望欄は、自分本位な要求を書く場所ではなく、意欲と誠実さを伝える最後の一文と捉えましょう。
見本
特になし(貴社規定に従います)
まとめ
大学院中退を履歴書に書くときは、「正確に・正式名称で・時系列に」が基本です。中退を隠すと学歴詐称になる可能性があり、大学卒業から中退までの期間が空白扱いになるリスクもあります。
履歴書では入学・中途退学のみを簡潔に記載し、理由は職務経歴書や面接で前向きに伝えるのがポイントです。また、学歴だけでなく職歴・資格・志望動機欄でも一貫性を持たせ、大学院で培った学びを実務に活かしたいという姿勢を示すと好印象です。
中退は「失敗」ではなく「方向転換の結果」です。誠実に記載し、今後の目標を明確に伝えることで、履歴書を自分の成長ストーリーとして活かせるでしょう。

















